2019/03/06 - 2019/03/06
1位(同エリア36件中)
かっちんさん
2019年3月16日ダイヤ改正で、乗降人員が極端に少ないため廃止される道東の根室本線「直別駅(ちょくべつえき)」と「尺別駅(しゃくべつえき)」を訪れます。
この直別・尺別駅は釧路市音別町にあり、釧路駅のある釧路市との間に白糠町があるため、釧路市の飛び地になっています。
直別駅は明治40年(1907)釧路・十勝の境(釧路側)に開業。
駅の利用者は音別側「釧路直別」・浦幌側「浦幌直別」の開拓農家、また北海道電力直別変電所や国鉄に勤務する職員と家族などで、駅前に商店や郵便局などがありました。
平成15年(2003)十勝沖地震により駅舎が倒壊し、駅構内通過中の特急まりもが脱線した歴史があります。
ホームに架かる跨線橋は、どこからか橋梁の主桁を移設してきた年代物です。
尺別駅は大正9年(1920)に雄別炭礦尺別炭山からの石炭輸送貨物駅として開業し、その後旅客扱いも開始。
昭和20年(1945)尺別炭礦休山となり、昭和45年(1970)雄別炭礦尺別鉄道が廃止。炭鉱輸送と炭鉱関係者で賑わったところです。
原野に中にポツンと残る廃屋は、かつての栄華を象徴しているかのようです。
また、白糠駅と音別駅の間にある峠越えの古瀬駅は、まわりに人家がなく秘境駅ランキング第8位(2018年度版)。
列車を待つ間、待合室がないため冬の寒さが身にしみます。
列車の交換設備を有しており、鉄道にとって重要な施設です。
今日は釧路駅から出発し、白糠・古瀬・音別・尺別・直別の5駅を数少ない列車の時刻に合わせ行ったり来たりし、1日かけて訪れます。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・JR北海道車内誌の路線図
・北海道ファンマガジン「海とわかれたりつながったり。美しい響きをもつ「パシクル沼」の秘密」
・釧路市立博物館「ミニ企画展 尺別駅と直別駅」」
・磯部祥行氏、轍のあった道「直別駅のハーコート製跨線橋」
・技術情報館SEKIGIN「鋼橋の製作と構造」
・土木史研究第12号、1992年6月「わが国におけるドイツ製鉄道橋梁-歴史と現状-
・電気学会誌123巻4号、藤原法之著、2003年「海底地震観測システム」
・釧路信用金庫「釧路湿原の妖精たち」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
根室本線の路線図
釧路駅と帯広駅の間に、白糠・古瀬・音別・尺別・直別の5駅があります。 -
釧路駅前を走るSL
園児が喜ぶ幼稚園バスでした。 -
帯広行き列車(釧路駅)
10:11発の直別へ向かう1両編成に乗ります。
普通列車は太平洋沿いに西へ進みます。 -
白糠漁港(車窓)
釧路市の隣にある白糠町です。 -
峠の駅を通過(車窓)
白糠を過ぎると海から少し離れて峠を登り、古瀬駅を通ります。
この駅は停車せずに通過。
秘境駅と言われている駅なので、午後に停車する列車で訪れることにします。 -
冬の湿原「パシクル沼」(車窓)
峠を下ると一面湿原の「パシクル沼(馬主来沼)」が現れます。
パシクル川が太平洋に流れ出す河口に広がるパシクル沼は海跡湖。
通常は幅約20mの盛り上がった浜で海と沼とが隔てられていますが、雪解けを迎える春の時期など、沼が満水になると、浜でせき止めておけず、水が海に流れ出します。
ここから釧路市の飛び地「釧路市音別町」に入ります。 -
流木の上がる海辺(車窓)
パシクル沼を通り過ぎると、太平洋の波が打ち寄せる海岸沿いを走ります。
天気が良ければ絶景の見晴らしです。
ここは音別海岸です。 -
音別川(車窓)
半分凍結している音別川を渡ります。 -
ヤチボウズの原野(車窓)
直別駅手前に広がる「キナシベツ湿原」。
雪の積もる湿原からヤチボウズが顔を出しています。 -
直別駅に到着(車窓)
明治40年(1907)釧路・十勝の境(釧路側)に直別駅が開業します。
大正15年(1926)の主要発送貨物は木材、大根、甜菜。
駅の利用者は音別側「釧路直別」・浦幌側「浦幌直別」の開拓農家、また北海道電力直別変電所や国鉄に勤務する職員と家族などで、駅前に商店や郵便局などがありました。
中学校はなく、音別駅まで「汽車通学」をしていました。 -
列車のお見送り(直別駅)
-
イチオシ
頑丈すぎる跨線橋(直別駅)
主桁は橋梁によく使われるプレートガーダー橋(鈑桁橋、ばんげたきょう)。
磯部祥行氏の「轍のあった道」では、Einshalt氏とのやりとりで、近くの上厚内駅跨線橋と同じドイツのハーコート製ではないかと書かれています。
昭和46年(1971)にCTC化され無人駅となり、この頃に跨線橋が設置されたようです。 -
リベットで接合している跨線橋(直別駅)
一般的な跨線橋とは異なり、橋梁の部材をどこからか転用してきたものです。 -
似たような橋「旧足尾線の第二松木川橋梁」
2018年5月26日に「わたらせ渓谷鉄道の廃線跡ツアー」に参加した時の写真です。 -
ログハウス風の駅舎(直別駅)
平成15年(2003)の十勝沖地震では、駅通過中だった特急まりも号が脱線、駅舎も被災し、現在のログハウス風駅舎に建て替えられました。 -
人家の少なくなった直別駅前
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キナシベツ木道
駅前広場から根室本線沿い(釧路方面)に「湿原のさんぽ道」があります。
見晴らしの丘までは徒歩10分なので行ってみます。 -
木道の入口(キナシベツ)
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朽ちている木道(キナシベツ)
途中から木道が老朽化していますが、注意して進みます。 -
「見晴らしの丘」に到着(キナシベツ)
丘から見渡せるキナシベツ自然保護地区は、原生林、二次林、湿原、海岸などから成り立っています。 -
「見晴らしの丘」の眺望(キナシベツ)
線路を挟み、湿原とハンノキが広がります。 -
釧路行き列車(直別駅)
駅に戻り、釧路行き列車に乗り、白糠へ向かいます。 -
冬空の音別海岸(車窓)
釧路方面へ戻るので、行きと同じ風景が現れます。 -
海底地震観測システムの敷設地点(車窓)
珍しいものを発見!
これは釧路・十勝沖海底地震総合観測システムで、海底地震計3台、津波(水圧)計2台、各種の海底観測用センサを搭載した先端観測装置1台などを約240km長の光海底ケーブルに接続されています。
観測データはリアルタイムで陸上局端局装置へ伝送しています。 -
イチオシ
パシクル沼周辺(車窓)
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白糠駅に到着
しそ焼酎の「鍛高譚(たんたかたん)」を生産している白糠町です。
次の列車まで2時間ほどあるので、町中で昼食をとります。 -
蕎麦処「東屋」(白糠)
豪華な天丼セット(1100円)を注文。
大きな海老と2種類の野菜のてんぷらに甘めのタレがかかり、クロレラを練り込んだ緑色の蕎麦などを美味しくいただきました。 -
厳島神社とスーパーおおぞら(白糠)
踏切のある参道です。 -
次は音別駅
白糠14:25発の帯広行き列車に乗り、2つ目の音別駅で降ります。 -
コンテナ貨物の取り扱い駅(音別駅)
近くに大塚製薬釧路工場があり、商品の輸送にコンテナ貨物が使われています。
しかし、3月16日ダイヤ改正を最後にコンテナ輸送をやめるので、この風景は見納めです。 -
有人の駅舎(音別駅)
明治36年(1903)に開業した音別駅。 -
用途の違う雪かき道具(音別駅)
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貨物列車の停車(音別駅)
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大塚製薬工場(車窓)
音別駅から釧路行きに乗り、秘境駅の古瀬へ向かいます。
音別駅の近くに大塚製薬の工場があります。 -
灰色の海(音別海岸の車窓)
日本海の海に見えますが太平洋です。 -
まもなく古瀬駅
列車は峠を登ると右側の線路に入り、2番線ホームに停車します。 -
2番線の駅名標(古瀬駅)
-
乗ってきた列車のお見送り(古瀬駅)
2番線停車時は反対列車との交換を目的としていますが、なぜかこの時間帯(15:05)は列車交換がありません。 -
板張りの2番線ホーム(古瀬駅)
右側線路のはるか遠くに1番線ホームが見えます。
ホームが千鳥配置になっています。 -
時刻表(古瀬駅)
釧路行きは、朝方に2本、午後に2本。
帯広方面行きは、なんと午後だけに3本、14:32が始発です。
停車するホームは1線スルーの1番線が4本、列車交換のための2番線が3本です。
2番線停車の6:50と18:14の普通列車は、時刻表を調べると特急と交換しています。 -
構内踏切(古瀬駅)
2番線から駅の外に出るには、この構内踏切を通ります。 -
少し離れている1番線ホーム(古瀬駅)
1番線ホームへは、構内踏切を出てからこの脇道を通ります。 -
斜めの階段(古瀬駅)
板張りの1番線ホームに上がる階段です。
階段の地上部分が線路から遠ざかるよう、斜めにつくられています。 -
イチオシ
千鳥配置のホーム(古瀬駅)
まわりに人家がなく、秘境駅ランキング2018年度版では第8位。
次の列車までの待ち時間は1時間5分。
待合室がないため、夕暮れ前の寒さにじっと耐えています。 -
帯広方面行きの列車(古瀬駅)
この列車で最後の目的地「尺別駅」へ向かいます。 -
音別海岸(車窓)
今日、ここを通るのは5回目。 -
尺別駅に到着
時刻は16:26。
ダイヤ改正で3月16日に廃止される尺別駅です。 -
尺別駅を出発する列車
-
イチオシ
原野に佇む廃屋と尺別駅
原野に中にポツンと残る廃屋は、かつての栄華を象徴しているかのようです。 -
駅名標(尺別駅)
尺別駅は大正9年(1920)、貨物停車場として、尺別炭鉱のために設置されました。
炭鉱と駅は運炭軌道(軽便鉄道)が結び、昭和5年(1930)から旅客も取り扱う駅となりました。
昭和45年(1970)に尺別炭鉱が閉山となり、転居する人たちが増え、昭和46年(1971)にCTC(列車集中制御装置)が導入され、駅が無人化されました。
利用客は年々減少し、現在「1日1人以下」となっています。 -
雄別炭礦尺別鉄道の写真展示(尺別駅)
待合室に展示されています。 -
駅舎(尺別駅)
昭和27年(1952)に十勝沖地震で駅舎が倒壊、翌年、現在の駅舎が完成しました。 -
駅前の家屋(尺別)
炭鉱閉鎖までは、駅前に商店や食堂、旅館もあり尺別鉄道への乗換客で賑わいました。
さらに国鉄・炭鉱の従業員、その家族たちの暮らしがありました。 -
倒壊しかかっている家屋(尺別)
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ハナミズキのロケ地(尺別)
平成22年(2010)公開の映画「ハナミズキ」に登場する主人公の一人、平沢紗枝(演、新垣結衣)の実家として撮影に使用されました。 -
原野の中に無造作に生える木(尺別)
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イチオシ
惜別の尺別駅
これで駅めぐりを終わり、釧路に戻ります。 -
可愛い「釧路湿原の妖精たち」(釧路)
釧路駅に到着し、今晩の宿「東横イン」へ行く途中で見かけました。
釧路信用金庫の公式キャラクターです。
釧路湿原に住むエゾフクロウ、タンチョウ、エゾアカゲラ、エゾモモンガ、エゾリスの妖精たちです。 -
イチオシ
釧路の夕食
夕食は「やん衆居酒屋釧路食堂」末広店。
びっくりお通しは、あわびの煮つけ、またはきゅうりの一本漬け。
木箱7点盛り(1946円)を注文。数えてみると7点以上あり、新鮮なお刺身を味わうことができました。
昨日と今日で、廃止になる3駅(初田牛、直別、尺別)とお別れできました。
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