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 多くの旅人にとって、ロシアの鉄道と言われて真っ先に思い浮かべるのは、言うまでもなくシベリア鉄道だろう。看板列車「ロシア号」は、ウラジオストク?モスクワ間、約9300キロの行程を6泊7日かけて走破する。しかし、何かと忙しい日本人にとって、これだけの時間を取って旅をするチャンスを作ることは、かなり難しい。<br /><br /> 一方、ロシアは広大であるとともに、多くの国と陸続きでもあるので、そのうちのかなりの国々と鉄道で直接結ばれている。日本から別の国に行く際は、空路か海路しかないので、陸路で国境を超えることは、他の海外旅行と比べてもなかなか得難い、貴重な体験ではないかと思う。<br /><br /> 特に欧州への鉄道は、かつて体制が違った、いわゆる「東西国境」を越えるため、車窓の変化も、またある意味、厳重な国境検査も楽しめる上、乗車時間は1泊2日、または2泊3日で全線乗車できる。このロシア?欧州間を結ぶ鉄道の魅力は、日本の旅好きの皆さんにも、もっと知ってもらっても良いのではないか。その関心から、私は2013年11月に、モスクワからベルリンまでの「モスクワ・ベルリン・パリ号」(第23列車)に体験乗車した。その旅行記は、本JICインフォメーション第179号(2014年4月10日)・第180号(2014年7月10日)に掲載しているので、関心ある方は手に取ってみてほしい。<br /><br /><br />■ロシア鉄道がモスクワ‐ベルリン間に新列車を運行<br /><br /> 2016年12月11日から、ロシア鉄道は、モスクワ?ベルリン間で、新たな列車「ストリージィ(スイフト=アマツバメ)」号(第13/14列車)の運行を開始した。この列車に投入されるのは、スペイン製の軌道可変連接車両「タルゴ9」タイプ客車で、軌道の幅が異なる(ロシア・ベラルーシ=広軌1520mm・欧州=標準軌1435mm)区間を、台車交換の必要なく切り替えて走行できる、いわゆる「フリーゲージトレイン」だ。これまで、ベラルーシ・ブレストの専用施設で、1時間以上かけて行っていた台車交換の必要がなくなり、高速走行に適した連接構造(車両と車両の間に台車がある)も相まって、モスクワ?ベルリン間で西(ベルリン)行きで約4時間半、東(モスクワ)行きで約5時間半の所要時間の短縮が実現したという。<br /><br /> 日本でも一部報道はされたものの、まだほとんど知られていないこの列車を体験し、未来の旅人達にその魅力を知ってもらいたい、との思いで、11月24日、一路アエロフロートでモスクワに飛んだ。<br /><br />約10時間のフライト時間は、ボリュームある2回の機内食と、邦画・吹き替えの洋画数本と楽しんでいるうちにあっという間に過ぎ、モスクワ時間で17時、マイナス10度まで冷え込んだ、小雪がちらつくモスクワに降り立った。<br /><br /> シェレメチェヴォ空港Dターミナルビルから動く歩道で約15分、空港連絡列車「アエロエクスプレス」駅に到着。券売機はロシア語・英語・中国語に対応しており、カード利用可。運賃はスタンダード420ルーブル、ビジネスクラス1000ルーブル。チケットを取り、自動改札にバーコードをかざすとゲートが開く。ゲートの向こうにある、行き止まり式のホームに停車する列車は8両編成。改札口に最も近い(空港側)1号車がビジネスクラス。乗車時にボタンを押してドアを開ける。座席はスタンダード・ビジネス共に固定座席で、スタンダードは通路をはさんで片側2列+3列ずつ、ビジネスは2列ずつ。トイレも設置されている。車内は無料wifiが設置されているが、SNSを通じた登録が必要だ。ドリンクや軽食の車内販売も回ってくる。30分おきの運行で、所要時間は35分、ノンストップで、モスクワ中心から北西部に位置するベラルスキー駅に到着した。<br /><br />明日の列車もこのベラルスキー駅から出発するので、この日の宿は、駅から徒歩3分の場所にある「グランド・ベラルスカヤ」を予約した。4階の405号室はシングルルームで、日本のビジネスホテルよりも心持ち広いくらいの大きさだが、ベラルスキー駅の広場を一望できる、眺めの良い部屋。このホテルはどの部屋もバスタブはないらしいが、それにこだわるのは日本人くらいだろう。個別空調や液晶テレビ、ポットや冷蔵庫、ドライヤーといった必要な備品はそろっており、wifiももちろん無料、贅沢に過ごそうと思わなければ、十分快適だ。<br /><br /> 翌朝の「ストリージィ」号の出発時刻は午前11時19分。駅は目の前なので、安心してゆっくり朝食を取った。バイキング形式だが品数はそれなり。エコノミーなホテルなので欲は言えないが、ここ最近、ロシア国内のどのホテルでも、朝食の野菜類の品数が、数年前に比べて明らかに減った印象がある。やはり対ロシア経済制裁の影響だろうか。<br /><br /> 10時前にホテルをチェックアウトし、目前の大通りをくぐる地下道を抜けるとすぐにベラルスキー駅に出る。駅正面の、屋根にキューポラの付いた入口は、昨日降り立ったアエロエクスプレス専用口で、その左手が長距離列車の入口になっている。反対の右手は近郊電車(エレクトリチカ)の入口だ。左手に向かい、奥の入口に入ると、まずセキュリティゲートがあり、手荷物をX線検査機に通す必要がある。この駅から出るのは国際列車だけではないが、すべての長距離列車利用客に対して手荷物検査を実施しているのは国情なので仕方ない。そこを抜けると、1階が長距離切符売り場と食品・飲料・土産物などを扱う複数の売店、ATMと、ホームへの出口があり、エスカレーターで上がった2階が待合室になっている。待合室にも複数の売店、軽食・コーヒースタンド、キッズコーナーまである。待合室にも列車の電光掲示板があり、出発便についてのアナウンスが絶え間なく放送されている。2階からホームを眺めると、既に、目指す「ストリージィ」号は3番ホームに入線している。再び1階に降りて、ホームに出ることにする。発車時間に関係なく、ホームに出ることはできるようだが、寒空のためか、発車30分前の乗車開始時刻になるまで、他の旅客は誰もホームには出てこなかった。

鉄路は続くPART2 ?モスクワ?ベルリン国際寝台急行列車「ストリージィ(スイフト)」号の旅(1)

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2017/11/24 - 2017/11/29

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 多くの旅人にとって、ロシアの鉄道と言われて真っ先に思い浮かべるのは、言うまでもなくシベリア鉄道だろう。看板列車「ロシア号」は、ウラジオストク?モスクワ間、約9300キロの行程を6泊7日かけて走破する。しかし、何かと忙しい日本人にとって、これだけの時間を取って旅をするチャンスを作ることは、かなり難しい。

 一方、ロシアは広大であるとともに、多くの国と陸続きでもあるので、そのうちのかなりの国々と鉄道で直接結ばれている。日本から別の国に行く際は、空路か海路しかないので、陸路で国境を超えることは、他の海外旅行と比べてもなかなか得難い、貴重な体験ではないかと思う。

 特に欧州への鉄道は、かつて体制が違った、いわゆる「東西国境」を越えるため、車窓の変化も、またある意味、厳重な国境検査も楽しめる上、乗車時間は1泊2日、または2泊3日で全線乗車できる。このロシア?欧州間を結ぶ鉄道の魅力は、日本の旅好きの皆さんにも、もっと知ってもらっても良いのではないか。その関心から、私は2013年11月に、モスクワからベルリンまでの「モスクワ・ベルリン・パリ号」(第23列車)に体験乗車した。その旅行記は、本JICインフォメーション第179号(2014年4月10日)・第180号(2014年7月10日)に掲載しているので、関心ある方は手に取ってみてほしい。


■ロシア鉄道がモスクワ‐ベルリン間に新列車を運行

 2016年12月11日から、ロシア鉄道は、モスクワ?ベルリン間で、新たな列車「ストリージィ(スイフト=アマツバメ)」号(第13/14列車)の運行を開始した。この列車に投入されるのは、スペイン製の軌道可変連接車両「タルゴ9」タイプ客車で、軌道の幅が異なる(ロシア・ベラルーシ=広軌1520mm・欧州=標準軌1435mm)区間を、台車交換の必要なく切り替えて走行できる、いわゆる「フリーゲージトレイン」だ。これまで、ベラルーシ・ブレストの専用施設で、1時間以上かけて行っていた台車交換の必要がなくなり、高速走行に適した連接構造(車両と車両の間に台車がある)も相まって、モスクワ?ベルリン間で西(ベルリン)行きで約4時間半、東(モスクワ)行きで約5時間半の所要時間の短縮が実現したという。

 日本でも一部報道はされたものの、まだほとんど知られていないこの列車を体験し、未来の旅人達にその魅力を知ってもらいたい、との思いで、11月24日、一路アエロフロートでモスクワに飛んだ。

約10時間のフライト時間は、ボリュームある2回の機内食と、邦画・吹き替えの洋画数本と楽しんでいるうちにあっという間に過ぎ、モスクワ時間で17時、マイナス10度まで冷え込んだ、小雪がちらつくモスクワに降り立った。

 シェレメチェヴォ空港Dターミナルビルから動く歩道で約15分、空港連絡列車「アエロエクスプレス」駅に到着。券売機はロシア語・英語・中国語に対応しており、カード利用可。運賃はスタンダード420ルーブル、ビジネスクラス1000ルーブル。チケットを取り、自動改札にバーコードをかざすとゲートが開く。ゲートの向こうにある、行き止まり式のホームに停車する列車は8両編成。改札口に最も近い(空港側)1号車がビジネスクラス。乗車時にボタンを押してドアを開ける。座席はスタンダード・ビジネス共に固定座席で、スタンダードは通路をはさんで片側2列+3列ずつ、ビジネスは2列ずつ。トイレも設置されている。車内は無料wifiが設置されているが、SNSを通じた登録が必要だ。ドリンクや軽食の車内販売も回ってくる。30分おきの運行で、所要時間は35分、ノンストップで、モスクワ中心から北西部に位置するベラルスキー駅に到着した。

明日の列車もこのベラルスキー駅から出発するので、この日の宿は、駅から徒歩3分の場所にある「グランド・ベラルスカヤ」を予約した。4階の405号室はシングルルームで、日本のビジネスホテルよりも心持ち広いくらいの大きさだが、ベラルスキー駅の広場を一望できる、眺めの良い部屋。このホテルはどの部屋もバスタブはないらしいが、それにこだわるのは日本人くらいだろう。個別空調や液晶テレビ、ポットや冷蔵庫、ドライヤーといった必要な備品はそろっており、wifiももちろん無料、贅沢に過ごそうと思わなければ、十分快適だ。

 翌朝の「ストリージィ」号の出発時刻は午前11時19分。駅は目の前なので、安心してゆっくり朝食を取った。バイキング形式だが品数はそれなり。エコノミーなホテルなので欲は言えないが、ここ最近、ロシア国内のどのホテルでも、朝食の野菜類の品数が、数年前に比べて明らかに減った印象がある。やはり対ロシア経済制裁の影響だろうか。

 10時前にホテルをチェックアウトし、目前の大通りをくぐる地下道を抜けるとすぐにベラルスキー駅に出る。駅正面の、屋根にキューポラの付いた入口は、昨日降り立ったアエロエクスプレス専用口で、その左手が長距離列車の入口になっている。反対の右手は近郊電車(エレクトリチカ)の入口だ。左手に向かい、奥の入口に入ると、まずセキュリティゲートがあり、手荷物をX線検査機に通す必要がある。この駅から出るのは国際列車だけではないが、すべての長距離列車利用客に対して手荷物検査を実施しているのは国情なので仕方ない。そこを抜けると、1階が長距離切符売り場と食品・飲料・土産物などを扱う複数の売店、ATMと、ホームへの出口があり、エスカレーターで上がった2階が待合室になっている。待合室にも複数の売店、軽食・コーヒースタンド、キッズコーナーまである。待合室にも列車の電光掲示板があり、出発便についてのアナウンスが絶え間なく放送されている。2階からホームを眺めると、既に、目指す「ストリージィ」号は3番ホームに入線している。再び1階に降りて、ホームに出ることにする。発車時間に関係なく、ホームに出ることはできるようだが、寒空のためか、発車30分前の乗車開始時刻になるまで、他の旅客は誰もホームには出てこなかった。

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  • ■新列車「ストリージィ」号<br /><br /> べラルスキー駅3番ホームに停車中の「ストリージィ」号を、じっくり観察してみる。スペイン製の軌道可変連接車両「タルゴ9」タイプ客車の先頭に立つのは、フランス・アルストムの技術協力で開発されたロシア鉄道のEP-20型電気機関車。長大な20両編成を単機で牽引する。この「タルゴ9」タイプ客車は連接台車方式で、車輪は客車と客車の間に1軸ずつしかなく、台車の中央には「Talgo」の赤いロゴが刻まれている。また低床(重心も低い)のため、他のロシア鉄道の車両よりも屋根が低く、コンパクトに見える。<br /><br />編成を前から見ていくと、機関車から順に、電源車(210号車)、2等寝台車5両(211号車~215号車)、1等座席車2両(216~217号車)、ブッフェ/キッチンカ―(218号車)、食堂車(219号車)、1等寝台車4両(220~223号車)、リュクス(デラックス)&2等バリアフリー寝台車(224号車)・リュクス寝台車(225号車)・リュクス&2等バリアフリー寝台車(226号車)・リュクス寝台車(227号車)・リュクス&2等バリアフリー寝台車(228号車)・電源車(229号車)の計20両からなる。<br /><br />キャリーケースとカメラを片手に、ホームを行ったり来たりしているうちに、10時50分に乗車開始のアナウンスが鳴り響いた。指定されたリュクス寝台車・225号車に向かう。まず、ドア前に陣取った車掌による、パスポートとチケットのチェックがある。特にベラルーシのビザを持っているかを入念に確かめられた。自分の後ろに続く乗客がいないようなので、これからしばらくお世話になる車掌と親しくなろうと思い、自己紹介をする。自分は日本の旅行会社の社員で、この列車を日本のお客さんに紹介したくてこの列車に乗ることにした、と話しかけると、若い車掌は喜んで、気さくに応じてくれた。<br /><br />そして、日本の新幹線はすごいそうじゃないか、最高時速は何キロくらいなのか、などと質問された、更にこちらから建設中のリニア中央新幹線のことを話すと、非常に驚いた様子だった。辺りを見回すと、車両ごとに立っている車掌は全員ロシア鉄道のユニフォームを着用しており、2013年に乗車したパリ行きの第23列車と違い、ロシア鉄道の車掌しか乗務していない様子だ。

    ■新列車「ストリージィ」号

     べラルスキー駅3番ホームに停車中の「ストリージィ」号を、じっくり観察してみる。スペイン製の軌道可変連接車両「タルゴ9」タイプ客車の先頭に立つのは、フランス・アルストムの技術協力で開発されたロシア鉄道のEP-20型電気機関車。長大な20両編成を単機で牽引する。この「タルゴ9」タイプ客車は連接台車方式で、車輪は客車と客車の間に1軸ずつしかなく、台車の中央には「Talgo」の赤いロゴが刻まれている。また低床(重心も低い)のため、他のロシア鉄道の車両よりも屋根が低く、コンパクトに見える。

    編成を前から見ていくと、機関車から順に、電源車(210号車)、2等寝台車5両(211号車~215号車)、1等座席車2両(216~217号車)、ブッフェ/キッチンカ―(218号車)、食堂車(219号車)、1等寝台車4両(220~223号車)、リュクス(デラックス)&2等バリアフリー寝台車(224号車)・リュクス寝台車(225号車)・リュクス&2等バリアフリー寝台車(226号車)・リュクス寝台車(227号車)・リュクス&2等バリアフリー寝台車(228号車)・電源車(229号車)の計20両からなる。

    キャリーケースとカメラを片手に、ホームを行ったり来たりしているうちに、10時50分に乗車開始のアナウンスが鳴り響いた。指定されたリュクス寝台車・225号車に向かう。まず、ドア前に陣取った車掌による、パスポートとチケットのチェックがある。特にベラルーシのビザを持っているかを入念に確かめられた。自分の後ろに続く乗客がいないようなので、これからしばらくお世話になる車掌と親しくなろうと思い、自己紹介をする。自分は日本の旅行会社の社員で、この列車を日本のお客さんに紹介したくてこの列車に乗ることにした、と話しかけると、若い車掌は喜んで、気さくに応じてくれた。

    そして、日本の新幹線はすごいそうじゃないか、最高時速は何キロくらいなのか、などと質問された、更にこちらから建設中のリニア中央新幹線のことを話すと、非常に驚いた様子だった。辺りを見回すと、車両ごとに立っている車掌は全員ロシア鉄道のユニフォームを着用しており、2013年に乗車したパリ行きの第23列車と違い、ロシア鉄道の車掌しか乗務していない様子だ。

  • ■清潔・快適!2 名用客室 <br /><br /> 早速、これから約20時間の間を過ごす我が「城」を検分することにする。今回の利用はリュクスの11番ベッドで、車端の2名用コンパートメントを1人で占有する形になる。各コンパートメントのドア通路側には、停車駅の名前と景観をあしらったカラフルなイラストが描かれている。室内には2人掛けの座席が並んでいて、ヘッドカバーにはSWIFTとロゴマークと英文字がプリントしてある。壁面にはオンデマンドで数本の映画(ただしロシア語のみ)が楽しめるモニターと、暗証番号方式のセーフティボックス、それに専用シャワー&トイレのドアがある。<br /><br />開けると、左手に便座、右手に洗面台、奥がシャワーになっていて、透明ビニールのシャワーカーテンがかかっている。洗面台の上にはデンタルキットなどが入ったポーチ、スリッパが赤青2色で2セットある。トイレは新幹線などと同じ、圧縮空気で吸い込む形式。ドア横には小さな備え付けのゴミ箱。トイレ内にも小さなゴミ箱が設置されている。シャワードアの横には折り畳み式の階段(梯子ではない)があり、階段で2段ベッドに上がれる構造になっている。<br /><br />机は小さめで、イヤホン2組、案内パンフレット、バーのメニュー、非常出口案内、瓶入りミネラルウォーター1本。コップの備え付けは室内にはなく、洗面台の上にガラスコップが2つ設置されている。全ての照明はLEDだ。220ボルトの電源プラグはトイレ内に1箇所、コンパートメント内に2箇所(窓側と通路側)。ベッドごとに1か所ずつ割り当てられている。ドアには機械式(穴のあいたプラスチック製のカードを抜き差しして解錠する)のカードキーがあり、外出時も安心だが、オートロック式なので、とじ込みに注意しなければならない。<br /><br />コンパートメント内には車掌を呼び出すブザーがある。ベッドは希望するときに、車掌を呼び出してセッティングしてもらうようだ。車端に1か所、電気式の給湯器があり。そばには使い捨ての耐熱プラスチックコップが設置されている。ただしお湯はぬるめで、カップ麺を作るには少し物足りない。給湯器上部には日時・速度・室内温度・停車駅を表示する電光掲示板が設置されている。

    ■清潔・快適!2 名用客室

     早速、これから約20時間の間を過ごす我が「城」を検分することにする。今回の利用はリュクスの11番ベッドで、車端の2名用コンパートメントを1人で占有する形になる。各コンパートメントのドア通路側には、停車駅の名前と景観をあしらったカラフルなイラストが描かれている。室内には2人掛けの座席が並んでいて、ヘッドカバーにはSWIFTとロゴマークと英文字がプリントしてある。壁面にはオンデマンドで数本の映画(ただしロシア語のみ)が楽しめるモニターと、暗証番号方式のセーフティボックス、それに専用シャワー&トイレのドアがある。

    開けると、左手に便座、右手に洗面台、奥がシャワーになっていて、透明ビニールのシャワーカーテンがかかっている。洗面台の上にはデンタルキットなどが入ったポーチ、スリッパが赤青2色で2セットある。トイレは新幹線などと同じ、圧縮空気で吸い込む形式。ドア横には小さな備え付けのゴミ箱。トイレ内にも小さなゴミ箱が設置されている。シャワードアの横には折り畳み式の階段(梯子ではない)があり、階段で2段ベッドに上がれる構造になっている。

    机は小さめで、イヤホン2組、案内パンフレット、バーのメニュー、非常出口案内、瓶入りミネラルウォーター1本。コップの備え付けは室内にはなく、洗面台の上にガラスコップが2つ設置されている。全ての照明はLEDだ。220ボルトの電源プラグはトイレ内に1箇所、コンパートメント内に2箇所(窓側と通路側)。ベッドごとに1か所ずつ割り当てられている。ドアには機械式(穴のあいたプラスチック製のカードを抜き差しして解錠する)のカードキーがあり、外出時も安心だが、オートロック式なので、とじ込みに注意しなければならない。

    コンパートメント内には車掌を呼び出すブザーがある。ベッドは希望するときに、車掌を呼び出してセッティングしてもらうようだ。車端に1か所、電気式の給湯器があり。そばには使い捨ての耐熱プラスチックコップが設置されている。ただしお湯はぬるめで、カップ麺を作るには少し物足りない。給湯器上部には日時・速度・室内温度・停車駅を表示する電光掲示板が設置されている。

  • ■駅のアナウンスなく静かに発車<br /><br /> 定刻より1分早く、11時18分にドアが閉まる音がする。ホームも車内アナウンスもなく、定刻11時19分に、列車は静かにベラルスキー駅を出発した。<br /><br /> 発車後すぐに車掌が回ってくる。まず再び、ベラルーシとシェンゲン(欧州)ビザの所持を確認される(日本人はシェンゲンビザ不要、と説明し納得)。そして、コンパートメント内の備品について一つ一つ丁寧に説明され、乗車券は回収される。<br /><br /> 車内にはwi-fiがあり、利用は無料。パソコンやスマートフォンでブラウザを立ち上げると、列車の現在位置と速度、車内設備や食堂車のメニューなどを表示する初期画面が表示される。このページを見ている限り登録は必要ないが、ネットサーフィンをしようとすると、登録画面からロシアの携帯番号のSMS経由で認証を取らなければならず、ロシアの電話回線を持っていないと事実上使うことができない。<br /><br /> 発車後しばらく、モスクワ市内を時速50キロくらいでゆっくり走行する。モスクワと郊外を隔てる環状道路と、沿道の巨大ショッピングモールが見えると、もうモスクワ市とはお別れだ。発車後40分ほどすると車窓から郊外の高層アパート群が目につかなくなり、代わりに一軒家がちらほら見えるようになる。同時に列車も徐々にスピードを上げ始める。そして発車後1時間もすると住宅もまばらになり、列車は時速120キロ以上で疾走する。<br /><br /> ほどなく、先ほどの車掌がもう1人を伴って、土産物を乗せたワゴンを押してやってくる。物見遊山の外国人と認められてしまったようだ。彼らにインセンティブがあるのか、ロシア鉄道のグッズを熱心に売り込まれる。勢いに押され、1本150ルーブルのストリージィのロゴ入りボールペンを7本、300ルーブルのロシア鉄道オリジナルマグカップ1個を買う。カード支払い可。<br /><br />(つづく)

    ■駅のアナウンスなく静かに発車

     定刻より1分早く、11時18分にドアが閉まる音がする。ホームも車内アナウンスもなく、定刻11時19分に、列車は静かにベラルスキー駅を出発した。

     発車後すぐに車掌が回ってくる。まず再び、ベラルーシとシェンゲン(欧州)ビザの所持を確認される(日本人はシェンゲンビザ不要、と説明し納得)。そして、コンパートメント内の備品について一つ一つ丁寧に説明され、乗車券は回収される。

     車内にはwi-fiがあり、利用は無料。パソコンやスマートフォンでブラウザを立ち上げると、列車の現在位置と速度、車内設備や食堂車のメニューなどを表示する初期画面が表示される。このページを見ている限り登録は必要ないが、ネットサーフィンをしようとすると、登録画面からロシアの携帯番号のSMS経由で認証を取らなければならず、ロシアの電話回線を持っていないと事実上使うことができない。

     発車後しばらく、モスクワ市内を時速50キロくらいでゆっくり走行する。モスクワと郊外を隔てる環状道路と、沿道の巨大ショッピングモールが見えると、もうモスクワ市とはお別れだ。発車後40分ほどすると車窓から郊外の高層アパート群が目につかなくなり、代わりに一軒家がちらほら見えるようになる。同時に列車も徐々にスピードを上げ始める。そして発車後1時間もすると住宅もまばらになり、列車は時速120キロ以上で疾走する。

     ほどなく、先ほどの車掌がもう1人を伴って、土産物を乗せたワゴンを押してやってくる。物見遊山の外国人と認められてしまったようだ。彼らにインセンティブがあるのか、ロシア鉄道のグッズを熱心に売り込まれる。勢いに押され、1本150ルーブルのストリージィのロゴ入りボールペンを7本、300ルーブルのロシア鉄道オリジナルマグカップ1個を買う。カード支払い可。

    (つづく)

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