３年振り開催のイケフェス大阪　（生きた建築ミュージアムフェスティバル）２０２２　一日目

2022/10/29 - 2022/10/29

大阪の生きた建築ミュージアムフェスティバル（イケフェス）が、３年ぶりに

実施されました。（コロナ禍のため過去２年はオンライン開催）

イケフェスは、最初の頃は戦前に建てられたレトロ建築がメインでしたが、

最近では、戦後高度経済成長期のものや、ごく最近できた高層ビルなど、

参加建物も多種多彩になってきました。

エリア 心斎橋・淀屋橋(大阪)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 徒歩

まず最初に訪れたのは土佐堀川のほとりに佇む「北浜レトロビルヂング」です。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

イングリッシュティーハウス「北浜レトロ」として使われている建物です。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

元々は同じようなレンガの建物が土佐堀沿いに並んでいたのですが、時代の流れで他の建物はなくなってしまい、最後に残っていた建物を現在のオーナーさんが個人で買い取ったとか。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

今では行列必至の人気カフェになっています。

この日も、すでに多くのお客さんが並んでいました。
特に土日は混むようですね。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

ポットサービスの紅茶はもちろん、ケーキやサンドイッチもボリュームがあっておいしいですよ(^^♪

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

開店時間までの３０分間をイケフェスのために開放。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

お茶を飲みには何回か来たことがありますが、通常営業の時は他にもお客さんがいる

ので、写真を撮りにくいのですが、今日は気兼ねなく写真が撮れます。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

もっとも、見学のお客さんも多かったので、人が写りこまないように写真を撮るのは

それはそれで、けっこうたいへんでした。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

一階の店舗部分も写真を撮れたのがよかったです。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

一階の売店部分。

北浜レトロビルヂング 名所・史跡

次は、北浜ビルの２軒隣、ビルに挟まれて奇跡のように残った
北浜長屋にお邪魔しました。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

１９１２年に建てられたにこいちの長屋で、現在はカレー店とカフェになっています。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

今回はそのうち、カレー店の「オクシモロン北浜」さんが開店前に特別公開。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

広い窓からの眺めが最高！

土佐堀川と中之島のバラ園が見えます。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

外観からは全くの和風に見えますが、２階の天井を見ると洋風テイストになっているのが窺えます。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

窓も内側から見ると洋風ですね。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

入口の上部も三角破風の飾りがあって、これも洋風テイストですね。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

造り付けの戸棚。

オクシモロン 北浜 グルメ・レストラン

堺筋にある三井住友銀行中央支店・天満支店にやってきました。

土曜日ですが、特別開館していました。

三井住友銀行大阪中央支店 名所・史跡

イオニア式の柱が並ぶ典型的な銀行建築、

設計は曽爾中條設計事務所で、１９３６年の作品です。

元々は三井銀行として建てられたましたが、合併を経て現在は三井住友銀行となっています。

三井住友銀行大阪中央支店 名所・史跡

コリント式の柱や、細かい漆喰の装飾、ガラス天井、大理石
等、内部もとても豪華で三井銀行が商都大阪に力を入れて造った建物であることが
窺えます。
バブル期、バブル後に失われた戦前の銀行建築は多いですが、この建物は残って本当によかったです。
残念ながら内部の写真撮影は禁止でした。

三井住友銀行大阪中央支店 名所・史跡

庇部分が窓を貫通するユニークなデザインの小川香料株式会社大阪支店の建物は、１９３０年の建築。
最近改築を行い、増築されていた最上階部分を撤去、一階部分もリノベーションされ、二つあった入口も今はひとつになっています。
いずれにしてもこの社屋を大切に使っておられるのが伝わってきます。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

アールデコ調のデザイン。
内部見学ができるのは初めて。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

以前の入り口の上部に取り付けられていたステンドグラスが今は玄関ホールに飾られています。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

ステンドグラスの保護を考えてのことだそうです。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

公開は一階エントランスホールと階段ホールのみですが、以前のステンドグラスがはめ込まれていた入口は場所的に、この階段につながる入口だったと思われます。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

階段はシンプルです。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

階段ホールの床はなかなか凝ったタイルですね。

小川香料大阪支店社屋 （小川香料ビル） 名所・史跡

薬の町、道修町にやってきました。

まずは、イケフェス参加の武田薬品旧本社ビルへ。現在は武田科学振興財団の建物として使われています。

武田科学振興財団杏雨書屋 名所・史跡

茶色い落ち着いた風合いのタイル張りに一階部分にのみ装飾があります。

昭和３年の建物で、設計者は京都府庁などの松室重光です。

現在はオリジナルの建物からかなり増築された形になっています。

武田科学振興財団杏雨書屋 名所・史跡

杏雨書屋という本草医書を中心とする図書資料館もあり、常設展・特別展示会は一般の人でも無料で観覧することができます。
今回の特別展示は、仏典などの写本の展示で、素人には難解でした。薬関係以外の収集品もあるのだと思いました。
常設展は「流行り病を乗り越えて」と言うテーマで、こちらは浮世絵などの展示も多くてわかりやすかったです。解体新書も見ることができます。

武田科学振興財団杏雨書屋 名所・史跡

ガラス張りの新しくて美しいこのビルは田辺三菱製薬の社屋です。

イケフェス参加建物で、田辺三菱製薬資料館を休日特別公開。

田辺三菱製薬史料館 美術館・博物館

２階にある田辺三菱製薬資料館を見学しました。

現在の会社のルーツのひとつである田辺製薬の歴史がメインとなっていました。

田辺三菱製薬史料館 美術館・博物館

製薬会社も合併して、名前がどんどん変わっています。

住友ファーマは住友製薬と大日本製薬が合併してできた会社です。

社屋には大日本製薬時代の古い建物の一部が残されていました。

住友ファーマはイケフェス参加ではありませんが、一階がガラスになっていて、会社の歴史のボードや古い機械などを外から見れるようになっています。

こちらは塩野義製薬。

やはり古い建物の一部がモニュメント的に残されています。

こうやってみると道修町で戦前の古い建物として残っているのは結局武田薬品だけなんですね。

ただ、ビルの谷間に昔ながらの薬関係のこのような建物がところどころ残っています。

こんな日本家屋がならび、ところどころに洋風の建物が並ぶ、そんな景色が戦前の北浜や道修町の風景だったんでしょうね。

今はビルの谷間に、古い町屋やレトロビルが点在しています。

イケフェス参加の芝川ビルにやってきました。

芝川ビル 名所・史跡

古代マヤ文明のような文様が特徴的なユニークな建物ですが、

芝川ビル 名所・史跡

今回の見学のお目当てはこちら、「HANARE」

芝川ビルの和館で、現在改築中で、レストランになるそうです。

芝川ビル 名所・史跡

台風などでかなりダメージを受け取り壊しも検討されたそうですが、街中に残る木造

建築は希少ということで、改築・活用することになったそうです。

芝川ビル 名所・史跡

改装中の様子を見学することができました。

芝川ビル 名所・史跡

屋上テラスへ上がってみました。

芝川ビル 名所・史跡

向かいのビルに写りこむ芝川ビル。

芝川ビル 名所・史跡

レトロな芝川ビルと、新しい三菱UFJ銀行大阪ビル

お天気もよくて気持ちいい～。なんともいえぬ解放感！

芝川ビル 名所・史跡

三菱UFJ銀行大阪ビルの本館（左側）別館は空中通路でつながっています。

その三菱UFJ大阪ビル本館もイケフェス参加建物です。

イケフェスのインフォメーションセンターとして公開されていました。

といっても、一階はギャラリーラウンジとして普段から解放されており、地域の歴史や見どころの紹介や、絵画展示などを自由に利用・見学できるようになっています。

貨幣の展示もあります。

一階には銀行も入っていますが、かなりのスペースをこのように非営利的なことに使っているのには驚きました。

御堂筋に出てきました。

御堂筋イルミネーションが始まっています。夜になるときれいでしょうね。

御堂筋 名所・史跡

先ほどのUFJビルのように、御堂筋沿いも新しい高層ビルにどんどん建て替わて行ってますが、写真のように一昔前はビルの高さもそろっていて、それが淀屋橋、本町までの御堂筋の魅力でもあったんですが。

御堂筋 名所・史跡

１９６０年代、７０年代のビルも残ってほしいなーと思います。

御堂筋 名所・史跡

御堂筋沿いではありませんが、１９６２年建設の住友本社ビル（新住友ビルディング）はとてもいいビル。

横に連続に並ぶ窓がいいですね～。

前回までは抽選による内部見学ツアーがあったんですが、今回はイケフェスに参加してなくて残念。
もっとも、抽選によるガイドツアーはなかなか当たらないんですけどね。

金属を多用した一階部分も今ではレトロフューチャー。

淀屋橋を渡り中之島に向かいます。

淀屋橋 名所・史跡

中之島と土佐堀川の風景。

土佐堀川 自然・景勝地

こども本の森中之島です。安藤忠雄さんの企画・設計で神戸にも同様の施設ができていました。
大人だけでは入れないのかな？

こちらはイケフェス参加ではありません。

こども本の森 中之島 美術館・博物館

中之島のバラ園で秋バラが咲いていたので寄ってみました。

中之島バラ園 公園・植物園

今日最初に見た北浜レトロビルと北浜長屋が土佐堀川越しに見えます。

秋薔薇。

中之島バラ園 公園・植物園

少し盛りは過ぎていたようですが、十分に楽しめました。

中之島バラ園 公園・植物園

中之島バラ園。

中之島バラ園 公園・植物園

なにわ橋（らいおん橋）を渡って、今日最後の見学場所・日本基督教団天満教会へ向かいます。

難波橋(ライオン橋) 名所・史跡

イケフェス参加建物の日本基督教団天満教会です。

設計は中村鎮と言う建築家で、L字型のコンクリートブロックを互いに組み合わせて積み上げ、そこにコンクリートを流し込む中村式鉄筋コンクリート建築で建てられています。
中村鎮式コンクリート製法で作られている建物はほかに、京都の本野精吾邸、福岡の警固教会などがあります。

２０２１年１１月に設置されたばかりのパイプオルガン。礼拝堂のアーチに合わせ、右肩下がりのちょっと変形した形になっています。

パイプオルガンの演奏も聴かせていただきました。

普通、パイプオルガンは聖堂の後ろの２階部分い設置されているようなイメージがありますが、二階では重さの耐えられないということで、現在の位置に設置されたということです。

昭和３年竣工。

礼拝堂内もとてもシンプルな美しさです。

何度か改築が行われていますが、礼拝堂の内部はほとんどかわっていないとのこと。
天井のアーチに穴が開いているのは音響を考慮してことだそうです。