2020/06/01 - 2020/06/01
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まりあさん
まず、今回の旅は、コロナ鬱を払拭するための旅です。
おそらく今、日本じゅうの人々の多くが、なんとなく鬱々する、という状態を共有されているのではないか、と想像します。そしてその鬱の原因は、人それぞれ、1億人なら1億の原因があるのではないかと思います。
なにせ、コロナウィルスの真実のほとんどがまだ分かってないんですよね。
どんな病毒があり、致死率がいくらで、どんな時に感染して、どんな時に感染させるか。どう治る、どう後遺症が残るか。
なぁんにも、本当のところは分かってません。
だから、皆さん、専門家のコメントやら、テレビの報道を見ては、右往左往しているんですよね。ニュースは、いつも暗い話ばかりで、げっ、うそっ、やばっ、ドキッ、とさせられて、その一方では、倒産、失業、破綻寸前みたいなニュースが押し寄せてます。
これで、鬱にならなきゃ、まともな人間ではありません(笑)。
今年は、世界一周航空券を買って、3部に分けて、3月にスペイン、5月のフランス、そして9月のフランスと、それぞれ5週間ぐらいの滞在を計画して、5月のフランス地方都市滞在に照準を合わせて、ものすごくフランス語の勉強を頑張ったんですよね。まだ、スタートして数年ですから、まだまだではありますが、入門から、初級、中級ぐらいへと、若い頃のエネルギーを思い出して、頑張っていたんです。
なのに、フランスに行く、という目的が削がれてしまい、私の心の行き場はどこへやればいいのか。
現役時代なら、通訳ガイドは全員失業の憂き目ですから、神戸と東北の震災では、失業の憂き目のしんどさをイヤというほど味わってきました。だから、今は、リタイヤして、その心配から解放されていることは、安堵するものですが、でも反対に、もう長期海外一人旅をする体力は、年々落ちてきて、あと、5年あるか10年あるか、もしかしたら、転倒骨折でもすれば、その時点でアウト、ゲームオーバーです。
ま、世間の悩みに比べれば、お気楽なんですけど、私としては、やっぱり鬱々とした気分から、あがいて悩んで苦しんで、ちょっとした旅を計画したのでした。
コロナが始まって、中国の武漢や、ヨーロッパ各国では、とても厳しい封鎖や外出禁止の制限があり、違反者には、かなりお高い罰金が課せられてました。
それに対して、日本の場合は、「自粛」「要請」というゆるいレベルでした。でも、日本人の生真面目さ、他人の目を意識する性向などは、通訳ガイドの私のお客である欧米人と比べて、突出した国民性ですから、「そのゆるさで大丈夫」と、推測してましたけど、本当に見事に、日本人は自粛しましたよね。
私個人は、「外に出ての散歩や運動は許されている」わけですから、そして、個人的には、もともと筋力も体力もない貧弱な身体ゆえ、「歩けなくなっては、旅が楽しめない」と心得て、一日平均8000歩をミニマムとして、雨の日もありますから、晴れた日は、1万歩を目指して歩きます。
それゆえ、「密になっていない所は歩く」方針でしたが、びっくり仰天したのは、桜の時期の花の名所でした。
おそるおそる出向いてみると、感染者が多いわけでもない地区の桜の名所が、ガラガラです。
もう、15年か20年前に、三室戸寺の紫陽花を見に行ったのですが、土曜日に行ったら、「紫陽花の花びらの数より多いシニアの人々の数」にびっくりして、あれ以来、「週末には花見に行かない」方針を貫いてます。
その後、年々、加齢とともに「混雑嫌い」になり、振り返れば、15年以上前の昔から、「週末は出かけない」「ゴールデン・ウィーク、年末年始、お盆の連休」は、「絶対に出かけない」。
へっ、それって、考えたら、コロナの15年前から、「密を避けて、混雑日は巣ごもり」生活をやっていたんですよね。
通訳ガイドという職業柄、ラッシュアワーの体験はほとんどなく、「人より早いか、遅い」時間帯に行動することが多く、早寝早起きは大得意です。
過去に一度だけ、用事があり、朝8時半の大阪の地下鉄に乗ったことがあり、「ホームに降りる階段のところで渋滞」「ホームは、人が落ちんばかりに人で埋め尽くされ」「電車が来て、入り口に向かう時は、私は歩いてないのに、周囲の圧力で身体が動き始め」私は、思わず、「キャーーーッ」と悲鳴をあげたのですが、周囲の人は無表情に、淡々と進みます。
さらに車内では、「荷物が重くて、手放してしまったけど、その荷物は人々の圧力のために、落下しない」と、ニュートンもびっくりする異常な世界です。
私にとっては、悲鳴をあげ続けたいような「異常な世界」を、この人たちは、「日常」として生活しているんだ、と納得しました。
この体験談は、その後ずっと、欧米人の観光客たちに、「日本のラッシュアワーとは」というテーマで、よく語ったものでした。
昨今は人口も減って、ここまでのラッシュはないのかもしれませんが、サラリーマン生活を送られている方々は、多かれ少なかれのラッシュは、日常生活の中にあるのかな、と思います。
私は、2年前に京都から滋賀へ転居したのですが、転居してびっくりしたのが、大阪-京都間より、京都-滋賀間の方が、JRの車内が混み合う、ということでした。
京都より人口の少ない町に転居したはずなのに、なぜ????
転居後の2年間に、前述の大阪の地下鉄の恐怖のラッシュに次ぐ、ひどいラッシュアワーに、京都在住時代の40年間は出くわさなかったのに、この2年間に出くわしたラッシュ。入り口あたりが押し合いへし合いになり、席についていた私の横に立っている人の荷物が、完全に私の膝に落とされている。文句を言おうかと、後ろを振り返ったら、なるほど、自分の荷物のコントロールもできないような、ひどいラッシュで、そのままずっと、その人の荷物を膝に乗せていたり、ある時は、たった1駅の電車だったので、最後に乗って、ドアの方を向いて、耐えよう、と思っていたら、積み残されそうになりました。慌てて、乗ろうとして、乗るためには、ドアの上に手をやって、思いっきり力を入れて、私の前の人をプッシュして、自分のスペースを作るしかなかったのです。
そして、乗ってからも、ドアの上のところに手を当てて、後ろの群衆を押しやって、自分のスペースを確保しないと、押し潰されそうになる。人口の少ないはずの滋賀へ戻る電車は、そんなに混むのです。
じっくり分析してみると、大阪-京都間は、新快速、快速、そして普通と3種類の電車があるので、夕方などのラッシュ時には、私は、普通電車の「女性専用車両」を利用することで、ラッシュを避けていたのでした。
ところが、京都から滋賀へは、普通電車がなく、新快速と、各駅停車する「快速」の2種類になります。
私の駅は、新快速が止まらないので、快速が唯一の帰宅手段なのです。
で、この快速電車、8両編成が中心なのですが、日に10回から15回ほどは、6両編成になるのです。
6両編成の快速電車は、平日の昼間のすいた時間帯であっても、ラッシュみたいに「密」になります。
ある日の午前11時ごろに、身の置き場もないほどに混雑して、私は降りた駅で、思わず、「6両編成の時刻を教えてください」と駅員さんに尋ねたのですが、「わかりません」と言われました(笑)。
おかげで、もし夕方に、この6両編成にでも出くわせば、今までの人生で体験したことのないような、ラッシュに遭遇してしまうようになりました。
で、在住2年間の間には、駅のホームへ降りると、まず、乗車位置の案内の乗車位置の数字を指折り数えて、次に来るのが、6両編成か、8両編成かをチェックする、美しい習慣が、バッチリ身につきました。
10両編成に当たると、ガラガラで、ほぼ確実に座れます。が、6両編成に当たると、混雑の覚悟を決めて、必ず、頭か尻尾の車両まで歩きます。端っこの方が、ほんの少しですが、混雑がマシなのです。
そしてこれ、なんと、コロナが問題になってからでも、6両編成は存在しているんです。コロナ真っ只中の、とある日に、どうしても夕刻に電車に乗る必要があり、6両編成に出くわして、びっくりしました。
政府が、人々に、「密を避けろ」とあれだけ叫び続け、そしてまた、数多くの観光施設が閉鎖に追い込まれている時に、混雑の激しい、京都-滋賀間は、6両にお客を詰め込むJRが、走り続けていたんですよね。
そしてさらに、他府県ナンバーが、石を投げられたり、車を破壊されたり、なんてあり得ない事態が起きるようになり、私の心は、少しずつ病んでいきました。
なぜか。
京都から滋賀へ転居した時に、滋賀のディーラーさんに、京都ナンバーを滋賀ナンバーに変えたい、というと、「ほとんどのオーナーさんは、3万円もかけて、ナンバーを変更しませんよ」と、消極的なのです。
今から振り返れば、それは、お客が早く買い換えるようにとの、戦略だったのかなと思います。もっとも、コロナがなければ、滋賀県を京都ナンバーで走っても、なんの問題もなかったと思います。
けど、たとえ、ほんの少数であったとしても、ニュースが興味本位に報道する写真は、他府県ナンバーの車が、窓ガラスを割られたり、ドアミラーを、使えなくなるほどに壊されたり・・・
もしも、そんな目にあったら、「困る」だけでなく、タイミングにより、大事故にも結び付きかねません。
滋賀県というと、右折車と直進車の接触事故で、追突された車が、園児の列につっこんだ、という悲惨な事故もありました。あの交差点を走るたびに、胸で十字を切って、肝に命じて、事故は絶対に避けなければ、と思う私です。
最初の頃、「日本人は素晴らしい。自粛だけで、ここまで観光地をガラガラにできるんだ」と感心していましたけど、「他府県ナンバーの攻撃」やら、「自粛警察」などという人たちが出てくるに至って、私は、目に見えない圧力を受けて、コロナ鬱になりかけてしまいました。
コロナのおかげで、京都ナンバーで滋賀県在住の私に、「安住の地」は無くなってしまったのです(笑)。
コロナ自体は、確率的に考えても、たいした恐怖はないのですが、この日本人の村社会的な感覚から受けた「恐怖」はひどかったです。
おかげで、東北震災の時にもそうだったのですが、「日本嫌い」と「日本人への不信感」が加速してしまいました。
悶々とした日々を過ごして、私は、車の買い替えを早めることを決めて、新車購入の契約を済ませて、京都ナンバーのマイカーとの「最後の旅」に出ることにしました。
まずは、同じ滋賀県内の、近江今津に行きました。
同じ滋賀県ですが、京都ナンバーなので、他府県ナンバーです。
翌朝、車に乗る前に、車のまわりをぐるりと歩いて、どこか、壊されていないか、落書きされてないか、傷つけられてないかを、確認しました(笑)。
やっぱり、これが気分を沈ませていたんだな、と気づきました。
この時まで、私自身、なんで気分が沈むのか、原因ははっきりしてなかったんですよね。
滋賀県の人が、京都ナンバーに石を投げるなんて、まずあり得ないんですが、妙な報道ばかりを聞いて、巣ごもりしていると、だんだん疑心暗鬼に陥ってしまうんですね。
今津の町を目的地にすることは、コロナがなければ、あり得なかったと思います。でも、来てみて良かったです。
もっと歳をとって、長距離ドライブが出来なくなった時には、湖畔の宿に、しばし滞在して、大好きな水辺の景色を楽しみたいと思います。
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今津の街並み、瓦屋根の古い家々が多く、琵琶湖湖畔の細い道沿いの古い町並みは、素敵でした。
残念ながら、お天気は悪く、湖のきれいなブルーは、見れませんでした。 -
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近江今津駅
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白髭神社。
昔々に立ち寄った時には、たいした印象はなかったのですが、その後、アジア人観光客には人気のスポットだったようですね。
昨今は、インスタ映えする写真が、スポットの人気を左右するようで、湖のブルーが美しい写真が、拡散したからか、ここが人気になったようです。 -
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この日は、雨だったので、どうってことない神社ですが、おそらくこのエリアで、もっともたくさんの車が行き来するスポットでした。
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ちょっと晴れ間が出ると、このブルーが出ます
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コロナがなければ、ここに泊まったり、この町を歩くことはなかったかもしれません。
コロナゆえのご縁ですが、古い町並みは、気に入りました。 -
以下、今津とは関係ないのですが、ほんとに人の姿が消えてしまった、花見客が限りなくゼロに近い、不思議な桜の写真を入れます。
最近は、哲学の道のようなところでさえ、外国人もいっぱいになり、花の季節は混雑がひどくて、行くとしたら、早朝の6時ごろを狙うようになりました。それも、最高の快晴の日ぐらいにしか出かけません。
ところが、今年は、快晴の満開の桜でも、人はまばらでした。
こんな静かな花見は、人生で最初で最後だろうと、しみじみ思った次第です。 -
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