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今回のヴェトナム訪問では、ニンビンでチャターしたタクシーでホー王朝の城跡を先に訪れたが、紙面の都合上先にチャンアンの景観関連遺産について書いた。この旅行記でホー王朝の城跡について、またハノイへの帰途で利用したヴェトナム国鉄についてご紹介しておく。<br /><br />ホー王朝の城跡は、1400年にベトナムに誕生したホー王朝の遺跡である。ホー王朝は14世紀まで栄えた陳朝が勢力を失い乱れる中で、勢力を伸ばした胡季犛が陳朝を倒し、自らが皇帝として即位した。しかし粛清と簒奪を繰り返したため人民の信を失って、陳朝の復権とその皇族の即位を要求した明と対立し侵攻されて、あっけなく7年で没落した。しかし短い期間に10~20トンもある巨石を積み上げ、巨大な城を構えた。現存しているのは四方の城門だけで、残念ながら城郭の建屋は残されていない。城壁の内部は水田になっており、牛がのんびりと草を食んでいた。<br /><br />城門の隣に資料館が併設されており発掘された城郭の一部や復元模型などが展示されている。ここでオークランド大学とハノイ大学で考古学を専攻し、ヴェトナムの世界遺産についての論文を作成中だという研究者のNamさんからインタビューを受けた。私が既に200ヶ所以上の世界遺産を巡っていることを話すと、質問責めにあってしまった。時間が限られているので早々に切り上げたかったが、ヴェトナムの世界遺産を世界に紹介したいという熱意にほだされて、欧米亜の印象に残った世界遺産についてその保存や紹介、展示の方法についてかなりの時間会話を交わした。彼とはFacebookで繋がっており、論文完成時には一報頂けることになっている。<br /><br />さて、ニンビンからハノイへの移動にはヴェトナム国鉄を利用、前日に予約を入れておいた。この区間は日に6便しかなく、地元の人だけではなく海外の旅行者の利用も多いため常に満席状態であるという。料金は86,000ドン(約430円)と格安で、ディーゼル機関車が客車を牽引する、日本にはほとんどなくなってしまった列車編成で、移動時間は前日利用したリムジンバスの倍の2時間30分ほどかかるが、旅情を掻き立てることこの上ない。隣に座った女性は日本に行ったことがあり片言の日本語を話し、日本語を教えてほしいというので、時間の許す限りお相手をした。この6便のうち5便はホーチミン・シティから約30時間をかけてやって来るそうで、鉄道ファンには人気の路線であるというのも頷ける。<br /><br />ヴェトナム国鉄の総延長距離は約2,600kmと日本の約10分の1、国土面積が日本の約90%であるのに比べて鉄道の発達度は高くはない。全線非電化でゲージはタイ、マレーシア、ラオスなどと共通の1,000mm、日本の在来線の1,067mmより更に狭く高速化は望めない。ほとんどが東ヨーロッパ製のディーゼル機関車で500馬力、最高速度50km/hと性能は低い。近年ベルギー製、中国製が導入され、最高速度は70km/hに改善された。路線は1975年まで続いたヴェトナム戦争で大きな被害を受けたが、戦後、統一鉄道と呼ばれるハノイ-ホーチミン・シティ間1,726kmは最優先で整備が進められた。少なくとも小生が乗車したニンビン-ハノイ間はPC枕木を使用した近代化された線路で、恐らく最高速度は70km/h程度で走行していた。ホテルのフロントでも確認したが時間は非常に正確で、単線でゆっくりと走ることを考慮しても、ヴェトナム人の几帳面さを象徴していると思う。将来は高速鉄道建設の計画があり日本への協力も要請されたそうだが、需要とコストの点で実現は課題が多いことだろう。<br /><br />最後にハノイ・ノイバイ国際空港について。日本のODA支援により国際線新ターミナルは大成建設が施工し2015年1月に開港、旅客処理能力は、これまでの年600万人から1600万人となった。ガラス張りの近代的ターミナルビルは以前の社会主義国的な薄暗さを一新させてくれ、レストランや免税店なども以前とは比較にならないほど華やかになった。ただハノイ市へのアクセスは相変わらずタクシーが主であるが、2016年から運行を開始した新型のオレンジ色の86番路線バスは30,000ドン(約150円)と他の路線バスの倍以上の値段だが、約30分間隔、所要時間約50分でハノイ駅に直行し最もお勧めではある。

ヴェトナムの世界遺産No.7:ホー王朝の城跡を訪れ、ニンビンからハノイへ鉄道旅行を楽しむ

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2017/10/07 - 2017/10/08

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ハンク

ハンクさん

今回のヴェトナム訪問では、ニンビンでチャターしたタクシーでホー王朝の城跡を先に訪れたが、紙面の都合上先にチャンアンの景観関連遺産について書いた。この旅行記でホー王朝の城跡について、またハノイへの帰途で利用したヴェトナム国鉄についてご紹介しておく。

ホー王朝の城跡は、1400年にベトナムに誕生したホー王朝の遺跡である。ホー王朝は14世紀まで栄えた陳朝が勢力を失い乱れる中で、勢力を伸ばした胡季犛が陳朝を倒し、自らが皇帝として即位した。しかし粛清と簒奪を繰り返したため人民の信を失って、陳朝の復権とその皇族の即位を要求した明と対立し侵攻されて、あっけなく7年で没落した。しかし短い期間に10~20トンもある巨石を積み上げ、巨大な城を構えた。現存しているのは四方の城門だけで、残念ながら城郭の建屋は残されていない。城壁の内部は水田になっており、牛がのんびりと草を食んでいた。

城門の隣に資料館が併設されており発掘された城郭の一部や復元模型などが展示されている。ここでオークランド大学とハノイ大学で考古学を専攻し、ヴェトナムの世界遺産についての論文を作成中だという研究者のNamさんからインタビューを受けた。私が既に200ヶ所以上の世界遺産を巡っていることを話すと、質問責めにあってしまった。時間が限られているので早々に切り上げたかったが、ヴェトナムの世界遺産を世界に紹介したいという熱意にほだされて、欧米亜の印象に残った世界遺産についてその保存や紹介、展示の方法についてかなりの時間会話を交わした。彼とはFacebookで繋がっており、論文完成時には一報頂けることになっている。

さて、ニンビンからハノイへの移動にはヴェトナム国鉄を利用、前日に予約を入れておいた。この区間は日に6便しかなく、地元の人だけではなく海外の旅行者の利用も多いため常に満席状態であるという。料金は86,000ドン(約430円)と格安で、ディーゼル機関車が客車を牽引する、日本にはほとんどなくなってしまった列車編成で、移動時間は前日利用したリムジンバスの倍の2時間30分ほどかかるが、旅情を掻き立てることこの上ない。隣に座った女性は日本に行ったことがあり片言の日本語を話し、日本語を教えてほしいというので、時間の許す限りお相手をした。この6便のうち5便はホーチミン・シティから約30時間をかけてやって来るそうで、鉄道ファンには人気の路線であるというのも頷ける。

ヴェトナム国鉄の総延長距離は約2,600kmと日本の約10分の1、国土面積が日本の約90%であるのに比べて鉄道の発達度は高くはない。全線非電化でゲージはタイ、マレーシア、ラオスなどと共通の1,000mm、日本の在来線の1,067mmより更に狭く高速化は望めない。ほとんどが東ヨーロッパ製のディーゼル機関車で500馬力、最高速度50km/hと性能は低い。近年ベルギー製、中国製が導入され、最高速度は70km/hに改善された。路線は1975年まで続いたヴェトナム戦争で大きな被害を受けたが、戦後、統一鉄道と呼ばれるハノイ-ホーチミン・シティ間1,726kmは最優先で整備が進められた。少なくとも小生が乗車したニンビン-ハノイ間はPC枕木を使用した近代化された線路で、恐らく最高速度は70km/h程度で走行していた。ホテルのフロントでも確認したが時間は非常に正確で、単線でゆっくりと走ることを考慮しても、ヴェトナム人の几帳面さを象徴していると思う。将来は高速鉄道建設の計画があり日本への協力も要請されたそうだが、需要とコストの点で実現は課題が多いことだろう。

最後にハノイ・ノイバイ国際空港について。日本のODA支援により国際線新ターミナルは大成建設が施工し2015年1月に開港、旅客処理能力は、これまでの年600万人から1600万人となった。ガラス張りの近代的ターミナルビルは以前の社会主義国的な薄暗さを一新させてくれ、レストランや免税店なども以前とは比較にならないほど華やかになった。ただハノイ市へのアクセスは相変わらずタクシーが主であるが、2016年から運行を開始した新型のオレンジ色の86番路線バスは30,000ドン(約150円)と他の路線バスの倍以上の値段だが、約30分間隔、所要時間約50分でハノイ駅に直行し最もお勧めではある。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
ホテル
4.0
交通
3.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
エアアジア
旅行の手配内容
個別手配
  • ホー王朝の石造りの城門

    ホー王朝の石造りの城門

  • ホー王朝の石造りの城門

    ホー王朝の石造りの城門

  • ホー王朝の石造りの城門と周囲の草原

    ホー王朝の石造りの城門と周囲の草原

  • ホー王朝遺跡の反対側の城門

    ホー王朝遺跡の反対側の城門

  • ホー王朝遺跡博物館

    ホー王朝遺跡博物館

  • ホー王朝遺跡博物館内部の模型

    ホー王朝遺跡博物館内部の模型

  • ホー王朝遺跡博物館の発掘品の展示

    ホー王朝遺跡博物館の発掘品の展示

  • ホー王朝遺跡博物館の展示

    ホー王朝遺跡博物館の展示

  • ホー王朝遺跡博物館にはためくヴェトナム国旗

    ホー王朝遺跡博物館にはためくヴェトナム国旗

  • インドと同様の風景

    インドと同様の風景

  • ニンビン市街中心部のクィーンホテル

    ニンビン市街中心部のクィーンホテル

  • ニンビン市街中心部のクィーンホテルのフロント

    ニンビン市街中心部のクィーンホテルのフロント

  • クィーンホテルの親切なフロントデスク’

    クィーンホテルの親切なフロントデスク’

  • ニンビン市街中心部のクィーンホテルからの眺め

    ニンビン市街中心部のクィーンホテルからの眺め

  • ニンビン駅のファサード

    ニンビン駅のファサード

  • ニンビン駅の待合室

    ニンビン駅の待合室

  • ニンビンからハノイ行きの指定席券、86,000ドン

    ニンビンからハノイ行きの指定席券、86,000ドン

  • ゆっくりと入線するハノイ行き列車

    ゆっくりと入線するハノイ行き列車

  • ゆっくりと入線するハノイ行き列車

    ゆっくりと入線するハノイ行き列車

  • 客車の内部、ほぼ満席

    客車の内部、ほぼ満席

  • ハノイ駅に到着した列車

    ハノイ駅に到着した列車

  • 機関車を切り離した客車

    機関車を切り離した客車

  • ハノイ駅の内部

    ハノイ駅の内部

  • ハノイ駅の内部

    ハノイ駅の内部

  • ハノイ駅のファサード

    ハノイ駅のファサード

  • フランスの香りがするハノイ駅舎

    フランスの香りがするハノイ駅舎

  • ハノイ駅前の空港行き86番バス

    ハノイ駅前の空港行き86番バス

  • 近代的なノイバイ空港新国際線ターミナル

    近代的なノイバイ空港新国際線ターミナル

  • ガラス張りのノイバイ空港新国際線ターミナル

    ガラス張りのノイバイ空港新国際線ターミナル

  • 近代的なノイバイ空港新国際線ターミナルの内部

    近代的なノイバイ空港新国際線ターミナルの内部

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