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 シラーズ郊外にある観光地といえば、まず最初に挙げられるのは、イランで一番最初に世界遺産に登録されたペルセポリスですが、そこから車でわずか5分のところにあるナグシェロスタムは、世界遺産にはまだ手が届いていないものの、その壮大さは、訪れた誰も驚きの声を上げるほどです。<br /> ナグシェロスタムとはペルシャ語で、ロスタムの肖像、という意味があります。ロスタムとはイラン神話の勇者であり悲劇のヒーローでもあります。どことなく日本神話のヒーローであるヤマトタケルに似ているような気がします。<br /> <br /> 日本のゴールデンウィーク期間、イランも連休が続き、イラン国内、久しぶりに観光客でにぎわっていました。<br /><br />  

ペルセポリスから車で5分、アケメネス朝4代の王が眠る壮大な墓とササーン朝ペルシャのレリーフが目を奪う

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2022/05/05 - 2022/05/05

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welcometoiranさん

 シラーズ郊外にある観光地といえば、まず最初に挙げられるのは、イランで一番最初に世界遺産に登録されたペルセポリスですが、そこから車でわずか5分のところにあるナグシェロスタムは、世界遺産にはまだ手が届いていないものの、その壮大さは、訪れた誰も驚きの声を上げるほどです。
 ナグシェロスタムとはペルシャ語で、ロスタムの肖像、という意味があります。ロスタムとはイラン神話の勇者であり悲劇のヒーローでもあります。どことなく日本神話のヒーローであるヤマトタケルに似ているような気がします。
 
 日本のゴールデンウィーク期間、イランも連休が続き、イラン国内、久しぶりに観光客でにぎわっていました。

  

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通
3.0
交通手段
タクシー

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  •  チケット売り場から敷地内に入り、階段を上ると、今から2500年前のアケメネス朝ペルシャ時代、山肌を掘って造られた王墓が見えてきます。<br /> ここに眠っている王は、ペルセポリスを最初に造り始めたダリオロス1世とその息子、孫、ひ孫の4代の王です。<br /> 当時、この辺りはペルシャ湾からバグダードへ続く王道が通っており、王朝の威厳を見せるには格好の場所だったそうです。<br /><br /> 

     チケット売り場から敷地内に入り、階段を上ると、今から2500年前のアケメネス朝ペルシャ時代、山肌を掘って造られた王墓が見えてきます。
     ここに眠っている王は、ペルセポリスを最初に造り始めたダリオロス1世とその息子、孫、ひ孫の4代の王です。
     当時、この辺りはペルシャ湾からバグダードへ続く王道が通っており、王朝の威厳を見せるには格好の場所だったそうです。

     

  •  正面に見えてきたのは、ダリオロス1世の墓です。ここにある4代の王の墓の外観の造りは、すべて同じです。死後もペルセポリスのような宮殿で過ごせるように、ということでペルセポリスを似せた柱の装飾が見られます。<br /> 十字架様式の上部には、葬られている王の姿やゾロアスター教の大きな羽根を持つ天使像などが描かれています。<br /> 他の3つの墓との違って、この墓にはダリオロス王の姿の後ろや柱の周りに楔形文字が掘られていることです。そこには、当時の王朝の友好国名が掘られており、また、民衆に対しては清く正しく生きることを諭しているそうです。

     正面に見えてきたのは、ダリオロス1世の墓です。ここにある4代の王の墓の外観の造りは、すべて同じです。死後もペルセポリスのような宮殿で過ごせるように、ということでペルセポリスを似せた柱の装飾が見られます。
     十字架様式の上部には、葬られている王の姿やゾロアスター教の大きな羽根を持つ天使像などが描かれています。
     他の3つの墓との違って、この墓にはダリオロス王の姿の後ろや柱の周りに楔形文字が掘られていることです。そこには、当時の王朝の友好国名が掘られており、また、民衆に対しては清く正しく生きることを諭しているそうです。

  •  これら4代の墓の下は、アケメネス朝滅亡から数えて約500年後にイランを統治したササーン朝ペルシャのレリーフが描かれています。

     これら4代の墓の下は、アケメネス朝滅亡から数えて約500年後にイランを統治したササーン朝ペルシャのレリーフが描かれています。

  •  サーサン朝ペルシャの始祖、アルデシールの像です。ササーン朝は今から約1800年ほど前に興り、イスラム教によって倒されるまで約400年間イランを統治していました。<br /> 左側の馬に乗っているのが、アルデシール王、右側が天使像で、神から遣わされた王の印・輪を王に渡している様子を表しています。<br /> 天使の乗っている馬の足元には悪魔が踏みつけられており、王の馬の足元には征服した前の王朝最後の王が踏みつけられています。<br /> 王の後ろの付き人は、長い棒で王の頭のハエを払っているのが面白いです。

     サーサン朝ペルシャの始祖、アルデシールの像です。ササーン朝は今から約1800年ほど前に興り、イスラム教によって倒されるまで約400年間イランを統治していました。
     左側の馬に乗っているのが、アルデシール王、右側が天使像で、神から遣わされた王の印・輪を王に渡している様子を表しています。
     天使の乗っている馬の足元には悪魔が踏みつけられており、王の馬の足元には征服した前の王朝最後の王が踏みつけられています。
     王の後ろの付き人は、長い棒で王の頭のハエを払っているのが面白いです。

  •  ササーン朝第2代目王、シャープール1世が東ローマ帝国と戦い、勝利とともに東ローマ帝国の皇帝と将軍を捕虜に連れてきた様子を表すレリーフです。<br /> 残念ながら修復のために足場が組まれており、はっきり見えません。<br /> 大きな風船のような王冠をかぶって馬に乗っているのがシャープール1世です。馬の後ろ側には捕虜を連れてきたことが当時の文字で掘られています。<br /> このシャープールの勇ましい図を見て、昔のイラン人はロスタムが悪魔を退治している姿と捉え、ここをナグシェロスタムと呼ぶようになったそうです。

     ササーン朝第2代目王、シャープール1世が東ローマ帝国と戦い、勝利とともに東ローマ帝国の皇帝と将軍を捕虜に連れてきた様子を表すレリーフです。
     残念ながら修復のために足場が組まれており、はっきり見えません。
     大きな風船のような王冠をかぶって馬に乗っているのがシャープール1世です。馬の後ろ側には捕虜を連れてきたことが当時の文字で掘られています。
     このシャープールの勇ましい図を見て、昔のイラン人はロスタムが悪魔を退治している姿と捉え、ここをナグシェロスタムと呼ぶようになったそうです。

  •  ササーン朝ペルシャ時代に入ると、インドからの影響で水の女神が登場してきます。これは大きな風船のような王冠をかぶっている王が一番右側に立つ女神アナヒーターから王の印である輪を受け取っている、戴冠式を表しているといわれています。

     ササーン朝ペルシャ時代に入ると、インドからの影響で水の女神が登場してきます。これは大きな風船のような王冠をかぶっている王が一番右側に立つ女神アナヒーターから王の印である輪を受け取っている、戴冠式を表しているといわれています。

  •  こちらも戴冠式に出向くササーン朝の王とその侍従者たちのレリーフですが、一番右側に掘られている、日本の昔話に出てくるお爺さんのような帽子をかぶっている像は、今から約4000年ほど前にペルシャ湾岸に興ったエラム王朝のものだといわれています。もともとエラム時代のものがあったところに、ササーン朝時代に造り替えられたといわれています。1体だけでもエラム時代のものが残っているのは幸運です。

     こちらも戴冠式に出向くササーン朝の王とその侍従者たちのレリーフですが、一番右側に掘られている、日本の昔話に出てくるお爺さんのような帽子をかぶっている像は、今から約4000年ほど前にペルシャ湾岸に興ったエラム王朝のものだといわれています。もともとエラム時代のものがあったところに、ササーン朝時代に造り替えられたといわれています。1体だけでもエラム時代のものが残っているのは幸運です。

  •  何も掘られていない空間です。イスラム教が攻めてきたため、レリーフを掘る余裕がなくそのままになってしまったといわれています。

     何も掘られていない空間です。イスラム教が攻めてきたため、レリーフを掘る余裕がなくそのままになってしまったといわれています。

  •  以前は、ゾロアスター教の火を祀る建物だといわれていましたが、小さな入り口以外、部屋の中には換気する窓も煙突のようなものもないため、王族の財宝や文字が掘られた粘土板などが収められたところではないかといわれています。<br /> 建物の後ろの方に人の姿が見えますが、この建物の大きさがよくわかると思います。また、造成当時の地面の高さと現在の地面の高さを比べると、2500年の間にどれだけ土が堆積されてきたかがわかります。

    以前は、ゾロアスター教の火を祀る建物だといわれていましたが、小さな入り口以外、部屋の中には換気する窓も煙突のようなものもないため、王族の財宝や文字が掘られた粘土板などが収められたところではないかといわれています。
     建物の後ろの方に人の姿が見えますが、この建物の大きさがよくわかると思います。また、造成当時の地面の高さと現在の地面の高さを比べると、2500年の間にどれだけ土が堆積されてきたかがわかります。

  •  この日は曇り空で雨も時折パラついていました。せっかくのペルシャンブルーの空は見えなかったのは残念でしたが、照り付ける太陽がなかった分、観光しやすかったと思います。<br /> ペルセポリスを観光する際には、ぜひ、ここへも立ち寄ってみてくださればうれしいです。

     この日は曇り空で雨も時折パラついていました。せっかくのペルシャンブルーの空は見えなかったのは残念でしたが、照り付ける太陽がなかった分、観光しやすかったと思います。
     ペルセポリスを観光する際には、ぜひ、ここへも立ち寄ってみてくださればうれしいです。

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