西宮・芦屋旅行記(ブログ) 一覧に戻る
苦楽園は、「西宮七園」のひとつに数えられ、閑静な高級住宅街としても知られています。その一画で六甲山を背に聳える洋館が「堀江オルゴール博物館」です。創設者 堀江光男氏が収集されたアンティークオルゴールを一般公開するために1993年にオープンしました。また、2014年に公益財団法人に登録されており、国際オルゴール協会会長からは「ソノ質ト量ニオイテ、世界一」と称賛されています。<br />欧米から蒐集した19~20世紀初頭にかけてのシリンダー型オルゴールやディスク型オルゴール、自動演奏楽器など、約360台ものオルゴールを所有し、1日3回のガイドツアーがあります。(10:30~、13:00~、15:00~ <要、予約>)<br />その優雅で流麗なオルゴールの響きは、美しくもどこか懐かしい温かな音色です。100年以上前の癒しの音色を心行くまで堪能でき、オルゴールを根源から体感できる唯一無二の博物館です。<br />堀江オルゴール博物館のHPです。<br />http://www.orgel-horie.or.jp/main/

青嵐薫風 苦楽園逍遥(前編)堀江オルゴール博物館

878いいね!

2018/04/29 - 2018/04/29

2位(同エリア1043件中)

0

36

montsaintmichel

montsaintmichelさん

苦楽園は、「西宮七園」のひとつに数えられ、閑静な高級住宅街としても知られています。その一画で六甲山を背に聳える洋館が「堀江オルゴール博物館」です。創設者 堀江光男氏が収集されたアンティークオルゴールを一般公開するために1993年にオープンしました。また、2014年に公益財団法人に登録されており、国際オルゴール協会会長からは「ソノ質ト量ニオイテ、世界一」と称賛されています。
欧米から蒐集した19~20世紀初頭にかけてのシリンダー型オルゴールやディスク型オルゴール、自動演奏楽器など、約360台ものオルゴールを所有し、1日3回のガイドツアーがあります。(10:30~、13:00~、15:00~ <要、予約>)
その優雅で流麗なオルゴールの響きは、美しくもどこか懐かしい温かな音色です。100年以上前の癒しの音色を心行くまで堪能でき、オルゴールを根源から体感できる唯一無二の博物館です。
堀江オルゴール博物館のHPです。
http://www.orgel-horie.or.jp/main/

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
  • ポーチ<br />オルゴールに魅せられた男 如是庵こと堀江光男氏は、1911年に大阪府東部に生まれ、工業学校を卒業後、「どうせやるなら、人が歩いた道を歩くより、人が歩かぬ道を行こう」と多彩な事業を手がけました。1932年に一念発起して親の反対を押し切って大連行きの連絡船に乗りました。満鉄調査部に憧れて新京(長春)郊外のソ連管理下の「寛城子」で民家に住み込み、ロシア語学校に通いました。帰国後、幾度となく失敗や苦境に立たされながらも、又永化工(株)を興して塩化ビニール・フィルムシート製造販売業の成功で財を成しました。2007年に96歳で亡くなられています。

    ポーチ
    オルゴールに魅せられた男 如是庵こと堀江光男氏は、1911年に大阪府東部に生まれ、工業学校を卒業後、「どうせやるなら、人が歩いた道を歩くより、人が歩かぬ道を行こう」と多彩な事業を手がけました。1932年に一念発起して親の反対を押し切って大連行きの連絡船に乗りました。満鉄調査部に憧れて新京(長春)郊外のソ連管理下の「寛城子」で民家に住み込み、ロシア語学校に通いました。帰国後、幾度となく失敗や苦境に立たされながらも、又永化工(株)を興して塩化ビニール・フィルムシート製造販売業の成功で財を成しました。2007年に96歳で亡くなられています。

  • ポーチ<br />光男氏は、若い頃から音楽と機械が大好きだったそうです。好きが高じて70歳でリタイアした後、オルゴールのコレクションを始めました。そのきっかけは、オランダ在住の娘さんを訪ねた際、とある街角で耳にしたストリート・オルガンの懐かしい音色でした。光男氏はその場で譲ってもらえないか交渉しましたが、願いは叶いませんでした。しかしそれに屈することなく、その足でロンドン中の名だたる骨董屋やアンティークショップ訪ね歩き、オルゴールを収集したそうです。こうした光男氏のバイタリティには頭が下がります。

    ポーチ
    光男氏は、若い頃から音楽と機械が大好きだったそうです。好きが高じて70歳でリタイアした後、オルゴールのコレクションを始めました。そのきっかけは、オランダ在住の娘さんを訪ねた際、とある街角で耳にしたストリート・オルガンの懐かしい音色でした。光男氏はその場で譲ってもらえないか交渉しましたが、願いは叶いませんでした。しかしそれに屈することなく、その足でロンドン中の名だたる骨董屋やアンティークショップ訪ね歩き、オルゴールを収集したそうです。こうした光男氏のバイタリティには頭が下がります。

  • ポーチ<br />玄関扉の大きなアイアンワークは、オルゴールのディスク盤を模したデザインです。<br />因みに、「オルゴール」は日本語だそうです。英語では「music box」と言います。安土桃山時代にオランダ人が持ち込んだ奇妙奇天烈な音を出す木箱の名を尋ねたところ、「オルゲル(orgel)」という答えが返ってきたため、本来オルガンを意味するオルゲルが訛って「オルゴール」となったそうです。

    ポーチ
    玄関扉の大きなアイアンワークは、オルゴールのディスク盤を模したデザインです。
    因みに、「オルゴール」は日本語だそうです。英語では「music box」と言います。安土桃山時代にオランダ人が持ち込んだ奇妙奇天烈な音を出す木箱の名を尋ねたところ、「オルゲル(orgel)」という答えが返ってきたため、本来オルガンを意味するオルゲルが訛って「オルゴール」となったそうです。

  • 高台にあるため、このように眺望も抜群です。<br />昭和時代初期、大阪の富豪たちが競うように苦楽園に別荘を構えた理由が判かるような気がします。<br />

    高台にあるため、このように眺望も抜群です。
    昭和時代初期、大阪の富豪たちが競うように苦楽園に別荘を構えた理由が判かるような気がします。

  • オルゴール産業は、エジソンの蓄音機の発明により、僅か100年で滅びました。これは、フィルムカメラがデジタルカメラに駆逐されたのと同じ構図で、蓄音機は「破壊的イノベーション」と捉えることができます。しかし、現在でもフィルムカメラに一部のプロ・カメラマンやコレクターが虜になっているように、オルゴールも希少価値ゆえに根強い人気があります。<br />中村嘉人著『ロマノフ家のオルゴール-堀江オルゴール館』には、光男氏は「オルゴールのどこが面白いのか?」との問いに「あの時代だからこそ出来た、その遠い昔の哀愁をおびた調べのオルゴールのはかない運命に惹かれたのだ」と吐露したと記されています。そしてロマノフ家所縁のオルゴール2台を苦難の末に手に入れることに成功したのです。<br />ロシア革命で無残な末路を遂げたロマノフ王朝の2人の運命を物語るように、オルゴールは長い間離れ離れになっていましたが、数奇な運命の後、この博物館で再会を果たしました。光男氏は、戦火を掻い潜って生き延びた自分の人生とロマノフ家のオルゴールの人生をオーバーラップさせていたのかもしれません。

    オルゴール産業は、エジソンの蓄音機の発明により、僅か100年で滅びました。これは、フィルムカメラがデジタルカメラに駆逐されたのと同じ構図で、蓄音機は「破壊的イノベーション」と捉えることができます。しかし、現在でもフィルムカメラに一部のプロ・カメラマンやコレクターが虜になっているように、オルゴールも希少価値ゆえに根強い人気があります。
    中村嘉人著『ロマノフ家のオルゴール-堀江オルゴール館』には、光男氏は「オルゴールのどこが面白いのか?」との問いに「あの時代だからこそ出来た、その遠い昔の哀愁をおびた調べのオルゴールのはかない運命に惹かれたのだ」と吐露したと記されています。そしてロマノフ家所縁のオルゴール2台を苦難の末に手に入れることに成功したのです。
    ロシア革命で無残な末路を遂げたロマノフ王朝の2人の運命を物語るように、オルゴールは長い間離れ離れになっていましたが、数奇な運命の後、この博物館で再会を果たしました。光男氏は、戦火を掻い潜って生き延びた自分の人生とロマノフ家のオルゴールの人生をオーバーラップさせていたのかもしれません。

  • ポーチ<br />街燈もガス灯を彷彿とさせるアンティークなデザインです。<br /><br />「認知症予防にはオルゴールが効果的」との研究結果があるそうです。脳の両側にある側頭葉は記憶と深く関わっており、側頭葉の機能が低下すると認知症を招くことがあるそうです。オルゴールの音色は2万Hz以上の高周波音が出ることから、側頭葉(視覚野)にいい刺激を与えるそうです。小さなオルゴールでも十分効果があるそうです。ただし、CDでは2万Hz以上の音は収録できないそうです。通常、2万Hz以上の高周波音は人の耳に聞こえないのですが、空気振動の伝播によって側頭葉が刺激され活性化するそうです。<br />2万Hz以上の高周波音が認知症に効果的かどうかは判りませんが、オルゴールの音色は懐かしくもあり癒されるため、ストレス解消により脳の血流を回復したり神経とホルモンの分泌を正常にする働きが期待できるのかもしれません。

    ポーチ
    街燈もガス灯を彷彿とさせるアンティークなデザインです。

    「認知症予防にはオルゴールが効果的」との研究結果があるそうです。脳の両側にある側頭葉は記憶と深く関わっており、側頭葉の機能が低下すると認知症を招くことがあるそうです。オルゴールの音色は2万Hz以上の高周波音が出ることから、側頭葉(視覚野)にいい刺激を与えるそうです。小さなオルゴールでも十分効果があるそうです。ただし、CDでは2万Hz以上の音は収録できないそうです。通常、2万Hz以上の高周波音は人の耳に聞こえないのですが、空気振動の伝播によって側頭葉が刺激され活性化するそうです。
    2万Hz以上の高周波音が認知症に効果的かどうかは判りませんが、オルゴールの音色は懐かしくもあり癒されるため、ストレス解消により脳の血流を回復したり神経とホルモンの分泌を正常にする働きが期待できるのかもしれません。

  • イタリア料理 神戸ヴァッラータ VALLATA<br />堀江オルゴール博物館の北隣にあるレストランです。<br />谷シェフは、イタリアの三ツ星レストラン等で2年間修行され、帰国後、高級イタリア料理学校の主任教授を務め、その後、神戸岡本の人気イタリアンレストラン 「リストランテ・ヴァッラータ」 のオーナーシェフとして活躍された方です。谷シェフが満を持して1994年にオープンさせたレストランです。<br />1日1組だけに限定し、心を込めておもてなししていただけます。

    イタリア料理 神戸ヴァッラータ VALLATA
    堀江オルゴール博物館の北隣にあるレストランです。
    谷シェフは、イタリアの三ツ星レストラン等で2年間修行され、帰国後、高級イタリア料理学校の主任教授を務め、その後、神戸岡本の人気イタリアンレストラン 「リストランテ・ヴァッラータ」 のオーナーシェフとして活躍された方です。谷シェフが満を持して1994年にオープンさせたレストランです。
    1日1組だけに限定し、心を込めておもてなししていただけます。

  • ロビー<br />玄関の先がロビーです。<br />スリッパに履き替えて入ります。<br />エレガントでシックな雰囲気が漂うロビーには、様々な調度品が所狭しと並んでいます。これらの調度品は、全てオルゴールです。<br />フロントのすぐ左側にあるのが、アメリカ製 ミルズ ダブル・ヴィオラノです。<br />ロビーのみ撮影可能です。

    ロビー
    玄関の先がロビーです。
    スリッパに履き替えて入ります。
    エレガントでシックな雰囲気が漂うロビーには、様々な調度品が所狭しと並んでいます。これらの調度品は、全てオルゴールです。
    フロントのすぐ左側にあるのが、アメリカ製 ミルズ ダブル・ヴィオラノです。
    ロビーのみ撮影可能です。

  • ロビー<br />右奥から、バレルピアノ ベルギー製 Pasuqale社、<br />オーケストラ・バンジョー アメリカ製 Ramey Piano Company社  (1996年復元)、<br />アコーディオン ピアノ アメリカ製 Fischer社 1925年頃(ピアノとその上にあるアコーディオンが合奏します)、<br />オーケストリオン ドイツ製 Imhof &amp; Mukle社 (1905年製)

    ロビー
    右奥から、バレルピアノ ベルギー製 Pasuqale社、
    オーケストラ・バンジョー アメリカ製 Ramey Piano Company社 (1996年復元)、
    アコーディオン ピアノ アメリカ製 Fischer社 1925年頃(ピアノとその上にあるアコーディオンが合奏します)、
    オーケストリオン ドイツ製 Imhof & Mukle社 (1905年製)

  • 玄関<br />玄関先には「三美神」像???<br />扉のアイアンワークが影絵のようです。

    玄関
    玄関先には「三美神」像???
    扉のアイアンワークが影絵のようです。

  • ロビー<br />左手前、ストリートオルガン オランダ製 Henk Veeningen社(1991年)、<br />右手前の像に隠れているのが、足踏みピアノ アメリカ製、<br />右側、復刻版 自動ダブルバンジョー演奏楽器 アメリカ製 (1996年 )、<br />右側、シンフォニオン クロック アップライト ドイツ製 Symphonioon社(1890年頃)、<br />右奥、グランドバレー スイス製 Reuge社(1990年) 

    ロビー
    左手前、ストリートオルガン オランダ製 Henk Veeningen社(1991年)、
    右手前の像に隠れているのが、足踏みピアノ アメリカ製、
    右側、復刻版 自動ダブルバンジョー演奏楽器 アメリカ製 (1996年 )、
    右側、シンフォニオン クロック アップライト ドイツ製 Symphonioon社(1890年頃)、
    右奥、グランドバレー スイス製 Reuge社(1990年) 

  • ロビー<br />庭園に通じる通路側からロビーを撮っています。<br />この採光の妙にも感心させられます。<br /><br />オルゴールは大分すると2つの機種に分類されます。先に発明されたのがシリンダー型オルゴールです。1796年に、スイ スの時計職人アントワーヌ・ファーブルが製作したのが最初とされます。シリンダー型オルゴールは、真鍮の円筒状の型にピンを刺し、そのピンが調律された鉄の板を切った櫛歯を弾くことで音を発します。ピンを固定するため、筒の内部には松脂を流し込んでいます。櫛歯は同じ音に調律したものを流れるように連続して弾いたり、櫛歯とピンの接点の角度を変えて音の強弱を付けたりする工夫がなされています。 <br />その後、1886年にドイツのシンフォニオン社がディスク型オルゴールを発明しました。コストを抑えるため、大量生産が出来るように真鍮や亜鉛を溶かしてプレス加工で作った円盤型のものを音階毎に円周に合わせて爪状の突起を起こしたものです。その爪がスターホイールを回転させることで櫛歯を弾き、音を発します。

    ロビー
    庭園に通じる通路側からロビーを撮っています。
    この採光の妙にも感心させられます。

    オルゴールは大分すると2つの機種に分類されます。先に発明されたのがシリンダー型オルゴールです。1796年に、スイ スの時計職人アントワーヌ・ファーブルが製作したのが最初とされます。シリンダー型オルゴールは、真鍮の円筒状の型にピンを刺し、そのピンが調律された鉄の板を切った櫛歯を弾くことで音を発します。ピンを固定するため、筒の内部には松脂を流し込んでいます。櫛歯は同じ音に調律したものを流れるように連続して弾いたり、櫛歯とピンの接点の角度を変えて音の強弱を付けたりする工夫がなされています。
    その後、1886年にドイツのシンフォニオン社がディスク型オルゴールを発明しました。コストを抑えるため、大量生産が出来るように真鍮や亜鉛を溶かしてプレス加工で作った円盤型のものを音階毎に円周に合わせて爪状の突起を起こしたものです。その爪がスターホイールを回転させることで櫛歯を弾き、音を発します。

  • バレルピアノ ベルギー製Pasuqale社<br />バレルと呼ばれる丸太にピンを打ちこみ、ハンドル操作によってバレルを回転させて自動演奏するピアノです。バレルに打ち込まれたピンがバレルの回転に伴ってハンマーを持ち上げてピアノの弦を叩く形式のものです。19世紀にイタリアで誕生し、ストリート・ピアノとしてイギリスで大流行しました。<br />装飾の美しさにもうっとりです。シャネルのロゴのようにも見えますし…。

    バレルピアノ ベルギー製Pasuqale社
    バレルと呼ばれる丸太にピンを打ちこみ、ハンドル操作によってバレルを回転させて自動演奏するピアノです。バレルに打ち込まれたピンがバレルの回転に伴ってハンマーを持ち上げてピアノの弦を叩く形式のものです。19世紀にイタリアで誕生し、ストリート・ピアノとしてイギリスで大流行しました。
    装飾の美しさにもうっとりです。シャネルのロゴのようにも見えますし…。

  • ロビー アメリカ製 Ramey Piano Company  オーケストラ・バンジョー(1996年復元)<br />復元ですが、オリジナル・モデルは1900年頃に製作されたものです。<br />ピアノ演奏を中心とした様々な楽器の合奏が愉しめる自動演奏装置は、オーケストリオンと呼ばれます。ジャズが流行した1920年代に爆発的な人気を博しました。オーケストリオンが隆盛する少し前の1914年頃に製作されたオーケストラ・バンジョーは、複数の楽器の演奏にいち早く着目した先進的な自動演奏機であり、ピアノではなく、バンジョーを中心に楽器編成されていました。<br />しかし、その後の自動ピアノの台頭や、自動車やラジオといった音楽以外の娯楽が増えたこともあり、10年ほどで街から姿を消しました。<br />このオーケストラ・バンジョーは、バンジョーの他にピアノ、バスドラムやスネアドラム、シンバル、タンバリン、 カスタネット、トライアングル、ウッドブロックの9種類の楽器が組み込まれています。

    ロビー アメリカ製 Ramey Piano Company オーケストラ・バンジョー(1996年復元)
    復元ですが、オリジナル・モデルは1900年頃に製作されたものです。
    ピアノ演奏を中心とした様々な楽器の合奏が愉しめる自動演奏装置は、オーケストリオンと呼ばれます。ジャズが流行した1920年代に爆発的な人気を博しました。オーケストリオンが隆盛する少し前の1914年頃に製作されたオーケストラ・バンジョーは、複数の楽器の演奏にいち早く着目した先進的な自動演奏機であり、ピアノではなく、バンジョーを中心に楽器編成されていました。
    しかし、その後の自動ピアノの台頭や、自動車やラジオといった音楽以外の娯楽が増えたこともあり、10年ほどで街から姿を消しました。
    このオーケストラ・バンジョーは、バンジョーの他にピアノ、バスドラムやスネアドラム、シンバル、タンバリン、 カスタネット、トライアングル、ウッドブロックの9種類の楽器が組み込まれています。

  • ロビー<br />人懐っこそうで、優しい笑顔をなされた光男氏の写真が掲げられています。<br />この写真にも仕掛けがあり、電動により刻々と表情が変わります。<br />

    ロビー
    人懐っこそうで、優しい笑顔をなされた光男氏の写真が掲げられています。
    この写真にも仕掛けがあり、電動により刻々と表情が変わります。

  • ロビー ミュージック・チェア<br />これも椅子タイプのオルゴールです。知らずに腰かけてしまいそうです。<br />オルゴールを応用したノヴェルティー・グッズの一種とされ、椅子に小型のシリンダー型オルゴールを組み込んでいます。椅子に腰掛けるとオルゴールの演奏が始まる仕掛けです。スイスのブリエンツという都市は木彫産業が盛んで、こうした商品を得意としていたようです。

    ロビー ミュージック・チェア
    これも椅子タイプのオルゴールです。知らずに腰かけてしまいそうです。
    オルゴールを応用したノヴェルティー・グッズの一種とされ、椅子に小型のシリンダー型オルゴールを組み込んでいます。椅子に腰掛けるとオルゴールの演奏が始まる仕掛けです。スイスのブリエンツという都市は木彫産業が盛んで、こうした商品を得意としていたようです。

  • ロビー ドイツ製 Imhof &amp; Mukle社 オーケストリオン(1905年製)<br />オーケストラのように様々な楽器演奏を愉しむこのとできる自動演奏装置です。通常は、ピアノあるいはオルガンと他の楽器(ドラムや鉄琴など)で構成されています。ブックと呼ばれる穴の開いた本のようなものが楽譜替わりになり、フイゴから送られた空気の信号を読み取って演奏します。<br />このオーケストリオンは、ピアノを中心とした楽器編成がなされたものです。ドイツからアメリカに渡り、1920年代までNY州で活躍後、ニュージャージー州の遊園地でメリーゴランドのBGMとして用いられていたものだそうです。

    ロビー ドイツ製 Imhof & Mukle社 オーケストリオン(1905年製)
    オーケストラのように様々な楽器演奏を愉しむこのとできる自動演奏装置です。通常は、ピアノあるいはオルガンと他の楽器(ドラムや鉄琴など)で構成されています。ブックと呼ばれる穴の開いた本のようなものが楽譜替わりになり、フイゴから送られた空気の信号を読み取って演奏します。
    このオーケストリオンは、ピアノを中心とした楽器編成がなされたものです。ドイツからアメリカに渡り、1920年代までNY州で活躍後、ニュージャージー州の遊園地でメリーゴランドのBGMとして用いられていたものだそうです。

  • ロビー ドイツ製 Imhof &amp; Mukle社 オーケストリオン<br />カワセミに似た鳥の絵が描かれています。<br />100年以上前のものとは思えないほど、しっかり彩色が残されています。

    ロビー ドイツ製 Imhof & Mukle社 オーケストリオン
    カワセミに似た鳥の絵が描かれています。
    100年以上前のものとは思えないほど、しっかり彩色が残されています。

  • ロビー アメリカ製 ミルズ ダブル・ヴィオラノ <br />ヴァイオリン2挺とピアノの自動演奏ができ、アメリカの8大発明に選ばれたモデルです。特徴は、それまでの空気圧式に替えて、電磁石を用いたソレノイド式を採用したことです。新技術により、大衆の興味や関心を煽りました。<br />300台ほど製作されたそうですが、現在は70台ほどしか残っていない珍しいものです。その中で実際に演奏可能なものはほんの数台しかなく、通常の演奏は1990年代に復元されたレプリカで行われることが多いようです。  <br />ヴィオラ―ノの仕組みは、1挺のヴァイオリンの上に円盤状の弓に替わるものが4個取り付けられており、これを電磁石で動かして弦と接触させて音を出します。 <br />また、ヴァイオリンの奥には、ピアノの内部構造が直立状態で設置されています。標準的なピアノは88鍵ありますが、その半分の44鍵の音域で演奏します。

    ロビー アメリカ製 ミルズ ダブル・ヴィオラノ
    ヴァイオリン2挺とピアノの自動演奏ができ、アメリカの8大発明に選ばれたモデルです。特徴は、それまでの空気圧式に替えて、電磁石を用いたソレノイド式を採用したことです。新技術により、大衆の興味や関心を煽りました。
    300台ほど製作されたそうですが、現在は70台ほどしか残っていない珍しいものです。その中で実際に演奏可能なものはほんの数台しかなく、通常の演奏は1990年代に復元されたレプリカで行われることが多いようです。
    ヴィオラ―ノの仕組みは、1挺のヴァイオリンの上に円盤状の弓に替わるものが4個取り付けられており、これを電磁石で動かして弦と接触させて音を出します。
    また、ヴァイオリンの奥には、ピアノの内部構造が直立状態で設置されています。標準的なピアノは88鍵ありますが、その半分の44鍵の音域で演奏します。

  • ロビー ストリート・オルガン<br />光男氏がオルゴールを集めるきっかけとなった、ストリート・オルガン(ブック式)です。<br />これは光男氏がドイツBacigulpo社に特別注文して1991年に製作されたもので、フロントパネルに光男氏のネームが入れられています。裏側にあるフイゴに連動するハンドルを回すとオルガンサウンドがホールに響き渡り、遊園地のメリーゴーランドのBGMを彷彿とさせます。<br />初期のストリート・オルガンは16世紀中期に作られました。ハンドルを回すとピンやブリッジが付いたバレルが回転し、空気がフイゴで送られます。バレルのピンやブリッジに触れたキーが動くとパイプ下部のバルブが開き、フイゴに溜まった空気がパイプに送り込まれて音が出る仕組みです。<br />バレルオルガンは嵩張る割に一曲2分程度しか演奏できず、ピンやブリッ ジが壊れることもよくあったそうです。 その改良品として、19世紀後期にブック式オルガンが発明されました。ブック式はバレルの替わりに厚紙を使うためにコストが削減でき、また演奏時間が無制限になったため、次第にバレル式からブック式に切り替わりました。

    ロビー ストリート・オルガン
    光男氏がオルゴールを集めるきっかけとなった、ストリート・オルガン(ブック式)です。
    これは光男氏がドイツBacigulpo社に特別注文して1991年に製作されたもので、フロントパネルに光男氏のネームが入れられています。裏側にあるフイゴに連動するハンドルを回すとオルガンサウンドがホールに響き渡り、遊園地のメリーゴーランドのBGMを彷彿とさせます。
    初期のストリート・オルガンは16世紀中期に作られました。ハンドルを回すとピンやブリッジが付いたバレルが回転し、空気がフイゴで送られます。バレルのピンやブリッジに触れたキーが動くとパイプ下部のバルブが開き、フイゴに溜まった空気がパイプに送り込まれて音が出る仕組みです。
    バレルオルガンは嵩張る割に一曲2分程度しか演奏できず、ピンやブリッ ジが壊れることもよくあったそうです。 その改良品として、19世紀後期にブック式オルガンが発明されました。ブック式はバレルの替わりに厚紙を使うためにコストが削減でき、また演奏時間が無制限になったため、次第にバレル式からブック式に切り替わりました。

  • ロビー アメリカ製 復刻版 自動ダブルバンジョー演奏楽器(1996年 )  <br />4本の弦を持つバンジョーは、10個のフレットを持っています。穴を開けた紙のロールを使用し、空気の信号で楽器を鳴らしますが 、音楽ロールとして2000曲ほど提供されていたそうです。<br />この楽器はジュークボックスのように1枚のニッケルコイン(5セント硬貨)を投入することで演奏する仕組みです。往時の演奏時間は約1分半とされ、1時間演奏すると2ドルの収入が得られるようになっていました。居酒屋や劇場、レストランなどに貸し出され、「ニケロディオン」と呼ばれて親しまれていたそうです。

    ロビー アメリカ製 復刻版 自動ダブルバンジョー演奏楽器(1996年 )
    4本の弦を持つバンジョーは、10個のフレットを持っています。穴を開けた紙のロールを使用し、空気の信号で楽器を鳴らしますが 、音楽ロールとして2000曲ほど提供されていたそうです。
    この楽器はジュークボックスのように1枚のニッケルコイン(5セント硬貨)を投入することで演奏する仕組みです。往時の演奏時間は約1分半とされ、1時間演奏すると2ドルの収入が得られるようになっていました。居酒屋や劇場、レストランなどに貸し出され、「ニケロディオン」と呼ばれて親しまれていたそうです。

  • ロビー <br />手前はグランドバレーです。<br />元々はこのオルゴールを制作したReuge社の社長が個人的に愉しむためにつくられ、社長宅に置かれていたものですが、光男氏が気に入り、直談判して譲り受けたものだそうです。舞踏会に相応しいワルツの楽曲が4曲収録されているそうです。<br />シリンダー型オルゴール内蔵のものですが、動力源はゼンマイではなく電気であり、こちらでは現代式の新しいタイプのオルゴールと説明されています。<br />右側はミュージカル・クロックです。展示室にはこれより大きく、絢爛豪華なものが沢山あります。<br />(グランドバレーについては、堀江オルゴール博物館の学芸員さんからの情報提供に基づきます。)

    ロビー
    手前はグランドバレーです。
    元々はこのオルゴールを制作したReuge社の社長が個人的に愉しむためにつくられ、社長宅に置かれていたものですが、光男氏が気に入り、直談判して譲り受けたものだそうです。舞踏会に相応しいワルツの楽曲が4曲収録されているそうです。
    シリンダー型オルゴール内蔵のものですが、動力源はゼンマイではなく電気であり、こちらでは現代式の新しいタイプのオルゴールと説明されています。
    右側はミュージカル・クロックです。展示室にはこれより大きく、絢爛豪華なものが沢山あります。
    (グランドバレーについては、堀江オルゴール博物館の学芸員さんからの情報提供に基づきます。)

  • ロビー グランドバレー<br />ショーケースの中では賑やかな舞踏会が開かれています。中央では楽器が演奏され、その音楽に合わせて小さな人形達がくるくると踊る仕掛けです。<br />シャンデリアも小さいながら豪華な作りで、メルヘンワールドを演出しています。<br />人形についても注目です。顔の部分は大豆でつくられ、表情は仮面舞踏会を模しています。また、衣装はアンティークの生地でつくられています。<br />因みに、Reuge社はスイスの名門で、1865年の創業から現在もオルゴールを製造し続けているメーカです。Reuge社のあるサンクロアの町は、ミュージック・ボックスのメッカとして知られていました。 <br />(グランドバレーについては、堀江オルゴール博物館の学芸員さんからの情報提供に基づきます。)

    ロビー グランドバレー
    ショーケースの中では賑やかな舞踏会が開かれています。中央では楽器が演奏され、その音楽に合わせて小さな人形達がくるくると踊る仕掛けです。
    シャンデリアも小さいながら豪華な作りで、メルヘンワールドを演出しています。
    人形についても注目です。顔の部分は大豆でつくられ、表情は仮面舞踏会を模しています。また、衣装はアンティークの生地でつくられています。
    因みに、Reuge社はスイスの名門で、1865年の創業から現在もオルゴールを製造し続けているメーカです。Reuge社のあるサンクロアの町は、ミュージック・ボックスのメッカとして知られていました。
    (グランドバレーについては、堀江オルゴール博物館の学芸員さんからの情報提供に基づきます。)

  • ロビー <br />ヨーロッパの城塞を模した岩の塔を彷彿とさせるフロントの意匠です。<br />その上方には五線譜と音符が大理石に彫られています。<br /><br />時間になると案内があり、まず3階の展示室に向かいます。オルゴール博物館は、自由に観覧するタイプではなく、約1時間半のガイドツアーで回るタイプです。定員は最大30名です。混んでいない午前中がお勧めです。<br />階段の踊り場にはエミール・ガレの色彩鮮やかな花瓶やルネ・ラリックの乳白色の皿と思しきガラス製品がさりげなく飾られています。それらを横目に階段を登ります。

    ロビー
    ヨーロッパの城塞を模した岩の塔を彷彿とさせるフロントの意匠です。
    その上方には五線譜と音符が大理石に彫られています。

    時間になると案内があり、まず3階の展示室に向かいます。オルゴール博物館は、自由に観覧するタイプではなく、約1時間半のガイドツアーで回るタイプです。定員は最大30名です。混んでいない午前中がお勧めです。
    階段の踊り場にはエミール・ガレの色彩鮮やかな花瓶やルネ・ラリックの乳白色の皿と思しきガラス製品がさりげなく飾られています。それらを横目に階段を登ります。

  • ロビー <br />フロントのある部位の天井はドーム状のサンルーフになっており、採光が効果的に取り込まれています。<br /><br />3階では、スケルトンの椅子に座りながら、シリンダー型オルゴールとディスク型オルゴール機構の違いや共鳴箱についての説明に傾聴します。その後、アクリル板でスケルトンにされ、構造が判るようにした2台のオルゴールの演奏を聴きます。<br />シリンダー式は、シリンダーの位置を横にスライドさせることで1本のシリンダーで6曲の演奏ができる優れものです。<br />スケルトンにしてある理由は、輸入した際にケースの損傷が激しかったためと説明されていましたが、光男氏がユニークなオルゴールが手に入る度に分解して日がな眺めていたことから推察すれば、鑑賞者の好奇心を満たすために敢えてスケルトンにしているのかもしれません。

    ロビー
    フロントのある部位の天井はドーム状のサンルーフになっており、採光が効果的に取り込まれています。

    3階では、スケルトンの椅子に座りながら、シリンダー型オルゴールとディスク型オルゴール機構の違いや共鳴箱についての説明に傾聴します。その後、アクリル板でスケルトンにされ、構造が判るようにした2台のオルゴールの演奏を聴きます。
    シリンダー式は、シリンダーの位置を横にスライドさせることで1本のシリンダーで6曲の演奏ができる優れものです。
    スケルトンにしてある理由は、輸入した際にケースの損傷が激しかったためと説明されていましたが、光男氏がユニークなオルゴールが手に入る度に分解して日がな眺めていたことから推察すれば、鑑賞者の好奇心を満たすために敢えてスケルトンにしているのかもしれません。

  • ロビー <br />彩色豊かな中世風アールヌーボー風のステンドグラスが嵌め込まれた扉の先が展示室です。<br /><br />

    ロビー
    彩色豊かな中世風アールヌーボー風のステンドグラスが嵌め込まれた扉の先が展示室です。

  • 3階 展示室<br />演奏終了後、3階の窓のカーテンが開かれると大阪湾を見晴らす大パノラマが目の前に広がります。澄んだ音色に酔いしれ、アルファー波の揺らぎに癒されながらパノラマ風景を「ボ~ッ」と眺めるのも乙なものです。 <br />3階の展示室から外の景色を撮影するのはOKです。

    3階 展示室
    演奏終了後、3階の窓のカーテンが開かれると大阪湾を見晴らす大パノラマが目の前に広がります。澄んだ音色に酔いしれ、アルファー波の揺らぎに癒されながらパノラマ風景を「ボ~ッ」と眺めるのも乙なものです。
    3階の展示室から外の景色を撮影するのはOKです。

  • 3階 展示室<br />南芦屋浜方面の景色です。阪神高速5号湾岸線が見られます。<br />西宮~大阪にかけての絶景が愉しめる庭園は、1923年に中山太一氏が大阪市の迎賓館として使っていた「太陽閣」の庭園として築かれ、現在もそのままの姿で復元され、春と秋に一般公開しています。ただし、雨の日には公開されないこともありますので留意してください。

    3階 展示室
    南芦屋浜方面の景色です。阪神高速5号湾岸線が見られます。
    西宮~大阪にかけての絶景が愉しめる庭園は、1923年に中山太一氏が大阪市の迎賓館として使っていた「太陽閣」の庭園として築かれ、現在もそのままの姿で復元され、春と秋に一般公開しています。ただし、雨の日には公開されないこともありますので留意してください。

  • ロビー シンギング・バード<br />シンギング・バードはノヴェルティー・グッズの一種とされ、小鳥が啼く様子を演出する、往時としてはレベルの高い玩具でした。真偽のほどは不明ですが、鳥に啼き声を覚えさせるために作られたとも言われています。<br />その原型は、パリで操業していたボンタン( Bontems )社によって1848年に開発されました。<br />ゼンマイの力で空気が笛に送り込まれます。途中に、空気の流れを制御するバルブを操作するカムと、笛にプランジャーを押し込んだり引き抜いたリして音の高さを変えるカムがあり、両方を巧みに組み合わせてあたかも小鳥が啼いているかのような音を発します。<br />音を制御するカムとは別に、両側の羽を羽ばたせたり、頭部を動かしたり、くちばしをパクパクさせたり、尻尾を動かしたりするカムが組み込まれたものもあります。

    ロビー シンギング・バード
    シンギング・バードはノヴェルティー・グッズの一種とされ、小鳥が啼く様子を演出する、往時としてはレベルの高い玩具でした。真偽のほどは不明ですが、鳥に啼き声を覚えさせるために作られたとも言われています。
    その原型は、パリで操業していたボンタン( Bontems )社によって1848年に開発されました。
    ゼンマイの力で空気が笛に送り込まれます。途中に、空気の流れを制御するバルブを操作するカムと、笛にプランジャーを押し込んだり引き抜いたリして音の高さを変えるカムがあり、両方を巧みに組み合わせてあたかも小鳥が啼いているかのような音を発します。
    音を制御するカムとは別に、両側の羽を羽ばたせたり、頭部を動かしたり、くちばしをパクパクさせたり、尻尾を動かしたりするカムが組み込まれたものもあります。

  • ロビー<br />調度品もアンティークな感じで、素敵です。<br />ショーケースの中にさりげなく置かれていますが、エミール・ガレの作品かもしれません。<br /><br />2階は大型シリンダー型オルゴールや19世紀後半に発明されたディスク型オルゴールが展示してあります。各階では季節に見合ったプログラムで異なる演奏を聴けます。ここでは、4種類の演奏を聴きました。展示品は、100~200年前のアンティークなもののため、使わなくても傷み、使い過ぎても傷みます。ですから、毎月プログラムを変え、順番に演奏するように計画されています。<br />また、天井にも注目です。各展示室の天井の照明のシェードは、本物のオルゴールのディスクが使われています。ディスクに開けられた穴から優しい光がこぼれ落ちると共に、豪華なオルゴールに相応しい間接照明にもなっています。

    ロビー
    調度品もアンティークな感じで、素敵です。
    ショーケースの中にさりげなく置かれていますが、エミール・ガレの作品かもしれません。

    2階は大型シリンダー型オルゴールや19世紀後半に発明されたディスク型オルゴールが展示してあります。各階では季節に見合ったプログラムで異なる演奏を聴けます。ここでは、4種類の演奏を聴きました。展示品は、100~200年前のアンティークなもののため、使わなくても傷み、使い過ぎても傷みます。ですから、毎月プログラムを変え、順番に演奏するように計画されています。
    また、天井にも注目です。各展示室の天井の照明のシェードは、本物のオルゴールのディスクが使われています。ディスクに開けられた穴から優しい光がこぼれ落ちると共に、豪華なオルゴールに相応しい間接照明にもなっています。

  • ロビー <br />2階と1階では、立ったままで説明と演奏を拝聴します。<br />柔らかなオルゴールの音色にはうっとりさせられます。各階に展示してある貴重なオルゴールは、一部を除いて立入禁止区域は設けられていません。鑑賞者に間近で観ていただきたいとの光男氏の気持ちが伝わってくる展示スタイルです。

    ロビー
    2階と1階では、立ったままで説明と演奏を拝聴します。
    柔らかなオルゴールの音色にはうっとりさせられます。各階に展示してある貴重なオルゴールは、一部を除いて立入禁止区域は設けられていません。鑑賞者に間近で観ていただきたいとの光男氏の気持ちが伝わってくる展示スタイルです。

  • ロビー <br />日本を代表する影絵作家 藤城清治氏の作品も展示されています。<br /><br />1階では、レプリカですが、1910年 ドイツ製 フォノリスト・ヴィオリーナ モデルBと同等の演奏が聴けます。3挺のバイオリン で1挺の役割を構成したもので、各々D 、A、E線を担当しています。空気の信号により、スタッカートやレガート、トレモロやビブラート等も表現できる世界最高級の自動演奏楽器です。左隣にある100年以上前に作られたオリジナルも演奏可能だそうですが、永く保存するためにドイツでレプリカを作ってもらい、普段はそちらを使って演奏が行われます。オリジナルの方は、クリスマスなどの特別企画の時に演奏されます。レプリカであっても構造はオリジナルとほぼ同じで、数千万円するとか…。

    ロビー
    日本を代表する影絵作家 藤城清治氏の作品も展示されています。

    1階では、レプリカですが、1910年 ドイツ製 フォノリスト・ヴィオリーナ モデルBと同等の演奏が聴けます。3挺のバイオリン で1挺の役割を構成したもので、各々D 、A、E線を担当しています。空気の信号により、スタッカートやレガート、トレモロやビブラート等も表現できる世界最高級の自動演奏楽器です。左隣にある100年以上前に作られたオリジナルも演奏可能だそうですが、永く保存するためにドイツでレプリカを作ってもらい、普段はそちらを使って演奏が行われます。オリジナルの方は、クリスマスなどの特別企画の時に演奏されます。レプリカであっても構造はオリジナルとほぼ同じで、数千万円するとか…。

  • ロビー <br />照明もアールヌーヴォー風のアンティークな照明です。エミール・ガレの花瓶やルネ・ラリックの皿なども蒐集されていたそうですから、ロビーの照明もそのコレクションのひとつなのかもしれません。<br /><br />1階にはロシア最後の皇帝ニコライⅡ世の愛蔵品である2つの華麗なオルゴールが並んで展示されています。いわば、「ロマノフ家所縁の雌雄一対のオルゴール」と言えます。<br />「ニコライⅡ世」と名付けられたオルゴールは、金のモールで意匠を凝らした漆塗りの黒檀のキャビネットにセーブル焼きの陶板3枚が嵌め込まれた、スイスのBaker & Troll 社製作(1878年)のシリンダー型オルゴールです。時のロシア皇帝アレクサンドルⅢ世が皇太子ニコライの10歳の誕生祝いのために特注した逸品です。<br />1891(明治24)年、憧れの日本訪問中に大津事件に遭遇し、その後1918年に革命軍により家族共々エカテリンブルクにおいて銃殺され、悲劇の生涯を閉じた最後のロシア皇帝です。このニコライⅡ世のオルゴールは、1917年のロシア革命の後、外貨調達のために他の財宝と共に競売にかけられ、NY州のオルゴール愛好家Mrs.Bornand のコレクションに加えられていたものです。 <br />そうした世界中の好事家や蒐集狂が追いかけ回してきた垂涎の的が、六甲山の麓に存在するのは奇跡としか言いようがありません。

    ロビー
    照明もアールヌーヴォー風のアンティークな照明です。エミール・ガレの花瓶やルネ・ラリックの皿なども蒐集されていたそうですから、ロビーの照明もそのコレクションのひとつなのかもしれません。

    1階にはロシア最後の皇帝ニコライⅡ世の愛蔵品である2つの華麗なオルゴールが並んで展示されています。いわば、「ロマノフ家所縁の雌雄一対のオルゴール」と言えます。
    「ニコライⅡ世」と名付けられたオルゴールは、金のモールで意匠を凝らした漆塗りの黒檀のキャビネットにセーブル焼きの陶板3枚が嵌め込まれた、スイスのBaker & Troll 社製作(1878年)のシリンダー型オルゴールです。時のロシア皇帝アレクサンドルⅢ世が皇太子ニコライの10歳の誕生祝いのために特注した逸品です。
    1891(明治24)年、憧れの日本訪問中に大津事件に遭遇し、その後1918年に革命軍により家族共々エカテリンブルクにおいて銃殺され、悲劇の生涯を閉じた最後のロシア皇帝です。このニコライⅡ世のオルゴールは、1917年のロシア革命の後、外貨調達のために他の財宝と共に競売にかけられ、NY州のオルゴール愛好家Mrs.Bornand のコレクションに加えられていたものです。
    そうした世界中の好事家や蒐集狂が追いかけ回してきた垂涎の的が、六甲山の麓に存在するのは奇跡としか言いようがありません。

  • ロビー <br />「ニコライⅡ世」の左側にひっそりと寄り添って優雅な姿を魅せるのは、「ステラ・インペリアル・オーケストラル・グランド200」と呼ばれるディスク型オルゴールです。ニコライⅡ世最愛の皇妃アレクサンドラの女性的な曲線美を彷彿とさせる褐色のオルゴールで、アレクサンドラのためにパリの有名なデザイナーだったGustave Germainに製作させたケースに、スイスの名門Mermod Freres 社製のディスク型オルゴールを収めたものです。 <br />ニコライⅡ世は1894年のアレクサンドルⅢ世の死により皇帝の座に就き、翌年には恋仲だった皇女アレクサンドラ(英国ヴィクトリア女王の孫)と結婚しました。ニコライⅡ世は、フランス大統領カルノーと父アレクサンドルⅢ世が結んだ友好の印に1900 年のパリ万博に合わせてセーヌ川にアレクサンドルⅢ世橋を寄贈しています。ニコライⅡ世はこの時にオルゴールのケースの製作を依頼したものと考えられています。<br /> ニコライⅡ世は、職務の合間に部屋を訪れてアレックスとお茶を飲み、子供達と会話をし、一緒にオルゴールを聴いて愉しんでいました。オルゴールには125枚のディスクが残されており、歌曲や歌劇、民謡、フォークソングなど多岐に亘り、曲名が未詳な曲もあるそうです。<br />ロシア革命後、オルゴールはフローレンスのイタリア伯爵夫人の手に渡り、その後、1927年にアメリカに運ばれ、1950年にクリスティーズのオークションで2万5千ドルで落札されています。 <br />これら2つのオルゴールはクレムリン宮殿に所蔵されていたものであり、革命前夜のロマノフ王朝末期の優雅な生活を彩った歴史の生き証人でもあります。

    ロビー
    「ニコライⅡ世」の左側にひっそりと寄り添って優雅な姿を魅せるのは、「ステラ・インペリアル・オーケストラル・グランド200」と呼ばれるディスク型オルゴールです。ニコライⅡ世最愛の皇妃アレクサンドラの女性的な曲線美を彷彿とさせる褐色のオルゴールで、アレクサンドラのためにパリの有名なデザイナーだったGustave Germainに製作させたケースに、スイスの名門Mermod Freres 社製のディスク型オルゴールを収めたものです。
    ニコライⅡ世は1894年のアレクサンドルⅢ世の死により皇帝の座に就き、翌年には恋仲だった皇女アレクサンドラ(英国ヴィクトリア女王の孫)と結婚しました。ニコライⅡ世は、フランス大統領カルノーと父アレクサンドルⅢ世が結んだ友好の印に1900 年のパリ万博に合わせてセーヌ川にアレクサンドルⅢ世橋を寄贈しています。ニコライⅡ世はこの時にオルゴールのケースの製作を依頼したものと考えられています。
    ニコライⅡ世は、職務の合間に部屋を訪れてアレックスとお茶を飲み、子供達と会話をし、一緒にオルゴールを聴いて愉しんでいました。オルゴールには125枚のディスクが残されており、歌曲や歌劇、民謡、フォークソングなど多岐に亘り、曲名が未詳な曲もあるそうです。
    ロシア革命後、オルゴールはフローレンスのイタリア伯爵夫人の手に渡り、その後、1927年にアメリカに運ばれ、1950年にクリスティーズのオークションで2万5千ドルで落札されています。
    これら2つのオルゴールはクレムリン宮殿に所蔵されていたものであり、革命前夜のロマノフ王朝末期の優雅な生活を彩った歴史の生き証人でもあります。

  • ロビー 品玉人形<br />展示室の見学後は、ロビーにあるストリート・オルガンの演奏体験ができます。<br />大音響に参加者一同、吃驚ポンでした。この音が光男氏をオルゴールの虜にしたかと思うと、感慨深いものがあります。<br />世の中にお金持ちは星の数ほどいると思いますが、光男氏のように財をはたいて収集したコレクションを後世のために一般公開されるのはほんの一握りに限られます。これこそ、真の「ノブレス・オブリージュ」と言えるのではないでしょうか?<br /><br />『機巧図彙(からくりずい)』にも載っているゼンマイからくりです。品玉人形は、座敷からくりのひとつで、手品(奇術)を演じて見せるからくり人形です。右側は、玉手箱を開ける度に中の品物が変わるタイプのものです。「品玉」とは、今でいう手品の意です。<br />ゼンマイを用いた精巧な工芸品という繋がりで、ここに展示されているものと思われます。<br />2階の展示室の「からくり人形・オートマタ」エリアには、九代目玉屋庄兵衛作(2014年)「茶運人形」と「弓曵童子」が展示されています。

    ロビー 品玉人形
    展示室の見学後は、ロビーにあるストリート・オルガンの演奏体験ができます。
    大音響に参加者一同、吃驚ポンでした。この音が光男氏をオルゴールの虜にしたかと思うと、感慨深いものがあります。
    世の中にお金持ちは星の数ほどいると思いますが、光男氏のように財をはたいて収集したコレクションを後世のために一般公開されるのはほんの一握りに限られます。これこそ、真の「ノブレス・オブリージュ」と言えるのではないでしょうか?

    『機巧図彙(からくりずい)』にも載っているゼンマイからくりです。品玉人形は、座敷からくりのひとつで、手品(奇術)を演じて見せるからくり人形です。右側は、玉手箱を開ける度に中の品物が変わるタイプのものです。「品玉」とは、今でいう手品の意です。
    ゼンマイを用いた精巧な工芸品という繋がりで、ここに展示されているものと思われます。
    2階の展示室の「からくり人形・オートマタ」エリアには、九代目玉屋庄兵衛作(2014年)「茶運人形」と「弓曵童子」が展示されています。

  • ロビー 牛若丸と弁慶<br />九代玉屋庄兵衛氏は、1954年に生れ、25歳で7代目に弟子入りされました。1995年に玉屋庄兵衛を襲名し、1998年に江戸時代末期に田中久重が製作した「弓曳童子」を完全復元しています。また、2003年に日本の江戸からくりの代表作として、自身で製作した「茶運人形」を国立科学博物館に寄贈。更には、2005年、大英博物館に「茶運人形」を寄贈、所蔵している『機匠図彙』と共に日本文化常設館に展示されています。同年、愛・地球博において「唐子指南車」を制作。近年では、2014年に「愛知の名工」(愛知県優秀技能者表彰)として表彰され、2015年には京都市より「祇園祭山鉾行事功労者」として表彰されています。同年、「現代の名工」(卓越した技能者表彰)として厚生労働大臣より表彰されています。<br /><br />博物館を堪能した後は、7代小川治兵衛氏の作庭と伝わる800坪の庭園を散策します。見るだけでなく、そこを自由に散策できるとは吃驚ポンです!足立美術館も見習っていただきたいものですね!<br />この続きは、青嵐薫風 苦楽園逍遥(後編)堀江オルゴール博物館・街ある記でお届けいたします。

    ロビー 牛若丸と弁慶
    九代玉屋庄兵衛氏は、1954年に生れ、25歳で7代目に弟子入りされました。1995年に玉屋庄兵衛を襲名し、1998年に江戸時代末期に田中久重が製作した「弓曳童子」を完全復元しています。また、2003年に日本の江戸からくりの代表作として、自身で製作した「茶運人形」を国立科学博物館に寄贈。更には、2005年、大英博物館に「茶運人形」を寄贈、所蔵している『機匠図彙』と共に日本文化常設館に展示されています。同年、愛・地球博において「唐子指南車」を制作。近年では、2014年に「愛知の名工」(愛知県優秀技能者表彰)として表彰され、2015年には京都市より「祇園祭山鉾行事功労者」として表彰されています。同年、「現代の名工」(卓越した技能者表彰)として厚生労働大臣より表彰されています。

    博物館を堪能した後は、7代小川治兵衛氏の作庭と伝わる800坪の庭園を散策します。見るだけでなく、そこを自由に散策できるとは吃驚ポンです!足立美術館も見習っていただきたいものですね!
    この続きは、青嵐薫風 苦楽園逍遥(後編)堀江オルゴール博物館・街ある記でお届けいたします。

この旅行記のタグ

関連タグ

878いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから国内旅行記(ブログ)を探す

価格.com旅行・トラベルホテル・旅館を比較

PAGE TOP