2022/10/13 - 2022/10/13
186位(同エリア320件中)
naoさん
300年の歴史と伝統を誇る「岸和田だんじり祭」で全国にその名が知られる大阪府岸和田市は、岸和田藩6万石の城下町だった所で、府道204号線の直ぐ西側には、紀州の殿様が参勤交代の際に往来した紀州街道沿が通っています。
「岸和田だんじり祭」は、元禄16年(1703年)に当時の岸和田藩主岡部長泰が、京都伏見稲荷を岸和田城内三の丸に勧請し、五穀豊穣を祈願して行った稲荷祭が始まりと伝えられています。
紀州街道は、現在の大阪市中央区高麗橋を起点として、堺市以南の和泉地方を縦断して和歌山へ至る延長約50㎞の道で、紀州徳川家の公用道としてのみならず、多くの旅人や商人が行き来した重要な街道でした。
紀州街道沿いに位置する本町地区には、今も本瓦葺の屋根に虫籠窓や千本格子をしつらえた町家が残っていて、城下町時代を支えた往時の風情を漂わせる町並みを見ることができます。
そんな本町地区を市内有数の歴史的まちなみ景観の象徴と位置づける岸和田市は、平成5年に「歴史的まちなみ保全地区」に指定するとともに、特に歴史的に趣のある建物35件を「歴史的景観建築物」としても指定しています。
これに基づき、市民共有の財産である伝統的建築物を保全・修景し、岸和田らしい町並みとして保存していくために「本町地区保全計画」を策定し、保全に関する基準作りや住民への助成措置などを実施しています。
また、このような岸和田市のまちなみ保全施策に寄与することを目的に、平成6年に地元住民によって「本町のまちづくりを考える会」が設立され、貴重な城下町の歴史を未来へつなげるために、積極的な活動が行われています。
私も、泉州地方の秋祭りの先陣を切って開催される「岸和田だんじり祭」が大好きで、子供のころからだんじりの後ろをついて町中を歩き廻っていましたが、これほどの町並みが残っていようとは、夢にも思いませんでした。
まあ、その頃は鉦や太鼓を打ち鳴らすだんじりの祭囃子を聞くと血が騒ぐ年ごろで、町並みには目もくれなかったせいもあるんでしょうがね。
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岸和田へやって来ました。
紀州街道の海側に古い町家が残る町並みがあるので、まずはそちらを歩きます。
どこか洋風建築を思わせる建物は、港湾関連の貨物を取扱う会社です。 -
写真では判りにくいですが、こちらの町家の出窓の屋根は板葺になっています。
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岸和田の名前を広く全国に知らしめている「だんじり祭」。
こちらはその「だんじり」の収蔵庫です。 -
2階の窓に木製の手すりを付けた町家です。
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虫籠窓のある厨子2階建ての町家です。
格子の前にめぐらされた竹垣が味のある外観を演出しています。 -
犬矢来や外格子をめぐらせた町家です。
玄関戸の斜め格子がアクセントになっています。 -
小さな虫籠窓ですが、その存在感は多大です。
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珍しい形の卯建をあげた町家です。
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虫籠窓と格子窓を使い分けている町家です。
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こちらも「だんじり」の収蔵庫です。
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晒葺きの屋根と庇を二重に架けた門の銅板が、落ち着いた緑青色に染まっています。
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木目が素晴らしい雨戸の付いた町家です。
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倉庫と思われる建物です。
腰壁には銅板が貼られています。 -
土塀をめぐらせたお屋敷です。
主屋の屋根は、途中で勾配を変えて外観に変化を持たせておられます。 -
格子にバリエーションを付けておられる町家です。
本瓦葺きの下屋も見事にマッチしています。 -
真新しい犬矢来がまばゆいばかりです。
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虫籠窓のある厨子2階建ての町家です。
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こちらも「だんじり」の収蔵庫です。
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建物の角を隅切りしている町家です。
では、ここから紀州街道へ移動します。 -
紀州街道にやって来ました。
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紀州街道は現在の大阪市中央区高麗橋を起点として、堺市以南の和泉地方を縦断して和歌山へ至る延長約50㎞の街道で、紀州の殿様が参勤交代の際に往来したのみならず、多くの旅人や商人も行き来した重要な道でした。
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今も本瓦葺の屋根に虫籠窓や千本格子をしつらえた町家が残る紀州街道には、城下町時代を支えた往時の風情を漂わせる町並みを見ることができます。
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風情云々と言っている矢先に、レトロな洋風建築が現れました。
これは、元々の和風建物にこの部分を増築したもののようです。 -
防火用の袖壁のある町家です。
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瓜型の虫籠窓をしつらえた厨子2階建ての町家です。
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名栗加工の外格子をめぐらせた町家にも、瓜型の虫籠窓が見えます。
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その町家の横に何やら石標が立っています。
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浄土宗天性寺の参道入口に立つ「たこちそう」と刻まれた石標です。
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天正年間に岸和田城が紀州の根来衆と雑賀衆に攻め込まれた際、多勢に無勢であわや落城寸前という時に、地蔵菩薩の化身とされる白法師と無数の蛸が現れ敵を退却させたという伝承から、天性寺では地蔵菩薩(蛸地蔵)を御本尊として、日本最大級とされる地蔵堂に祀っておられます。
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掲げられた表札から判るように、腰壁に石材を使っておられるのも納得です。
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こちらの町家は、厄払いの鍾馗様がこっそりたたずんでおられます。
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出幅の違う出格子をしつらえた町家です。
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こちらの町家は、格子の奥に丸窓が見えます。
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この辺りから北側の約600mが「歴史的まちなみ保全地区」に指定されている本町地区になります。
ここ本町地区の住民の皆さんによって設立された「本町のまちづくりを考える会」では、貴重な城下町の歴史を未来へつなげるため、様々な活動を行っておられます。 -
岸和田市の雨水枡の蓋。
岸和田城がデザインされています。 -
こちらの町家は、玄関脇の出っ張り部分に各種メーター類や郵便受けが隠されていますが、これは「本町地区保全計画」に基づくものです。
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目隠し効果抜群の、石張りの塀をしつらえておられる町家です。
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塀内に植えられた台杉。
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一部の町家に案内板が設置されているのが見えますが、これは岸和田市が指定した「歴史的景観建築物」に関するもので、「本町のまちづくりを考える会」の活動の一環として実施しておられます。
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立派な持ち送りで本瓦葺きの下屋を支えるこちらの町家は酒屋さんのようです。
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こちらの町家は、メーターやエアコンの室外機に覆いをかけて町並みの景観形成に配慮されていますが、これも「本町地区保全計画」に基づくものです。
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「本町地区保全計画」に基づいて新しく建替えられたと思われる右側の町家は、町並みの景観に無理なく溶け込んでいます。
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こちらの町家も、エアコンの室外に覆いをかけておられます。
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緩やかに曲がる紀州街道の町並み。
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かぐわしい木の香が漂ってくるような町家です。
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戸袋の厚さから考えると、開口部全面を雨戸で閉められるようになっているお店です。
なぜかこの日は真ん中だけ閉めておられますが・・・。 -
古い農機具や石臼を飾っておられる町家です。
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岸和田市の汚水枡の蓋。
デザインは雨水桝と同じです。 -
こちらは「だんじり」の収蔵庫です。
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こちらは、紀州街道の一里塚跡です。
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一里塚跡に鎮座する弁財天。
これは、元々一里塚に植えられていた松の下にあった小祠を、天保7年(1836年)に弁財天として社殿に祀ったものとされています。 -
こちらの町家は、広い間隔の外格子をめぐらせておられます。
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通り庭のある町家です。
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外格子の代わりに、背の低い板塀をめぐらせた町家です。
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建物全面にガラス戸を入れた町家です。
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2方向連続して出格子窓を回した町家です。
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紀州街道の町並みです。
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この辺りには、だんじりのコマ(車輪)を案内板の基礎に再利用した町家が並んでいます。
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自然石の手水鉢を玄関先に飾っておられる町家です。
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瓜型の虫籠窓のある町家です。
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こちらは、まちづくり活動の拠点として平成9年に開館した岸和田市まちづくりの館です。
「本町のまちづくりを考える会」により運営されていて、地元住民の集会施設や観光客の休憩所として活用されています。 -
右側の賢申堂さんは、だんじりや寺社の彫刻を手掛けておられる彫り師さんの工房です。
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銅板の樋をかけた町家です。
緑青の吹いた銅板の樋は、最近めっきり見る機会が少なくなりました。 -
本瓦葺きが美しい町家です。
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駒留をめぐらせた町家です。
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虫籠窓に変化を持たせた町家です。
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白漆喰塗の壁が眩いばかりの町家です。
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虫籠窓の竪桟の一部に鏝細工が施されています。
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こちらの町家は所々改修工事をされていますが、かつての面影は残っています。
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遠くに見える石垣は岸和田城のものです。
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目立たない程度に太陽光パネルを設置している町家です。
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こちらは提灯屋さんです。
だんじり祭りに提灯は欠かせませんからね。 -
こちらの町家は、左手の袖壁にメーター類が隠れています。
さて、この辺りが岸和田市の「歴史的まちなみ保全地区」に指定されている本町地区の北端になります。 -
珍しい虫籠窓のある町家も、見事な本瓦葺きの屋根が架かっています。
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市内各所にある曲がり角が、だんじり祭りの見せ場の一つ「やりまわし」の舞台になります。
このような狭いクランク状の道を、やりまわしをしながらだんじりが疾走するんですから、人気を呼ぶのもうなずけます。 -
花崗岩と赤い煉瓦調タイルが印象的な洋風建築は、大正9年(1920年)に建てられた旧四十三銀行岸和田支店だった建物で、今も成協信用組合の岸和田支店として使われています。
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白い玄関灯が目を引く町家です。
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半円のアーチが並んだ洋風建築は、昭和10年(1935年)に建てられた旧岸和田貯蓄銀行だった建物で、昭和30年(1955年)頃から岸和田中央会館として利用されてきました。
現在はかじやまち商店街の事務所兼店舗として使われています。 -
湾曲した珍しい卯建の上がるこちらの町屋は、ギャラリーとして使われています。
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こちらは昭和8年(1933年)に建てられた旧和泉銀行本店で、多くの金融機関が入店しましたが、平成16年(2004年)に銀行としての役割を終えました。
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こちらは、「元朝(がんちょう)」や「篁(たかむら)」などの銘柄の日本酒を醸造する寺田酒造さんです。
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こちらも元酒蔵だったと思われる建物です。
今は駐車場として使われているようですが、詳細は不明です。 -
では、とても間口の広いこちらの町家を最後に、岸和田散歩を終えることにします。
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