井の頭池と吉祥寺界隈

2019/10/29 - 2019/10/29

秋の一日、太宰治を偲びつつ、吉祥寺界隈を歩く。

エリア 吉祥寺・三鷹(東京)

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

JR吉祥寺駅北口は、バスターミナルが整備され、中央線北側へのバスが、ひっきりなしに発着している。
駅前には井の頭自然文化園のゾウ「はな子」を偲ぶ銅像ができていた。

JR吉祥寺駅北口の正面には、一番賑やかなサンロード商店街のアーケードが、
北に一直線に五日市街道まで連なる.

JR吉祥寺駅北口正面のサンロード商店街アーケード入口から西には、吉祥寺通り（公園通り）東急百貨店前まで、ダイヤ街のアーケードが連なる。

ダイヤ街のアーケードも天井が高く、外光が入るようになっている。

ダイヤ街では、商店街での買い物客に加えて、駅から東急百貨店などへの往復客も加わる。

ダイヤ街の途中、武蔵野通りを少し北に入ると、牛丼の吉野家がある。

１１時までの、お得な朝定食で腹ごしらえ。
ハンバーバーなどに比べ安く、ヘルシーでボリュームもある。

今日は、吉祥寺パルコ地下の映画館に寄り、映画鑑賞が前半のメイン。

吉祥寺パルコ地下には、アップリンクという映画館群（小規模のシネコン）がある。
今日は、吉祥寺駅の近くで亡くなった大作家太宰治をモデルに、蜷川実花監督が撮った映画『人間失格 太宰治と３人の女』を、太宰治に因んだ吉祥寺で観る。

ここのチケット売り場は、機械発券がメインと省力化。

カウンターの喫茶売店があって、そのレジが、入場券優待割引などに対応しているのは合理的。
映画『人間失格 太宰治と３人の女』は、筋書きは分かってしまっているので、役者の演技や色彩を楽しむ。太宰治という作家は、身勝手な生き方だと感じる。

映画を観終わって、パルコ向かいの東急百貨店に立ち寄る。
吉祥寺には、かつて他にも、緑屋、伊勢丹、三越、近鉄と４つの百貨店業態の店があったが、百貨店業態の衰退で、東急百貨店以外はいずれも退店してしまった。

東急百貨店から吉祥寺通りを南に、JRのガードをくぐり、井の頭通りを渡って、井の頭公園に向かう。

坂を下りた井の頭公園は、正式には井の頭恩賜公園という名称で、大正時代に皇室から下賜されて開園したのが始まりという。

昔は、武蔵野台地からの湧水が豊富で、神田川の水源の一つであった。
現在は、井戸で汲み上げ、細長いボート池になっている。

今日はあいにく小雨で、行楽客は少ない。

水源の近くには弁財天が祀られている。
カップルでの参拝は、「弁天様の嫉妬で分かれる」とも伝えられているという。

銭洗い弁財天もあって、ご利益もありそう。

備付のザルにお金を入れて、銭を洗う。

水源の近くには、パワースポットとして脚光を浴びている「お茶の水」の井戸がある。

何故か、季節外れのシャクナゲが咲いている。

井の頭公園の西側は、玉川上水の復元された流れまでの間が、武蔵野の雑木林の公園になっている。

玉川上水の近くには、大きな顕彰慰霊碑が建てられている。

脇の解説版によれば、それによると１００年前の１９１９年に遠足に来た小学生が玉川上水に誤って落ち、それを救おうとした３３歳の松本訓導（教諭）が、殉職なさったことの記念碑だという。
当時の玉川上水は、多摩川羽村堰から淀橋浄水場への水道原水の供給で水量が多く、とても救助できる状態ではなかったのであろう。
おそらく浄財が集まって、殉職なさった先生の顕彰と、その後の事故防止のために建てられた碑であろう。偉い先生だ。

井の頭公園の西端は、玉川上水にバス道路の都道が架かる万助橋まで。
この先も旧日産厚生園からジブリ博物館に緑地はつづく。

太宰治が愛人と入水心中したのは、この万助橋の少し上流だという。
遺体が発見されたのは、この万助橋の少し下流だという。

橋の下の玉川上水は、水流は復元はされているが弱く、入水心中できるような感はない。
戦後まだ日が浅い当時の玉川上水は、前述のように羽村堰から淀橋浄水場への水道原水の供給で水量が多く、松本訓導ではないが、互いに縛りあったという覚悟の心中では、（気が変わっても）這い上がることができなかったのであろう。
太宰治を偲んで、今日の旅を終えて、吉祥寺駅に戻る。