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サンクトペテルブルク滞在中の週末、フィンランドの北極圏に位置する町ロヴァニエミへの弾丸旅行を敢行した。先回使いそびれたフィンランドパスが手元に残っていて有効期限が間もなく切れるため、目一杯有効にフィンランド国鉄を使って、そしてあわよくば、オーロラを一目見ることができれば、という目論見だ。もちろんロヴァニエミでオーロラを見ることができる確率が極めて低いことは予め承知していた。晴天であること(週に2日程度)が必要で、その上オーロラが出現する確率は3割程度、1夜ではまず期待はできない。とりあえず前日にロヴァニエミの観光案内所に電話で問い合わせたところ、晴天が期待できることはわかった。もはや行くしかない。<br /><br />フィンランド北部の最大の都市、ロヴァニエミは人口約6万人、面積8,016 km(兵庫県とほぼ同じ)の広大な市である。計算するまでもなく、人口密度は日本よりもケタ違いに小さい。石器時代よりサーミ人と呼ばれる人達が住み始めた痕跡があり、15世紀には主に農業と畜産業、他に漁業と狩りなどを営む住民が住む小さな村であった。 1800年代以降、未開のラップランド地方の金鉱山の資源採掘が始まり人口が増加。鉱山の採掘量が増えると共に、ロヴァニエミはラップランドの中心となる。<br /><br />第二次世界大戦中にナチスドイツ軍が進駐、ソ連との戦闘が不可避となった。ソ連はドイツのフィンランドからの完全撤退を要求し、フィンランドはドイツと戦う(ラップランド戦争)ことになる。フィンランドは1944年10月の戦いで勝利して、北部フィンランドからドイツ軍を駆逐した。一方ドイツ軍は焦土作戦を行い、ロヴァニエミ市街の9割が破壊された。1945年4月にドイツ軍が撤退するまで、多くの死傷者を出した。復興は1946年に始まり、市街の多くの建築物をフィンランドの世界的な建築家アルヴァ・アアルトが設計した。<br /><br />サンクトペテルブルクを20:25発のアレグロで出発、途中ラハティとリヒマキで乗り換え、23時頃寝台夜行列車に乗り込んだ。フィンランドパスを持っていれば35ユーロの寝台料金のみで乗車できる。幸い2段ベッドの個室を1人で使用することができ、朝10:40ロヴァニエニに到着するまで意外とよく寝ることができた。電気機関車が牽引する寝台車は最高時速120km程だろうか、途中18駅に停車するが、眠りを妨げないように運転は配慮されており、発車ベルなども全くない。ロヴァニエニ駅に到着した時の、駅の温度計はマイナス21度を指していた。持ち合わせの防寒着を着込んではいたが、屋外で長時間耐えられる気温ではない。大量の寒気を直接吸い込んだため肺炎を起こして1ヶ月入院した同僚もいたため、マスクとマフラーで口の周りを覆った。<br /><br />ロヴァニエニ駅に到着してまずはサンタクロース村に向かった。駅からバスで約20分、ショッピングセンターやポストオフィス、レストラン、ハスキー犬やトナカイのそり遊びなど、それなりには楽しめる。若い女性達やカップルなど日本人の観光客も多く出会った。その後北極圏博物館であるアルクティクムを訪れた。ここでラップランドの自然や歴史、原住民のサーメ人の生活様式などを見た後、ポラリウムシアターでオーロラの映写を見た。ここに掲載したオーロラの写真は実はこのシアターの映像である。幼い頃から夢にまで見たオーロラの光のカーテンが揺らめいていた。なお、オーロラとはローマ神話の曙の女神オーロラに因んでガリレオがつけたと言われる。<br /><br />アルクティクムを出て、地平線の上に出ない太陽の光はどんどん弱くなり、やがて暗闇となった。オーロラ観察は当然、暗闇で市街の光が少ないことが条件となる。観光ガイドによれば、丘の上にあるスカイホテルの屋上のテラスがベストスポット、と書いてありここに場所を決めた。どっぷりと暗闇に覆われてオーロラ観察を始めたころマイナス26度まで下がっていた。晴天で星空であり、オリオン座は日本よりもかなり高度が低く見える。月が登ってオーロラ観察にはマイナス要因ではあるが、一応オーロラが出現する条件は揃った。<br /><br />スカイホテルのレストランで軽い食事をとって、テラスに登ったり降りたりしてオーロラの出現を待った。ある年配の日本人女性は、このホテルにすでに数日滞在しており、前日に見たオーロラについて語ってくれたが、1夜しか滞在できない小生は、心の底でコンチクショーと叫んでいた。そしてオーロラを見ることはできたか?残念ながら確率の通りオーロラは出現しなかった。オーロラを見るという夢はお預けになり、いつになるかわからない次の機会を待つことにしよう。

フィンランド鉄道の旅No.2 : 極寒のロヴァニエミでオーロラを見たか?

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2014/01/17 - 2014/01/19

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ハンク

ハンクさん

サンクトペテルブルク滞在中の週末、フィンランドの北極圏に位置する町ロヴァニエミへの弾丸旅行を敢行した。先回使いそびれたフィンランドパスが手元に残っていて有効期限が間もなく切れるため、目一杯有効にフィンランド国鉄を使って、そしてあわよくば、オーロラを一目見ることができれば、という目論見だ。もちろんロヴァニエミでオーロラを見ることができる確率が極めて低いことは予め承知していた。晴天であること(週に2日程度)が必要で、その上オーロラが出現する確率は3割程度、1夜ではまず期待はできない。とりあえず前日にロヴァニエミの観光案内所に電話で問い合わせたところ、晴天が期待できることはわかった。もはや行くしかない。

フィンランド北部の最大の都市、ロヴァニエミは人口約6万人、面積8,016 km(兵庫県とほぼ同じ)の広大な市である。計算するまでもなく、人口密度は日本よりもケタ違いに小さい。石器時代よりサーミ人と呼ばれる人達が住み始めた痕跡があり、15世紀には主に農業と畜産業、他に漁業と狩りなどを営む住民が住む小さな村であった。 1800年代以降、未開のラップランド地方の金鉱山の資源採掘が始まり人口が増加。鉱山の採掘量が増えると共に、ロヴァニエミはラップランドの中心となる。

第二次世界大戦中にナチスドイツ軍が進駐、ソ連との戦闘が不可避となった。ソ連はドイツのフィンランドからの完全撤退を要求し、フィンランドはドイツと戦う(ラップランド戦争)ことになる。フィンランドは1944年10月の戦いで勝利して、北部フィンランドからドイツ軍を駆逐した。一方ドイツ軍は焦土作戦を行い、ロヴァニエミ市街の9割が破壊された。1945年4月にドイツ軍が撤退するまで、多くの死傷者を出した。復興は1946年に始まり、市街の多くの建築物をフィンランドの世界的な建築家アルヴァ・アアルトが設計した。

サンクトペテルブルクを20:25発のアレグロで出発、途中ラハティとリヒマキで乗り換え、23時頃寝台夜行列車に乗り込んだ。フィンランドパスを持っていれば35ユーロの寝台料金のみで乗車できる。幸い2段ベッドの個室を1人で使用することができ、朝10:40ロヴァニエニに到着するまで意外とよく寝ることができた。電気機関車が牽引する寝台車は最高時速120km程だろうか、途中18駅に停車するが、眠りを妨げないように運転は配慮されており、発車ベルなども全くない。ロヴァニエニ駅に到着した時の、駅の温度計はマイナス21度を指していた。持ち合わせの防寒着を着込んではいたが、屋外で長時間耐えられる気温ではない。大量の寒気を直接吸い込んだため肺炎を起こして1ヶ月入院した同僚もいたため、マスクとマフラーで口の周りを覆った。

ロヴァニエニ駅に到着してまずはサンタクロース村に向かった。駅からバスで約20分、ショッピングセンターやポストオフィス、レストラン、ハスキー犬やトナカイのそり遊びなど、それなりには楽しめる。若い女性達やカップルなど日本人の観光客も多く出会った。その後北極圏博物館であるアルクティクムを訪れた。ここでラップランドの自然や歴史、原住民のサーメ人の生活様式などを見た後、ポラリウムシアターでオーロラの映写を見た。ここに掲載したオーロラの写真は実はこのシアターの映像である。幼い頃から夢にまで見たオーロラの光のカーテンが揺らめいていた。なお、オーロラとはローマ神話の曙の女神オーロラに因んでガリレオがつけたと言われる。

アルクティクムを出て、地平線の上に出ない太陽の光はどんどん弱くなり、やがて暗闇となった。オーロラ観察は当然、暗闇で市街の光が少ないことが条件となる。観光ガイドによれば、丘の上にあるスカイホテルの屋上のテラスがベストスポット、と書いてありここに場所を決めた。どっぷりと暗闇に覆われてオーロラ観察を始めたころマイナス26度まで下がっていた。晴天で星空であり、オリオン座は日本よりもかなり高度が低く見える。月が登ってオーロラ観察にはマイナス要因ではあるが、一応オーロラが出現する条件は揃った。

スカイホテルのレストランで軽い食事をとって、テラスに登ったり降りたりしてオーロラの出現を待った。ある年配の日本人女性は、このホテルにすでに数日滞在しており、前日に見たオーロラについて語ってくれたが、1夜しか滞在できない小生は、心の底でコンチクショーと叫んでいた。そしてオーロラを見ることはできたか?残念ながら確率の通りオーロラは出現しなかった。オーロラを見るという夢はお預けになり、いつになるかわからない次の機会を待つことにしよう。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
グルメ
4.0
ショッピング
4.0
交通
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • ヘルシンキ行きのアレグロが発着するサンクトペテルブルクのフィンランド駅

    ヘルシンキ行きのアレグロが発着するサンクトペテルブルクのフィンランド駅

  • ヘルシンキに向かうアレグロ

    ヘルシンキに向かうアレグロ

  • ロヴァニエニに向かう夜行寝台列車の個室

    ロヴァニエニに向かう夜行寝台列車の個室

  • 個室にはトイレ、シャワー設備まで設置されており至れり尽くせり

    個室にはトイレ、シャワー設備まで設置されており至れり尽くせり

  • ロヴァニエニに向かう途中駅の雪景色

    ロヴァニエニに向かう途中駅の雪景色

  • ロヴァニエニ駅の周囲の風景

    ロヴァニエニ駅の周囲の風景

  • ロヴァニエニ駅に到着した夜行寝台列車

    ロヴァニエニ駅に到着した夜行寝台列車

  • ロヴァニエニ駅のファサード

    ロヴァニエニ駅のファサード

  • ロヴァニエニ駅の駅前通り

    ロヴァニエニ駅の駅前通り

  • サンタクロース村に向かうバス

    サンタクロース村に向かうバス

  • サンタクロース村に到着

    サンタクロース村に到着

  • サンタクロース村を象徴する建物

    サンタクロース村を象徴する建物

  • サンタクロース村のショッピングセンター

    サンタクロース村のショッピングセンター

  • サンタクロースとトナカイ

    サンタクロースとトナカイ

  • 雪だるまと親子連れ

    雪だるまと親子連れ

  • サンタクロース・オフィス

    サンタクロース・オフィス

  • ショッピングセンター

    ショッピングセンター

  • サンタクロース・ポストオフィス

    サンタクロース・ポストオフィス

  • 北極圏を示すライン

    北極圏を示すライン

  • ソリを引くトナカイ

    ソリを引くトナカイ

  • サーメ人の住居 ラピッシュ・ティーピー

    サーメ人の住居 ラピッシュ・ティーピー

  • マイナス21度を示す表示

    マイナス21度を示す表示

  • サンタクロースと写真を撮るスタジオ

    サンタクロースと写真を撮るスタジオ

  • 北極圏博物館のアルクティクムのファサード

    北極圏博物館のアルクティクムのファサード

  • ガラス張りのアルクティクムの内部

    ガラス張りのアルクティクムの内部

  • アルクティクムのオーロラの映像

    イチオシ

    アルクティクムのオーロラの映像

  • アルクティクムのオーロラの映像

    アルクティクムのオーロラの映像

  • トナカイの剥製

    トナカイの剥製

  • アルクティクムとクリスマスツリー

    アルクティクムとクリスマスツリー

  • 地球最北にあるマクドナルド

    地球最北にあるマクドナルド

  • 北極圏のロヴァニエニの風景

    北極圏のロヴァニエニの風景

  • スカイホテルのテラスからの眺め、前日にはこの方向にオーロラが出現したと言う

    イチオシ

    スカイホテルのテラスからの眺め、前日にはこの方向にオーロラが出現したと言う

  • スカイホテルのテラスからの眺め、町の明かりが見える

    スカイホテルのテラスからの眺め、町の明かりが見える

  • スカイホテルのレストラン内部

    スカイホテルのレストラン内部

  • ヴェジタリアンメニューのマッシュルームのステーキ

    ヴェジタリアンメニューのマッシュルームのステーキ

  • スカイホテルの入り口

    スカイホテルの入り口

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この旅行記へのコメント (1)

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  • tadさん 2014/02/05 21:00:57
    オーロラ。。
    残念でしたね。でも、すごい挑戦ですね。私はクロアチア等から帰宅したばかりです。ベトナム日記などまた読ませてください。

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