東チベットの旅3 塔公・康定・ミニヤコンカでチベット聖山を眺める (Beautiful Tibetan high country)

2019/06/11 - 2019/06/16

東チベットと呼ばれる四川省西部のチベットエリア(チベットではカム地方とも呼びます)を旅してきました。旅の後半は、東チベットの大自然を楽しむため塔公・康定・新都橋・磨西の町へ向かい、東チベットの6000m級の美しい聖山ミニヤコンカ(貢嗄山)とヤラ山を眺めます。東チベット最高峰ミニヤコンカ(標高7556m)は、いつも雲に覆われている幻の山で、地元チベタンには聖山、また登山家憧れの峰としても有名です。もうひとつの聖山ヤラ山(標高5884m)は塔公の町の近郊の草原トレッキングから眺めます。これは本格トレッキングではなく、お気軽トレッキングです。6月は雨季で山を見れる可能性は低いですが、天気が良く奇跡が起きる事を祈りながら訪れてみます。

エリア 中国

• 旅行の満足度: 4.0

4日目、ラルンガルゴンパ(色達 Sertar近く)から麓の町まで朝8時に戻ると、そこで待っていたシェアタクシーで炉霍 Luhuo経由で塔公 Tagongへ向かいます。これはその車窓、チベットでの建物は地域によって特色があります(前回までの旅行記と比較してみてください)。チベット宗教の宗派の違い以上に各町で特徴があります。

この区間は四川省北西へ向かう主要道路S215のため良く整備されています。300Kmを約5時間(別に炉霍で待ち時間3時間がありますが)で移動します。この数年で道路は整備されて以前よりかなり速く移動できる様になりました。

塔公へ到着、虹が迎えてくれました。

塔公はチベット色の強い町で、チベット寺と草原地帯でのトレッキングや乗馬で有名です。ここも標高3800mあります。左端に聖山ヤラ山が写っています。

この日泊まったのは、塔公寺隣のカフェ兼ゲストハウス。わずか30元のドミトリーですが、そんな安宿の壁にも一面にチベット壁画が描かれています。

このゲストハウスで入手した草原トレッキングの地図。アニゴンパ SerGyergoまで周回で6時間のコース。こんな適当な地図で無事歩けるのでしょうか。

5日目、アニゴンパへのトレッキングへ出発。町を出るときに振り返って町を撮った写真、塔公は草原の中にポツリとある小さな町です

遠くに美しい聖なる山のヤラ山が見えます。麓に見えるのが目的地のアニゴンパ。

こんな感じの草原を歩きます。途中には村があり、馬に乗らないかという誘いがあります。言い値で約1時間のアニゴンパまでの乗馬で100元。

このトレッキングでは犬に注意です。チベット地域全般に言えますが、町の外には犬が彷徨っており襲われる事があるそうです。幸いこの時は村の中で繫がれた犬(チベタン・マスティフ)しかいませんでした。こんな大型犬が自由に彷徨っていたら恐ろしいことになります。チベタン・マスティフは中国人がペットで飼っているのは大人しいですが、チベット人が飼っているのは凶暴です。

3時間でアニゴンパに到着。いい加減な地図でも迷わず着きました。山の麓の美しい場所にあります。歴史は比較的新しく1980年代の設立。元々の由来は、ヤラ山の周辺の洞窟で僧が修行していた事から学びの場として建てられました。

500人が暮らす大きな尼寺ですが、工事中の様で外には誰もいません。

町の方面を振り返ります。この周辺には草原の中に寺が点在しています。

コースを一周するために更に先に進むと、ご覧のピンクのチベット寺。

この丘は鳥葬の場所です。チベット人は死者の肉をハゲタカに食べさせて埋葬します。この時はハゲタカは見かけず。

路上で売っていたチベタンヨーグルト。違和感なく美味しく食べられます。

地図上の最後に曲がる角に気づかず通り過ぎてしまい、メインの国道まで行ってしまいました。大幅の回り道になりましたが、親切なチベタンがバイクの後ろに乗せてくれます。無事塔公に戻ります。

町の中心にある塔公寺を見学します。640年に中国のお姫様がチベットの王と結婚したのを記念して建てられたそうです。

ここは室内撮影可です。立派な仏像が鎮座しています。

僧がお経を唱えてる声が建物中に響いています。この骸骨もチベット信仰の印？

珍しいエロチックなチベット壁画もあります。

6日目、東チベット甘孜州の州都である康定 Kangdingへ向かいます。新都橋 Xinduqiaoと康定の間には大きな峠があり、ここは東チベットの中でも景色の綺麗な場所として知られています。そこに近づくにつれて大きな山が見えてきます。

康定は中国人にとってラブソング(康定情歌)で有名です。右上の丘にはそれを示す文字があります。多くの中国人観光客がここで記念写真を撮る為に訪れるのでしょう。

標高4200mの折多山の峠にあるチベット碑から向こう側(東側)は、晴れ間から一気に天候が悪化します。天気の境目です。この旅の期間中の四川省の平野部や康定(東チベットの唯一の天気観測地点)の天気予報は毎日雨でしたが、康定周辺の高い山脈を境に西側の東チベットは毎日晴れていました。平野部と山岳部では全く違う天気であるのは、高地ではよくある事です。康定が唯一の天気観測地点のため、東チベットの天気をネットで調べるのは困難です。この後、雨が降る中康定まで峠を下ります。

康定に着きます。今回は時間がなくできませんが、康定周辺のトレッキングツアーは、康定ユースホステルで手配できます。中国人向けのミニヤコンカ ベースキャンプまで3日間のトレッキングツアーが750元、ミニヤコンカ1周(康定から磨西)6日間のトレッキングが1600元からです。康定は有名なトレッキング亜丁風景区 Yadingへの経由地でもあります。

Kangding Konka International Youth Hostel ホテル

7日目、この日は康定 Kangdingの南にあるミネヤコンカ Mount Gongga (貢嗄山)の麓の町磨西 Moxiへ行って軽くトレッキングする予定でしたが、ミネヤコンカのウェブカムをネットで見ると磨西のある東側からは一面深い雲に覆われて何も見えません。なので今日行っても何も見えないと思い、昨日通った峠を再び往復して北西の新都橋 Xinduqiaoから見ることにします。昨日の経験から西側は天気が良くてミネヤコンカが見えることに賭けます。

標高2500mの康定から標高4200mの折多山の峠まで昨日通った道を再度バスで登ります。康定を出ると天気が良くご覧の様に周辺の山もはっきり見えるので、やはり東西で全く天気は違う様です。

康定は5000m峰に囲まれており、あまり知られていませんがトレッキングには最高の場所です。時間があれば1週間位滞在してトレッキングを楽しみたい場所です。

6000m近い峰には万年氷河が見られます。

折多山峠の頂上のチベット碑。昨日通った時は天気が悪かったですが、今日は最高の天気。標高4200mでは空気が薄くこの階段を登るのも辛いでしょう。

新都橋 Xinduqiaoでバスを降ります。昨日もここを通りましたがこの町に再び戻ってきたのは、ここからミネヤコンカが北西側から見えるからです。確証はないですが、昨日通ったときに一瞬見えた大きな山(シェアタクシーの座席からはうまく写真が撮れませんでしたが)の姿は印象に残っていました。これは新都橋の町の高台にあるチベット寺からの景色。

降雪具合からこの辺りで一番高い山でミネヤコンカだと思います。しかし、昨日はっきり見えた山も今日は雲に隠れています。天気はすぐに変わります。タイミングが悪く残念です。

再び康定へとUターンで戻ってきます。康定はチベット人の町と言うより中国人の町ですが、いくつかの大きなチベット寺があります。これはニンマ派の金剛寺です。

中には煌びやかな装飾と立派なシャカムニ仏像が。金剛寺は400年の歴史がありますが、最近修復されたばかりで新品同様です。

もうひとつがここから10分ほど急坂を登った先にある1639年創立のゲルグ派の南無寺、中は撮影禁止です。他にも近くの自治州博物館がありますがこの時は閉まっていました。

午後からミニヤコンカの麓の町までミニバスで移動します。瀘定 Ludingで乗り継ぎ磨西 Moxiへ向かいます。所要計約4時間。途中に見えるのは大きな大渡河 Dadu River。

そこに大きな赤い吊橋。サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを思い浮かべます。

8日目。磨西、ミニヤコンカ(貢嗄山)観光の為にある町です。ここからバスとロープウェイを乗り継ぎ、海螺沟氷河公園HailuogouParkからミニヤコンカを一望する予定でした。しかし前日の夜から軽い食中毒になってしまい、ホテルから殆ど外に出ることができません。移動日ではなく町に滞在日だったのが不幸中の幸いです。

残念ながらミニヤコンカを一望できる海螺沟氷河公園に行くのを諦めます。これはウェブカムの様子、磨西の町は晴れていましたがミニヤコンカはずっと雲に覆われており、その下の氷河が何とか見える程度です。この日あまり登った人もいない様で、もし行っても山は見れなかったでしょう。やはり雨季の6月にミニヤコンカは簡単には拝めない様です。

夜は少し体調は良くなったので、チベット族のショーを見学します。磨西も中国人の町で、中国人観光客も多くこういったショーが好まれるのでしょう。

中国人がチベット族の服を着て踊っている感じです。

ショーは中国人観光客で盛り上がり終了します。

9日目、磨西から瀘定で乗継ぎ成都までバスで7時間かけて戻り(これも二郎山トンネル開通で以前より早くなりました)、その晩のフライトで中国を出国します。残念ながら2日のチャンスでは幻の聖山ミニヤコンカは見られませんでしたが、それまでの塔公の草原トレッキングや、ラルンガルゴンパをはじめチベット寺訪問で貴重な体験ができた旅でした。道路が整備されて、以前と比べて東チベットは格段に旅はしやすくなっていました。