埼玉/群馬 多胡碑という石碑を見に行く

2017/03/05 - 2017/03/05

年に1度の公開日に見学に行きました。相当地味になります石碑見学記。でも、ユネスコ世界の記憶に申請中ということです。往路、武蔵の國の一の宮 氷川神社に。

＜旅程＞ 3/5(日)
関西空港 7:45(遅れ8:15)→ 成田T3 9:00(9:20)(ジェットスター)、京成成田→日暮里(スカイライナー)、→田端→大宮 11:20ごろ(JR)
氷川神社参拝
大宮12:30→ 高崎13:01(JR北陸新幹線)、高崎13:28→ 吉井13:51(上信電鉄)
多胡碑特別公開・博物館 多胡碑記念館見学
吉井17:38→ 高崎18:00(上信電鉄)、おみやげショッピング、高崎18:33→東京19:24(JR上越新幹線)乗り換え、19:40→新大阪22:13 (JR東海道新幹線)

　群馬は、関西人にはどこにあるのかはっきりせず、難易度の高い県。でも、この石碑を見る限り、むっちゃ関西に関係あるとこやってんで～。記録を残すことは大事です。奈良気分で群馬散歩

エリア 高崎(群馬)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: タクシー 新幹線 JRローカル 私鉄 徒歩 ジェットスター

LCCの遅れは京成ライナーで取り戻す。2470円

京成成田駅 駅

先日テレビで、新幹線を除く日本の列車で最もスピードを出しているのが、このスカイライナーと聞いて、そうだったのか、と思いました。景色がゆったりしているので、疾走している感はないのに、びゅん。左手にスカイツリーを見て、JRに乗り換えて、

大宮駅からタクシーで参道の途中まで 730円

氷川神社

武蔵國の一宮

武蔵一宮氷川神社 寺・神社・教会

舞殿が、、あらああ、、修復中である。
昨今、こういう事態によく遭遇しますが。

本殿脇のツインお宮さまもおまいりして、

宗像神の浮き島お社に

亀や鴨を眺め、

長い参道を通って、駅まで15分ほど歩く。

埼玉の大宮駅は大きい駅でびっくり。着いてから10分ぐらいうろうろしてしまった。

乗り入れている新幹線が、ほぼ全線(東海道山陽九州を除く)なので、それぞれの路線で有名な駅弁を扱っており、莫大な数。すこし好き嫌いがあるので中身を確認するが、最後まで見切れず。これ、と思ったら、台湾肉魯飯＆ジャワティーのセットで(期間限定)、さすがに・・と思いとどまったが、電車が来て時間切れで、あわてて買ったサンドイッチは、神戸屋ベーカリーのものでした。わん(~_~) 屋号が神戸の、大阪の会社です。

昼食　地鶏卵とポテトサラダのサンドイッチ 650円、オレンジジュース160円 計810円

大宮駅 駅

高崎駅に着きました。北陸新幹線だったのかー
きれいな車体ですね。なのに写真、鼻が欠けちゃった。。鉄道の写真を撮るには、なかなかコツがいるんですね。

高崎駅 駅

観光案内所でパンフレット地図をもらう。

上信電鉄ホームへ。この日は石碑の特別公開日なので記念乗車券を販売しているとうかがい、それを買いました。1120円。高崎-吉井 往復と同額

上野三碑(こうずけさんぴ)と呼ばれる国の特別史跡が、このあたりに点在しています。3つあわせてユネスコ世界の記憶に登録申請中

観光案内所では、タクシーでまわれば3つとも可能との提案でしたが、私はおこずかいが少ないなので、日本三古碑のひとつでもある多胡碑(たごひ)だけ単品で見学に行きます。

吉井駅から、なぜか確信を持って南方向へ歩き出しました。でも、それは石碑とは反対方向で、公開時間は午後3時まで。自力では間に合わないかもしれないとあせり、駅まで戻ってタクシーで行きました。800円程
工事で通行止めの箇所が多く、迂回。世界遺産の富岡製糸場から直通で来れる道路を造っているそうです。

ハーイ、こんにちは

多胡碑 名所・史跡

ボランティアの方が説明をしてくださいます。

奈良時代、このあたりの郷里3つから領地を分割して、中央政府直轄地、多胡郡を新設しまーす、という行政文書を石碑に書き写したもの。

「弁官符上野國片岡郡緑野郡甘
　良郡并三郡内三百戸郡成給羊
　成多胡郡和銅四年三月九日甲寅　
　宣左中弁正五位下多治比真人
　太政官二品穂積親王左太臣正二
　位石上尊右太臣正二位藤原尊」

後半に出てくる人名は文書作成者や決裁印を押した奈良官僚。関西人には馴染みのある氏族名だったので、萌えました。平城京で仕事をした実績がここに! 石碑萌え

　(＊文面には出てこないが、当地 上野国かみつけのくに国司は平群朝臣安麻呂。和銅四年は711年。律令制が整った証拠物件で恒久的永年保存文書)

説明のあと自由に写真を撮ったりできます。説明5分、自由時間5分程度。側面も後ろも回って見て、

接近して見学。まじまじ。
笠型の上に乗った石のおかげで風化はまぬがれたのだとか。

字体が良い。ちょっとうきうき感

隋唐代に流行した楷書だそう。

もとの文書から石碑の字体におこした人はだれかわからないそうですが、のびやかで、小学生が書いたような未来志向の明るさを感じる。これが日本の書体だ!と誇らしくなる字と思います。

　(後で行く博物館で知ることになりますが、この字に反応したのは、私だけではなかった→多胡碑第2章へ)

入れ替え制ですが、出たり入ったりして、説明4回程、聞きました。ありがとうございます。
・石材は近くの山から切り出した
・帽子型の笠石と本体の上部は凹凸型に加工され、かみ合っているからぐらぐらしない

見るうち、好きになって、抱きついてみたくなりましたが、もう、このぐらいにします。

隣接の博物館を見学に　本日は無料

石碑はもとは林の中に埋もれていたとか。今は樹木を若干残し、史跡公園風の広場

多胡碑記念館 美術館・博物館

郡の政庁跡(郡衙)遺跡が出たそうで

多賀城的、多胡城。うぅ、それだと名前がかぶってしまい、ぱっと見、区別がつかない。こちらは、多胡郡正倉跡というようです。

復元図

絹織物の工業地帯だったそうです。古代から! 原材料の蚕の燃料の桑の葉も周辺にて自給生産。すごい増収増益をあげていて、ここで備蓄した予算を、宮城の多賀城の蝦夷開拓事業費にあてたらしい。

他に瓦セラミック工場の窯も多数あったそうで、多胡工業団地?
多胡経済・国家戦略特区?

これも関西人にはなじみのある古代の都市計画図のようすで、ここに造ろうとした街に親しみが芽生えた

糸車の部品のところに文字を刻んでいる事例が多発

きずではなくて、多 の文字だそう。
そんなにも! ｢夥しい(おびただしい)｣という意味だけど果実でなく｢絹製品がものすごくたくさんある｣という国字を発明しようとした痕跡だろうか。

土器にも文字を書いてみた。

多胡郡の識字率の高さをものがたるの?

こちらの石碑でわすれてはいけないのが、
『楷法遡源』という中国(清)でつくられた漢字の字典です。

　ーー《多胡碑 第2章》ーー

そこに日本代表の文字として採用されています。

多 の部　1番大きい｢日本題名｣が多胡碑

江戸時代に来た朝鮮通信使の人が、石碑のことを聞いて拓本を持って帰ったことがきっかけで、中国大陸に広まったとか。そのときはもう、朝鮮王朝はハングルを導入していたから、教わった漢字を一生懸命書いた時代の文字を見て、なにかこみ上げる思いがあったかも。

　(＊通信使書記官の成大中さんが漢文メールのやりとりする友達が江戸にいて、それで多胡碑拓本をもらったらしいです。清と朝鮮王朝は国交があり、別の年に北京へ燕行使として行った人が、日本で入手した珍しい古字だと拓本を伝えた)

だいたい、石碑をたてようと思いつくのが、隋唐かぶれぽく、ほほえましい。明治時代だったら｢欧米かっ｣て突っ込みたくなる｢隋唐かっ!｣^^

月 の部　｢三月九日｣の日付から。月も日も出てくる。

　(＊朝鮮通信使の旅程:ソウル漢城を1763年8月3日に出発。釜山から船で対馬壱岐経由下関から瀬戸内海、大阪で船を乗り換えて淀川をさかのぼり、京都滋賀から、東海道で江戸に2月16日到着。公式セレモニーなど日程をこなし、3月11日江戸発。往路と同じコースで1764年7月8日に漢城に戻る、、総勢約500人のすごいツアーだったもよう@@) -参考『｢海を渡った多胡碑｣展』吉井町多胡碑記念館 より-

真　は、｢多治比真人(たじひのまひと)｣さんから取ったのかー　八色の姓、最上位

昔の漢字文化圏、漢字を介すると意思疎通が便利ですね。
五経博士が伝えてくれた道程を正しく逆行して、多胡碑の分身(拓本)は、朝鮮半島を経て、中国の首都へ行ったのだなあ。

ミュージアムショップコーナーで、私も拓本(朱赤)や解説書を購入しました。

横に移築された古墳があり、ちらと見て。

もう、石碑の覆屋は封鎖されていました。でも、電気がついて説明音声がながれる装置付きなので、24時間見学可能かと。

てくてく歩いて。お散歩中の人に道をきく。たぶん、観光客から尋ねられることなどなく、戸惑われたことと察します。ですが、みなさん親切に、どうすればわかりやすく伝えられるかを真摯に考えて教えてくださり、優しさを感じました。ほんとうにありがとうございました

奈良時代に移住した人の子孫だったんだろうかなど妄想して歩く

城壁があったみたいに見えてしまった尾根

拓本に造形の深い方が駅まで送ってくださり、道中、興味深いお話をたくさん聞かせてくださいました。群馬との距離が縮まりました。感謝いたします

群馬の男の人はみな、しっかり地に足の着いた神官の偉い人ぽい印象で、正統に頼もしい感じがしました。

高崎へ戻る。次の駅への車窓が、宮城の国府多賀城付近の風景に近い印象で、奈良時代の関東経営、東国が見えた気がします!

そこは、希望に満ちた場所だったことでしょう

吉井駅 駅

帰りは上越新幹線
2階建ての1階席でしたが、関西には2階建て新幹線はないので、おもしろかったです。

現代の私たちは、先人の夢見た良き未来のなかにすんでいるのかな。なんとなく、力がわいてきた。奈良時代の経済振興政策、世界遺産になるといいですね。ユネスコ登録の曉には、事務局長以下、関係各位の署名入り決定文書も、石碑にして残しておこうか(^^)

東京駅で乗り換えて、東海道新幹線のなかで、キティちゃんのだるま弁当を食べました。はずかしいので、私のことはアジア諸国のどこかから来た新幹線やハローキティが大好きな観光客と思ってくれ、と念じました。
1000円。ジュースは東京駅のホームで 381円(税抜)

南インド、世界遺産マハーバリプラムあたり生まれの達磨大師も、中国を経て、日本に至ると、最終形は、これですからー(^○^)/

たかべん グルメ・レストラン

＜おまけ＞ おみやげ

高崎駅の売店で、ひもかわうどんという超極太麺を。たれ付き2人前600円程。

ゆでるとさらに太くなるので、ほぼラザニア!
箱入りのティッシュを半分に折ったぐらいの幅広さです。
でも、もっちもっちしているから、箸で持ち上げてもちぎれません。おいしかったです。おもしろかったです

この旅行記へのコメント （4）

• ムロろ～んさん 2017/04/26 21:46:09

  一日ですご〜い\(^o^)／

  カスピ海さん
  
  こんばんは、ムロろ〜んです。
  埼玉と群馬へ行かれた旅行記を拝見しました。
  ＬＣＣで成田インしてから大宮にある氷川神社へ一気に行く！その後に群馬ですね。
  この一日の行程にビックリしました←人のことは言えない？アハ(笑)
  私もスカイライナーに乗ることがありますが、確かに「Time is money！」精神で考えてしまいます(^_^;)。
  一番嬉しかったのが地元の氷川神社でお参りされて、参道を歩かれたこと！
  こだわるなぁ〜って思いましたけれど、私も好きな道の一つでありますよ。
  
  多胡碑も無事に時間内に見られて良かったと思います。
  私もなんて書いてあるのかチンプンカンプン？ですけれど(^_^;)、でも歴史遺産物が今でも見られるのに驚きますよ。
  何百年前の遺産でしょう？消えていたかもしれないじゃないですか！
  ずっと残してくれた方々に感謝しないとって思いましたよ。
  
  
  ムロろ〜ん(-人-)

  カスピ海さん からの返信 2017/04/30 10:24:09

  RE: 一日ですご〜い\(^o^)／

  ムロろ〜んさん
  
  こんにちは
  メッセージを書いてくださって、どうもありがとうございます。
  えへへ、ムロろ〜んさんの本拠地、埼玉へお邪魔いたしましたよ。
  
  > 一番嬉しかったのが地元の氷川神社でお参りされて、参道を歩かれたこと！
  > こだわるなぁ〜って思いましたけれど、私も好きな道の一つでありますよ。
  
  わぁ、ムロろ〜んさんもお好きな道なのですね。
  陸繋島の砂州か、もとは水路かなにかをうめたてたのかな。
  ほんとうに、歩くと浄められるようなすがすがしい参道ですね。
  
  > 多胡碑も無事に時間内に見られて良かったと思います。
  
  3時までって、銀行窓口かっ^^
  実際は、お客さんが途絶えるまで、時間超過で開けてくれていましたが、ほんと間に合ってよかったです。
  マイナーな史跡のとき関西だと歩道の色を変えてくれたりしているところが、なかったので正直とまどいました。多賀城が楽勝だったので、甘くみていた。多 多 多と地面にうめこんでいてくれー(笑)
  
  > ずっと残してくれた方々に感謝しないとって思いましたよ。
  
  そう、そうなんですよ！
  よくぞおっしゃってくださいました。
  平城京周辺ででる木簡とかは、廃棄したはずなのにできてなかった文書保存事故みたいなものですが、多胡碑は本気で残そうと思って残した意志が伝わって感激しました。文字もくっきりはっきり、もう異常に保存状態が良い！
  群馬の人たちのおかげですね。見学できて、ありがたいことです。
  
  関東、史跡探訪、また行ってみたいです。(^○^)／
  いろいろ教えてくださいませ。
  ありがとうございます。
  

• kobapyさん 2017/04/16 00:39:42

  日帰り石碑見学、すごいです！

  カスピ海さん、こんばんは。
  
  多胡碑見学の旅行記拝見いたしました。
  
  石碑見学とは渋いですね。
  関東に住んでいながら、まったく存在を知りませんでした。
  本当にカスピ海さんの旅行記は勉強になります。
  カスピ先生とお呼びしたい。（笑）
  朝鮮通信使は500人の大所帯で出発から帰国までほぼ1年がかりだったなんて。
  知らん事ばかり…（汗）
  
  よく見ると
  日帰りだったんだ。相変わらずフットワークいいですね！(^^)
  
  キティちゃんだるま弁当の中身がちょっと気になる…
  
  ではでは。
  kobapy
  
  

  カスピ海さん からの返信 2017/04/16 10:43:40

  RE: 日帰り石碑見学、すごいです！

  kobapyさん
  
  こんにちは
  コメントも書いてくださって、ありがとうございます。
  
  先生だなんてよばれたことはないので、^○^ てへへ
  なにか頼みたいことがあれば、おっしゃって〜（笑）
  
  > 朝鮮通信使は500人の大所帯で出発から帰国までほぼ1年がかりだったなんて。
  
  ですよね、これおどろきでした。私も知らなかったです。
  釜山で天候待ちしていたようですが、ベトナム行くのが1カ月（片道）だったから、びっくりです。
  
  この回は、宝暦年間、第10代将軍家治のお祝い目的で、朝鮮王朝は21代英祖帝の時代だとか。書記官（複数いる）だけでなくいろいろな人が日記を書いていて、ほとんどが漢文で書いているのでわかりいいそうです。書いた人の年齢は40代中心ですが、拓本をもらったという成大中さんは33歳で一番若い。
  
  人数、実際は477人です。ちょっと水増しました。^^ もちろん、警護の人、医療系、船のクルー、料理人、楽団芸能系、日本語を勉強中の人、などを含みます。
  
  来る時、釜山からは6艘の船に分乗して、うち3艘が貨物専用とか。途中で3人亡くなったり、殺人事件?らしいのが帰りにあったり、この人たちの日本旅行記が気になります！
  北京旅行記もあるのでしょうね。
  
  キティちゃんのお弁当、中身は・・・口コミに書きました☆
  http://4travel.jp/domestic/area/kanto/gunma/takasaki/takasaki/tips/12614382/#contents_inner
  そぼろ弁当でおいしかったです。
  旅行記にくっつけるやり方がわかったら、やってみます。
  
  kobapyさんは、GWはどこかへお旅立ちでしょうか？
  いずれの方角にしても、よき旅になりますことを願っております。