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1).旅の始めに <br />                                                                                                                                                                                            <br />  アジアでの、月と人間の係り合う行事を見ると、香港の「舞火龍」、広州の「樹中秋」、タイ族の「月への礼拝」、ミャオ族の「月夜の舞」、トン族の「月の野菜盗み」等、多くは満月の日を中心とした行事である。 <br /><br />2).「石湖」の「串月」とは?<br /><br />  蘇州の「石湖」で、中秋節の3日後の夜半、「串月」という月の現象が現れる話を、本で見た。陰暦8月18日夜半、「みたらし団子」の様に、串に刺された9つの月が、「石湖」湖面上に映る現象で、「石湖串月」と呼ばれている。当日は、「石湖串月」の現象を見ようと、夜にも拘らず人で溢れると、その資料には書かれていた。その「串月」は、今年は、新暦の9月18日に当たることが分かった。<br /> <br />3).蘇州の「石湖」へ <br />  <br />  「串月」の前日の9月17日午前、バスで、「石湖」へ向かった。 「石湖公園」の、湖畔沿いの沿道には露店や屋台等の店が並び、休日の所為もあり、賑やかであった。湖岸沿いを歩いて行くと、前方左手に、些か孤を描いた長い橋が見えてきた。<br />  「串月」の現象が見られる舞台は、「行春橋」である。陰暦8月18日の夜は、「行春橋」の九つのアーチ状の各橋脚から、水に写り流れ出された九つの月が、あたかも一本の串に刺されているように見えるという。 <br />  僕は、「行春橋」の架かる岸辺から、入り江に沿って湖岸を歩き、「行春橋」全体が正面から眺めれる岸辺に辿り着いた。九つのアーチ状の橋脚の間を流れる水を眺めながら、「串月」現象を、あれこれと想像したのだが・・・・・。<br /> <br />4).「串月」現象は?<br />   <br />  当日の午後9時半頃、借りた自転車で、「石湖」の北入口に、向かった。「石湖」付近は、車が時々通るぐらいで、人の姿は、余り見当たらなかった。北入り口広場を通り、「行春橋」と「越城橋」を繋ぐ長い橋で囲まれた入り江沿いの、「行春橋」を真朱面に眺めれる場所で、「串月」現象の現れるのを待つことにした。「居待の月」は、「串月」現象を待つ僕を焦らすかの様に、悠然と中空で、妖艶な姿で輝いていた。 <br /><br />             串月の 影は見えねど 月の客<br /><br />  しかし、月明かりに薄ぼんやりと見える、「行春橋」の九つのアーチ状の橋桁から流れ出る水の上に、九つの月が、一本の串に刺されて、映し出される光景を、結局は、見ることが出来なかった。                                                                                                   <br /><br /> 5).旅の終わりに                                                                                                 <br />  <br />  この旅行記を書くために、「串月」に関する資料を改めて見ていたら、1966年、「破四旧」(古い思想文化、風習などを破壊排除する)政策によって、「石湖串月」の存在は、完全に否定されたという、記事を見つけた。<br />  9月18日のあの夜、「行春橋」の上空へと次第に上っていく、妖艶な「居待の月」を眺めながら、月の高さに比べ、「行春橋」の橋桁の、余りもの低さに、「串月」現象が、起こり得ないのではと、正直思い始めていた。とは言え、9月18日真夜中、石湖の「行春橋」の上空に懸る妖艶な「居待月」を、独り占めした満足感を、今も思い出すことができる。(完)<br /><br /><br />  * Coordinator:  H. Gu                                 <br /><br /><br /> <br />

【江蘇省】 蘇州 * 石湖の「串月」を求め 旅する

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2016/09/16 - 2016/09/19

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彷徨人MU

彷徨人MUさん

1).旅の始めに

  アジアでの、月と人間の係り合う行事を見ると、香港の「舞火龍」、広州の「樹中秋」、タイ族の「月への礼拝」、ミャオ族の「月夜の舞」、トン族の「月の野菜盗み」等、多くは満月の日を中心とした行事である。 

2).「石湖」の「串月」とは?

  蘇州の「石湖」で、中秋節の3日後の夜半、「串月」という月の現象が現れる話を、本で見た。陰暦8月18日夜半、「みたらし団子」の様に、串に刺された9つの月が、「石湖」湖面上に映る現象で、「石湖串月」と呼ばれている。当日は、「石湖串月」の現象を見ようと、夜にも拘らず人で溢れると、その資料には書かれていた。その「串月」は、今年は、新暦の9月18日に当たることが分かった。

3).蘇州の「石湖」へ
  
  「串月」の前日の9月17日午前、バスで、「石湖」へ向かった。 「石湖公園」の、湖畔沿いの沿道には露店や屋台等の店が並び、休日の所為もあり、賑やかであった。湖岸沿いを歩いて行くと、前方左手に、些か孤を描いた長い橋が見えてきた。
  「串月」の現象が見られる舞台は、「行春橋」である。陰暦8月18日の夜は、「行春橋」の九つのアーチ状の各橋脚から、水に写り流れ出された九つの月が、あたかも一本の串に刺されているように見えるという。
  僕は、「行春橋」の架かる岸辺から、入り江に沿って湖岸を歩き、「行春橋」全体が正面から眺めれる岸辺に辿り着いた。九つのアーチ状の橋脚の間を流れる水を眺めながら、「串月」現象を、あれこれと想像したのだが・・・・・。

4).「串月」現象は?
  
  当日の午後9時半頃、借りた自転車で、「石湖」の北入口に、向かった。「石湖」付近は、車が時々通るぐらいで、人の姿は、余り見当たらなかった。北入り口広場を通り、「行春橋」と「越城橋」を繋ぐ長い橋で囲まれた入り江沿いの、「行春橋」を真朱面に眺めれる場所で、「串月」現象の現れるのを待つことにした。「居待の月」は、「串月」現象を待つ僕を焦らすかの様に、悠然と中空で、妖艶な姿で輝いていた。 

             串月の 影は見えねど 月の客

  しかし、月明かりに薄ぼんやりと見える、「行春橋」の九つのアーチ状の橋桁から流れ出る水の上に、九つの月が、一本の串に刺されて、映し出される光景を、結局は、見ることが出来なかった。

5).旅の終わりに

  この旅行記を書くために、「串月」に関する資料を改めて見ていたら、1966年、「破四旧」(古い思想文化、風習などを破壊排除する)政策によって、「石湖串月」の存在は、完全に否定されたという、記事を見つけた。
  9月18日のあの夜、「行春橋」の上空へと次第に上っていく、妖艶な「居待の月」を眺めながら、月の高さに比べ、「行春橋」の橋桁の、余りもの低さに、「串月」現象が、起こり得ないのではと、正直思い始めていた。とは言え、9月18日真夜中、石湖の「行春橋」の上空に懸る妖艶な「居待月」を、独り占めした満足感を、今も思い出すことができる。(完)


* Coordinator:  H. Gu



同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス 自転車 タクシー 徒歩
航空会社
JAL
旅行の手配内容
個別手配

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