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四半世紀ぶりのアリゾナドライブ <br /><br />Travel(旅)とTrouble(トラブル)が語源的にルーツを同じくするものかは知るよしもないけれど、私たちのアリゾナ旅はトラブルからスタートした。<br />ロサンゼルスからラスベガスに向かう国内線飛行機が、なんと旅客をシートに座らせたあとで機体故障が判明し、飛行機丸ごと全取っ替えに。結局1時間遅れの出発でラスベガスに着いたのは、日付が変わった深夜0時過ぎとなった。<br />深夜の到着でクタクタのところ、向かう先はホテルではなくまずは空港近くのハーツオフィス。ここでトヨタカローラをピックアップする。ハーツスタッフはなんやかんやと事故や故障の場面をまくしたてて任意保険の加入を勧めてもくる。全部断ったら、ラスベガスのカジノで勝つより無事故で帰ってくる方が難しい、とのことをのたまう。まあ、確かに賭けのようなものだけど。<br /><br />「ゼロゼロ カッコ ウセツコウサテンセッキンチュウ カッコ」 <br />カローラには日本語カーナビがついているというので安心していたら、音声ガイドが放つ言葉はこんな感じでほとんど意味不明。これを標準日本語に訳せば、ようするに右折交差点が近づいていますよ、ということなのだろう。ならば「ゼロゼロ カッコ」は余計だけれど。<br />飛行機の中でラスベガス市内の地図をチェックし、空港から宿泊先(ストラトスフィアホテル)までは大通り(ラスベガスブールバード)を真っ直ぐ北上していけば良いことが頭の中にインプットされている。なのにこのカーナビはわざわざインターステートハイウェイ15に乗れと言う。のっけから逆らうのも気が引けたのでここはひとつ言うことを聞いてあげて、遠回りはしたもののなんとか深夜1時半過ぎにホテルにチェックイン。蜃気楼のように眩い街ラスベガスは本当に遠かった。<br /><br />次の日、朝マックをして7時にホテル出発。アメリカドライブ最初の目的地はザイオン国立公園だ。<br />ザイオン国立公園に向かうインターステートハイウェイ15へのExit41はホテルから10分ほどの距離のはずなのに、カーナビの「ゼロゼロ カッコ コウサテンヲヒダリニマガリ…」と言うその方向は、明らかExit41とは逆方向。う~ん、ここは自分自身の方向感覚を信じるべきかカーナビを信じるか、究極の二択を迫られることに。結局ここでもカーナビを信じた結果、カローラはどんどんインターステートハイウェイから遠ざかるばかり。えーい、こうなったらとことんカーナビを信じるしかない。信じるものは救われるはずだ。<br />そう開き直ったところで、わざわざ日本から持参したCDをカーオーディオにセットする。曲はイーグルスの「Take it easy」。そう、ここは気楽にいくしかない。<br />それにしてもこのドライブ中、「Take it easy」を何度聞いたことだろうか。 <br /><br />そうこうしているうちに、ようやくインターステートハイウェイ15の案外看板が目に入ってくる。<br />ハイウェイExitの手前で、「あれ? ETC入ってたかな?」と一瞬思ったけれど、アメリカのハイウェイは文字通りのフリーウェイ。お代はタダなのだ。今回のドライブでは総走行距離が1800kmを超えたけれど、日本でそれだけの距離を走ったら高速道路代はいくらかかるのだ、と意味もなく腹がたってもくる。<br /><br />インターステートハイウェイ15をExit16で降り、しばらくは州道9号線を走り無事ザイオン国立公園に到着。ここまでは262km3時間半のドライブだ。<br />ザイオン国立公園は日本で言えばさしずめ上高地のようなところか。公園の中までは自家用車では進めず、途中からシャトルバスを利用するようだ。<br />まずは国立公園入口で車1台分30ドルの入園料を支払う。この入園料は7日間有効とのことだ。でも私たちは公園内に滞在する時間はせいぜい3時間ほど。3時間でも7日間でも同じ料金なんてちょっと納得できないけれど、アメリカ的感覚では国立公園に3時間しか滞在しない方が不自然なのだ。<br />10月のこの時期、ことさらに観光シーズンではないのではと甘くみていたところ、公園内の公共駐車場はどこも一杯。これまたシーズン中の上高地のようだ。<br />困ったぞ。しかしガイドブックの中のザイオン国立公園のページを開くと「公共駐車場が一杯の場合は3分ほど奥へ走って博物館の駐車場を利用しよう」と書かれているではないか。これを頼りに博物館に向かうと、丁度車1台分のスペースを発見。たまにはガイドブックも役をするようだ。<br />サイオン国立公園では、「これぞザイオン」といわれる「司教の宮殿」までシャトルバスで行き山岳風景を満喫することができた。<br />お腹もすいてきたのでシャトルバスで一旦ビジターセンターに戻ることにする。センターに着くと、‘旅の醍醐味はショッピングにありき’との信念を持つカミさんは早速センター内のお土産屋に吸収される。土地柄様々なインディアングッズが売られている。その中で目にとまったインディアン織物があったので手にとってみると、なんと「Made in India」の文字が。インド製だって? でも確かにインド人は英語でいえばインディアン。つまりMade in Indiaはインディアンがつくったものには違いないのだ。<br /><br />ザイオン国立公園をあとにしてしばらくのドライブは、緑もある山岳的な景観を楽しむことが出来る。荒涼とした荒野然とした景色が続くグランドサークル内では珍しいことだ。ここからは、この日の最終目的地ペイジへと向かうことに。<br />約170kmを走るとやがて湖(レイクパウウェル)が見えてきてグレンキャニオンダムに到着。ここまでくればホースシューベントまではあとわずかだ。<br />ホースシューベントは、手すりもなにもない自然のままの景観が残されている。しかも足元はすべりやすいナバホサンドストーン。人が転落しても全然不思議ではない。もちろん転落すれば命はない。日本では観光地で人が転落死すれば確実に管轄する行政が責任を追求されることになるけれど、ここでは自分の命の責任は自分で持てということのようだ。大人の国である。<br />タコスの夕食をとり、一旦ホテルで休憩。そして夜遅く、天然のプラネタリウムとも言われるアリゾナの星空観測へ。天の川がそれはそれは綺麗なこと。アリゾナには有名な巨大隕石のクレーターがあるけれど、宇宙から何が降ってきても不思議ではないような透明感溢れる星空は生涯忘れることはないだろう。<br /><br />滞在二日目は、ホテルから15分ほどのアンテロープキャニオンに朝一で向かう。アッパーとロウワーとふたつのアンテロープキャニオンがあるようだけど、御一行様が少なく探検ムードも大きいということでロウワーに行くことにする。<br />確かにここは地下にある秘密基地のようにワクワクするところだ。写真の心得が全くない私には、そんな迷宮的空間を映し出せるすべもないのが残念。でも網膜にはその景観をしっかりと刻み込んではきたけれど。<br /><br />アンテロープキャニオンを出ると、ここからは今回の旅のハイライトでもあるモニュメントバレーが待っている。長年離れていた恋人に逢うようなトキメキの心境だ。<br />実はおよそ四半世紀前、その時は独身最後の旅として私はアリゾナの荒野をドライブし、そのハイライトがまさにモニュメントバレーだったのだ。その体験記は「地球の歩き方・アメリカドライブ(1990年発行)」に「サラリーマンのアリゾナ日記~ジョンフォードの世界を訪ねて」のタイトルで掲載されている。そして今回の旅は、助手席にカミさんが陣取っての再訪というわけだ。<br />四半世紀の間にアリゾナがどう変わったのか、否、アリゾナは変わらずとも自分自身がどう変わったのか、そんな内省的な旅でもあったのだけれど、結論からいえばアリゾナも変わっていたし、自分自身もまた変わったということだ。変わらないのは青い空と赤褐色の大地と相変わらず肥満の人が多くいることだけだ。<br />カローラは州道98号線から国道160号線に入り、さらに進むとカイエンタの街に辿り着く。まずやるべきはガソリンの補給だ。<br />ガソリンを注入していると、ふと映画のシーンが脳裏にフラッシュバックされてくる。<br />「イージーライダー」や「荒野の決闘」だ。いずれもこれから通るエルキャピタン(酋長の岩)がバックに大きく写し出されていたその場面だ。<br />邦題「荒野の決闘」の原題は「いとしのクレメンタイン」。そこでは主人公とクレメンタインの別れのラストシーンでエルキャピタンが印象的に背後にあった。<br />今度の旅では、エルキャピタンをバックにしてとなりにいるにはクレメンタインでは なくカミさんだったけれど、それについてはコメントを控えておこう。<br />やがて車は一瞬ユタ州に入り、そしてまたアリゾナ州へ。ユタ州とアリゾナ州では面倒くさいことに1時間の時差があるのだけど、州境を小刻みに跨ぐ時は電波時計はどちらの時を指すのだろう?<br />モニュメントバレーへのゲートを通過し、車をビジターセンターの駐車場へ進める。そこからの眺望は、よく映像などでも紹介されているお馴染みのものだ。私にとっては四半世紀ぶりの‘聖地’再訪だ。あの時は真冬の12月。朝8時のバレードライブ開放時刻を待ちながら、寒さに震えていたことを思い出す。<br />さあ、このあとはいよいよバレードライブ。トヨタカローラを蹴ってバレー内に突入だ。映画「駅馬車」の世界だ。カーオーディオからは、これまた日本から持参した西部劇テーマのCDが流れてくる。もちろん「駅馬車」や「黄色いリボン」だ。<br />そんなジョンウェイン気分にひたっていたら、となりではカミさんがほこりが凄いとブツブツ言いながらコンタクトをメガネに替えている。確かにここのサンドストーンは、ハンパでなくほこりっぽい。<br />ジョンフォードポイントまで進みそこからUターン。本当はさらにさらに奥まで進み、そのままナバホインディアンになってしまいたかったけれど、そうもいかない。再びビジターセンターに戻ることにする。<br />‘聖地巡礼’を果たしたあとは、この日の宿泊地であるフラッグスタッフへ。国道160号線から国道89号線を通リ計464kmを走破の果て、フラグスタッフに着いたのはすでに日も暮れた夜の7時過ぎとなった。この夜は地元の人達で賑わっていたローカルレストランへ。8オンスの肉料理が11ドル。大満足だ。しかし8オンスって何グラム? アメリカでは数字の単位がいちいち日本と違うので計算も面倒だ。1ガロン2.9ドルのガソリンは、リッター120円代の日本と比べてどのくらい安いのだ?<br /><br />滞在三日目の目玉はグランドサークル定番のグランドキャニオンだ。フラッグスタッフからグランドキャニオンまでは二つのルートがある。ここはインターステートハイウェイ40でウイリアムズまで向い、そこから州道64号線をひたすら北上するルートをとることにする。約130km、およそ1時間半ほどのドライブでグランドキャニオンに到着。真っ先に定番であるマーサーポイントへ向かう。<br />四半世紀前に投稿した「地球の歩き方・アメリカドライブ」では、「グランドキャニオンでは特に感激はなかった」とあっさりワンフレーズしか残していなかったことを思い出した。なのに今回は猛烈に感動している自分がいる。それは前回の旅では感動を伝える相手がそこにいなかった、ということなのかもしれない。その意味では夫婦ふたり旅もまたいい。<br />グランドキャニオンでのもうひとつの目的は絶滅危惧種のカリフォルニアコンドルの勇姿を観ることだ。そしてその願いは探すまでもなくすぐに叶えることできた。天空には悠然と2羽が舞っている。「コンドルは飛んでいく」のメロディーが脳裏をよぎる。コンドルたちは毎日この壮大な景色を天空から眺めることができ、羨ましい限りだ。セスナによるグランドキャニオン遊覧飛行なら、1時間200ドルもかかるというのに。ふと足元をみるとリスが走っている。コンドルはこれがお目当てなのだろうか?<br /><br />グランドキャニオンをあとにすると、早くもアメリカでの最後の宿泊地となるラスベガスに戻ることに。でもただ戻るのでは能がない。ということで、まずはセドナへ向かうこととする。セドナへは一旦フラッグスタッフを経由することとなるため、行きとは別ルートの州道180号線にのって向かうこととする。<br />フラッグスタッフからセドナへの州道89号線は、ここがアリゾナとは思えないような緑に覆われた森の中を進む。道に並行して日本の渓流を思わせる流れもある。<br />セドナという街はガイドブックによれば聖なるパワースポットであり、そこにあるボルテックスはエネルギーが噴出しているスピリチュアルな場所であり‘気’を感じることができる、と書いてある。う~ん そんなものか?<br />結局‘気’を感じることもなく、そのまま街中を1周して再びフラッグスタッフへ。<br />フラッグタッフからはインターステートハイウェイ15にのりひたすら西へ向かう。西日を真正面に受けてのラスベガスへの道のりだ。<br />と思ったら、ここでもまた寄り道が待っていた。ルート66の名残りを見学するためセリグマンへの立ち寄りだ。ルート66はアメリカのマザーロードともいうべき往年の幹線道路で、インターステートハイウェイの完成により引退を余儀なくされた道だ。今ではところどころにかつての名残であるショップやモーテルなどが並び、まるで映画のロケ地のようだ。ナットキングコールが唄う「ルート66」のメロディーが脳裏で鳴り響く。<br />セリグマンから再びインターステートハイウェイ15にのり今度こそラスベガスへ。西日が超眩しい。<br />ラスベガスには日も暮れた夜7時過ぎに到着。<br />かくして実質3日半というアメリカドライブも今夜限り。有り金全部はたいてカジノでひと勝負!と思ったけれど、持参した米ドルはすでにカミさんのショッピング代に消えていたようで、大勝負をするほどには手元になし。「賭け事の必勝法はやらないこと」という格言もあるとかないとか、まあ、やらなければ負けることもないのだ。<br /><br />帰国日となる最終日は、ラスベガスから30分ほどのレッドロックキャニオンまで最後のドライブへ。初日にこの光景を見たらおそらく大感激だったと思われるその風景も、散々ここまで見ていたものの延長のようで、なんとなく慣れてしまった感じ。しかしアリゾナの州鳥であるロードランナーをなんとネバダの地で間近に見ることができたのは想定外のことだった。ちょっと得した気分だ。かつ写真に収めることもでき超感激!と思ってデジカメのモニターを覗いてみたらこれがかなりのピンボケ。それもまた旅の良き思い出だ。<br /><br />トラブル含みのドライブ旅はこうして終わった。<br />私にとっては四半世紀ぶりの再訪となる旅も今度はカミさんと一緒。初日のハーツレンタカーオフィスで「ラスベガスのカジノで勝つより無事故で帰ってくる方が難しい」と言われたレンタカーによる運転も、どうやら賭けに勝つことができた。<br />オフィスに戻る際にも相変わらず「ゼロゼロ カッコ サセツガチカイ」と語るカーナビもまた、車返却の時には別れがたい思いに。<br /><br />サンキュー アリゾナ! 夫婦でまた四半世紀後にやって来るかも… <br />その時アリゾナはどう変わっているのだろう? そして私たち夫婦も?<br />羽田空港まで無事に戻り、駐車場に停めてあった自家用車を運転して自宅に戻る途中で、右左折の際何度もワイパーが動いてしまったのには夫婦揃って笑ってしまった。<br />

四半世紀ぶりのアリゾナドライブ(夫婦で駆け抜けたアメリカ大西部)

8いいね!

2015/10/07 - 2015/10/13

778位(同エリア1620件中)

0

7

サンタロウさん

四半世紀ぶりのアリゾナドライブ 

Travel(旅)とTrouble(トラブル)が語源的にルーツを同じくするものかは知るよしもないけれど、私たちのアリゾナ旅はトラブルからスタートした。
ロサンゼルスからラスベガスに向かう国内線飛行機が、なんと旅客をシートに座らせたあとで機体故障が判明し、飛行機丸ごと全取っ替えに。結局1時間遅れの出発でラスベガスに着いたのは、日付が変わった深夜0時過ぎとなった。
深夜の到着でクタクタのところ、向かう先はホテルではなくまずは空港近くのハーツオフィス。ここでトヨタカローラをピックアップする。ハーツスタッフはなんやかんやと事故や故障の場面をまくしたてて任意保険の加入を勧めてもくる。全部断ったら、ラスベガスのカジノで勝つより無事故で帰ってくる方が難しい、とのことをのたまう。まあ、確かに賭けのようなものだけど。

「ゼロゼロ カッコ ウセツコウサテンセッキンチュウ カッコ」 
カローラには日本語カーナビがついているというので安心していたら、音声ガイドが放つ言葉はこんな感じでほとんど意味不明。これを標準日本語に訳せば、ようするに右折交差点が近づいていますよ、ということなのだろう。ならば「ゼロゼロ カッコ」は余計だけれど。
飛行機の中でラスベガス市内の地図をチェックし、空港から宿泊先(ストラトスフィアホテル)までは大通り(ラスベガスブールバード)を真っ直ぐ北上していけば良いことが頭の中にインプットされている。なのにこのカーナビはわざわざインターステートハイウェイ15に乗れと言う。のっけから逆らうのも気が引けたのでここはひとつ言うことを聞いてあげて、遠回りはしたもののなんとか深夜1時半過ぎにホテルにチェックイン。蜃気楼のように眩い街ラスベガスは本当に遠かった。

次の日、朝マックをして7時にホテル出発。アメリカドライブ最初の目的地はザイオン国立公園だ。
ザイオン国立公園に向かうインターステートハイウェイ15へのExit41はホテルから10分ほどの距離のはずなのに、カーナビの「ゼロゼロ カッコ コウサテンヲヒダリニマガリ…」と言うその方向は、明らかExit41とは逆方向。う~ん、ここは自分自身の方向感覚を信じるべきかカーナビを信じるか、究極の二択を迫られることに。結局ここでもカーナビを信じた結果、カローラはどんどんインターステートハイウェイから遠ざかるばかり。えーい、こうなったらとことんカーナビを信じるしかない。信じるものは救われるはずだ。
そう開き直ったところで、わざわざ日本から持参したCDをカーオーディオにセットする。曲はイーグルスの「Take it easy」。そう、ここは気楽にいくしかない。
それにしてもこのドライブ中、「Take it easy」を何度聞いたことだろうか。 

そうこうしているうちに、ようやくインターステートハイウェイ15の案外看板が目に入ってくる。
ハイウェイExitの手前で、「あれ? ETC入ってたかな?」と一瞬思ったけれど、アメリカのハイウェイは文字通りのフリーウェイ。お代はタダなのだ。今回のドライブでは総走行距離が1800kmを超えたけれど、日本でそれだけの距離を走ったら高速道路代はいくらかかるのだ、と意味もなく腹がたってもくる。

インターステートハイウェイ15をExit16で降り、しばらくは州道9号線を走り無事ザイオン国立公園に到着。ここまでは262km3時間半のドライブだ。
ザイオン国立公園は日本で言えばさしずめ上高地のようなところか。公園の中までは自家用車では進めず、途中からシャトルバスを利用するようだ。
まずは国立公園入口で車1台分30ドルの入園料を支払う。この入園料は7日間有効とのことだ。でも私たちは公園内に滞在する時間はせいぜい3時間ほど。3時間でも7日間でも同じ料金なんてちょっと納得できないけれど、アメリカ的感覚では国立公園に3時間しか滞在しない方が不自然なのだ。
10月のこの時期、ことさらに観光シーズンではないのではと甘くみていたところ、公園内の公共駐車場はどこも一杯。これまたシーズン中の上高地のようだ。
困ったぞ。しかしガイドブックの中のザイオン国立公園のページを開くと「公共駐車場が一杯の場合は3分ほど奥へ走って博物館の駐車場を利用しよう」と書かれているではないか。これを頼りに博物館に向かうと、丁度車1台分のスペースを発見。たまにはガイドブックも役をするようだ。
サイオン国立公園では、「これぞザイオン」といわれる「司教の宮殿」までシャトルバスで行き山岳風景を満喫することができた。
お腹もすいてきたのでシャトルバスで一旦ビジターセンターに戻ることにする。センターに着くと、‘旅の醍醐味はショッピングにありき’との信念を持つカミさんは早速センター内のお土産屋に吸収される。土地柄様々なインディアングッズが売られている。その中で目にとまったインディアン織物があったので手にとってみると、なんと「Made in India」の文字が。インド製だって? でも確かにインド人は英語でいえばインディアン。つまりMade in Indiaはインディアンがつくったものには違いないのだ。

ザイオン国立公園をあとにしてしばらくのドライブは、緑もある山岳的な景観を楽しむことが出来る。荒涼とした荒野然とした景色が続くグランドサークル内では珍しいことだ。ここからは、この日の最終目的地ペイジへと向かうことに。
約170kmを走るとやがて湖(レイクパウウェル)が見えてきてグレンキャニオンダムに到着。ここまでくればホースシューベントまではあとわずかだ。
ホースシューベントは、手すりもなにもない自然のままの景観が残されている。しかも足元はすべりやすいナバホサンドストーン。人が転落しても全然不思議ではない。もちろん転落すれば命はない。日本では観光地で人が転落死すれば確実に管轄する行政が責任を追求されることになるけれど、ここでは自分の命の責任は自分で持てということのようだ。大人の国である。
タコスの夕食をとり、一旦ホテルで休憩。そして夜遅く、天然のプラネタリウムとも言われるアリゾナの星空観測へ。天の川がそれはそれは綺麗なこと。アリゾナには有名な巨大隕石のクレーターがあるけれど、宇宙から何が降ってきても不思議ではないような透明感溢れる星空は生涯忘れることはないだろう。

滞在二日目は、ホテルから15分ほどのアンテロープキャニオンに朝一で向かう。アッパーとロウワーとふたつのアンテロープキャニオンがあるようだけど、御一行様が少なく探検ムードも大きいということでロウワーに行くことにする。
確かにここは地下にある秘密基地のようにワクワクするところだ。写真の心得が全くない私には、そんな迷宮的空間を映し出せるすべもないのが残念。でも網膜にはその景観をしっかりと刻み込んではきたけれど。

アンテロープキャニオンを出ると、ここからは今回の旅のハイライトでもあるモニュメントバレーが待っている。長年離れていた恋人に逢うようなトキメキの心境だ。
実はおよそ四半世紀前、その時は独身最後の旅として私はアリゾナの荒野をドライブし、そのハイライトがまさにモニュメントバレーだったのだ。その体験記は「地球の歩き方・アメリカドライブ(1990年発行)」に「サラリーマンのアリゾナ日記~ジョンフォードの世界を訪ねて」のタイトルで掲載されている。そして今回の旅は、助手席にカミさんが陣取っての再訪というわけだ。
四半世紀の間にアリゾナがどう変わったのか、否、アリゾナは変わらずとも自分自身がどう変わったのか、そんな内省的な旅でもあったのだけれど、結論からいえばアリゾナも変わっていたし、自分自身もまた変わったということだ。変わらないのは青い空と赤褐色の大地と相変わらず肥満の人が多くいることだけだ。
カローラは州道98号線から国道160号線に入り、さらに進むとカイエンタの街に辿り着く。まずやるべきはガソリンの補給だ。
ガソリンを注入していると、ふと映画のシーンが脳裏にフラッシュバックされてくる。
「イージーライダー」や「荒野の決闘」だ。いずれもこれから通るエルキャピタン(酋長の岩)がバックに大きく写し出されていたその場面だ。
邦題「荒野の決闘」の原題は「いとしのクレメンタイン」。そこでは主人公とクレメンタインの別れのラストシーンでエルキャピタンが印象的に背後にあった。
今度の旅では、エルキャピタンをバックにしてとなりにいるにはクレメンタインでは なくカミさんだったけれど、それについてはコメントを控えておこう。
やがて車は一瞬ユタ州に入り、そしてまたアリゾナ州へ。ユタ州とアリゾナ州では面倒くさいことに1時間の時差があるのだけど、州境を小刻みに跨ぐ時は電波時計はどちらの時を指すのだろう?
モニュメントバレーへのゲートを通過し、車をビジターセンターの駐車場へ進める。そこからの眺望は、よく映像などでも紹介されているお馴染みのものだ。私にとっては四半世紀ぶりの‘聖地’再訪だ。あの時は真冬の12月。朝8時のバレードライブ開放時刻を待ちながら、寒さに震えていたことを思い出す。
さあ、このあとはいよいよバレードライブ。トヨタカローラを蹴ってバレー内に突入だ。映画「駅馬車」の世界だ。カーオーディオからは、これまた日本から持参した西部劇テーマのCDが流れてくる。もちろん「駅馬車」や「黄色いリボン」だ。
そんなジョンウェイン気分にひたっていたら、となりではカミさんがほこりが凄いとブツブツ言いながらコンタクトをメガネに替えている。確かにここのサンドストーンは、ハンパでなくほこりっぽい。
ジョンフォードポイントまで進みそこからUターン。本当はさらにさらに奥まで進み、そのままナバホインディアンになってしまいたかったけれど、そうもいかない。再びビジターセンターに戻ることにする。
‘聖地巡礼’を果たしたあとは、この日の宿泊地であるフラッグスタッフへ。国道160号線から国道89号線を通リ計464kmを走破の果て、フラグスタッフに着いたのはすでに日も暮れた夜の7時過ぎとなった。この夜は地元の人達で賑わっていたローカルレストランへ。8オンスの肉料理が11ドル。大満足だ。しかし8オンスって何グラム? アメリカでは数字の単位がいちいち日本と違うので計算も面倒だ。1ガロン2.9ドルのガソリンは、リッター120円代の日本と比べてどのくらい安いのだ?

滞在三日目の目玉はグランドサークル定番のグランドキャニオンだ。フラッグスタッフからグランドキャニオンまでは二つのルートがある。ここはインターステートハイウェイ40でウイリアムズまで向い、そこから州道64号線をひたすら北上するルートをとることにする。約130km、およそ1時間半ほどのドライブでグランドキャニオンに到着。真っ先に定番であるマーサーポイントへ向かう。
四半世紀前に投稿した「地球の歩き方・アメリカドライブ」では、「グランドキャニオンでは特に感激はなかった」とあっさりワンフレーズしか残していなかったことを思い出した。なのに今回は猛烈に感動している自分がいる。それは前回の旅では感動を伝える相手がそこにいなかった、ということなのかもしれない。その意味では夫婦ふたり旅もまたいい。
グランドキャニオンでのもうひとつの目的は絶滅危惧種のカリフォルニアコンドルの勇姿を観ることだ。そしてその願いは探すまでもなくすぐに叶えることできた。天空には悠然と2羽が舞っている。「コンドルは飛んでいく」のメロディーが脳裏をよぎる。コンドルたちは毎日この壮大な景色を天空から眺めることができ、羨ましい限りだ。セスナによるグランドキャニオン遊覧飛行なら、1時間200ドルもかかるというのに。ふと足元をみるとリスが走っている。コンドルはこれがお目当てなのだろうか?

グランドキャニオンをあとにすると、早くもアメリカでの最後の宿泊地となるラスベガスに戻ることに。でもただ戻るのでは能がない。ということで、まずはセドナへ向かうこととする。セドナへは一旦フラッグスタッフを経由することとなるため、行きとは別ルートの州道180号線にのって向かうこととする。
フラッグスタッフからセドナへの州道89号線は、ここがアリゾナとは思えないような緑に覆われた森の中を進む。道に並行して日本の渓流を思わせる流れもある。
セドナという街はガイドブックによれば聖なるパワースポットであり、そこにあるボルテックスはエネルギーが噴出しているスピリチュアルな場所であり‘気’を感じることができる、と書いてある。う~ん そんなものか?
結局‘気’を感じることもなく、そのまま街中を1周して再びフラッグスタッフへ。
フラッグタッフからはインターステートハイウェイ15にのりひたすら西へ向かう。西日を真正面に受けてのラスベガスへの道のりだ。
と思ったら、ここでもまた寄り道が待っていた。ルート66の名残りを見学するためセリグマンへの立ち寄りだ。ルート66はアメリカのマザーロードともいうべき往年の幹線道路で、インターステートハイウェイの完成により引退を余儀なくされた道だ。今ではところどころにかつての名残であるショップやモーテルなどが並び、まるで映画のロケ地のようだ。ナットキングコールが唄う「ルート66」のメロディーが脳裏で鳴り響く。
セリグマンから再びインターステートハイウェイ15にのり今度こそラスベガスへ。西日が超眩しい。
ラスベガスには日も暮れた夜7時過ぎに到着。
かくして実質3日半というアメリカドライブも今夜限り。有り金全部はたいてカジノでひと勝負!と思ったけれど、持参した米ドルはすでにカミさんのショッピング代に消えていたようで、大勝負をするほどには手元になし。「賭け事の必勝法はやらないこと」という格言もあるとかないとか、まあ、やらなければ負けることもないのだ。

帰国日となる最終日は、ラスベガスから30分ほどのレッドロックキャニオンまで最後のドライブへ。初日にこの光景を見たらおそらく大感激だったと思われるその風景も、散々ここまで見ていたものの延長のようで、なんとなく慣れてしまった感じ。しかしアリゾナの州鳥であるロードランナーをなんとネバダの地で間近に見ることができたのは想定外のことだった。ちょっと得した気分だ。かつ写真に収めることもでき超感激!と思ってデジカメのモニターを覗いてみたらこれがかなりのピンボケ。それもまた旅の良き思い出だ。

トラブル含みのドライブ旅はこうして終わった。
私にとっては四半世紀ぶりの再訪となる旅も今度はカミさんと一緒。初日のハーツレンタカーオフィスで「ラスベガスのカジノで勝つより無事故で帰ってくる方が難しい」と言われたレンタカーによる運転も、どうやら賭けに勝つことができた。
オフィスに戻る際にも相変わらず「ゼロゼロ カッコ サセツガチカイ」と語るカーナビもまた、車返却の時には別れがたい思いに。

サンキュー アリゾナ! 夫婦でまた四半世紀後にやって来るかも… 
その時アリゾナはどう変わっているのだろう? そして私たち夫婦も?
羽田空港まで無事に戻り、駐車場に停めてあった自家用車を運転して自宅に戻る途中で、右左折の際何度もワイパーが動いてしまったのには夫婦揃って笑ってしまった。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
レンタカー
旅行の手配内容
個別手配
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