”　Googleﾍﾟｸﾞﾏﾝじゃ歩けない　”　武蔵野　見て歩き　Vol.１（三鷹駅～武蔵野中央公園）

2013/01/27 - 2013/01/27

　”Discover ご近所”編の第一弾　です。

　目的地の武蔵野中央公園付近とルートについて、まず軽く
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　φ(..)メモメモ
　　　　

１.　戦前は、零戦（ゼロセン）・隼（ハヤブサ）等”軍用機”の主にエンジンを作っていた『中島飛行機（現：富士重工業等）武蔵製作所』がありました。　国内生産の３割をまかなう大工場で、５万人の人が昼夜２交代で２４時間、フル稼働していたそうです。

２.　戦後は、”プロ野球”『国鉄スワローズ（現：東京ヤクルトスワローズ）』のホームグラウンドとして、５万人以上が収容できる”東洋一ともいう野球場（スタジアム）”がありました。

３.　それで”輸送のための線路”『引込線や武蔵野競技場線（国鉄：現ＪＲ東日本）』が武蔵境駅や三鷹駅から通っていて、
その跡が、いま”遊歩道や公園”になっています。

遊歩道ですから、の～んびり、お話しながら歩いてみましょう。片道３ｋｍ弱のほぼ平坦路です(=^・^=)　

　＊帰りは武蔵野市役所辺りから、三鷹・吉祥寺・武蔵関駅にバスもでていますよ～。

エリア 吉祥寺・三鷹(東京)

• 交通手段: 徒歩

＊上が１９４２年の線路状況
　　　（前年１９４１年１２月に太平洋戦争が始まりました）

【中島飛行機製作所の略年表】
１９３８年、中島飛行機、”武蔵野製作所”を開設
１９４１年、西側の隣地に”多摩製作所”を増設
１９４３年、両製作所を合併し、呼称を武蔵製作所で統一
　　　　（東側は陸軍機、西側は海軍機のエンジンを製造）


＊下が１９５１年の線路状況
　　　　　　（東京スタディアム竣工の年です）

　＊ちなみに三鷹駅は、吉祥寺駅や武蔵境駅の後にできました（１９３０年）。　当初は南口だけで、北口は中島飛行機に行く人のために新設（１９４１年）された出入口だそうです。

三鷹駅 駅

　今回のお散歩ルートの地図です　φ(..)メモメモ

①三鷹駅から⑩武蔵野中央公園までを赤い線（遊歩道）に沿って歩きます。

その後、若干の周辺紹介等をしますから関心と体力に合わせて計画くださいネ！　

三鷹駅 駅

　①　まずは、三鷹駅北口に集合！　ですね。

　三鷹駅の改札をでたら、”右”

”北村西望”氏の
『世界連邦平和像』がある方向です。

　①　武蔵野市では１１月２４日を『武蔵野市平和の日』としていますが、このブロンズ像は、市の「世界連邦都市宣言１０周年」を記念して、１９６９年に建立されたものです。

　女神の左手は平和の聖火を捧げ、右手は宇宙と永遠に向かって開いているとのことです。　
　台座には世界各国、４８片の石をあしらい、旧中島飛行機武蔵野製作所でなくなった方々を慰霊する柱が中に祀られているのだそうです。

①　制作者”北村西望”氏の代表作に、長崎、平和公園の
『平和祈念像（１９５５年）』がありますが、
井の頭公園のアトリエで制作されたようですよ。
　（”井の頭自然文化園”に当時の状況展示があります）

　　下は夕方からの夜間ライトアップの様子です。
　
　＊氏は１９５８年に文化勲章を受章しましたが、１９６２年には武蔵野市の”名誉市民第１号”にも選ばれました。

①　では左側（お花屋さん側）に歩いて行きましょう。
武蔵境行きのムーバス（発音：むう↓ばす→）乗り場の方です。

　１００ｍほど歩くと三鷹通りとの交差点に”欅橋”の案内版があります。　　交差点を渡ると、案内に出てくる”三鷹市の指定文化財（民族資料）石造庚申供養塔（こうしんくようとう）”があります。

②　この庚申塔ができた（１７２９年）頃には玉川上水はもう完成しています。　
　上連雀辺りの新田開発も進んで村の体裁も整ってきていたのでしょう。　鬼門にこういうものを作ってお参りするのは、人々の生活が落ち着いてきたという所作の現れだと思います。

＊こういう写真だとなんか建物の方が貴重そうですが、ここは観音堂で、建物はそれの”覆い堂”です。

玉川上水駅 駅

②　玉川上水に沿って歩いて行きますが、
『←①アスファルト』でも
『←②砂利』でもどちらでもどうぞ。

　＊『鉄ちゃん命！』のかたはルートからは外れますが、そのまま線路方向に歩いて行かれてもＯＫです。　線路にでたら武蔵境方向に進んでください。

玉川上水駅 駅

　最初の信号まできましたら、ここでちょっと信号を渡って右に見えている公園に寄っていきましょう。

　何と言うことはない公園ですが、このクヌギ林、ちょっと国木田独歩イメージでいい感じでしょう。　樹木は人を落ち着けるんですね。　

③　ここは”武蔵野市　野鳥の森公園”っていいます。

( ^^) _旦~~　

③　奥に進むとここにやってくる鳥たちの”案内版”があります。

　今日もいっぱいやってきています・・・が、　

　ただ・・・”ハト”ですな。。。　
まあ”野鳩”ということで・・・。　クヌギはいいですネ。　落ち着きます○o。.

　もう一度信号を帰って、真っ直ぐ線路の方に向かいます。　１００ｍほど進んで突き当りを左、線路まで出れば右側に”跨線橋（陸橋）”が見えるでしょう。

　

④　この"三鷹電車庫跨線橋"は、電車庫と共に昭和４（１９２９）年に作られたそうです。　戦争の時には駅とかが攻撃目標のような気もしますが、生き残ってきたんですね。
　
裏からもどうぞ。

三鷹電車庫跨線橋 名所・史跡

④　ずいぶん長いでしょう。　９０ｍもあるそうです。　電車庫を北端から南端まで跨いでいます。
　
　実は100ｍほど三鷹駅寄りに、現在の実生活用で使っているトンネル（自転車通行可）があるんです。　中央線の高架工事をするにあたって、この跨線橋の存続論争も出たみたいですが、今回も生き残りました。

三鷹駅 駅

④　東側（新宿方向）です。

　見えているのは三鷹駅です。
　右が南口・左が北口です。　島ホーム・橋上駅舎ってその筋の方が言ってました。
　　　　　　　　　　　（まあ”見たまんま”ですかネ）

三鷹駅 駅

④　今となっては何方がご覧になるのか不明ですが、
どうみても、これは”時計”ですな。

　実はこの時計、高い所にあるので実感がわきませんが、直径１ｍもあるそうです。　しかもこの時計、日本で最初の電気時計だそうです。　なにげにモニュメントですね。

④　今度は西側です（朝ですな）。

④　南口側に降りてみましょう。　”太宰治”の案内板があります。
　
　陸橋のコンクリートも太宰の降りてきている当時のままらしいです。　ということで、
　ファンの方はここに来ると、

「太宰さんの歩いてるところに立てますよ～！」(*^^)v

太宰治文学サロン 美術館・博物館

④　でも写真の太宰、少しニヤけていますよね。　
　雑誌に掲載する写真のために、田村さんに言われて上がったり降りたりして照れていたそうです。
　他には、陸橋の上で腕を組んでいる写真も有名ですよね。　
　
　ということで、続けて上でも『ポーズどうぞ』

西側-南口寄りからです（夕方ですな）。


＊三鷹”太宰治文学サロン”にも行ってみてくださいね。

太宰治文学サロン 美術館・博物館

④　この使われている鉄骨をよくみてください。　少し妙な形だと思いませんか？
　
　

④　こっちだとわかるでしょう。　
実はこれ”レール”、電車の走るレールなんです。
　
　昭和４年、そろそろ資材が足りなくなる頃でしたから、古いレール（頑丈な純度の高い物ということで全て舶来製）を再利用したそうです。

④　ペンキを塗り重ねていますからよく見ないと判りませんが、左上のように”１９１１”とか製造年が見えるものもあります。　
１９１１年というと明治４４年、明治最後の年ですな。　なんとアムンゼンが南極点を制覇した年です

　　　　　　　　　　　　　（またオタ話・・）( ^^) _旦~~　　

④　最後に西側をもうワンショット（夕方ですな）！


＊夕陽が富士山に降ります。
富士山が撮りたい方は北端と南端からみたいですよ～。


追記　【詳しい方から情報を頂きました（抜粋して解説掲）】

　三鷹駅は昭和になり現在の三鷹車両センターが中野電車庫三鷹支区として設置された為に信号所として開設されたものです。
　跨線橋に使用されている古軌条（元レール）が掲載されておりましたが、該品はアメリカ製の物です。
　旧武蔵野競技場は、当時の国鉄スワローズの根拠地として臨時営業された路線でしたが、昭和２７年（１９５２年）に神宮球場が進駐軍から返還された事で需要が人の動線に便利な都心に移転し、ここは殆ど使用実績も無いまま廃止された所です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<m(__)m>

三鷹駅 駅

④　跨線橋を降りて、いよいよここから”グリーンパーク線（旧鉄道路線）”の始まりです。
　
　まずは”堀合遊歩道”（ほりあわい）を歩いていきます。　
始点の堀合児童公園です。　入り口に身障者用トイレもありますよ。
　

堀合遊歩道 公園・植物園

④　この遊歩道もですが、三鷹市側は”堀合(ほりあわい)”、武蔵野側は”グリーンパーク”なんです。　

　実は、野球場が不振になった原因のひとつにそういうネーミングの違いがあったいう説も読んだこともありますネ。　
　どうも昭和３０年頃に武蔵野市と三鷹市で合併話がでたこともあるそうですが、それは三鷹市議会で否決されたみたいです。

⑤の手前　【上連1】

　＼(◎o◎)／！交差点まで歩いて、横断歩道を渡ってくださいネ！

⑤　『エ』って彫られているのが判ります？　

　この辺りにいくつか残っています。　カタカナの”エ”じゃなくて、これは線路と一般の民有地との境い目に建てられた国鉄の『境界石』です。

⑤　そろそろこの辺りでしょうか。　

　ここからは、武蔵境からやってくる中島飛行機の引込線（こちらが先にできたんですが）と同じ軌道になります。

⑥　ここから”グリーンパーク遊歩道”です。
　”ぎんなん橋”は最近架かったんですが、その前は昔の鉄橋の橋脚がそのまま残って見えていました。
　
今も線路らしき物が何となくみえませんかネ(=^・^=)

グリーンパーク遊歩道 公園・植物園

⑥　横に昔の鉄橋の基礎部分が残されています。　

　”たかが橋ゲタ、されど橋ゲタ”で、使われていた歴史もありますが、こうして見られるように工夫されている事もまた、保存するという歴史（人の意思）を感じます。

⑥　井の頭通り手前（渡るの気をつけてくださいネ！）。

　写っていませんが、左は武蔵野市の水瓶、境浄水場です。
　ここの源水は多摩湖（村山貯水池）や狭山湖（山口貯水池）から水道道路下のパイプで運ばれてきます。
もっとも今は多摩川の水を羽村取水堰で取り入れて多摩湖に貯水しているみたいです。　

⑦　戦時中はここにも高射砲陣地があったようですネ。　
　今こうしてみても広範囲で、相当に大きな砲台だったようですが、これでも高度１万ｍを飛んでくるＢ２９にはとどかせることができなかったそうです。　
　もっともこのあたりは上空の気流が悪いそうで、高度１万ｍだと、Ｂ２９から落とされた爆弾もなかなか目標（中島飛行機）に命中しなかったみたいですよ。　

⑦　ただ厄介なことに、爆弾は引力の関係で必ず何処かには落ちます（高射砲弾も）。　それで民間の被害が余計に膨らんだみたいなんです。　
　Ｂ２９は５００発以上も爆弾を落としたようですが、戦後の調査では１トン爆弾まで確認されています。　延命寺さんに行くと２５０ｋｇ爆弾の残骸がみられます。

　そろそろ関前公園です。

延命寺 寺・神社・教会

⑦　この公園には大きな”とんぼ池”があって”ヤゴ”が育っています。　
　やはり軍用飛行機よりトンボの方がいいでしょ。　ヤンマもカッコいいですが、赤トンボも風情があっていいですよ。

　【関前３丁目】

　\(◎o◎)／！交差点まで歩いて、横断歩道を渡ってくださいネ！

⑨　武蔵野市では、自然の力を利用した公園造りを進めていますから、ところどころに落ち葉を集めて”堆肥”にしている所があります。

⑨　この先の二又ですが、左は戦時中に中島飛行機で使っていた引き込み線の跡で、右が野球場に向けて作られたグリーンパーク線の跡です。
　戦後に方向がズレて曲がったのは野球場に近くもでしょうが、その頃の武蔵野中央公園には進駐軍将校の家族宿舎があったんですね。　
　
＊古池や～ですが、汚いし危ないから埋めちゃえじゃなくて、これも”とんぼ池”です。　

⑨　このグリーンパーク線は、武蔵野ガレリアっていうＪＲが販売したマンションの方に向かいます。　そこが駅だったみたいです。　
　ここからだと武蔵野東小学校のある方角ですね。　その手前の商店街のある所が駅前だったみたいです。

⑩　武蔵野中央公園の正門前までやってきました。
この方角の感じで線路が伸びていたと思います。

　＼(◎o◎)／！交差点まで歩いて、横断歩道を渡ってくださいネ！

　公園の正門側から北（東伏見）方向を見ています。
　ここにびっしり戦中（中島飛行機）・戦後（進駐軍ｸﾞﾘｰﾝﾊﾟｰｸ）と建物が立っていたなんて想像できますか。
　
　グリーンパークは緑町の語源でしょうが、この風景です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（冬枯れですが・・）
　

　公園中央から西（”多摩六都科学館”タワー）方向を見ています。
　
　今回のお散歩ルートは、ここが終点です。　

　せっかくですから周辺史跡の話や、また当時の写真等も想像の助けにと思いますので、紹介しておきます。

”気力・体力”に併せてどうぞ！(=^・^=)

多摩六都科学館 美術館・博物館

　武蔵野中央公園の中島飛行機武蔵製作所と武蔵境からの引き込み線ですネ。　
爆撃用に事前にＢ２９ から撮影されていたようです。　実は原爆の投下選定にも入っていたそうで、きちんと撮られていますね（複雑です）。

　かつて武蔵野中央公園の周りには日本最新鋭の軍需工場があって、人の動線とか機密防衛のために、現地はもちろん三鷹駅方向に地下道まで作られていたようです。

「アメリカ国立議会図書館資料から転載」

三鷹駅 駅

　１９５６年です。　上の真ん中の丸いのが”東京スタディアム（グリーンパーク球場）”ですネ（その道路挟んで右の陸上競技場は今もあります）。　
　武蔵野中央公園付近の建物は”進駐軍将校の家族宿舎”です。

出典：「国土画像情報・ 国土交通省」

　同じ場所の”現在”の航空写真です。　歩いてきた遊歩道（線路跡）がよくわかります。　球場の電車は三鷹折り返しじゃなく、東京駅から直通だったそうです。
　
　当時の東京スタディアムの役員には”武者小路実篤”とか”徳川無声”なんて文化人まで入っていたみたいです。　突貫工事で”芝はり”もしたようですが、残念ながら砂埃りがすごかったらしいですね。

出典：「Yahoo地図情報・Yahoo」

　

　私の眼に見える”いま現在”の武蔵野中央公園。

地図表記Ａ　：”御門訴事件記念碑”です。

　御門訴事件とは、１８７０年（明治３）に、飢饉に備えるとして布達された増税に反対するため、品川県庁に門訴した農民を武力で抑えつけた事件です。
　関前村名主の井口氏らが犠牲となられたそうです。

地図表記Ｂ　：”延命寺”にある爆弾

　こうしてみるとな〜んだか”可朝の歌”を思い出します（調べなくてもいいですヨ）が、実は”２５０Ｋｇ爆弾”だそうです。
　
　信管がどうなっていたのかとか素人なのでわかりませんが、直径は３０ｃｍ位で、厚さが１ｃｍ弱あります。　こんなのが空からいっぱい落ちてくると考えただけでもたまりませんが、爆発するんじゃなあ。　ゾッとしますね。

延命寺 寺・神社・教会

地図表記Ｂ　：”延命寺”にあるプロペラ
　
　但し書きをそのままですが、中島飛行機で零戦や隼など航空機のエンジン試運転のために使用していたと伝わっているプロペラとのことです。
　木製で先端は金属板で覆っています。　上段は、左から先端部の表・先端部の裏・中心です。

延命寺 寺・神社・教会

地図表記Ｃ　：これがかつての”東京スタディアム（グリーンパーク球場）”での貴重な試合風景です。
だって使われたのは１シーズンだけですよ。

「本当にここにあったんだなあ」って思うと、何とも感慨深いものがあります。
というか、そういわれてもなあっていうのが正直でしょうか。

　でもあったんですよ。　きっと・・ネ\(~o~)／

「提供：武蔵野市」ありがとうございました。

地図表記Ｃ　：そして、今。

　このカーブがスタンドの弧線跡だそうです。　方向的には外野側ですね。　

　＊内野側はもう何も窺えません。
　　　　（住宅ですから写真は遠慮）

地図表記Ｄ　：東京スタディアム入場口前（改札の続きかな）の今の商店街。
　
まったく同じ場所にもいろいろな史跡（時）の積み重ねがあって、その時々の想いがあって・・・、とにかく私は自分がいる”いま”を歩いてみました。春になるともっと素敵ですよ。

みなさんもいかがですか(=^・^=)

この旅行記へのコメント （2）

• 横浜臨海公園さん 2013/02/01 04:00:12

  武蔵野競技場線跡

  オリバーのすけさま、おはようございます。
  
  
  三鷹駅から旧武蔵野競技場跡への旅行記、篤と拝見させて頂きました。
  仰せの通り、三鷹駅は昭和になり現在の三鷹車両センターが中野電車庫三鷹支区として設置された為に信号所として開設されたものでございます。
  また旅行記の中で、跨線橋に使用されている古軌条が掲載されておりましたが、該品はアメリカ製の物です。
  旧武蔵野競技場は、当時の国鉄スワローズの根拠地として臨時営業された路線でしたが、昭和２７年（１９５２年）に神宮球場が進駐軍から返還された事で観客動員に便利な都心に移転し、殆ど使用実績も無いまま廃止された所です。
  
  次の力作を期待しております。
  
  
  
  
  横浜臨海公園

  アムールヤマネコさん からの返信 2013/02/01 06:32:05

  RE: 武蔵野競技場線跡（御礼）

  > 横浜臨海公園さま、おはようございます。
  >
  >
  > 　この度は丁重なご教示と激励をいただき、ありがとうございました。
  >
  > 　自分も新たなことを知り、また少しでも周りの方にも伝えられたらと考えております。
  
  > 　今後共、よろしくお願い致します。
  >
  >
  > オリバーのすけ