2019/06/08 - 2019/06/08
44位(同エリア59件中)
ちふゆさん
ジャマイカに戻って来て半月。しばらく珍しく雨が多く不順な天候が続いていたが、ようやくいつもの天気に戻って来たので、週末近郊へ足を延ばした。向かったのは私の住んでいる首都キングストン(Kingston)の西約50㎞ほどのところにあるクラレンドン(Clarendon)パリッシュ(Parish)。島の南半分のほぼ真ん中に位置する。南側に突き出したポートランドコテージ(Portland Cottage)と云う半島は、ジャマイカ島の最南端になる。
ジャマイカの14のパリッシュの中で3番目の広さを持ち、南半分はほぼ平野で人口は約25万と首都以外では多い。州都はメイペン(May Pen)で人口約6万人。パリッシュの名前は17世紀、清教徒革命(Puritan Revolution)から王政復古期のイングランドの政治家であった初代クラレンドン伯爵エドワード・ハイド(Edward Hyde, 1st Earl of Clarendon)に敬意を表して名付けられた。1866年に当時22あったパリッシュのうちのヴェレ(Vere)とセントドロシー(St. Dorothy)の一部と合併して今の広さになったが、元々は1664年にジャマイカ島総督のトーマス・モディフォード卿(Sir Thomas Modyford)よって設立された、ジャマイカの最初の7つのパリッシュの1つ。昔のヴェレパリッシュの州都であったアレー(Alley)にはジャマイカで最も古い教会がある。
このパリッシュではジャマイカのタバコの大部分を生産しており、サトウキビ、オレンジ、綿、オールスパイス(ピメント=pimento)、生姜、インディゴ、バナナ、コーヒー、およびココアなども生産しており、お隣のマンチェスター(Manchester)パリッシュ、そのお隣のセントエリザベス(St. Elizabeth)パリッシュと並ぶジャマイカ一の農業地帯である。州都のメイペン郊外のデンビー農業展示場(Denbigh Agricultural Showground)で毎夏行われる全国的な農業ショーはジャマイカの主要な年間イベントの一つ。私の職場が関係しているので、私も昨夏はこのショーは見に行った。車で通過したのを除くと、これまでこのパリッシュで行ったのはここだけで、観光したことはなかった。
最初に寄ったのはハイウェイ2000(Highway 2000)の東西線(T1)、愛称PJ・パターソンハイウェイ(PJ. Patterson Highway)の現在の終点メイペンの一つ手前の出口を出てすぐ南にあるハルセホールグレートハウス(Halse Hall Great House)。グレートハウスと云うのはプランテーション農園主の館で、ジャマイカにはあちらこちらに残っているが、ここもその一つで、1655年にイングランドがスペインからジャマイカを奪った際に、イングランド軍のトーマス・ハルセ少佐(Major Thomas Halse)に与えられた土地に彼が建てたもの。
イングランドのジャマイカ占領時、占領した土地の多くが軍将校に褒賞として与えられたが、ここはスペイン植民地時代にはHato de Buena Vista(美しい景色の牧場)と呼ばれていたところだった。ハルセ少佐はそれをハルセホールと改名し、豚と牛を飼育して、1680年にこの館を建てた。ただし、2階建てにしたのは彼の息子のフランシス(Francis Saddler Halse)で、1702年に少佐が亡くなって跡を継ぎ、1740年代に2階建てに改造し、精巧な階段を付けた。その後も1850年台まではハルセ家が保有しており、1835年の奴隷解放時には172人の奴隷が解放された。その後の所有者も資産の世話を続け、1969年にジャマイカのアルコア社(Alcoa Minerals of Jamaica)が買収した。現在はジャマルコ(JAMALCO)社の所有で、アルコアが訪問者用に既存の建物と調和するように追加した宿泊ウイングと共に今もオフィスとして使われており、ジャマイカで最も古いイギリス風建造物の一つとなっている。ツアーでのみ見学できるそうで、残念ながら敷地の外から眺めただけ。しかし、広い。門から館までの前庭だけでもハンパないよなあと改めて感心。
この館の所有者のアルコア社とかジャマルコ社とかだが、ボーキサイト(Bauxite)採掘とアルミナ(Alumina)生産を行う会社。このグレートハウスの近くにアルミナの製錬所があるが、1959年にジャマイカでボーキサイト採掘事業を開始し、63年に初出荷したアメリカのアルコア社(Aluminum Company of America)のジャマイカ法人が72年に竣工させた工場で、そのアルコア社が88年にジャマイカ政府と設立した合弁会社がジャマルコ社。2014年に香港に本拠を置く資源・農産物のコングロマリット(Conglomerate)であるノーブルグループ(Noble Group)がアルコア社の持分を取得し、現在は55%の合弁会社の所有権を保持している。
ボーキサイトはアルミニウム(Aluminium)の原材料で、ボーキサイト以外からの精錬は非常に困難で、経済的にも見合わない。1822年に地質学者ピエール・ベルチェ(Pierre Berthier)によってフランスのレ・ボー=ド=プロヴァンス(Les Baux-de-Provence)で発見されたもので、名前はその名に由来している。ジャマイカは16年のデータではボーキサイト生産量は世界で6位で、ボーキサイト及びアルミナの輸出は国の輸出額の45%近くを占る重要な産業。近年、世界的な金融危機と景気後退により,ボーキサイト、アルミナ価格が暴落し手酷い打撃を受けたが、現在は回復傾向にある。生産量のトップはオーストラリアで世界生産の35%程度を占め、ジャマイカは中国、ブラジル、ギニア、インドに次ぐ産出量だが、それでも8%程度を占め、国の大きさが日本の秋田県くらいしかないことを考えるとかなりムチャ。最近も新しい鉱山の開発が問題になったりしているようだ。
ジャマルコの鉱山はお隣のマンチェスターパリッシュの南部にあり、そこから鉄道でこの製錬所に運ばれ、アルミナに製錬された後にポートランドコテージ半島の北にあるコロン湾(Colon Bay)に突き出したロッキーポイントボーキサイト港(Rocky Point Bauxite Port)から輸出されている。現在の設計能力は、年間144億1,600万トン。2.5トンのボーキサイトから1トンのアルミナが製錬され、アルミニウムになるとその半分になる。
製錬所と道を挟んだ反対側には、製錬過程で出る尾鉱(選鉱で有用鉱物を採取した残りの低品位の鉱物)や廃棄物である赤泥を貯めているアルコア鉱滓(こうさい)湖(Alcoa Residual Lakes)と呼ばれる巨大な池がある。グーグルマップ(Google Map)で見るとよく分かるのだが、残念ながら(?)、高い土手に囲まれており、道からは見ることが出来ない。かなりの規模。ジャマイカには同じように赤い鉱滓湖をいくつかグーグルマップで見ることが出来るが、いずれも近くに精錬所がある。2010年にハンガリーで、同じボーキサイトの鉱滓ダムが氾濫し深刻な被害を出しており(ハンガリーアルミニウム赤泥流出事故:Ajka alumina plant accident)、今後そんなことが起こらないことを祈る。
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ミルクリバースパへ続く。
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