2017/02/16 - 2017/02/19
124位(同エリア175件中)
ちゃおさん
京杭大運河を見た後のツアーバスは無錫市街地を通り抜け、今度は太湖近くにある公園へ向かった。無錫市街地を自動車専用道路で走り抜けるが、道路周辺に広がる光景は、この街が現在大々的な建設途上、大々的な都市改造の真っただ中にあるということだ。道路両側にはあちこちに高層ビル群が見える。それもどれも現在進行形の建築中のビルだ。よくぞこれ程の資本と需要があるものだと感心するが、資本に関しては省政府、或いは市政府の膨大な資金があるから問題ない。需要に関しても、この街の人口が500万人を越え、それは日本で言えば横浜、名古屋、大阪のどこよりも大きな市であり、これだけの需要は満たされるだろう。地方の同じような規模の市でこうした光景は多く見てきた。
13億、日本の10倍を超える人口を抱えるこの国では、無錫並みの中堅都市は100以上を越えるだろう。500万の街が中国では中堅都市に過ぎずあちこちにあるのだ。30年前、GDPは日本の僅か10分の一に過ぎなかったが、10年前日本に並び、5年前に日本を追い抜き、世界第2位の大国に躍り出て、今では日本の3倍の規模になっている。10年後、2030年には世界一の米国すらも追い抜き、製造大国、世界の覇権国を目指している。毎年6%からの経済成長が続けば、それも可能だろう。30年前、上海虹橋地区にある高層ホテルに泊まったが、当時は同じような高層ホテルが3棟しか建っていなかった。ホテルの一歩外は旧来の街並みで、もうもうと湯気を出す饅頭の蒸篭の周りには沢山のハエがたかっていて、中国人はその饅頭を美味しそうに食べていた。自分も買ってみたが、僅かな元で食べきれないほどの饅頭を包んでくれた。
今その虹橋は一大発展を遂げ、超高層ビルの立ち並ぶ大ビジネスセンターになり、その地下には巨大な新幹線の駅ができて、そこから中国のあらゆる方面に行くこともできる。将来的には香港まで結ばれる。30年も遅れて後からスタートした新幹線網は、今では日本の総延長の10倍以上も延伸されている。自分も一度大連から瀋陽まで乗ったかの満州鉄道も今や新幹線に取って代わられ、廃線の憂き目にも遭っている。中国の大発展。それもこれも大量の人口のなせる業で、中国はその多量人口を負の資産ではなく、生産活動、消費活動の正の資産に変えて、国の発展を支えてきた。ツアーバスの周辺に見える光景は、その答えでもあった。
無錫旅情がヒットしたのは、今から20数年前のこと。その頃既にこの街は離陸を初め、超高層ビルが建ち始めていた。戦前の日中戦争時代のこの街を知る人に取っては、全く別の町を旅しているように思えただろう。中国はどこまで伸びていくだろうか。30年で全く違った街並みに変え、50年でアジアを飲みこみ、日本まで触手を伸ばしてくるのか・・・。中国皇帝の正殿には必ず龍の彫り物がある。5本爪のある巨竜が今まさに動き始めたかのような光景だった。
- 旅行の満足度
- 5.0
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