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 静寂の音を、聞いたことがありますか?<br /><br /> 人もいない、鳥もいない、風もない、あるのはただどこまでも広がる空と大地と空間。時間さえ止まっているかのような感覚の中で、ただ自分という「生き物」の存在感がくっきりと浮き上ってくるようでした。<br /><br /> 2003年10月後半のある土曜日、同僚と初めてモンゴルへの5日間のツアーに参加しました。最高気温1~3℃、最低-10℃、モスクワよりもかなり寒いという前情報に恐れながら約5時間でウランバートルへ到着しました。飛行時間にしてモスクワまでの半分….改めてアジアは広いのだなと思いました。到着すると、空港出口で迫ってくるタクシーの客引きを避けながら、出迎えの運転手、ガイドさんと合流して約30分で市内のホテルへ到着しました。<br /><br /> 翌日は、いよいよテレルジ近郊のエリステという草原のツーリストキャンプへ。市の中心を少し外れた辺りから、もうあちらこちらに遊牧民のゲルが見え始めました。普通の住宅のすぐ隣に並んでいるところも多く、遊牧民の生活と町の人々の生活が、ごく普通に接しているのを少し不思議な思いで見ていました。かなりのデコボコ道で、車は上下に大きく振動しながら進みます。草は枯れ、草原はもうすっかり茶色になっていましたが、頭の中でそれを緑色に塗り替えて夏の草原をイメージしようとしました。道すがら時折出会うのは馬に乗った遊牧民か放牧されている馬や羊の群れだけです。途中休憩では、オボ(石塚)で旅の安全や願い事を祈願しました。美味しい空気をたっぷり吸いこみ、少し一人で皆から離れて散策してみると、どこまで行ってもゆるやかな起伏のある草原と山と空ばかりです。風もなく、いくら耳を澄ましてみても何の音もしません。「シーン」とさえせず、まったくの空虚。同じ太陽に照らされているのに、まるで独り宇宙空間にいるかのようでした。<br /><br /> 1時間ほどでキャンプに着くと、今夜のお宿のゲルを見て歓声を挙げ、ドライバーさんに民族衣装のデールを着せてもらった後、自由時間を利用して草原を散策しました。自由自在な空間からある方角を選んで、ゆっくりと、たっぷり歩きました。綿入れのデールは防寒着でもあるだけに暖かく、また晴天に恵まれたおかげで陽射しが穏やかで、草原こそ緑色をしてはいませんでしたが、絶好の散歩日和でした。その後、遊牧民のインストラクターの指導で乗馬を楽しみながら、彼のおじいさんのゲルを訪ね、モンゴルのミルクティーを頂いて帰りました。乗馬などしたこともなく運動音痴の私は、馬に何度も振り落とされてほとんど前進できない事態を覚悟していたのですが、モンゴルの馬は小柄でやさしく(後で聞くと一番おとなしい馬を選んで連れてきてくれたのだそうです)、ゆっくりですが一度も落馬することなく心から満足な時間を過ごす事ができました。<br /><br /> レストランゲルで温かい手作りの夕食を頂いた後で外へ出ると、もうすでに暗く、頭上には白い屑をちりばめたような夜空がありました。黒い空に星座がくっきり輝いている!というものではありません。毎晩見ているオリオン座さえ探さなければならないほど、360度、地平線まで広がる空は星でいっぱいでした。天の川も見えました。気温はかなり下がっていましたが寒さを忘れ、時間も忘れて眺め入りました。「一生に一度でいいから満天の星空を見たい。」私にとっては念願がかなった瞬間でした。気温-10℃、寒さに耐えられなくなるとゲルに駆け込んで暖炉の火で温まり、また外へ出るということを何度となく繰り返しました。もったいなくて外で寝たいような気分でしたが、そのうち月が出てくるとその明かりで星が一斉に姿を消してしまったので、安心してゲルへ戻って寝ることにし、凍死せずにすみました。<br /><br /> ガイドさんに聞いた話では、ウランバートルは「世界で一番寒い首都」なのだそうです。今回は添乗員さんが連れて行ってくれるということで、私たちは体一つで行けばいいのだとすっかり気を抜き、モンゴル語の一言すら覚えずに出かけました。ガイドさんのいないところでは現地の人とまったくコミュニケーションが出来ず、すっかりお手上げだと思っていた折、ロシア語を話せる人がかなりいることがわかりました。元々日本人と民族を同じくするモンゴルで、ロシア語が通じたことは驚き、感動しました。20代半ば以上の人は中学校で習ったのだそうですが、今は英語がそれに代わってきているとのことでした。たとえ片言でも、笑顔や身振り手振り以上のコミュニケーションができると、出会う人の数が増え、旅は一気に充実度を増します。挨拶言葉さえ覚えずに出発した反省とともに、少しでもロシア語ができてよかった、とつくづく思いました。<br /><br /> ウランバートル市内では、星は見えませんでした。ウランバートルから離れれば離れるほど、星の数は増えるのだそうです。モンゴルのベストシーズンは夏。現地で会う人会う人が必ず「夏がいいよ、ぜひ夏にいらっしゃい。」と言ってくれました。残念ながら、仕事柄夏の旅行はさしあたって難しそうですが、いつか見てみたいですね。緑の草原と、もう一度、満天の星空。<br /><br />http://www.jic-web.co.jp/study/jclub/info.html

静寂の音と満天の星~モンゴルの草原

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2003/10/18 - 2003/10/22

65位(同エリア87件中)

JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 静寂の音を、聞いたことがありますか?

 人もいない、鳥もいない、風もない、あるのはただどこまでも広がる空と大地と空間。時間さえ止まっているかのような感覚の中で、ただ自分という「生き物」の存在感がくっきりと浮き上ってくるようでした。

 2003年10月後半のある土曜日、同僚と初めてモンゴルへの5日間のツアーに参加しました。最高気温1~3℃、最低-10℃、モスクワよりもかなり寒いという前情報に恐れながら約5時間でウランバートルへ到着しました。飛行時間にしてモスクワまでの半分….改めてアジアは広いのだなと思いました。到着すると、空港出口で迫ってくるタクシーの客引きを避けながら、出迎えの運転手、ガイドさんと合流して約30分で市内のホテルへ到着しました。

 翌日は、いよいよテレルジ近郊のエリステという草原のツーリストキャンプへ。市の中心を少し外れた辺りから、もうあちらこちらに遊牧民のゲルが見え始めました。普通の住宅のすぐ隣に並んでいるところも多く、遊牧民の生活と町の人々の生活が、ごく普通に接しているのを少し不思議な思いで見ていました。かなりのデコボコ道で、車は上下に大きく振動しながら進みます。草は枯れ、草原はもうすっかり茶色になっていましたが、頭の中でそれを緑色に塗り替えて夏の草原をイメージしようとしました。道すがら時折出会うのは馬に乗った遊牧民か放牧されている馬や羊の群れだけです。途中休憩では、オボ(石塚)で旅の安全や願い事を祈願しました。美味しい空気をたっぷり吸いこみ、少し一人で皆から離れて散策してみると、どこまで行ってもゆるやかな起伏のある草原と山と空ばかりです。風もなく、いくら耳を澄ましてみても何の音もしません。「シーン」とさえせず、まったくの空虚。同じ太陽に照らされているのに、まるで独り宇宙空間にいるかのようでした。

 1時間ほどでキャンプに着くと、今夜のお宿のゲルを見て歓声を挙げ、ドライバーさんに民族衣装のデールを着せてもらった後、自由時間を利用して草原を散策しました。自由自在な空間からある方角を選んで、ゆっくりと、たっぷり歩きました。綿入れのデールは防寒着でもあるだけに暖かく、また晴天に恵まれたおかげで陽射しが穏やかで、草原こそ緑色をしてはいませんでしたが、絶好の散歩日和でした。その後、遊牧民のインストラクターの指導で乗馬を楽しみながら、彼のおじいさんのゲルを訪ね、モンゴルのミルクティーを頂いて帰りました。乗馬などしたこともなく運動音痴の私は、馬に何度も振り落とされてほとんど前進できない事態を覚悟していたのですが、モンゴルの馬は小柄でやさしく(後で聞くと一番おとなしい馬を選んで連れてきてくれたのだそうです)、ゆっくりですが一度も落馬することなく心から満足な時間を過ごす事ができました。

 レストランゲルで温かい手作りの夕食を頂いた後で外へ出ると、もうすでに暗く、頭上には白い屑をちりばめたような夜空がありました。黒い空に星座がくっきり輝いている!というものではありません。毎晩見ているオリオン座さえ探さなければならないほど、360度、地平線まで広がる空は星でいっぱいでした。天の川も見えました。気温はかなり下がっていましたが寒さを忘れ、時間も忘れて眺め入りました。「一生に一度でいいから満天の星空を見たい。」私にとっては念願がかなった瞬間でした。気温-10℃、寒さに耐えられなくなるとゲルに駆け込んで暖炉の火で温まり、また外へ出るということを何度となく繰り返しました。もったいなくて外で寝たいような気分でしたが、そのうち月が出てくるとその明かりで星が一斉に姿を消してしまったので、安心してゲルへ戻って寝ることにし、凍死せずにすみました。

 ガイドさんに聞いた話では、ウランバートルは「世界で一番寒い首都」なのだそうです。今回は添乗員さんが連れて行ってくれるということで、私たちは体一つで行けばいいのだとすっかり気を抜き、モンゴル語の一言すら覚えずに出かけました。ガイドさんのいないところでは現地の人とまったくコミュニケーションが出来ず、すっかりお手上げだと思っていた折、ロシア語を話せる人がかなりいることがわかりました。元々日本人と民族を同じくするモンゴルで、ロシア語が通じたことは驚き、感動しました。20代半ば以上の人は中学校で習ったのだそうですが、今は英語がそれに代わってきているとのことでした。たとえ片言でも、笑顔や身振り手振り以上のコミュニケーションができると、出会う人の数が増え、旅は一気に充実度を増します。挨拶言葉さえ覚えずに出発した反省とともに、少しでもロシア語ができてよかった、とつくづく思いました。

 ウランバートル市内では、星は見えませんでした。ウランバートルから離れれば離れるほど、星の数は増えるのだそうです。モンゴルのベストシーズンは夏。現地で会う人会う人が必ず「夏がいいよ、ぜひ夏にいらっしゃい。」と言ってくれました。残念ながら、仕事柄夏の旅行はさしあたって難しそうですが、いつか見てみたいですね。緑の草原と、もう一度、満天の星空。

http://www.jic-web.co.jp/study/jclub/info.html

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