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佐賀市隣の小城市は、公共交通の便が悪いおかげか歴史が残る街です。<br />佐賀藩の3支藩のうち最大の小城藩藩庁でした。<br />更に、県名でお馴染みの千葉氏の9代目(宗家⁠)は執権北条氏の裁可で四男が継ぐことになりますが、嫡流はというと小城を根城に存続しました。<br /><br />

小城市:明治で時間が止まったアクセス困難な街

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2024/10/06 - 2024/10/06

297位(同エリア335件中)

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gianiさん

この旅行記スケジュールを元に

佐賀市隣の小城市は、公共交通の便が悪いおかげか歴史が残る街です。
佐賀藩の3支藩のうち最大の小城藩藩庁でした。
更に、県名でお馴染みの千葉氏の9代目(宗家⁠)は執権北条氏の裁可で四男が継ぐことになりますが、嫡流はというと小城を根城に存続しました。

旅行の満足度
5.0
  • 小城市へ向かいます。<br />メインルートは、JR唐津線です。

    小城市へ向かいます。
    メインルートは、JR唐津線です。

  • 小城駅へ到着。<br />

    小城駅へ到着。

  • 長閑なローカル線です。<br />小城市は、小城町と3町が平成の大合併で誕生した自治体です。

    長閑なローカル線です。
    小城市は、小城町と3町が平成の大合併で誕生した自治体です。

  • 小城駅舎は1903年の唐津線全線開通時に建てられた歴史ある建物で、国の有形文化財に登録されています。

    小城駅舎は1903年の唐津線全線開通時に建てられた歴史ある建物で、国の有形文化財に登録されています。

    小城駅

  • 桜城館へ入り、歴史を学びます。<br />小城の地名は、6世紀にヤマト政権へ反抗した豪族が城を築いて戦ったことに由来します。<br />

    桜城館へ入り、歴史を学びます。
    小城の地名は、6世紀にヤマト政権へ反抗した豪族が城を築いて戦ったことに由来します。

    桜城館 名所・史跡

  • 無料の歴史資料館があります。<br />展示室の撮影は禁止されています。<br />平安時代に宗像神社に寄進された晴気荘を、鎌倉時代に地頭に任命された千葉氏が不在地主として支配しました。<br />最初の元寇後に九州に領土を持つ関東武士が現地へ赴くことが命じられると、千葉県の本家に対して小城へ出向した肥前千葉氏が誕生します。

    無料の歴史資料館があります。
    展示室の撮影は禁止されています。
    平安時代に宗像神社に寄進された晴気荘を、鎌倉時代に地頭に任命された千葉氏が不在地主として支配しました。
    最初の元寇後に九州に領土を持つ関東武士が現地へ赴くことが命じられると、千葉県の本家に対して小城へ出向した肥前千葉氏が誕生します。

    小城市立歴史資料館 中林梧竹記念館 美術館・博物館

  • 小城藩邸跡<br />江戸時代には、佐賀藩(鍋島家)の支藩として小城藩が立藩されます。初代藩主鍋島元重は本藩の佐賀城西の丸に住まい、小城には茶屋(藩主別邸)を設置するのみの不在地主でした。本藩の家臣的カラーが強かったのかもしれません。<br />

    小城藩邸跡
    江戸時代には、佐賀藩(鍋島家)の支藩として小城藩が立藩されます。初代藩主鍋島元重は本藩の佐賀城西の丸に住まい、小城には茶屋(藩主別邸)を設置するのみの不在地主でした。本藩の家臣的カラーが強かったのかもしれません。

  • 二代藩主の直能は、1680年頃に御茶屋を整備して自身の隠居所とします。<br />三代藩主の元武は1690年に隠居所を小城陣屋と定め、領地で暮らすようになります。桜岡を中心とした小城陣屋跡は、小城公園として整備されています。

    二代藩主の直能は、1680年頃に御茶屋を整備して自身の隠居所とします。
    三代藩主の元武は1690年に隠居所を小城陣屋と定め、領地で暮らすようになります。桜岡を中心とした小城陣屋跡は、小城公園として整備されています。

    小城公園(庭園) 花見

  • 庭園が整備され、市民の憩いの場となっています。

    庭園が整備され、市民の憩いの場となっています。

  • 桜岡には岡山神社が鎮座します。

    桜岡には岡山神社が鎮座します。

    岡山神社 寺・神社・教会

  • 支藩とは言え7万3000石を分与されていたので、かなりの経済規模でした。参勤交代も義務付けられ、3代藩主元武は将軍綱吉のお気に入りだったことも藩庁移動と関係があると思われます。

    支藩とは言え7万3000石を分与されていたので、かなりの経済規模でした。参勤交代も義務付けられ、3代藩主元武は将軍綱吉のお気に入りだったことも藩庁移動と関係があると思われます。

  • 現在、屋敷跡は県立小城高校が建っています。<br />この辺りは、石垣が遺ります。

    現在、屋敷跡は県立小城高校が建っています。
    この辺りは、石垣が遺ります。

  • 明治15年に陣屋は解体されましたが、唯一体育館横に当時の遺構である藩邸正門前の石橋が遺されています。

    明治15年に陣屋は解体されましたが、唯一体育館横に当時の遺構である藩邸正門前の石橋が遺されています。

  • 高校の右横には、ルーテル教会と付属幼稚園の敷地になっています。元々は、藩校が建っていました。

    高校の右横には、ルーテル教会と付属幼稚園の敷地になっています。元々は、藩校が建っていました。

  • 藩校興譲館は1784年の文武稽古所に始まり、87年に興譲館として藩士の長男を15-24歳まで預かる寄宿舎制の教育機関でした。費用は藩持ちで、次男以下も費用の半額を払えば入学できました。

    藩校興譲館は1784年の文武稽古所に始まり、87年に興譲館として藩士の長男を15-24歳まで預かる寄宿舎制の教育機関でした。費用は藩持ちで、次男以下も費用の半額を払えば入学できました。

  • ゆめぷらっと小城では、無料のレンタサイクルもあります。

    ゆめぷらっと小城では、無料のレンタサイクルもあります。

  • 小城公園の東側は岡町と呼ばれ、陣屋建設後に町人町として開発されました。<br />マクドナルドの対角線に位置し、Mac側は下町/中町/上町と呼ばれる古い商人町です。元は、千葉氏時代の小城の市街地です。写真は、下町交差点の光景。

    小城公園の東側は岡町と呼ばれ、陣屋建設後に町人町として開発されました。
    マクドナルドの対角線に位置し、Mac側は下町/中町/上町と呼ばれる古い商人町です。元は、千葉氏時代の小城の市街地です。写真は、下町交差点の光景。

  • 下町は、今も商店街です。<br />脇道へ入ると、円通寺の参道になります。

    下町は、今も商店街です。
    脇道へ入ると、円通寺の参道になります。

  • こんなレトロな光景があちこちで見られます。<br />下町の小柳酒造は、現役の蔵元です。赤煉瓦の煙突が印象的です。

    こんなレトロな光景があちこちで見られます。
    下町の小柳酒造は、現役の蔵元です。赤煉瓦の煙突が印象的です。

    小柳酒造 グルメ・レストラン

  • 参道は、門前町でもありました。

    参道は、門前町でもありました。

  • 住宅の横に、千葉宗胤夫妻の墓があります。<br />9代目当主として、元寇に伴う異国警固番役として九州へ赴きますが、僅か29歳で亡くなります。息子の胤貞が幼かったために宗家は宗胤の弟が継承し、宗貞は小城で分家を形成することとなります。

    住宅の横に、千葉宗胤夫妻の墓があります。
    9代目当主として、元寇に伴う異国警固番役として九州へ赴きますが、僅か29歳で亡くなります。息子の胤貞が幼かったために宗家は宗胤の弟が継承し、宗貞は小城で分家を形成することとなります。

  • 千葉宗胤(1265-94)は、千葉氏領地の小城で1278年に圓通寺を再興します。<br />千葉氏は、11世紀に平常兼が官職名(千葉介:介は国司の二等官/千葉は下総国千葉郡千葉荘)取って千葉を名乗ったのが始まりで、3代目の千葉常胤は源頼朝の東国挙兵に組し、鎌倉幕府の有力御家人になりました。

    千葉宗胤(1265-94)は、千葉氏領地の小城で1278年に圓通寺を再興します。
    千葉氏は、11世紀に平常兼が官職名(千葉介:介は国司の二等官/千葉は下総国千葉郡千葉荘)取って千葉を名乗ったのが始まりで、3代目の千葉常胤は源頼朝の東国挙兵に組し、鎌倉幕府の有力御家人になりました。

  • 円通寺<br />650年開基の古刹で、千葉宗胤の援助で再興し、千葉宗胤夫妻の菩提寺になります。<br />参道を離れ、分かれ道に戻ります。

    円通寺
    650年開基の古刹で、千葉宗胤の援助で再興し、千葉宗胤夫妻の菩提寺になります。
    参道を離れ、分かれ道に戻ります。

  • 深沢家住宅<br />幕末築の造り酒屋で、現在も生活が営まれる現役家屋です。<br />

    深沢家住宅
    幕末築の造り酒屋で、現在も生活が営まれる現役家屋です。

  • 奥の土蔵は、明治初期のものです。<br />下町/中町/上町にかけては、現在も酒屋が多いです。

    奥の土蔵は、明治初期のものです。
    下町/中町/上町にかけては、現在も酒屋が多いです。

  • レトロな建物は、1941年に羊羹工場の砂糖蔵として建てられたもので、現在は羊羹資料館になっています。<br />小城の羊羹は、桜羊羹の名前で全国で知られました。1870年頃に森永惣吉が製造を始め、品評会で入賞します。保存が利くことから軍の需要も大きく、1902年の村岡安吉を始め、多くの小城人が参入します。森永は藩の御用商人でしたが、廃藩に伴い新しい商売を探したパイオニアでした。

    レトロな建物は、1941年に羊羹工場の砂糖蔵として建てられたもので、現在は羊羹資料館になっています。
    小城の羊羹は、桜羊羹の名前で全国で知られました。1870年頃に森永惣吉が製造を始め、品評会で入賞します。保存が利くことから軍の需要も大きく、1902年の村岡安吉を始め、多くの小城人が参入します。森永は藩の御用商人でしたが、廃藩に伴い新しい商売を探したパイオニアでした。

    村岡総本舗羊羹資料館 美術館・博物館

  • 千葉城跡<br />上町の先には、千葉氏の本拠地となった城山がそびえます。千葉城は山城で、麓には祇園川が流れる防衛に適したロケーションでした。千葉胤貞は、下総から小城へ下向する際に京都から祇園社を勧請し、山頂に祀りました。

    千葉城跡
    上町の先には、千葉氏の本拠地となった城山がそびえます。千葉城は山城で、麓には祇園川が流れる防衛に適したロケーションでした。千葉胤貞は、下総から小城へ下向する際に京都から祇園社を勧請し、山頂に祀りました。

    須賀神社 寺・神社・教会

  • 須賀神社<br />山の麓には803年に勧請された須賀神社があります。650年開基の円通寺といい、小城の歴史の古さを感じさせるアイコンです。<br />

    須賀神社
    山の麓には803年に勧請された須賀神社があります。650年開基の円通寺といい、小城の歴史の古さを感じさせるアイコンです。

  • 祇園川を遡って山の反対側へ行くと、千葉氏の家臣団が居住した谷間のエリアがあります。中世は祇園川沿いに小城の町が発展します。<br />千葉氏は東家と西家に分裂して力を失い、戦国大名龍造寺氏とその跡を継いだ鍋島氏の家臣として存続します。<br />

    祇園川を遡って山の反対側へ行くと、千葉氏の家臣団が居住した谷間のエリアがあります。中世は祇園川沿いに小城の町が発展します。
    千葉氏は東家と西家に分裂して力を失い、戦国大名龍造寺氏とその跡を継いだ鍋島氏の家臣として存続します。

  • 須賀神社の入口には、朝鮮出兵の際に秀吉が腰掛けたとされる太閤腰掛石があります。

    須賀神社の入口には、朝鮮出兵の際に秀吉が腰掛けたとされる太閤腰掛石があります。

  • 須賀神社入口から、上町以下の商人町を望みます。<br />『海東諸記(1471)』によると、小城には1200戸/500名の兵士が常駐したとのことです。少弐氏の本拠地である大宰府が2200戸/兵士500名なので、中世の小城は大きな町だったと言えます。

    須賀神社入口から、上町以下の商人町を望みます。
    『海東諸記(1471)』によると、小城には1200戸/500名の兵士が常駐したとのことです。少弐氏の本拠地である大宰府が2200戸/兵士500名なので、中世の小城は大きな町だったと言えます。

  • 中町には佐賀に展開する地場系スーパーが。森永製菓の森永太一郎など、佐賀色を感じさせる苗字です。

    中町には佐賀に展開する地場系スーパーが。森永製菓の森永太一郎など、佐賀色を感じさせる苗字です。

  • 小城を後にします。<br />昭和バスが佐賀まで走っています。時間/料金共にJRの2倍以上します。<br />もう一つの選択肢は、旧大和町へのアクセス。上町から乗れます。<br />次の旅行記↓<br />https://4travel.jp/travelogue/11936094

    小城を後にします。
    昭和バスが佐賀まで走っています。時間/料金共にJRの2倍以上します。
    もう一つの選択肢は、旧大和町へのアクセス。上町から乗れます。
    次の旅行記↓
    https://4travel.jp/travelogue/11936094

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