2016/03/07 - 2016/03/08
35位(同エリア809件中)
shiqueさん
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ラオスのパクセから陸路でベトナムに入ります。
私たちにとってベトナムは初めての国なので
言葉、文化、食事、空気、全てが初体験となります。
当然、楽しみも苦労もてんこ盛りの旅行となるでしょう。
写真家、沢田教一氏縁の地フエを
ベトナム最初の街に選んだ私たちの旅行。
一体何が私たちを待ち受けているのか?
予想通りにまた、期待通りに初っ端から
しっかり躓いたベトナム・フエ前編。
最後までお付き合いよろしくお願いします。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
9日目、ラオス6日目。
本日は国際バスでフエへの移動が最大のイベントです。
宿でのピックアップが6時15分なので今朝は早起きして
朝食も昨夜コンビニで買ったパンや菓子で済ませました。
5時50分にはホテルのロビーで待機、
準備万端、やる気満々しかし、不安は満載です。
そして6時に玄関先に到着したのがこのミニバス。
フロントガラスにHUEのボードが立て掛けてあります。
ドライバーにフエ行きを確認しチケットを見せると
車に乗り込むように合図されました。
そして私たち以外に数名を乗せたバスは
次の宿で待つ客を拾うため足早に出発しました。
時間は流れ
他に二軒の宿を回り車内が満席となったミニバスが
国道を軽快に走り出し、辺りの風景から家々が疎らになった頃
私たちはやっと大変なことに気が付いてしまったのです。
----このミニバスは国際バスが出発するステーションでは無く
直接ベトナムのフエを目指して疾走しているのだ!---
時刻はすでに7時、国際バスは私たちを置き去りにして
もうすでに出発してしまっている時間ではありませんか!!!。
ピックアップのバスと思い込んでいたのは
地元の人達が利用する個人経営のミニバスだったのです。
待ち合わせ時間が15分も早かった事や
他の旅行者がほとんど乗り込ん来ない事に
感じていた違和感と不安は将に的中していたのです。
気付いた時には時すでに遅しです。
私たちはちゃんと国境を超えフエに到着すくことを
英語が全く通じない車内で祈るしかない状況となったのです。
「 あ~やっちまった、どーするの? 」
この感覚は今までに何回か経験した事があります。
内緒ですが、私はこの感覚は結構好きな感覚なんです。 -
ミニバスは舗装してある山岳地帯を
時速100km程の猛スピードで激走。
幾つかの検問ポイントでは車掌が
通行料的なものを持って役人に駆け寄りフリーパス。
途中道路工事で10分程待たされたものの
11時にはボーダーのラオパオに到着。
目の前に現れたのは、見晴らしの悪い山沿いに建てられた
戦争映画に出てくるような質素なイミグレーション。
ゲートでは小銃を持った軍人が待機する緊張感が漂う場所です。
流石にここでは写真は撮りませんでした。
ラオス・ベトナム人以外は別室で発熱のチェックを受け
その後一人5分以上の時間をかけたパスポートのチェック。
このイミグレでは現地の人の持ち物チェックに時間が掛かり
私たちはする事も無く他の乗客の審査が済むのを待つこととなります。
その間に私は札束を握り締め近づいて来た闇両替のおばさんと交渉。
ドル→ドンのレートはお話に成らないぐらい悪かったのですが
キップ→ドンはそれ程でもなかったので
手元にあった少額のキップをドンに両替しました。
「おばちゃん、毎日儲かるね〜。」
と笑顔で日本語で話しかけるとおばちゃんは満面の笑み。
小銃と闇両替と笑顔、これがこれから体験するベトナム。
怖い部分はありますが、上手く溶け込めば楽しめそうですね。
イミグレを出発して1時間、ミニバスは停車し昼食となりました。 -
昼食のために立ち寄った食堂の麺。
ここはミニバス行き付けの昼飯屋のようです。
ベトナム一発目はフォーといきたかったですが
車掌が注文してくれた麺料理は細いうどんのような麺で
スープは濃厚な魚系ですが、かなり美味しかったです。
写真下のチマキ状の物はソーセージに似た物です。
相棒は美味しいとあっという間に2個完食。
これは食べた分だけ後払いのシステムらしく
2杯の麺と3個のチマキとウズラ卵1個で60000ドン也。 -
ベトナムのどの辺りか全く見当が付きませんが
全員6時間ぶりに食事をとった店の店内。
タクシーの運転手よろしく、やはりどの国でも
ドライバーは美味い店を知ってるようです。
写真一番左がレーサーのように寡黙な運転手。
その右が今回私たちを不安の迷宮に招待してくれた車掌。
この二人には感謝の意を込めて紹介せずにはいられません。
名刺も頂きましたが、大手に負けず繁盛することを祈っております。 -
ミニバスは私たちの不安をよそに猛スピードでかっ飛ばし
思ってもみなかった嬉しい誤算を与えてくれました。
フエのターミナルに着いたのは午後2時頃。
国際バスの到着時間より4時間半も早く着いた事になります。
恐るべし高速安全運転ミニバス運転手。
さてフエのバスターミナルですが街の南にあり
タクシーもあまり無いこじんまりしたターミナルです。
私たちはベトナム通貨をほとんど持っていなかったので
先ずは両替をしようと辺りを歩き回るも銀行は発見できず。
そのうちやって来た二人のバイクタクシーのおじさんと交渉の結果
銀行経由で旧市街に近い今夜の宿まで一人2ドルで交渉成立。
大きなバックをハンドルの後ろに差込み
運転手の後ろに日本人を乗せた二台のバイクが
何車線もある目抜き通りを風を切って走り抜けて行く。
やっぱりこの街に私たちが来る事は運命だった。
そんな予感が益々気持ちを高揚させてくれます。 -
フエの宿は Phong Lan Guesthouse。
フエ中心を流れるフォーン川の東側、
新市街の路地を少し入った 所にこの宿はあります。
細い通り沿いには小奇麗なゲストハウスが立ち並び
落ち着いた雰囲気と共にゆっくり時間が流れています。
私たちは初めての街は散歩から始まります。
そして午後4時宿から一歩踏み出した路上では
写真のような風景が私たちを歓迎してくれました。
シンチャオ、フエ。
日が沈むまでもう少し散歩してみましょう。 -
通りに出るとレストランやブティック、旅行代理店が犇めいていまが
全体としては至って落ち着いた感じの街です。
そんな街中で祭事の供え物を店先で発見しました。
これがベトナム式なのか中華式なのかは分かりませんが
お供えしてある料理は本格的で美味そうです
しかし正装した人達が集まるその家の柱にはチェ・ゲバラ。
ここはやっぱり社会主義の国という事なのでしょう。
予想もしなかったこの折衷は意外と面白いものです。 -
しばらく歩いていると小さなカフェを見つけました。
ベトナムといえば濃厚なベトナムコーヒー。
路上に背の低い椅子を並べてお茶する風景が頭に浮かびますが
ここはオシャレにテーブルを歩道に並べた
いわゆるカフェスタイルのコーヒー屋さんです。
店内では若者たちがスマホ片手におしゃべりしながら寛いでいます。
私たちが店を見ていると店のお客さんたちが
次々に私たちに声をかけ席を作ってくれました。
こうなればお邪魔せぬわけには行きません。
行き当たりばったりですがこんな感じで
成り行き初ベトナムコーヒーにありつけました。
私はアイスコーヒー、ビックリする程美味しかった。
相棒は固形燃料で温めるタイプのホットコーヒー。
ドリップではなく温める事の意味が
最後まで良く解らないホットコーヒーですが
味は濃厚で美味しかったです。
当然ですが固形燃料ではなかなか温まらないので
私は二杯目としてビールに突入です。
ドリンク3種で35,000ドン也。
ベトナムの人々の優しさに少し触れられて
大満足の夕方カフェ散歩でした。 -
午後7時半、今度は夕食を求めて散歩開始です。
宿近くのヌー川沿いの通りに繁盛している屋台がありました。
地元の人で繁盛している店が当然一番と言う事で
今宵の夕食はここにしようと見回すも、満員で席がありません。
するとここでも、どうして良いのか分からない私たちを見て
お客さんが席を空けてくれて、手招きしてくれます。
身振り手振りで薦められるまま席に着いたこの屋台で
私たちは今夜生まれて初めてのベトナム夕食となりました。 -
夕食はタニシ!
様々なハーブで煮付けたタニシです。
食べ方は隣に居たカップルが教えてくれました。
楊枝でサザエの壷焼きの要領で中身を取り出し
内臓は食べずシコシコの部分だけを食べます。
内臓はダメなのかと聞くと苦いからダメだと言われました。
お腹を脹らませる物では無いですが
話をしながら、つまみとして食べるのには最高です。
元々貝好きの私たちはすごい勢いで食べました。
今夜は写真のタニシ一人前とビール2本で60,000VND。 -
タニシ屋台で遭遇した宴会家族のかわいい親子。
屋台で会った見知らぬ異国人に対して
笑顔を振りまいてくれたこの親子には
本当に感謝の気持ちで一杯です。
私たちが進むこれからのベトナムに例え何があったとしても
この笑顔は私をまたベトナムの地に導いてくれる事でしょう。 -
タイの夜の風景とは少し違いますが
この国の夜景にも花が彩を添えています。
ベトナムの人々も花が生活に息づいた民族のようです。
この地フエに来る前、ベトナムと言えば
“ぼったくり”と言うイメージが独り歩きしていましたが
私たちが今日出会ったベトナムは全くそうではありませんでした。
明日から出会うベトナムの素顔が楽しみです。
それにしても今日は疲れました、早く寝ます。 -
10日目、フエ2日目。
3階にある部屋の通りに面したテラスからの朝の風景です。
家々が密集した細い通りですから
景色はこんな物ですが趣は有ります。
本日はバイクをレンタル(110,000VND)しているので
行動範囲も増えるのですが、ラオスとは違って
交通量の多い右側通行ですから大丈夫でしょうか?
若干の不安を抱えつつ先ずは朝食を求めて
旧市街へと散歩に出かけましょう。 -
宿からフォーン川沿いに少し下り
チャンティエン橋を渡り川沿いのドンバ市場までの
往復2km弱の散歩コースを選択。
フォーン川沿いは公園になっていて
朝の6時台にはエアロビ、太極拳、お茶など
思い思いの朝を満喫する地元の人で賑わっています。
川には昼の観光や夜の食事に活躍する船が
肩を並べて番犬の犬とともに眠そうに停泊しています。 -
チャンティエン橋を渡る頃は午前7時少し過ぎ
どんよりとした空模様のなか
朝日は新市街の上空に駆け上り
街にそびえ立つ電波塔に聖火を点しました。
日本の生活ではゆっくりと見る事のない
朝日や夕日を見られる事も旅行の楽しみと言えるでしょう。
考えてみれば500m近い橋を歩いて渡ること自体
日本の日常生活ではまず無いことですからね。 -
チャンティエン橋は全長500m程の長い橋で
車道と歩道は分離されているので
歩行者はのんびり安心して歩道を通行出来ます。
先を急ぐ予定が全く無い私たちは
橋の途中で立ち止まりフォーン川を眺めていると
茶色に濁った川面には何枚もお札が流れて来ました。
視線を橋に戻すと天秤竿で野菜を運ぶお母さんの姿。
ざっと見て重さ25kg以上はありそうな天秤です。
かつてテレビや写真で見たことのある風景を
その息遣いが感じられる距離で体験できるその瞬間、
何度も読み返した小説の最後の真っ白な1ページには
私が今から歩く足跡を自分の言葉でゆっくり書いて行けば良いのだと
アジアの緩やかな空気が教えてくれた気がしました。 -
橋を渡り切ると私たちの目に飛び込んで来たのは
道路の両側を埋め尽くす鮮やかな黄色の群像でした。
それは将にベトナムを表す黄色の菊の花。
爆音とともに朝の道路にひしめくバイクの数は
確実に異邦人の眠気をすっかり覚ましてくれましたが
橋を越えたこの地に待ち構えていた黄色い風景は
私たちを再び夢の世界へ引きずり込もうとしているかの様です。
私たちはやはり、甘い蜜を求めて飛び交う虫の様に
アジアの市場の甘い香りにまんまと惹きつけられたと言う訳です。 -
黄色い空気の洗礼を受けた私たちは
鼻の奥に菊の青い匂いを残しながら
目的地のドンバ市場へと右折します。
そこには期待を裏切らないベトナムの朝が
当たり前のように私たちを待ち受けていました。
朝の市場は人の命をつなぎ止める大切な場所。 -
市場に向かう一本の道に大型トラックが一台立ち往生。
その大渋滞をすり抜け前に出ると
大量のスイカを並べた屋台が軒を並べています。
この量が一日で本当にはけるのだろうか?
ベトナムの台所は相当なパワーを持っているようです。 -
ドンバ市場とフォーン川で挟まれた狭い通りには
野外に食材を扱った店舗が軒を並べていました。
市場には食材を求めてやって来た大勢の人々が
熱気を振りまきながらエネルギッシュに動いています。
しかし、開放感が人々の熱気を昇華させるこの通りは
好奇心いっぱいの観光客には最高の散歩道です。
買い出しの方々の邪魔にならない様に十分注意して
私たちもこの雑踏に紛れ込みむ事にしましょう。 -
色とりどりの食材が強烈に自己主張しながら
雑然と並ぶ東南アジアの市場において
真っ白である事だけでも異質であるこの食材が
四角い均等な形で水に浮かんでいる様は不思議です。
当たり前ですが、ベトナムの豆腐も白かった。 -
緑の香草、これはベトナムの料理には欠かせません。
特に麺料理に付いてくる香草類は本当に嬉しい。
バジル、ミント、クレソン、セロリも良いですが
私はやはりパクチーが一番好きです。
しかし、牛丼屋の紅生姜よろしく
客が好きなだけトッピングして採算取れるのかと
心配してしまう私はやはり、ケチなのか? -
食習慣や流通環境の違いからアジアの市場は
衝撃の映像に映るかも知れませんが
私には本当に美しく美味そうに見えます。
ただ、ホルマリン臭が漂う実験室
脂肪で切れなくなったメスを走らす右手
個人的な記憶の断片を思い出すと少し閉口しますが
天に向け指し広げられた黄色い指先も
モミジとして美味しく調理し頂く術を知る
人間の生命力は凄いものだと思います。 -
ベトナム産として日本のスパーに並ぶ第一位はエビですが
この食材は勿論、この国の人々の胃袋を満足させているようです。
市場の至る所で商われるエビの量は半端な数ではありません。
フエの市場は思っていたよりも海に近く、海産物が豊富です。
艶やかに輝くこのエビは実に美味そうですね。
これはかつて偽装で一世を風靡したバナエイエビかな? -
ドンバ市場の裏通りで充分に満足した私たちは
建物内には入らず外周をぐるりと散歩する事にしました。
建物の側面には規模の小さな露天が目立ちます。
ショバ代や力関係があるんどろうなぁと思いながら
歩いているて見つけました、昨夜の夕食、タニシ。
よく見ると、大きい物、小さい物、丸い物、細長い物
タニシといっても色々種類があるようです。
ちなみに、昨夜食べたのは丸くて大きなタニシでした。 -
散歩の帰りにフォーン川沿いにある大学の校門前で
学生たちが列を作って買っていた屋台で
私たちもバインミー(10,000VND)を購入。
学生たちは中身の注文を色々して5,000VND以下ですが
私たちは当然大人買いのデラックス版です。
宿に戻ってベトナムコーヒーを注文し
買って来たバインミーを頬張り遅めの朝食です。
金属製のフィルターからゆっくり流れ落ちる
時間を楽しみながら本日の作戦会議開始。
バイクの慣らしも兼ねて最初は
旧市街の王宮を目指す事になりました。 -
王宮周りの道は一方通行で走り易いですが
大通りは交通量も多く左折は結構頑張らないと苦しい。
王宮の城壁をお掘り沿いにくるっと一周したあたりで
相棒に訪ねました。
「王宮行くか?」
「行かない、高い!」
「はい、そうですか・・・」
と言う事でたどり着いたのが歴史革命博物館(無料)。
写真はベトナム戦争時代の
米軍兵器展示ゾーンの奥にある旧国子監。
ベトナム様式の建物を十分堪能しました。
帰り道、撃墜された米軍のジェット機の前で
「シット!」と何度も大声で悪態を吐くアメリカ人と
困った様子で眺めるベトナム人ガイドを横目で見ながら
私たちは次の目的地へとバイクを走らせました。 -
フエの街の道は難しい!
基本的に道が東西に走っていないし
真っ直ぐに伸びた道は無く殆どカーブします。
更に三差路や五差路がどこにでも現れ
方位磁針ではまったく対応できません。
第二の目的地、ダンナムザオ(写真)を目指し
着実に南下していると思っていたところ
交差点毎に少しずつ道が曲がり東に進むと言う痛恨のミス。
バス待ちのベトナムの方々に何度かお世話になりながら
郊外の史跡に向かう一本道に出るまでは結構大変でした。
何とか史跡に辿り着き、史跡前にバイクを止めると
何処からか一人の女性がバイクで現れました。
「10ドルでこの周辺のガイドをします。」
確かに地元案内人が居ないと困る事もあるとは思いますが
丁重にお断りして、私たちは史跡の中へと入りました。
この史跡の敷地は広く中央部には円形の斎場が佇んでいます。
小高い木々が茂る静かな空間に観光客は私たちだけで
そこにはのっぺりとした空気が流れていました。 -
カイディン帝陵。
ダンナムザオからバイクで15分ほど南にあります。
市街地を抜けると交通量は減り、走行は快適です。
この帝陵は山間の道を快適に走っていると突然現れます。
史跡の目の前が駐車場でバイクは料金5,000VNDです。
「どうしたんですか?」
「キーが抜けなくて・・・」
「私がやってみましょう。」
駐車場で困っていた初老のドイツ人カップルに
かっこ良く声をかけ、色々やってみたもののキーは抜けません。
キーが折れてシリンダー内に残ってしまうと最悪です。
私たちが騒いでるのを聞きつけ現地の人がやって来ました。
「はいはい、まったく問題ないよ。」
私たちの心配をよそに、彼は思いっ切り引き抜きました。
そうです、忘れてはいけません、ここはアジアなのです。
あのドイツ人が遺跡見学の帰りに
もう一度鍵穴にキーを差し込む勇気があるかどうかはさておき
一件落着でいよいよカイディン帝陵見学です。
駐車場から見上げたカイディン帝陵は思った以上に大きく
ドッシリとした存在感で私たちを待ち構えています。 -
この正面門に向かう階段手前左に料金所が在ります。
カイディン帝陵の入場料金は、100,000VND。
カイディン帝陵、ミンマン帝陵、王宮の
パッケージツアーチケットは、280,000VND。
迷う事無く100,000VNDのチケットを買って入場。
この門を過ぎ階段を登った広場には
象、馬、兵隊、文官の石像が私たちを迎えてくれます。
古の中華の王の空気が漂っています。 -
小高い丘を駆け登るようにこの帝陵は建てられていて
その最上部に天定宮(ティエン・ディン宮)が在ります。
外観は西洋風でもあり中華風でもあり
不思議な折衷感が漂っていますが、
そのどっしりした存在感は将に王の威厳そのものです。
宮の中に入ると熱帯の空気が一転します。
高い天井には何匹もの龍が駆けめぐり
床の大理石は南シナ海のように緩やかに波打ち
宮内の空気は長い時間を経てきた物だけが持つ
特有の重力によって重くのしかかって来ます。 -
宮の内部のほとんどすべての壁や柱には
陶器やガラスを使ったモザイクの装飾が施されています。
石工、木工技術があるにもかかわらず
何故あえて陶器の欠片によるモザイクなのか?
最初は違和感を覚えながら見学したものの
しかしその陶器が放つ怪しい光沢は鮮烈で
抽象化されたデザインが作り出す絵画の世界は
時間や生死を越えた永遠性を感じさせます。 -
水を統べる者が国を統べる。
天空には雨を呼ぶ黒い雲間を龍が駆けめぐり
眩いばかりの装飾をされた何本もの太い柱が
天を支えるかのように空へと伸び上がる。
この宇宙観の中央に唯一存在するのが帝の像。
・・・・美しい。
雷鳴とともに激しく地面を打ち付ける雨の音が
すべての雑踏を掻き消しながら時代を流してゆく。
水の精霊を体内に宿し世界を席巻する王の存在感。
水を統べる者が国を統べる。
帝の世界観が感じられる陵です。 -
カイディン帝陵から下界を眺めると
平地も少ない小高い丘に囲まれた田舎です。
カイディン帝が本当に愛したベトナムは
緑に囲まれたこんな長閑な景色だったのかもしれません。
などと思いを巡らす間もなく、そこは観光地。
下から大勢の団体客が押し寄せてきました。
「トイレアチラデス。」「オカネハラッテクダサイ。」
ガイドさんはどこでも大変そうです。
にぎやかになってきたので私たちはここから退散です。 -
続いては世界遺産のミンマン帝廟です。
カイディン帝廟からはバイパスが出来ていたり
新しい橋が出来ていたりで少し迷いましたが
何度か道を尋ねて15分程でたどり着けました。
廟周辺に駐車場は2ヶ所あるようで
私たちは運悪く入場ゲートから遠い方に到着。
この風景にたどり着くまでに相当歩きました。
その距離がどの程度かは相棒の顔が物語っています。
しかしこの廟はまだまだここから相当広そうです。 -
長い長い道を真っ直ぐに進み大きな門をくぐり抜け
たどり着いた殿はカイディン帝陵の様な豪華さではなく
威厳と高貴さが調和した落ち着いた空間です。
中華風の建築、装飾をじっと眺めていると
三国志の時代に迷い込んだ錯覚を覚えます。 -
外の石畳を照り付ける光は思ったよりも強く
殿の内側の世界とは天と地のような
とても強いコントラストを生み出しています。
幾つかの門をくぐり、この殿に入った瞬間
私の視野は遠い彼岸の世界に引き込まれたように
薄暗い空間の中で方向性を失い彷徨います。
気持ちを落ち着けゆっくり振り返ったそこには
古の人々が長い月日をかけ作り上げた
漆黒の支柱がこの世界をしっかりと支え
闇に押し潰され無いよう結界を作っていました。 -
大きな門に切り取られた風景は入れ子となって
次なる桃源郷を効果的に演出する絵画のようです。
この帝陵はイメージの世界を完成させるために
どこまでも細かく丁寧に作り込まれている気がします。 -
鮮やかな朱の柱が立ち並ぶこの殿は
四方の壁がすべて朱色の扉となっています。
そしてその扉が開け放たれたこの空間には風が通り
何とも言えない安堵感が漂っています。
殿内に設けられた長椅子に吸い寄せられて
私たちがかなりの時間を寛いだことは言うまでもありません。
こんな時、何故かしら私たちは二人きりになる事が多いのです。
目の前の静かな空間には色々なものが流れて行きます。
鳥の声、甘い花の香り、力を無くした見えない影。
そして、まとい付いて来る灼熱と時間。
この空間には、時計が刻む時間とは
趣が異なる時が静かに積み重なって行きます。
こんな時、私はこの場に居る運命を感じるのです。 -
この遺跡最後の難関である階段。
ここまでたどり着くのに結構疲れた私たちの
次なる作戦は笑顔で私たちを追い越していった
元気なフランス人親子の動向を見ること。
「この扉は開かないわ、これ以上先に行けないわね。」
この向こう側は観光客が入る事の出来ない聖地と言う事です。
安堵の表情を浮かべた相棒に、私が掛けた言葉は
「さぁ、帰ろうか?」
「うん。」
ベトナム、フエ、3月はまだ、かなり暑い! -
ミンマン帝廟からの帰り道はバイクの起動力を活かし
トゥドゥック帝廟まで頑張って足を伸ばしましたが
観光バスと観光客の多さに気遅れして見学は中止。
一旦宿に戻って次の作戦を練ることにしました。
時間は午後3時、すごく遅めの昼食に選んだのは
バイン・コアイが人気の食堂、ハンです。
25,000VNDのバイン・コアイは見た目通り、
それ程美味しい物ではありませんでした。
しかし、勘違いから1匹しかなかったエビを
誰が食べたかで大喧嘩になってしまった私たちを
ベトナムの人々は微笑ましく見てくれたでしょうか? -
フエのビックCは新市街にあります。
その最上階のフードコートからは
街の南側がパノラマ写真の様によく見えます。
初めてのベトナムに戸惑いながらも
バイクタクシーの後部座席にしがみ付き
目の前に広がる馬鹿でかい交差点に
勢い良く突入したのは、わずか20時間前です。
まだ少ししか過ごしていないこの街ですが
空が広く見えるこの街はとても好きになりました。
さて、この街をフードコートのガラス越しに俯瞰したところで
酒やおやつの調達を兼ねて市場調査に入りましょう。 -
ビックCで色々と買い込んだ私たちの夕食は
昼間の疲れもあって、街には繰り出さず
宿の1階のテーブルで済ます事となりました。
宿のオーナーは細かな所に気を使ってくれる方で
食材を盛り付ける皿や器、グラス、フォークなどを用意して頂き
これまた持ち込みのビールで静かに宴会が始まりました。
写真はビックCの惣菜コーナーで購入した
バインクオーンセット、21,000VND也。
豚肉、鶏肉の揚物にサラダが付いたものを
宿で借りた皿に盛り付けてみました。
これ以外は、焼きたてのバケット1本4,500VND。
スーパーの物とは言えベトナムの焼きたてパンは美味い!
ビールの次はウォッカ・ハノイを飲みながら
明日以降の予定を真剣に相談しました。
「フエは気に入ったから明日もドライブしない?」
「うん、いいわよ。」
「そうなると日程的にホイアンは行けなくなるよ。」
「そうなるわね。」
「まぁ、ホイアンはまた別の機会に来ればいいか・・・。」
「うん。作戦会議終了ね。」
「はい、飲みますか。」
居心地の良い街と、居心地の良い宿に出会うと
何となく長居してしまう、そんな旅行が私たち流です。
と言う事で、明日(次回)はもう一日フエを満喫し
その次の日にバスでダナンに向かいます。
フエの田んぼ道を疾走、ダナンの市場の熱気に大興奮。
変わり栄えの無い、余り役に立たない旅行記ですが
次回フエ後編&ダナン編もご覧下されば幸いです。
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この旅行記へのコメント (1)
-
- 風神さん 2016/12/09 07:30:13
- いいね!投票ありがとうございます。
- shique様
楽しそうで充実した旅ですね。
これからの旅行の候補がひとつ増えました。
風神
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