2025/03/12 - 2025/03/12
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プロムナードさん
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2025年2月~3月のネパール→インド→パキスタンの旅を記録します。ボーナストラック・ペシャワール編の最終日です。ガンダーラをあまり知らなかった浅い古代史オタクが興奮して早口でしゃべっているところは読み飛ばしてください。
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いつものとおりビスケットとジュースの朝食を済ませ、チェックアウト。ペシャワールの朝を見るのも今日で最後だ。
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ペシャワールの前身は、プルシャプラと呼ばれたガンダーラ時代の主要都市だ。そのこともあってか、ペシャワール博物館はガンダーラ美術の収蔵品では世界最高峰をうたっている。最後に覗いておこうと再度立ち寄ったところ、ちゃんとオープンしていてよかった。臨時休館というオチも予想していたが……。
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入館してすぐ驚きの再会が。ペシャワールとは140キロも離れたスワート地方のレストランで会った考古学者(スワート博物館館長の弟子にしてフリーのプライベートガイド)のマリアさんだ。最初の出会いもあり得ないほどの偶然だったが、二度起これば奇跡だろう。とはいえ個人旅行ではこういう奇跡が起こる。
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中国からの旅行者をアテンドしているらしく、彼らとも少し話をする。私は一時期上海で暮らしていた経験もあり、外国語=中国語がデフォルト設定になっているので、旅先では脳内で中国語→英語に変換する負荷があるのだが、このときは中国語で話せたので楽だなと感じる(※)。旅先で知り合った異国人どうしが中国語で会話するというのも、シルクロードらしくていい。
※中国語もすっかり錆びついているので、英語と大差のない片言レベルなのだが。 -
そして新しい出会いがある。マリアさんの口添えで、学芸員(学生かも知れない)らしきふたりの若者が現れる。ガンダーラに興味をもつ妙な日本人を個別にガイドしてくれるようだ。
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すでにこれまでの旅でアトラス、アテナ、ディオニュソスといったギリシャの神格や、ローマの美術様式がガンダーラに現れているのを目の当たりにしてきた。そのことを早口で話すと、ふたりが「そうなんだよ! じゃあこれなんてどうだい?」と前のめりに解説してくれる。オタクとオタクは引き合う。
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ペシャワール博物館のメインホールは、仏陀のエピソードが時系列に沿って展示されている。量も質も圧倒的で、世界最高峰のガンダーラ美術というのはまったく誇張ではないと思う。
写真は仏陀の前世譚(なので最初の展示にある)のひとつで、仏陀の悟りを予言したDipankara(定光仏)のひと幕。私はDipankaraが人類に火(光)をもたらしたギリシャの神格プトレマイオスだったという突飛な歴史SFを書いたことがあり、いきなり親近感を覚える。しかしガンダーラに来てみると、そう突飛な設定でもなかったなと思う……。
※入館料500ルピー(約250円)を支払えばスマホ撮影はOK(カメラを使った撮影には追加料金が必要)。 -
これは仏陀誕生のシーン。解説文が「7 steps」とあるので、生まれてすぐ七歩あるいて「天上天下唯我独尊」といった例のエピソードだろう(セリフのほうは後付けらしいが)。ジェスチャーで「~でしょ?」とやると「それそれ!」と盛り上がれて楽しい。
なおWikipediaによると、ガンダーラ美術でこのシーンにはヘラクレスを原型とする執金剛神がいたりするそうだが、ここにもいるのかはわからない。 -
菩提樹のもとで瞑想する仏陀。博物館のライティングがアレでうまく撮りにくいのだが、めちゃくちゃかっこいい。
とにかく仏陀のエピソードを知っているほど楽しめる。手塚治虫『ブッダ』のシーンも蘇る(あれはかなり手塚アレンジが入っているが……)。 -
瞑想中の仏陀を色じかけで誘惑するマーラ。「聖アントニウスの誘惑」を思い浮かべる人も多そうだ(マーラのほうが古い)。
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断食でガリガリの仏陀。ラホールに有名な断食中の仏陀像があるが、こちらも(かなり欠損しているとはいえ)すごい迫力。
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「シュラーヴァスティの奇跡」を描いたもの。かなり大きく、かつ繊細な出来映えで崇高さがある。
私は実のところガンダーラ文化にそこまで思い入れはなかった。「そこに行けばどんな夢も叶うという」というゴダイゴの謎の歌詞のせいで理想郷のイメージがあるが、別に巡礼の地ではない。この旅に玄奘三蔵の足跡を辿る意味合いもなくはなかったが、玄奘が訪れた当時ガンダーラはすでに荒廃しつつあったし、そもそも彼の旅のゴールはインドのナーランダだ。しかしなんとなく旅に出て、その芸術に触れていると、すっかりガンダーラに魅せられてしまった。 -
これも「シュラーヴァスティの奇跡」。左右に菩薩がいると解説にあるが、もうギリシャ神話の男神と女神にしか見えない。
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入滅とその火葬までを示す、仏陀の今生ラストエピソード。時間経過の表現がマンガのコマ割りだ。
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そしてメインホールから左へ入ると、異教的シンボルがたくさんあって大興奮。
こちらはヴァジュラパーニ(執金剛神)。ヘラクレスが原型というが、「手にサンダーボルトを持つ」などと解説されるとゼウス神?? などと思ってしまう。 -
アトラスの詰め合わせ。羽根の生えたアトラスもけっこういる。ギリシャ神話では天を支えていた巨人アトラスは、仏教で仏たちの台座を支える邪鬼になるのだろうか?
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ガルーダの詰め合わせ。わかりにくいが一番左のお顔はクチバシがあって完全に鳥に見える。インド神話のガルーダが仏教遺跡から出てくることを学芸員は不思議がっていたが、興福寺の迦楼羅像(ガルーダ神が仏教化したもの)の画像を見せると興奮していた。ガンダーラ仏を掘ったみなさん、あなたがたのひらめきははるか東の島で2000年後のいまも生きている。
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もうなんだかわからない。「Ichthyocentaur」と解説にあるので、ギリシャの半人・半馬・半魚の神怪の類なのだろう。トリトンのような。ガンダーラにはトリトンがいる! といわれても、アトラスもアテナもディオニュソスもヘラクレスもいるんだから、最早そうですねとしか思わない。
ガンダーラ文化が興隆した1世紀から5世紀は、ローマでキリスト教がゆっくり台頭し、多神教世界を駆逐していく時期と重なる。その大変動のなか、無数の神々が西から東へと移り住んできたと想像するとたいへん面白い。 -
マイトレーヤ(弥勒)もたくさんいらした。この像など、いかにも中央アジアに顕現する英雄神らしくて最高にかっこいい。
弥勒の話をしていると、学芸員がなにやら早口でしゃべっていて、どうも日本の弥勒はスマイルがどうとかいっている。アルカイック・スマイルとも評される(この表現自体ギリシャ由来だ)弥勒の半跏思惟像のことだろうか。そう思って思わずその場で半跏思惟のポーズをとって微笑を浮かべてみると…… -
「そのポーズ、こっちにあるぜ!」と連れてこられた先にいたのがこの菩薩像。弥勒とは書いていなかったが、たしかに半跏思惟の原型に見えなくもない。すごいな……と驚きつつ広隆寺や中宮寺の弥勒半跏思惟像を画像検索で見せて、みなで盛り上がるという流れに。楽しすぎる。
なお「きみは菩薩の救済を信じているのか?」聞かれて、「いや、私は仏教のフィロソフィに関心があるんだ」と答えたあと、片言英語で「一切皆苦」や「諸行無常」を共有できたのが今日一番のハイライトだったかも知れない。この世界にpermanentなものなどなにひとつないのだ……。 -
学芸員は、紀元前4世紀のアレクサンドロスによる戦争のあと、多くのギリシャ人がこの地に置き去りにされた、というようなことを話していた(表現の正確性に自信なし)。ガンダーラで彫られた顔は、教科書的解釈かもしれないが、やはり西から来たひとびとを思わせる。
カンブリア爆発のようなガンダーラ美術の興隆の背景には、ヨーロッパとアジアという世界の境界を破壊したアレクサンドロスがいる。それをきっかけに多くの神々が西からこの地へ移り住み、さらに東方へと、越境していく。そのイメージを重ねながら展示を見て歩くのがとても楽しい。 -
こちらはガンダーラに侵攻してきた民族の顔が反映されている、ということを学芸員が話していたようだが(自信なし)、いわゆる「白いフン族(エフタル)」のことだろうか。5世紀後半以降、ガンダーラは他民族・国家の侵攻に晒されて衰退していく。ここは世界の境界を壊した王によって生まれ、世界と世界の狭間に一時期だけ生まれた場所といえるかも知れない。
私は常に世界の涯てに憧れていて、いまでも世界の向こう側へ連れていってくれる何者かを待ち続けて生きているが(私の小説はだいたいそのことしか書いてない)、ガンダーラは世界の涯てだったんだな、と思う。旅に出るまでは気づいてもいなかった。 -
なお博物館の2階は民俗学の展示になっていて、こちらもなかなか趣きのあるものが見られる。ガンダーラ美術の洪水からここらで頭を冷やし、博物館をあとにする。
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当初予定になかったペシャワールの旅を満足のままに終えて、あとは帰国便の出る空港へ向かうだけ。BRTで街外れのバスステーション「Lahore Adda」まで行き、あとは例の如く怒涛の流れのなかでバスを探す。今回もまた親切なひとにいろいろ助けられる。
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ラーワルピンディに到着。空港のそば、首都イスラマバードの隣にある大都市だ。圧倒的な喧騒、クラクションと排ガス。だが、これももう最後だと思えば平気だ。
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ここではメトロと呼ばれる、ペシャワールとほぼ同様のBRTが運行されている。とても良い。ぜひ交通状況の改善につながってほしい。
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高架の上を走る赤いバスがメトロ。明日の移動も楽になるかも知れない。
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しかし最後にきて、ホテルが見つからない。あらかじめbookingサイトで目星をつけておいた宿のうち一軒は「クローズド」といわれ(ほんとうか? 営業しているようだが……)、もう一軒は「外国人の宿泊許可がない」とのこと。英語の通じないスタッフだけしかおらず、マネージャーが来るまで延々と待たされるなど、とにかく一筋縄でいかない。旅の生命線であるiPhoneの電源がみるみる減るなか、バックパックを背負って街をさまよううち、どんどん日が暮れていく。
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結局三つ星ホテルだという「National City Hotel」で一室をようやくゲットする。5000ルピー(約2500円)。まあ現金を使い切りたいのでちょうどいいのだが、パキスタン旅行ではそもそも安宿を探すのが厳しいことをあらためて実感する。
しかし、ここがどんな宿だろうと構いはしない。今夜がパキスタン最後の夜になる。 -
断食明けの時刻、やけに賑わっていたレストランに入ってみる。なお断食明けの30分ほどはみんな(店員さんも)仲間うちのご飯タイムなので、そこに混ぜてもらおうというつもりがなければ、さらにしばらく待つ必要があるというのも学んだ。
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頼んだのはハンバーガーとフライドポテト、コーラのセット。このあとアイスクリームも頼んで、1020ルピー(約510円)。最後はパキスタン料理を、などとは思わない。いまはむしろ、切実にうどんか蕎麦が食べたい。
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ホテルへの帰路、路地を歩いていると、後ろからバイクの派手な音がして、「AKIRA」の金田と鉄雄みたいな若者たちがバイクに乗って走っていった。ここは都会なんだなと思う。
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幹線道路をわたる陸橋からの眺め。都会に興味はないので、明日は飛行機の出るまでゆっくりしよう。もうすぐ旅が終わる。
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