2017/09/04 - 2017/09/05
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秘湯マニアさん
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大井川鉄道の蒸気機関車に乗って寸又峡へ行ってきた。金谷駅の昭和30年代の雰囲気も良かったし、千頭から乗り換えたトロッコ列車も良かった。今年の旅は鉄道とバスと徒歩の旅だった。
9月4日(月)
SLの出発駅、新金谷までは車で行く。新東名を通って新金谷駅まで約2時間半で到着。途中、三島と静岡のサービスエリアで休憩しても10時半には着いてしまった。ここにはSL予約者専用の駐車場があるので安心。駅の向かい側に「プラザロコ」という建物があり、その中に切符や周遊券の手配をするカウンターがある。そこで予約券を示して2日間の周遊切符とSLの指定席をもらう。SLは1ヵ月以上前にインターネットで予約しておいたが、飛行機と違って席は指定できない。今日の席は5号車の20番だった。このビルの中には駅弁やお茶を売る店のほか、本物のSLや大井川鉄道を走っていた列車が展示してある。それに合わせて、駅事務室や列車用具など昭和レトロなものが展示してあり、映画のポスターも昭和当時のポスターが展示してあった。
SLは11時52分発。乗車前に機関車の前で記念写真を撮ってもらう。SLの女性車掌さんが、そういう仕事もしていた。この車掌さんは沿線ガイドのかたわらハーモニカも吹いたりして大活躍だった。5号車の20番という席はデッキから二つ目の席だった。昔ながらの4人掛けのボックス席だ。5号車というから最後尾かと思ったら逆に5号車が一番機関車寄りだった。でもSLの場合はその方が煤が入ってこないから良い。そういうことを知っている人は既に僕なんかのような世代だけになってしまった。そういえば駅弁を買ったところには、お茶も昔ながらの容器でお茶を売っていた。
今日のSLはC11の190号機。昭和15年の製造だそうなので今年で78歳になる機関車だ。現役の頃は天皇陛下の特別列車を牽引したこともあるそうだ。大井川鉄道ではこのほか3両のSLが稼働しているとのこと。客車の方も昭和10年代から20年代にかけて東海道線を走った車両で「オハ35 149」と刻んである。149は製造番号だがオハ35は形式記号で、旧国鉄の一般的3等車だったようだ。それにしてもSLの方が現代の電車よりも温かみを感じるのはなぜだろうか。
さて、SLは出発すると車掌さんからいろいろな案内がある。急行なので止まる駅は家山という駅と下泉という駅の二つだけ。汽車が動き出してから駅弁を広げる。僕は川根路三色弁当にしたが、お腹いっぱいになる量だった。
家山という駅ではどこかの旅行社の「SLに乗るツアー」の団体客が一斉に降りたので客車の半分くらい空いた。大井川鉄道の名前のとおり大井川沿いに南アルプスの山の中に入って行く。SLなので当然エアコンはないのだが、窓を開けたまま走るとかなり涼しい、というのを改めて感じた。昭和の時代はこの状態でも今より汗をかかなかったような気がする。僕が大学へ通っている頃は東横線も窓を開けて走るのが普通だった。冷房車が連結されるようになった後も、1編成に1両か2両しか冷房車はなかったから、冷房車の方が混んでいたという思い出もある。今回の旅では久しぶりの蒸気機関車だったので蒸気の煤が心配だったが、窓を開けたままでも、トンネルの中でも大丈夫だった。千頭駅に到着したのは13時09分。30分ほどの待ち合わせで南アルプスアプトラインというトロッコ列車に乗り換える。ホームはすぐ隣だが、千頭駅には機関車トーマスなどの展示があるので、それを見たりSLをもう一度写真に撮ったりしてすぐに時間が経ってしまう。トロッコ列車と書いたが、すべての客車がトロッコなのではなく、通常の箱型客車4両の間にオープンなトロッコ1両が連結されている。と言っても箱型客車も京都嵐山のトロッコなどよりかなり小型だ。ここから接阻峡温泉を通って終点の井川まで行くのがアプトラインだが、今回は途中の奥大井湖上駅まで行くのだ。
列車はSLよりも遅いスピードで登って行く。「アプトいちしろ」という駅で4分停車。ここで最後尾にアプト式の電気機関車を連結するのだが、列車に乗っている人は連結作業を見ることができる。ここから次の長島ダムというところまでがアプト式線路になっている。ここの区間の勾配は1000分の90。(1000㍍の間に90㍍も登る)。この勾配は箱根登山鉄道よりも急傾斜で日本一だ。そのため日本で唯一のアプト式鉄道になっている。僕が子どもの頃は旧国鉄の信越本線、碓氷峠がアプト式として有名だった。でも、この路線は昭和38年に粘着式という方式に変わっている。スイスのクライネシャイデックからユングフラウヨッホへ登る電車はアプト式で傾斜角も世界一だそうだ。
アプト式のこの電気機関車は長島ダム駅で切り離され、今度は下り電車のブレーキ役となって下って行く。今日の目的地、奥大井湖上駅は長島ダムから二つ目だ。その名のとおり、人家も何もない湖の上にレインボーブリッジという赤い鉄橋が掛かり、その真ん中に駅がある。駅のすぐ上に大きな小屋があり、夏のシーズンなどには臨時郵便局が開設されたりするが、今は誰もいない無人の小屋である。駅から線路に沿って遊歩道ができている。線路も遊歩道も湖の上を渡っている。遊歩道は鉄板で足元を塞いであるが、結構な高所を通っているのは線路の隙間から見える。200㍍くらい歩くと湖に突き出た岬の上に出て岩の上を歩くようになるが、そこから階段が始まる。鉄骨の階段と石の階段が交互に現れて128段登ると普通の登山道のような道に出る。ここに標識がなくて少し迷ったが、左手にさらに登って行くと車道にぶつかる。この車道を少し登ったところが、奥大井湖上駅を見下すことができる展望台だ。展望台といっても施設がある訳ではなく、道路から見下すのが絶景になっている。この日の気温は30度にはなっていないものの陽があたるところではかなり暑い。そんな中、ここまで登ってきたから汗びっしょりだが、ここからの景色はそんなことも忘れるくらいの絶景だった。シンデレラ城のモデルとなったドイツのノイシュバンシュタイン城は、城そのものよりも城全景を見渡せるマリーエン橋という吊り橋へ行かなければ意味がないが、この奥大井湖上駅もここまで登って全景を見なければ意味がない。やはり何もない湖の上に線路と駅というのはとても絵になっていた。
この日の泊りは寸又峡の翠紅苑という宿。ここへ行くにはアプトラインで戻らなければならない。再び128段の階段を下って奥大井湖上駅に戻る。この駅を15時31分に出る電車に乗らなければ宿まで行く手段がなくなる。来る時に湖上駅への到着は14時41分だったから賞味50分間だけの観光だった。帰りは奥泉という駅で降りてバスで寸又峡へ向かう。ここから寸又峡へは、とても狭い道を抜けて行くが、対向車も平気で入ってくるし慣れていないとちょっと怖い道ではある。
翠紅苑への到着は17時を回った。それでも汗をかいたので先にお風呂にして夕食は6時半からにした。お風呂は露天風呂もあるが、お湯がヌメッとして美女づくりの湯となっている。夕食はあかね亭という食堂。テーブルが8脚くらいあって仕切りも何もなし。お鍋には肉が結構たくさんついていたが、全体的に山のものだけ。お刺身のように盛ってあるのはこんにゃくで、お魚は川魚のアマゴだった。前菜にはタラの芽など春の山菜も入っていた。揚げ物も野菜中心。それでもお腹も空いていたので残さず食べてしまった。
9月5日(火)
5時半に目覚めたので朝風呂に行く。こんな時間なのに3人先客がいた。
この日は寸又峡の奥にある「夢の吊り橋」というところに行く。ここへ行くにはプロムナードコースというのを歩いて行くしかない。宿から往復約90分だそうだ。宿の朝食会場がかなり混んでいたから、吊り橋へ行く人も大勢がぞろぞろ歩いているのか、と思ったが、実際にはほとんど人がいない。林道のような道を30分ほども歩くと天井から水の滴るトンネル(天子トンネル)に出て、そこを抜けたところに夢の吊り橋への道標があり、川へ向かって下るコースになっている。鉄製の急な階段を下ったあとは細い山道を下る。川の景色が近くなると、そこが吊り橋だった。吊り橋は最大で10人しか渡れないため、最盛期には人であふれ最大2時間待ち、なんてこともあるそうだ。この日は僕たちの前後にはほとんど人がいないので僕たちだけで占領状態。人ひとりが通れる幅に板2枚敷いてあるだけで、川まで7~8㍍の高さを渡って行く。下が見えるし、歩くたびに揺れるので、怖いと思う人は足がすくんでしまうかもしれない。吊り橋の途中に板が3枚敷いてある個所があるが、どうやらそこは人がすれ違うための場所らしい。でも、だいたいの人は一方通行で、向こう側に渡ったら急な階段を登って帰る。僕たちが吊り橋を渡り終える頃、後ろから次の人たちが渡り始めていた。吊り橋の長さは90㍍もあるし、高さも高いし、揺れ方も激しいので、四国の祖谷のかずら橋よりも怖かった感じがする。祖谷渓のかずら橋はかずらだけで作ってあるので揺れるし、足元もスカスカで下が見えるが揺れるタイミングが分かってしまうと長さが45㍍なのですぐに渡れた覚えがある。それにかずら橋からすぐ近くにコンクリート製の立派な橋があるから、何か安心感みたいなものがあった。ここの夢の吊り橋は長さが長く、ワイヤーで吊っているので中央付近がちょっと怖かった。
さて、吊り橋を渡り終えると334段もある階段を登っていく。鉄製の階段や石の階段が交互に続いて、途中には「やれやれどころ」など2か所の休憩所も設けられている。登り切るまでに汗びっしょりだが、登りきると林道がある。右になだらかな傾斜を登っていくと尾崎坂展望台というところに出る。ここに道路を整備をしていたおじさんがいて、この道は森林鉄道の軌道跡だと教えてくれた。展望台には森林鉄道の機関車が置かれていて、そこで写真を撮ってくれた。ここから寸又峡へ引き返す。帰りはさっきの吊り橋からの階段を左に見て森林鉄道跡の道路を行く。しばらく行くと南アルプスの前黒法師岳への登山道があり、そのすぐ先に飛龍橋という鉄製の橋がある。吊り橋のようなスリリングさはないが景色は良い。これを過ぎると林道のだらだら下りが1.2㌔も続く。途中にトイレもあった。寸又峡のバス停に戻ってきたのは10時半。バスが出るまで時間があったので白樺屋というところでかき氷を食べた。それに、この日は車ではなかったのでビールも飲んだ。汗をかいた後のビールは美味しかった。バスは11時20分に出て千頭に12時着。千頭からの帰りの電車はSLではなく12時45分発の普通電車にした。大井川鉄道はいろんな私鉄の車両が余生を送っているから、どんな電車に乗るか楽しみだったが、この日の12時45分発の電車は近鉄の車両だった。色も近鉄のままだったので、すぐに分かる。昔の東横線の車両(青蛙)も走っていたのだが、さすがに現役ではなくて、新金谷のプラザロコに展示してあった。帰りの昼食も駅弁にしたのだが千頭の駅では選択の余地がなくて「おにぎり弁当」だった。普通電車は各駅停車だが満員になることもなく大井川を見ながらゆっくり座っていかれた。新金谷への到着は13時52分。ここから新東名を通って自宅到着はまだ明るい16時半だった。
寸又峡は以前から行きたかったところだが、車で行くかSLで行くか迷っていた。結局、SLと徒歩の旅行にしたが結構楽しかった。急な階段を登ったり登山道を登ったりして、体力測定みたいだったが無事に歩けて良かった。歩けるうちに、こういうコースへ行っておきたい。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 3.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 私鉄 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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新金谷駅 後ろに昔の東横線が見える
新金谷駅 駅
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昭和時代の映画のポスター。
社長紳士録などは森繁久弥のシリーズ。7人の侍はいわずと知れた黒沢明の名作。新金谷駅 駅
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プラザロコ内に昭和30年代風に復元されている福用駅。
電話ボックスが懐かしい新金谷駅 駅
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昭和30年代の駅の改札
新金谷駅 駅
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今日のSL、C11型
新金谷駅 駅
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SLが引く客車も昭和20年代のもの。エアコンがない時代は窓は開けて走っていた。煤も付きものだったが、今は石炭の質が良いのかまったく汚れなかった。
家山駅 駅
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客車の社内。4人掛けのボックスシートと網棚、それに板張りの床。
まったく昔のままで走っている。新金谷駅 駅
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千頭駅にて。
ここには機関車トーマスの機関車が展示されている。千頭駅 駅
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千頭駅から井川まで行く「アプトライン」
全線ジーゼルだが、アプト式のところだけ電気機関車がけん引する。千頭駅 駅
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トロッコ列車。奥に見えるボックス席が普通の客車だが、通常の車両よりもみんな小型。席は片側2列、もう一方は1列という作りだが、2列側の方が眺めが良いのでトロッコ列車は座席がみんなそっちを向いている。
千頭駅 駅
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アプト式の電気機関車。アプト式の区間だけ連結する。
アプトいちしろ駅で連結作業を見ることができる。アプトいちしろ駅 駅
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いよいよ奥大井湖上駅に到着。
列車は接阻峡温泉から井川まで行く。
列車のワキの狭い道を通って、向こう岸に見える緑に覆われた崖まで行く。そこからは128段の階段が待っている。奥大井湖上駅 駅
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ようやくたどり着いた、駅を見下ろす展望台。
暑い思いをしながら登っただけのことはある絶景。
湖の上に赤い鉄橋(レインボーブリッジ)と駅が映える。奥大井湖上駅 駅
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寸又峡へは奥大井湖上駅から奥泉という駅まで戻る。
戻る列車を待つ人、つまり、ぼくたちと前後して展望台へ行った人はこれだけだった。奥大井湖上駅 駅
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翌朝は寸又峡プロムナードコースを通って「夢の吊り橋」へ。
寸又峡 紅葉
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「夢の吊り橋」
細いワイヤーで吊られていて長さも90メートルもあってかなり揺れた。夢の吊り橋 名所・史跡
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足元は板2枚の幅だけ。あとは素通しで高さも結構ある。
四国の祖谷渓のかずら橋よりも怖かった。夢の吊り橋 名所・史跡
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吊り橋を渡り終わると334段の階段が待っている。
途中には「やれやれどころ」などという休憩所もある。夢の吊り橋 名所・史跡
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林道に登り着いたところには森林鉄道の機関車が残されている。
夢の吊り橋 名所・史跡
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千頭から金谷まで、帰りの普通電車は近鉄の車両だった。カラーもそのままなので、まるで吉野の駅から京都に帰るみたいだった。
千頭駅 駅
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