【下蒲刈島】朝鮮通信使再現行列　（宮島だけじゃない　瀬戸の小島の歴史絵巻）

2019/10/20 - 2019/10/20

　こんな時にと思われるかもしれませんが、広島県呉市に浮かぶ下蒲刈島では、第１７回の朝鮮通信使再現行列が催されました。
　私も呉市民でありながら、見物するのは今回が初めて
　これがとっても良かったです。
　いろんな意味で「ちょうど良い」「穴場」の観光地と言えます。
　みなさんに、こっそり教えて、来年、来てもらえたらと――
　何が「ちょうど良い」のか、何が見れるのか、食べられるのか――
　そして、イベントの内容は――
　朝鮮通信使の歴史と絡めながら、お伝えしたいと思います。
　なお、歴史的な検証については、「朝鮮通信使ナビin呉市下蒲刈」を参考にしています。
　それでは、本編にどうぞ！
　

エリア 大崎下島・豊島・下蒲刈島(広島)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: バイク
• 旅行の手配内容: 個別手配

　自宅（広島県呉市広町）から原付バイクで30分で下蒲刈島に到着
　下蒲刈島は呉市川尻町（本土）から安芸灘大橋を渡って最初の島です。
　車でお越しの方には、当日は無料の臨時駐車場（数か所）と、会場までの無料シャトルバスが用意されています。（ちょうど良い①）

　公共交通機関でお越しの方は、呉線広駅前を通る路線バスも、まあまあ走ってます（1時間に１本程度）。
　前日に宮島観光とかして、呉に前泊すると効率が良いかもしれません。
　毎夜でる堺川沿いの屋台はお勧めです。

　おや、まだ開催時刻前ですが、太鼓の音とともに櫂伝馬船が入ってきました。
　なんでじゃーー

　関係者にお聞きしたところ、練習をしているとのこと。
　ここ、福島雁木での本番は11時30分頃になるので、まずは、ここから歩いて５分ほどの所にある下蒲刈市民センターで出発式（10時45分から）を見てほしいそうです。
　雁木（がんぎ）というのは、この階段状の船着き場のことで、潮の干満の激しい瀬戸内海では重宝します。

　広島藩主とその御付きの者も乗船します（仕込み完了）

　出発式が始まりました。
　パレードには日韓両国から約300人が参加するそうです。
　後ろに写っている橋は、とびしま海道２本目の蒲刈大橋
　対岸は上蒲刈島です。
　島伝いに何本かの橋を渡って行くと、古い町並みを残す大崎下島の御手洗（みたらい）まで行けます。

　今回特筆すべきことは、こんな状況にもかかわらず、韓国の富川市から京畿国際通商高等学校の生徒さんたちが、笛打隊（楽隊）として来てくださったということ。
　それがうれしくて――

　在日本の韓国の民団の皆さんも多数参加してくださっているようです。

　なんか、シュールな光景
　ここで朝鮮通信使の説明を――
　朝鮮通信使は、江戸時代、将軍の代替わりや慶事に、朝鮮大国の使節団が国王からの親書を持って来日し、将軍の返書を持ち帰る役目を担った使節団のことです。
　総勢500名くらいで動いていたようですね。

　当時の朝鮮通信使の移動ルートです。
　漢城（ソウル）から釜山までは陸路
　釜山から対馬を経由して瀬戸内海を通って大阪までが海路
　大阪からは川御座船に乗り換えて淀川を遡って京都へ
　京都から江戸までは陸路でした。
　ここ下蒲刈も寄港地の一つで、過去12回の来訪のうち、最終回を除く11回寄港しています。
　この際、「安芸蒲刈御馳走一番」と同行した対馬藩主の言葉が記録に残されているそうです。
　もてなしには定評があったようですね。

　※ルート図は、「大垣・西美濃観光ポータル　水都旅」から転載

　定刻の11時を少々過ぎましたが、太鼓・鐘を打ち鳴らしながら、行列が動きはじめました。

　チマチョゴリを身にまとった一団が通り過ぎていきます。

　朝鮮通信使で一番えらい「正使」から「副使」「従事官」の順に行列が進みます。

　案内役として対馬藩主が同行します。
　当時は、対馬藩が通信使を釜山まで迎えに行き、釜山を朝出発した通信使船は夕暮れには対馬に到着していたそうです。

　通信使を見られるのは一生のうちで１度か２度のことなので、島が沈むほど人が訪れたとか

　楽人の一団

　行列を抜きながら福島雁木まで先回りします。
　有名なパレードですと、見物客が多くてそんなことはできませんが、ここは、めちゃ多いというほどでもないので、そんなことができちゃうのです。
　場所取りも不要
　（ちょうど良い②）

　福島雁木に到着

　スタッフはカッコいいお揃いの法被を着ています。

　行列はここで一時ストップ

　雁木では太鼓が打ち鳴らされます。

　太鼓が鳴りやむと
　どこからともなく２艘の「ろ漕ぎの伝馬船」が現れます。

　小舟が雁木に着くと、ホラ貝が吹かれ

　さっき練習していた櫂伝馬船が入ってきます。

　先導の2艘は「ろ漕ぎ」でしたが、こちらは「櫂（かい）」で漕いでます。

　雁木の手前で回転して

　後進で雁木に着けます。
　広島藩主が登場

　広島藩主が加わったところで、行列が再び動き始めます。

　またまた行列を追い越して、チマチョゴリの一団に追いつきました。

　当時も通信使には、三使以外にも、書記や通訳、写字管、制述官のほかに、楽隊や子童（才能のある子供たちの見聞を広めさせる目的で連れて行った）、そして日本の幕府要請で、医員や馬上材人（大道芸人）も派遣されていたそうです。

　正使役は、駐広島韓国領事なので、SPらしき人も同行してますね。

　領事さんは、みなさんに手を振ってました。

　福島雁木から行列に加わった広島藩主

　おお、チマチョゴリのお嬢さんたち
　これだけいると圧巻ですね。

笛打隊（楽隊）
韓国からやってきた京畿国際通商高等学校の生徒さんたち
引率の先生が尋常でないオーラを発しているのですが、何者でしょうか？

ここで、行列と別れて下蒲刈中学校のイベント会場に入ります。

中では、ステージイベントが催されるほか、食べ物を売る屋台が出ています。

レッドブルの宣伝カーも来てました。
もちろん貰いました。（無料）

　まずは腹ごしらえ
　広島のお好み焼き（ハーフ）450円
　別ブースには、釜で炊いた「鯛めし」（300円）もありました。（家のお土産にしました）

揚げ立ちの「じゃこ天」　150円
愛媛のものが有名ですが、こちらでもよく食べます。

　韓国料理のブース
　おっ、ホットトック（200円）がある。
　このほか、トッポギやチヂミ、キムチチャーハンなんかもありました。
　普通だったら、長い列に並ばないと買えないはずだけど――
　ここは、ほどよい客数なので、ほとんど列に並ぶことなく、購入することができます。（ちょうど良い③）
　

　行列が校庭に集結

　国書交換式
　正使と将軍が国書を交換します。
　「通信」とは、「信を通わす」という意味です。
　良い関係が再構築できる兆しが見えてきそうな、そんな気がしました。

　一時解散
　シュール

　つづいてチマチョゴリの一団が校庭で輪になります。
　誰かが、フォークダンスが始まると言ってましたが、オクラホマミキサーを踊るわけではありません。

　円の中心では、舞踊隊が演じ初めました。

　チマチョゴリの一団も、複雑な隊列で集まりながら踊ります。
　美しすぎてため息がでます。

　毎年こんなのやってたんですね。
　早く気が付けばよかった。
　でも、これからも毎年つづくことでしょう。

　ステージイベントに移ります。
　京畿国際通商高等学校の公演

　来てくれてありがとう。
　この高校は、ソウルと仁川の間（富川市）にあるようです。

　独唱
　あっ、引率の先生じゃ
　ただならるオーラは、そういうことか。

　韓国舞踊
　行列でひときわ艶やかだった3人は、踊り手さんだったんですね。

　レモンスカッシュ（200円）
　特産のレモン蜂蜜を炭酸で割ってます。
　看板犬が接客してくれます。

　「呉氏ジュニア」のパフォーマンス
　親玉のゆるキャラ「呉氏」は、本日出番なし。

　蒲刈中学校在校生による太鼓の演技
　これらのステージイベントも入場無料で見ることができます。
　（ちょうど良い④）

　韓国音楽の実演
　この後、食事の屋台で配られた「くじ」で抽選会が――
　地元の特産物（ミカンやハマチ）から、韓日辞書まで、いろんなものが当たります。もともとお客さんが少ないところに向けて、商品数も内容も充実しているので結構の確率で当たります。（ちょうど良い⑤）
　呉では毎年、こんなイベントやってます。
　みんな来てクレ！
　みなさん、最後までお読みいただきありがとうございました。
　

この旅行記へのコメント （2）

• yumikenさん 2019/10/29 20:05:16

  こんばんは。

  こんばんはマジェッドさん。
  yumikenです。
  チマチョゴリの色がとても綺麗ですね！
  生で見たら鮮やかな色合いなんでしょうね^_^
  呉にはまだ行きたい所があるので、今度は
  時期を合わせて呉線でのんびり出掛けてみます！
  韓国とは色々とありますが、こうして訪日してくれる事は本当に嬉しいですよね^_^
  イベントが続くように願ってます。
  

  マジェッドさん からの返信 2019/10/29 22:51:22

  Re: こんばんは。

  yumiken様
  
  　コメントありがとうございました。
  　呉だけだと、観光としては物足らないかもしれないので、いろいろ組み合わせて楽しんでいたらけたらと思います。
  　呉線の忠海～安芸幸崎は海岸沿いを走るので、新型電車227系で乗り鉄されるのも良いかもしれませんね。
  　また、ぜひお越しください。
  　今後ともよろしくお願いします。
  
  　　マジェッド