2012/09/13 - 2012/09/26
106位(同エリア927件中)
悠太郎さん
9月11日に尖閣諸島(中国名:釣魚島 diao yu dao)の国有化がなされ、反日行動が報道されるようになりました。僕は、13日に上海経由で即日杭州入りしました。mixiニュースで、報道をフォローしていました(他の媒体に接続できなかったので)。13日には、上海の南京東路で邦人が殴られるとの報道がありました。またその後も邦人被害、日本の店襲撃や工場破壊等のニュースにも触れていました。
杭州のYHA(Youth Hostel Association)では、カフェでCCTV(中国中央電子台)ニュースを流していました。夕方18:00から始まって、23:00過ぎまで釣魚島問題の報道や討論番組を、連日続けて放送していました。その合間に、中国の軍事力を誇示するCMみたいなものが流されていました。愛国教育を受けた人々にとって、かなりの刺激になったことでしょう。
南京のYHAでは、スタッフが「反日暴動を起こしているのは、中国でも極々一部の人達で、多くの中国人は、冷静で、逆にあのような行動に迷惑だとすら感じているのです」と言っていました。他でも結構そういう意見を聞いていました。行き合わせたフィリピン人のおばさんが、滞在中にmassacre museumに行きたいとスタッフの前で言っていたら、その内の一人が、「日本人の前で、massacre とは決して言わない方が良いです」と言っていました。大虐殺があったか否かには議論がありますが、とりあえずその博物館は、そういうふうに表現されないと分かりにくいものです。僕は、フィリピン人のおばさんと行動を一緒にしていたので、なんと9月18日(満州事変81周年の日)に、その博物館に行きました。戦争のことや釣魚島のことを書いた横断幕が張られ、数十人の人が集まっていました。そして公安が100人以上警戒に当たっていました。
蘇州のYHAでは、宿泊拒否に遭いました。代わりに泊まれるホテルを紹介してくれました。
街中では、日本人とわかるとタクシーの乗車拒否や、暴言を吐かれたりもしました。蘇州では嫌な思いを色々としたものです。
上海のYHAでも似たようなことがあるかなと恐れていたのですが、さすがは大都市だけあってそのようなことはなく泊まることができました。ドミトリーに泊まっていたので、同宿の人たちはほとんど中国人でした。皆英語はよく喋れないのですが、「先の戦争についてどう思うか?我々はかなり悲惨な出来事を多く習って来ているが」と質問されたりもしました。
丁度悪いタイミングで中国旅行をしたものです。航空券の予約は3か月前にしてあったとはいえ。体力的な問題や、この時期の中国旅行の是非について悩みましたが、行けてよかったと思っています。とても貴重な体験ができたと思っています。
それにしても、日本政府は悪いタイミングに国有化を図ったものです。日中国交回復40周年や、共産党大会などをひかえている時期にです。東京都との争いもあったのでしょうけど。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- 上海航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
羽田発は上海航空で、上海虹橋空港へ向けて出発。
飛行機は、B757でかなり古い機体。 -
上海虹橋空港第一ターミナル。日本からの飛行機はすべてこのターミナルに着く。とてもシャビーなターミナルだ。しかも、ブリッジは有り余っているのに、バスでの降機。信じられない。
空港内には、両替所が1か所しかなく、手数料は60元も取られる。 -
上海虹橋駅の待合室。とても広大な駅だ。駅は空港に直結している訳ではなく、地下鉄の乗って移動しなければならない。
日程の関係で上海に到着して直ぐに、杭州に移動をする計画を立てていた。これはスムーズにいった。 -
新幹線の内部。携帯電話は自由に話しているが、さすがに禁止されている喫煙をしている人はいない。
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杭州駅到着時は、19時を回っていたので、夕食を駅構内のフードコートで取ることに。トンポーローが美味しかった。
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宿の直ぐ隣に、公安の本部があった。これがネット規制をしている場所であった。
以下、紀行文から。
中国のネット規制
中国では、ネットに規制がかけられ、ほとんどの外国のサイトに繋がらないようになっています。また繋がるサイト(僕の経験では、mixi)で、機微な話題を書き込んだりすると
直ぐに、ブロックされて、ネットに接続できなくなりました。wifiゾーンが変わると復活したのは、幸いでした。
杭州では、mixiに書き込みをしている間中、「競合するIPアドレスがあります」と表示されていました。最初は意味が分からなかったのですが。。。近くに解放軍施設や公安施設があったので、より細かいチェックがあったのでしょう。マイミクの書き込みに「造反有理」との単語を使ってコメント返しした瞬間に接続が途切れました。南京では問題なく繋がっていました。そして蘇州ではネット自体に全く接続ができませんでした。上海では、快適に繋がっていると思っていたら、突然繋がらなくなることも経験しました。どういった単語が規制に引っ掛かったのかも見当が付きませんでした。ただ、上海には近所に沢山のwifiゾーンがあるので、場所を変えるだけで、接続は出来ました。
中国でも、海外のサイトに接続できる裏技があるのですが、僕の使ったVPN(Virtual Private Network:公衆回線をあたかも専用回線であるかのように利用できるサービス)では、接続できませんでした。中国用に無料で提供されているβ版だったのが、悪かったようです。他のVPNは、有料でクレジットカードを使わないと使用できなかったのです。僕は、念のためクレジットカードは持っていかなかったのです。現金のみ持って行って、厳重に管理、防衛していました(襲われたら、財布もパスポートも盗難にあったでしょうけど)。 -
宿の近所の公園。ローマ公園という。西湖には、湖に沿って沢山の公園がある。これも、西湖を魅力的にしている一要素である。
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ローマ広場から見える雷峰塔。西湖十景の一つだ。次の日にこの塔に上った。
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ローマ広場から見える三潭印月。西湖十景の一つ。
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ローマ広場を出て、どう廻ろうか考えていた。とりあえず、西湖を一周する観光用公共バスに乗ってから考えることにした。西湖を一周して景色を楽しもうとしたが、道路は西湖に沿っている訳ではないので、飽きる。30分もしたところで有名な岳飛の墓があったので、そこで下車する。
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岳飛像。
岳飛は、南宋を攻撃する金に対して幾度となく勝利を収めたが、岳飛らの勢力が拡大することを恐れた宰相・秦檜に謀殺された。その功績を称えて後に鄂王(がくおう)に封じられ(岳鄂王と呼ばれる)、関羽と並んで祀られている。 -
岳飛が勇敢に戦う姿を描いた壁絵。
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岳飛は、民族の英雄であり、光である。
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岳王廟の岳飛・岳雲父子の墓の前には、彼らを陥れた秦檜夫婦・張俊らが縄で繋がれた形で正座させられている像が造られており、かつては彼らに唾を吐きかける風習があった(近年は当局により禁止されている)。
その原因を考えてみるに、中国は儒教の影響が強く、悪者はいつまでたっても悪者で、決して許されたり、見直されたりすることはないからだといわれている。これが仏教やキリスト教とは異なる点ではないかと思う。これらの宗教は死後の救済を説いているが、一方、儒教では悪者は死んでも救われることはない。その他、忠孝に対する考え方始め、中国の歴史を形作ってきた考え方には、興味深いものがある。 -
秦檜の土下座像の上に掲示されている「痰を吐かないで下さい」との表示。それが、文明的な遊覧というものらしい。
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岳飛の墓。
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岳王廟の傍にあるスターバックス。
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曲院風荷、西湖十景の一つ。夏にはハスの花で一面ピンクに染まるとか。若干季節が遅かった。
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曲院風荷に掛かる橋。
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曲院風荷傍にある船着き場。
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手漕ぎ船が行く。
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そして船は行く。
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三潭印月の畔にうわっている灯篭。この構図は、一元札の裏側に描かれている。
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灯篭が二つ。
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灯篭が一つ。高さ2m余り。三潭印月とは、月夜の晩にこの3つの石塔を船上から眺めた景観美を指す。この塔に火が灯される中秋の名月は特に素晴らしく石塔の燈火と月明かりにより、湖面が金色に輝くという。
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三潭印月の碑。表側は朱書きだが、裏側は墨書きにされている。他の名所の石碑も同様である。
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三潭印月の4つの池を結ぶ九曲橋。
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スイレン。
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雰囲気のある東屋。
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三潭印月にある竹林。
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浙江省博物館の本館の建物。残念ながら工事中であった。
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浙江省博物館で開いているパビリオンでは、各種特別展示がされている。紀元前3,500年から紀元前2,200の間に江南地方でみられた良渚文化の展示が興味を魅かれた。ただ、上海博物館の展示の方がより素晴らしいものがある。
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西湖の畔のプロムナード。
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西湖十景の一つ、断橋残雪の名所の橋。
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COSTA CAFEというスターバックスのパクリのようなカフェで一休み。
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白堤の風景
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西湖畔のプロムナードで休む女性。脇に置いてあるのは、公共の自転車。町の至る所にある自転車ステーションで乗り降り自由(料金は専用カードで払う)の自転車。フランスのリヨンのvelo'vがその起源とされている。欧州の各都市で導入されている自転車有効利用のシステムで、車やスクーターの数を減らすのに役立つことが期待されている。
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西湖畔のプロムナードにたたずむカップル。
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噴水と船。
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文明遊覧という文字が色々なところで目につく。この表示は、右側通行をしましょうとの表示。
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杭州で有名な歩行者天国の繁華街・河坊街。夜に出かけたが、途中暗い道もあって、少し危ない行動だったと反省。タクシーでドアトゥドアが正解なのかも@反日の時期。
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清朝時代の恰好をした物語師。客が来ない。
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有名な龍井茶を焙煎する姿をカメラに収める写真家。
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二胡を弾く人。
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この旅行記へのコメント (2)
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- れいろんさん 2012/10/10 20:25:56
- 貴重な旅行記
- 悠太郎さん、こんばんは!
貴重な旅行記です。続編も楽しみにしています。
私も中国の西の端の方をちょこっと齧ってきたのですが、
「釣魚島は我々の領土だ!」というスローガンはそここで目にしました。
(西は中国という国であって中国文化ではないのにねぇ。)
実は30年ぶりの中国訪問だったのですが、悪い意味でいろいろ変わっていないなぁと感じて帰ってきました。
良くも悪くもお隣の国ですが、難しい国ですね。
悠太郎さんのレポ、期待しています。
れいろん
- 悠太郎さん からの返信 2012/10/11 17:51:45
- RE: 貴重な旅行記
- れいろんさん、こんにちは!
コメント頂きありがとうございます。
中国旅行は、図らずも3か月前、自分の誕生日を上海で過ごそう
と計画して、航空券の予約をしてあったのです。
こんなことが起ころうとは、勿論ですが予想もしていませんでした。
自分の体力的な問題もあり、旅行に行こうかどうか少し迷ったのですが、
行って正解でした。普段だと経験できないような貴重な体験ができたと
思っています。
「釣魚島是中国的!!!」との張り紙はそれこそ至る所に貼ってありました。
こんなところにも?と思ったのが、デパートのトイレの個室。。。
それも全ての「お部屋」に!
新疆ウイグル自治区は、中国の版図ではあっても中華文明の場所では
ないのに、面白いですね。やはり、中共地方政府の指令なのでしょうね。
中国は、不可思議で難しいお国ですね。
れいろんさんの旅行記読ませて頂きました。
とても興味深いコースをいかれたのですね。羨ましいです。
僕の旅行記は、これからも(多分ちょろちょろと長く)続く予定です。
お時間がございます時に、ご高覧頂けると真に幸甚に存じます(^。^)
悠太郎
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