2025/11/15 - 2025/11/16
43位(同エリア73件中)
mitamita73さん
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5日前になって、偶然、悲別ロマン座(旧・上歌会館)が2時間だけ開くという情報に接しました。炭坑生まれとしては行くしかないと、早速ホテルと航空券を手配したのですが、有名グループのドーム公演で、道央のホテルが大変なことになっていて、しかも復路は全便満席と異常な状況。
でもこんな機会は滅多にないぞ、どうするどうすると悩んだ結果、復路は空港でキャンセル待ちをする覚悟で、日本で一番人口の少ない「市」へ向けて出発しました。無茶ではありましたが、行って大正解の旅でした。
※表紙の写真は1984年発売の「かぐや姫 22才の別れ クラウンレコード」のジャケットを少しトリミングしたものです。帰宅後買いました。
※「悲別ロマン座」は1984年に日テレ系列で放映された倉本聰脚本のドラマ「昨日、悲別で」の劇中、重要な舞台となりました。
※「幸せの黄色いハンカチ」のロケ地でもあります。
※文中、固有名詞は「炭鉱」、その他は「炭坑」と表記しています。
※エリアに歌志内がないので、やむなく砂川を選択しました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- レンタカー ANAグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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恵比寿のちょっと有名な珈琲屋さんに立ち寄って、お土産用の珈琲豆を入手し羽田に向かいます。土曜日の羽田空港の駐車場はいつも通り満車ですが、午後なので10分ほどで入ることができました。
「最大料金3日目まで1日2,800円」とありますが、ちょっと前までは1日最大1,530円でした。83%もの爆裂値上げの収益増はどこの財布に収まるのでしょう。ちょっと気になります。 -
入口では満車、入ってみると別館2・4~6階に空きありの表示、その階に上がると空きがなくてぐるぐる。この不整合にはいつも悩まされます。
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往路は夕方発の便の予約が取れました。
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一方、ホテルは、なじみの札幌のホテルが通常の6倍の1泊7万円、困ったときの東横インは苫小牧も満室、岩見沢や滝川の庶民的ビジホも2倍と、道央全域の宿泊料金がとんでもなくなっています。
そんな中、千歳のクラウンプラザが朝食無ながら通常の5割増で取れました。もらったステータスでバスローブのある部屋にしてくれたし、少し救われた感じです。 -
翌朝、レンタカーを借りて、長沼・栗山を経て空知方面に向かいました。
車はフィット、直前割引で免責補償込9時間6000円強でした。 -
道央道を美唄で降りました。
道道美唄富良野線は冬季の通行止期間に入ったようです。美唄富良野間を行き来する人がほとんどいない上に、途中に住んでいる人が皆無という経済合理性の欠片もない道路。この巨費を地域振興に使うことができたらと、ここを通るたびに考えてしまいます。 -
空知に来たら、美唄の「ストウブ」に寄らなきゃ、です。
三重出身のパン職人さんが8年前にここで開業。どうして美唄でこのレベルのパンが食べられるの?と不思議な気持ちになる、とても美味しいパンを焼いています。
自分用と訪問先用のお土産をたくさん買いました。 -
実はここストウブは珈琲も美味しいんです。お勧めです。
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ストウブを出て、12号線を約4km北上し、茶志内の「味の大王」に行きましたが、残念ながら定休日でした。
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茶志内駅です。
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昨年、自動改札機が設置されたそうです
自動改札機って、改札での混雑解消と改札係の駅員削減のためのものだと思っていたのですが、利用者は1日10数名、どこからでもホームに入れて列車に乗れる無人駅への自動改札機設置にどんな合理性があるのか、なんとも不思議です。
Kitacaを持たない高齢者はさぞ戸惑うだろうなぁとか、故障したら隣の美唄駅から車で来るのかな、などなど疑問は尽きません。 -
誰かの寄贈でしょうか、昔の学校にあったような日付入りの黒板に、「伝言板としてお使いください」と書いてありました。やはり、こういうアナログな風景がこの地には似合います。
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上り本線が2番ホーム、待避線が同3番、下り本線が同4番と、1番ホームがないのもこの駅の特徴です。さらに駅舎前には札幌方面だけに通じる用途不明の旧5番線もあります。
どうやら線路としての1番線は、日東炭鉱(1967年閉山)への専用線だったようなのですが、1番ホームについては確たる記録が見当たりませんでした。 -
50年以上前には駅の東側に何本も貨物用の線路がありましたが、いまは草むらです。
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ちょうど札幌行のライラックが通過していきました。この列車のおかげで、当面、廃線の心配がないのが救いです。
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1960年代には駅前や国道沿いに商店がたくさんあった気がするのですが、今はほぼ原っぱになっています。ただ、それ以上に残念なのが左奥にあるソーラーパネル。自然エネルギーを利用することに異論はないのですが、なんとも不釣り合いな風景です。
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次に、空知の宝のひとつ、「駅舎」という店名でドラマ「昨日 悲別で」の舞台ともなった、砂川駅前の喫茶店「やまいち」に向かいましたが・・・
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閉店。
昭和がそのまま残る素晴らしい喫茶店だっただけに実に残念です。 -
駅を離れ、国道12号線を東に曲がって少し走ると、いよいよ炭坑のあった地域に入ります。
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歌志内市内に入り、まずは道の駅チロルでプチお買い物。
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すぐ裏のチロルの湯はボイラー交換のために休館中でした。
歌志内は人口が一番少ない「市」で有名で、最大4万6千人が2496人(2025年10月末)に激減したことがよく取り上げられますが、隠れた特徴があります。それは、産炭地によくある行き止まりの町ではないことです。大夕張や東美唄には大きな炭坑がありましたが、その先に何もないので閉山後は訪ねる人が皆無となり、急速に廃れていきました。一方、歌志内には赤平・芦別から砂川・奈井江に抜ける道路が通っているので炭鉱がなくなった今も一定の通過車両・人があります。そのため、それを少し増やし、かつうまく取り込むことができたら、まだ商売の余地があるように思います。商売が成り立てば、人口の減少を緩やかにすることはできるのではないでしょうか。
ここチロルの湯は、ちょっと寄りたくなる施設。タイミングが合えばぜひ寄ってみたいと思います。 -
目的地に着きました。
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悲別ロマン座です。大きな利益が出ていた頃の住友鉱山が作っただけあって、いい趣です。
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ここはもともと上歌会館といい、住友上歌志内坑の福利厚生施設として建設されました。炭坑夫はとてもきつくて危険な仕事でしたから、住宅費や電気・水道・燃料費などがほとんど不要で、かつ最新映画が上映されたり、有名歌手が来るなど、高待遇と福利厚生の充実を謳い募集していました。
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内部は普段閉まっていますが、今日は2時間だけ開けてくれます。
閉鎖中の施設の開館は安全保持などの面でいろいろ大変。関係者のご奮闘に感謝です。 -
ロビー部分にはドラマと同じ風景が広がります。閉館中もきちんと保持管理をしているのでしょう。ありがたいことです。
(多くの人がいたので、ロビーの中の様子は撮影できませんでした。) -
「風」の「22才の別れ」のレコードが立てかけてありました。「昨日、悲別で」のエンディング曲です。
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こちらは、1984年にこのドラマを契機にかぐや姫の曲としてシングルカットされたレコードのジャケットです。曲名の上に「日本テレビ系ドラマ「昨日、悲別で」タイトル曲と記されています。
元々1974年発売のかぐや姫のアルバムにあり、1975年に「風」のシングルとして売り出した曲を、9年経って売り出すだけのインパクトがあったのでしょう。
帰宅後、このジャケットのレコードがあると知り、レコードプレイヤーもないのに、中古レコードを買いました。 -
ジャケットの裏面はドラマのシーン。
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ロビーの裏の映写室には、炭坑の閉山期と映画の衰退期が重なっていたからなのでしょうか、かなり高価だったであろう映写機が転売されずにそのまま残っています。
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まだまだ古物としての価値がありそうです。
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閉山・閉館から19年経った1990年8月に復活上映があったようです。
幸せの黄色いハンカチでは発売から30年の「銀座カンカン娘」が歌われ、復活上映では28年前に上映された「銀恋」と34年前上映の「太陽の季節」、歌志内の人は昔から懐かしめのものが好きだったのでしょうか。 -
ロビーにあった写真です。昭和の初め、飛行機が歌志内に着陸したそうです。よほどの緊急事態だったのでしょうか。どこに着陸できる直線があったのか不思議です。
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同じく昔の写真ですが、中央やや右の鉄柵がエレベーター。身長にも足りない高さのこの箱に20人ほどが詰め込まれ、自由落下に近いスピードで数百m下りていきます。この恐怖症だけでも普通の人ならとても耐えられないでしょう。そのストレスの発散場所のひとつが、この上歌会館だったのかもしれません。
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数千人いた地域人口を考えても不相応なほど立派な病院ですが、今にして思えば、それだけ日々危険に満ちていたのかもしれません。
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ボランティア団体「ウタピリカ」のコースターやマグネットなどの小物を少し買いました。
代表の方が子供さんと2人で始めたこのボランティア団体は、歌志内の自然と歴史を守り、人と地域をみないにつなぎたい、とのこと。立派だなぁと思うとともに、同じ空知の炭坑生まれとして、協力できることが何もないのがとても情けない気がしました。 -
実は、私が「昨日、悲別で」を知ったのも見たのもつい数年前なのですが、そのドラマの映像や風景は、この詩が重なるととても心に染み入るものでした。
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ロマン座の外観です。元々は一つの建物でしたが、閉山してしばらくたった頃、中央(観客370席)部分の屋根が落ちてしまいました。
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別角度から。左がロビー部分、右がステージ部分です。
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ロビーの裏側です。
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映画ではスクリーン、歌謡ショーではステージとなった側です。
屋根はなくなりましたが、日比谷公園のように屋外コンサートという手もあります。周囲は民家も少なく騒音の心配もないので、中規模のコンサート会場としていいように思いますが、どうでしょう。 -
別角度から。
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来客があまり見ることのないステージの裏側もきれいに清掃されています。
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道路沿いには、掘った石炭を外に運び出す炭車がありました。
地下で掘った石炭をこれに積んで、先ほどのエレベーターで地上に上げて消費地に運んだのでしょう。
※歌志内線は、昭和30年代半ばには、国鉄有数の儲かる路線でした。 -
その昔、炭坑を流れる川は真っ黒でしたが、いまや清流です。
もっとここにいたいのですが、帰りの予約もない身ですから、14時30分頃に関係者に感謝の意を表し、空港に向かいました。 -
帰りの道は上砂川経由のメインロードではなく、歌志内線の地盤が残っている北寄りの道路を選びました。三菱美唄鉄道の線路跡と同様にサイクリングロードになっていますが、もしここに線路があったら、それだけでも歴史価値、観光価値があったと思います。廃線に際して、線路や踏切の撤去などの「仕事」を求める傾向、せめて今後は見直してほしいものです。
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道央道を使わず、また途中美唄市のアンテナショップPiPaに寄ったりしていたので、栗山あたりで日が暮れてきました。晩秋の北海道は午後5時前に日が落ちます。未だに全便満席でキャンセル待ちのままです。
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レンタカーの走行距離は218Km、燃費は19.8Km/Lでした。かなりのエコランをしたつもりなのですが、フィットとはいえ、スタッドレスを履いた4WDではこれが限界でした。
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送迎バスで空港に着きましたが、いまだ空席は出ず。ちょっとヤバいかもと思いながらも、「北海道物産」でトラピストクッキーを買い、「島の人」であわびとホタテを買い、そしてラーメン道場へと、いつもとまったく同じ行動パターンです。
違ったのは、「空」が行列だったので、席が空いていた「あじさい」で特塩ラーメンを食べたこと。美味しいのですが、さすがに1,480円は高いかなと思いました。 -
多めに利用するご褒美でちょい優先されているためか、その後1時間ほどして空席が出ました。これで家に帰ることができます。
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羽田に到着。貴重な休日にボランティアで運営してくれた皆さんに感謝しつつ、ほのぼのした気持ちで帰宅しました。
ポン太が歓迎してくれると思いきや、チラ見しただけで立ち上がりもしません。なんともクールな柴犬です。
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