8月6日、ヒロシマ。静かな怒りと大きな祈りに包まれる日。

2014/08/06 - 2014/08/06

世界では毎日どこかで戦争が行われ、命が失われて行く。
日本でも大した議論が行われることなく「集団的自衛権」の行使を容認する法律が出来てしまった。
世界はどうなってしまうのだろう。
日本はどこに向かおうとしているのだろう。


戦争がある世の中に絶対後戻りしちゃいけない。
核の犠牲になった唯一の国だからこそ、先頭に立って平和を訴えるべき。
「非核三原則」は例えそれが綺麗事だとしても守り抜かなければならない。

その通り。


でも、いざ、日本がどこかの国の標的になったとき、米国は本当に日本を守ってくれるのか？
自分の国で精一杯の国にそれだけの余力があるのか？
こんな不穏な世の中に、こんな悠長なことで、ニッポン、大丈夫なのか？

頭の片隅、心の隅っこにそんなことを思うもう一人の自分もいる。


シミがじわじわと広がるように、少しずつ、でも確実に浸食されている「争いのない世界」。
どうしたらその広がりを止めることができるのか、そもそも、止まることがあるのか、漠然とした不安を抱えたまま訪れた戦後69年目のヒロシマ、8月6日。

エリア 広島市(広島)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 新幹線 JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

午前中の小倉での用事を済ませて、新幹線で一駅、1時間もしないうちに広島に到着。
今日の広島は外国人が多い。

そのまま在来線に乗り換えて宮島口駅までは約30分。
昨日の大雨でJRのダイヤは大幅に乱れている模様。


宮島は今日もシカがお出迎え。
今日は厳島神社のご神体である「弥山」登山が目的。

観光案内所で地図をもらい、登山口を目指す。

宮島へは何度も訪れているけど、弥山は初めて。
表参道商店街を抜けて山側に進むと、行き交う人の数は段々と減り、豊かな自然が広がり始める。
静かな空間に、水の流れる爆音だけが響く。

「宮島にこんな場所があったとは！！」。

登山口が分からなくて、地元の人に何度か尋ねる。

結論としては、ロープウェイ乗り場に向かって進み、最後の分岐を左に進めば乗り場、右に伸びる道が「紅葉谷ルート」。

弥山へ登るルートは、この他に「大聖院コース」「大元コース」がある。
「紅葉谷ルート」が一番頂上に近く、初心者向き、さらに鬱蒼と茂る木々が太陽の光を遮ってくれるから、夏に登るならこの道がいい……とHPに書いてあったので今回は迷わずこのコースを選択。

山頂まで1時間半〜2時間の道のり。
さあ、出発。

所々に「紅葉谷コース」と書いた標識が出ているし、道も整備されているので迷うことなく登山ができる。

看板には「夕日を見る方は、帰りは懐中電灯が必要です。ご注意下さい」の文字。
確かに天気のいい日に山頂から眺める夕日は素敵だろう。

昨日の大雨で増量した川に沿って階段を上へ、上へ、と登る。

帰りのロープウェイで一緒になった人が言ってた。
「今日は水の音がいつもより大きいわ。昨日の雨のせいね」。

そう！。
天気予報は雨のち曇りだったから、レインウェアも傘も持ってきたけど、必要のない天気になりました。

滝と化したいつもなら普通の階段と思われる道。

それにしても階段が続く……。

途中からは、日本を旅行中のオランダ人と登山。

青森でねぶた祭りを見て、快晴の上高地を満喫し（羨ましい！）……明日は屋久島、その後富士山（見るだけ、らしいけど）。

彼にとって、日本に来て一番驚いたのは「自然」。
オランダでは見ることのできない豊かな自然が広がっていることは、本当に驚きの連続なのだとか。
盛んに「蛇」を見てみたい、と言ってました（笑）。

このオランダ人はじめ、8月6日に合わせて、多くの外国人が広島を訪れてた様子。
午前は記念式典に参列して、午後は宮島、かな。
写真のグループは、広島大学の学生さんが通訳をしながら、登山中。

何と、前の男の子、素足で登山！
しかも、見る限りすごく慣れた感じで登ってる！！

最初は危ないなあ、と思ったけど、途中から感心すらしちゃった（笑）。

標高535m。
海抜0mからの夏山登山、かなり上まで来た。
気がつくと汗びっしょり。
吹く風が少しだけ涼しくて心地いい。

天気がよければ、眼下には「青い海」が広がるようですが、今日は霞んでました。

山頂にある展望台。
やっぱり霞んだままの広島の街。
次は紅葉の季節に来れればいいな。

帰りは時間の都合上、ロープウェイで下山。
片道1,000円。

厳島神社のすぐ近くにある「錦水館」では、日帰り入浴が可能。
1,300円でバスタオル、ハンドタオル付き。
内湯のみだけど、広々とした湯船に少し熱めのお湯が気持ちいい。

栃木から来た、という女性2人組としばしの間おしゃべりに興じる。
栃木といえば、まず思い浮かべるのは…日光東照宮、ですかね？。

いい所よ。温泉もたくさんあるし、是非いらっしゃい。
紅葉の季節はとにかくすごい人出なの。新緑の季節がいいわよ。

ええ、「見ざる、言わざる、聞かざる」、旅の候補に入れさせて頂きますね。

丁度夕日の沈む時間と満潮の時間が重なった大鳥居。

居合わせた日本人、外国人、すべてが眼を奪われる幻想的な風景。

夕日が沈んだら、JRで横川駅まで行って、市内電車に乗り換えて、原爆ドーム前まで移動。

JRは19時になっても大幅に乱れたまま。

帰りに見かけたラムネがとても美味しそうだったので、1本飲んでみた。
「はっさくラムネ」「レモンラムネ」「もみじラムネ」……う〜ん、「はっさくラムネ」かな。

もみじ饅頭や宮島ビールもお土産に購入。
どうしてここで地ビールが出来るのか以前から不思議だったけど、弥山の豊富な水が源だったんですね。

人の溢れた原爆ドームとその横を流れる元安川。

精霊流しは誰でも参加可能。
600円支払って和紙を購入、それに思いを綴り、係員の人にセットしてもらってロウソクに火を点し、川に流します。

水、水……と苦しみながら亡くなっていった多くの人々の命に思いを馳せながらゆらゆらと流れる灯籠を眺める。

広島で、日本で、この平和が永遠に続きますように。
戦火に怯える国に一日でも一分でも早い平和が訪れますように。

戦いのない国に生まれ、戦いのない時代に育った（ある意味）平和ボケ世代の私。
せめて今日だけはこの平和に感謝し、ずっと続く平和を心から祈ろう。

元安橋を渡り、ライトアップされた原爆ドームへ。

8月6日もいつもと変わらず広島の街を見守り続ける。


そのまま市内電車で広島駅へ。
明日は仕事、そろそろ移動しよう。

この暑さで食欲はなかったけど、広島に来たからにはお好み焼きだけは食べておきたい！。
新幹線の出発まで30分…駅ﾋﾞﾙ2階で、お好み焼き屋を探す。
けど、閉店間近すぎて、片付けに入ってる店ばっかり(-_-;)
かろうじて「閉店」の看板の出ていない「おゝ井」で持ち帰りのお好み焼きを注文。

仕事に疲れたサラリーマンが多く乗車した広島発22時7分の博多行き新幹線。
「みなさん、すみません……」ソースの焦げるいい匂いを回りに撒き散らしながら、新幹線の中で頂きました。

広島のお好み焼きはやっぱり美味しかった。