荘銀タクト　鶴岡　妹島和世

2023/10/21 - 2023/10/21

山形県・・・初来訪ですが、今回は鶴岡市に用事があり来ました。
明治・或いは大正時代などの近代建築が有りますが現代建築ではどうしてもこちらになるかな・・・と往訪。

荘銀タクト鶴岡、は鶴岡駅から徒歩20分程度、晴天なら積雪地帯の街並みなどを見ながら行くのも良いでしょう。事前にネット上で調べた結果、妹島和世さんの意匠設計となるこちらは見ておこうと決めていました。

コロナ禍が始まるよる前、確か2015年か16年にドイツ・フランスに行った事が有ります。その時にホロコースト記念公園と言う無機質なモニュメントが立ち並ぶ無言の公園のそば、徒歩圏内にベルリンフィルの建屋が有りました。実際にその場に立ち、感動しました。重くのしかかっていた武力による制圧やユダヤ人の迫害などを示した場所から、少し心を軽くしてくれたのがベルリンフィルの建物でした。ああ、音楽だよね、と建屋とハコの中身を想起させてくれる楽し気な、軽やかな弧を描く屋根。（ハンス・シャウロンの作だが、ご本人は金属製天蓋となる1980年代の現在の姿形は見ていない）
また、この手の建物は現代建築ならどうしても・・・フランク・ゲイリーを想起させられます。
ベルリンフィルの方がだいぶ早い筈なんですが、ここ数十年はビルバオ、ディズニー（米国）、ベルリンの馬の彫像（室内、これ好きです、無駄で良い）、パリのルイ・ヴィトンなどなど、どうしてもゲイリーの作風、と想起してしまいます。

エリア 鶴岡(山形)

これ、このまんまですね、こんな感じです。
タクト、指揮棒、その先端の動き。

案内板です、建屋平面図はこんな感じになるのと、板面右側はあまり外回りで行けない感じだったので、上からのエントランス、下左側からのエントランス、2か所から見てきました。双方、途中からは貸し切りで人の動きと準備などが有り通行不可だった為、ホール内にも勿論入る事が出来ず、主に外観とエントランス部からの内観を見せて頂くにとどめました。

マスなコンクリがホール側との隔壁として存在し、アクセントとなる階段がタクト状に。立入禁止区域は波状のメッシュパーティションで区分けし、そのメッシュと波あたりが妹島さんっぽいかな？、とか妹島ありきのモノ探しみたいな感じになるよな、どうしても、と自分で思いつつ・・・
妹島さん意匠設計だから見に来たんだから、アタリマエか、と自問自答

芝浦（田町駅から徒歩5－6分の交差点からもうちょっと右側の3差路、肉のハナマサや吉野家あたり）は施主さんが妹島さんに作ってもらった建屋で、なかなかなものがあります。矢張り施主が思い切って建築家にお願いをする、任せる、で印象に残る建物は生まれるんだろうな、と思います。

大倉山（東急東横線）駅前から徒歩5分にもガスト裏手と分かり難い場所に妹島作品が有ります。集合住宅風の幾つもの店舗が面白く合体したコンクリ造で解放されており、下を通って自転車置き場に向かえるもの。町の風景に馴染み生活の場や食べ物屋として自然体で在る。

但し、ここは公共の場。人を集めて主として演奏や歌を披露する場。
凝縮されたある程度限りのあるハコや空間と、こうした公共の場は丸違いであり、建築家にとってはチャレンジグだったろうな、と感じました。
全体のコンセプトをどう貫くか、とか
どの角度からどう見せるか（魅せるか）
難しいですよね・・・

事前準備中で駐車している車両も多く、難しかったですが入口外看板と建屋を同時に撮りたい、としてここに残します。

バックヤード側ですね、右側のハコが大道具入れたりする搬入口
水平垂直の既成概念と奥側の意匠設計、全体の色味など、季節を変えて積雪期などに来るとまた印象もガラっと変わるかもしれません

２０１８年竣工、５周年記念だそうで、まだまだ若い建物です

コンクリのカタマリが押してきます
この右手が大道具搬入口になります

残念ながら、ホール内には立ち入れませんでしたが、いわゆる「ワインヤード型」です。確かベルリンも同様だったはずです。
ソト・外・ウチ、と言う感じでコンサートホール（ウチ）と外遊回廊（外）、更に敷地と言うソトを意識させられる点では考え方の基礎に金沢21世紀などからも感じられるコンセプトと一緒なのかな・・・とかどうしても、妹島さんに絡む何かに結びつけようとする気持ちを振り払いながら歩き回ります。

この感じは、ベルリンフィルと、馬の頭の大きなモニュメントが建屋の中に横たわっているフランク・ゲイリー（或いはフランス・パリのルイ・ヴィトン、更に或いはビルバオ・・・米国内のディズニー等々）がやはり想起されます。

その中で、特に僕の印象に最も素敵に思えたのはベルリンのDZ銀行エントランスだったと記憶していますが、馬の首が横たわった格好で在る超大型モニュメント。それが室内にドンとある風景。とても感動しました。もはや金属彫像物。それもゲイリーです。ずっとずっと、あそこに在って欲しい巨大な金属彫像物です。

ベルリンフィルの建屋をベルリンで歩いて行き、見た時の感動はとても素晴らしいものでした。木の色調でやさしいと感じのは、ホロコースト記念公園からの後で見た事も、結果的に良かったのだと思います。（ベルリンフィル、はゲイリーではありませんが、形状の近似性からここに挙げています。カラヤン・サーカスと言われた建屋で現存しています）
または、パリのルイ・ヴィトンの素晴らしさ、多分、スペイン・ビルバオもアメリカ・ウォルトディズニーも心を動かされるよなあ・・・とこの建物を見ながら思うのは変な感想でしょう。

屋根は金属板で太陽光が強いと輝くのではないかと思われますがあいにくの曇天で空の色と似た感じでした
金属板の天蓋、もベルリンフィル、或いは多くのゲイリー、或いは槇文彦などが多用してきた屋根葺き材なのだと思われます。鈍い銀色に光る天蓋は季節によってはキラリと光を放ちますし、凍てつく冬はどうでしょうか、など想像が膨らみます

イベントで外周も難しかったのと、途中から雨、その後・・・豪雨・・・で参りました！
一旦降雨になると土砂降り、且つ風も強くなり途方にくれました

降雪地帯（雪の降る街）ですから、矢張り屋根は張り出しているのでしょう
また風除室はマストアイテムで、投宿したホテルなども片側はワンタッチ自動扉となっています。風が吹き始めると本当に横風になるのが鶴岡なのかな、と言う印象です

主幹道路動線はフリーエリア、市民が集えるスペースになっています

このあたりがちょっと妹島さんかな？
どうしても、その人の前の作品と結びつけて、ああやっぱり〇〇さんだ、みたいにしたくなっちゃうんでしょうね、芝浦を想起しました。

ガツンと来る建屋内、外周内廊下

色々とガチャガチャ、線や面が重なっているように感じながら見ていました

ここの切り取りは、ちょっと良い感じです、二階には登れませんでした。（事務室に行きましたが、今日は貸し切りの為、内側部分はNGなんです、との事でした。
下の一般エリアと内側を隔てるメッシュの隔壁（移動可能）はパーティションなんですが、「軽やか」ですね。

入口は両端にあり、反対側の入り口から入り直してみました

こちらは大道具を入れたりする搬入口や駐車場がある側です
外廊下側のみの見学でしたので、あまり細部を見入る事が出来ずその場を後にしました