2011/10/01 - 2011/10/01
282位(同エリア386件中)
池彼方さん
キエフで泊った宿は独立広場に面してそびえたつホテルウクライナでした。
いかめしいスターリン主義様式の建造物で統一された独立広場にあって、このホテルは抜きん出た威厳で周囲を圧倒しています。
『未来世紀ブラジル』に出てきた役所そっくりなところもご愛嬌です。
ホテルの一番安いクラスの部屋を予約したので、てっきり広場とは反対側に面した展望が効かない部屋かと思いきや、広場の真正面を見下ろす部屋でした。
窓を開けるとちょうど独立記念塔の黄金の天使?が目の前です。
これはうれしい誤算でした。
フロアごとにハウスキーピングの女性がいて、部屋の鍵は出入りするたび彼女から受け取る仕組みです。
そんなところにもソビエトスタイルが受け継がれています。
バスルームにはちゃんとバスタブもありました。
久しぶりのバスタブに喜んでお湯を張ろうとしたところ、お湯が一向に熱くなりません。
シャワーなら許容範囲ですが、お風呂のお湯としてはぬるすぎます。
何もこんなところまでソビエトスタイルを踏襲する必要はないのですが。
キエフには二つの世界遺産があります。
今回の旅ではまずそのうちのひとつペチェールスカ大修道院を訪れました。
ここはウクライナ正教の総本山でもあります。
日本でいえば比叡山や高野山にあたるところでしょうか。
ロンリープラネットにはここは朝早く行くべきだと書いてあります。
確かに朝早くから多くの巡礼者がつめかけていました。
巡礼者たちのお目当ては地下深く掘られた地下洞窟です。
洞窟はアリの巣のように複雑に入り組んでいて、人がひとりようやく通り抜けられるような通路の両側には棺おけが置かれています。
ガラス張りになっている上から覗き込むと、そこには修道士の遺体が入っていました。
たいていは衣服で完全にくるまれているので遺体そのものを見ることができませんが、たまにミイラ化した手がのぞいていることもあります。
信者たちはロウソク片手にこれらミイラを一体ずつ丁寧に礼拝していました。
ミイラには特別な力が宿っていると信じられていて、人々はそのパワーを得ようと熱心に礼拝をしているのだといいます。
ロウソクから垂れる溶けたロウが熱くないのか不思議ですが、それも苦行のひとつなのかもしれません。
ペチェルースカ大修道院はウクライナ有数の聖地である一方、境内にはいろんなタイプの博物館がありました。
ソビエト時代に修道院ぜんたいが博物館とされていた名残なのでしょうか。
そのなかの歴史文化財博物館にスキタイの黄金製品が多数展示されているというので見学してみました。
スキタイは紀元前にウクライナの大平原を舞台に活躍した遊牧騎馬民族です。
ゴールドをこよなく愛した彼らは精巧な金細工を遺しました。
博物館にはスキタイのよろいが復元されて展示されていましたが、古代の朝鮮半島あたりのものとそっくりです。
シルクロードのステップルートを通じて交流があったのでしょうか。
修道院を出て南にはドニエプル川沿いに緑豊かな公園が広がっていました。
戦車やミサイルを展示している一角があり、さらに南へ進むと銀色の巨大な銅像?が立っています。
大祖国戦争(第二次大戦)の勝利を記念した女神?なんだそうですが、目が鋭く肩がいかっていて男にしか見えません。
像の足元は大祖国戦争の博物館となっていて、さまざまな遺品やパネルが展示されていました
ドイツ軍が使用したというギロチンもありましたが、果たしてホンモノなのでしょうか。
ウクライナの立場からすれば大祖国戦争はロシアと違っていろいろと複雑なものがあるようです。
それだけにウクライナ人の聖地の隣に大祖国戦争を記念する巨大なモニュメントがあるというのは、なかなか微妙なものがあるのかもしれません。
大祖国戦争博物館からチェルノブイリ博物館に向かいました。
ガイドブックにはポディール地区という下町に博物館があると書かれていました。
地下鉄の駅から地上に出ても案内板の何も無いのでいったいどこにあるのか見当にもつきません。
幸い同じ目的の外国人旅行者のカップルがいたので、彼らについていくことにしました。
博物館はポディールの区役所の一角にありました。
気づかずにうっかり通り過ぎてしまいそうな場所です。
博物館の内部はウクライナにしてはモダンで展示も洗練されていました。
写真はモノクロのものがほとんどで、それがまた事故の悲惨さを伝えています。
残念ながら説明書きがウクライナ語のみなので、なんと書かれているのか皆目分かりません。
訪問者のほとんどが外国人なのですから、もう少し配慮があってもよいと思うのですが。
館内のいたるところに日の丸のマークを見かけました。
テレビモニターなど博物館の設備に対して日本からずいぶん援助が行われているようです。
今となってはなんとも皮肉なことではあります。
果たして日本にはここような「福島博物館」が建てられる日が来るのでしょうか。
夕方、独立広場まで戻ってきたところ出発前に知人からキエフに行くならオペラかバレエでも見てこられては?」と勧められたのを思い出しました。
もしかしたら何も開催していないかもしれないけれど、とりあえずシェフチェンコ国立オペラ・バレエ劇場を訪問しました。
劇場の前はすでに着飾った紳士淑女たちが開門を待っていました。
当日券の販売所を覗くと本日のバレエ公演のチケットは置いているとのことでした。
3500円はウクライナにしては少し高いような気もしましたが、京都でキエフバレエの公演があればたぶん10000円以上になるでしょうから、せっかくなのでチケットを買うことにしました。
劇場内部は息を飲むほどに豪華でした。
高価なドレスをまとった女性たちが華を添えます。
往来をゆくウクライナ人たちの身なりは質素なものですが、いざというときには格好よく着こなすことができるのはさすがというべきでしょう。
男性もスーツ姿がはまっています。
これが日本だと男性のスーツ姿はどうしても駅前の吉野家を連想してしまいます。
バレエは二人一組のユニットが4組いて、入れ替わり立ち代り舞台に現れては得意の妙技を披露していきます。
曲目はチャイコフスキーなど定番の曲から、アルゼンチンタンゴやフォルクローレなどバラエティーに富んでいます。
ぜんたいのストーリー性はありませんが、おそらくウクライナを代表しているであろうダンサーたちが、自分たちのコレはという得意技を次々と繰り出してきます。
バレエの門外漢に楽しめる舞台でした。
バレエが終わってから、遅めの夕食をとりにいきました。
ウクライナでは毎食のようにお世話になっていたカフェテリア方式のレストランです。
サラダ、前菜、スープ、メイン、付け合せ、主食系とウクライナ料理が各種そろっています。
この日はビール、鶏の腿、そして餃子のようなものがあったので頼みました。
餃子を指差すと皿にとって溶かしバターをかけ、さらに白いものをパラパラと振り掛けました。
ひょっとして砂糖?いやいや塩の可能性もあります。
席についてビールでノドを湿らせ、まずは気になる餃子をつまんでみました。
甘酸っぱい!
餃子の具は肉や魚ではなくジャムが入っていたのでした。
これではデザートです。
仕方が無いのでまず鶏肉をビールで食べてから、餃子にとりかかりました。
餃子と思うと罰ゲームのようですが、デザートの一種だと思えば結構いけます。
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