ラピュタな風景を探して～グルジア軍道

2011/09/13 - 2011/09/13

学生の頃からずっと憧れていた、コーカサス。2008年に勃発したグルジアの対ロシア戦争が休戦状態となり、訪れるには今が好機。自分の背中を押してくれたのが愛読誌「旅行人」2011年上期号のコーカサス特集。

グルジア軍用道路。5000m級の山が連なるコーカサス山脈をロシア連邦ウラジカフカスからグルジア共和国トビリシまでを南北につなぐ、帝政ロシア時代に敷かれた道。氷河の白い頂の向こう、陽光眩しいコーカサスの国々へ続く道は、ロシア人のある種の憧れであったとか。


ラピュタに出てきそうな風景を探して、南側のトビリシから初秋の澄んだ青空の下を駆け抜けます。

エリア グルジア軍用道路周辺(ジョージア (グルジア))

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: タクシー
• 旅行の手配内容: 個別手配

グルジアの首都トビリシ。
グルジア北部へ向かうバスが頻発する
地下鉄ディドゥベ駅へ向かう。

トビリシの地下鉄。
やたらと早いエスカレーター、
駅構内の芸術的な装飾･･･。

ソ連そのまま！

ソ連崩壊で独立して以降
ロシアと距離を置くグルジアとはいえ、
インフラまでは急に変えられないもの。

地下鉄のカラーリングは
ポップなグルジア色＾＾

地下鉄ディドゥベ駅前。

ちょっとした市が立つ。
色とりどりの果物、雑貨などを商う人々で
活気に満ちている。

このどやどや感、結構好き。

時間のないリーマントラベラー、
バスには乗らずタクシーを一日貸しきることに。

たむろってるタクシー運ちゃんを3人集めて、
値段交渉開始〜。

あえて、いちばん安い値を提示した運ちゃんには
お願いしなかった。
だって、ソ連製のボルガ（車の名前）なんだもん〜
ダート走るとき、辛そう･･･^^;


で、快適ベンツでＧＯ！

途中までは、高速道路。

まっすぐ行くと
黒海に面した美しき港町、バツミへ。

ムツヘタで右へ折れて
山岳地帯を目指す。

グルジア正教・ジュバリ大聖堂。

丘の上、
青空を背に建つ教会は
美しい〜

そう思うも、
あっという間に通り過ぎてゆく･･･

だって運転手のおじちゃん、
常時１２０kmオーバーで運転するんだもん。

グルジア誇るビール「NATAKHTARI」の工場も、道沿いに。

水がいい土地ということだね。

古都ムツヘタを通り過ぎると
のっぺりした丘の風景から、
ちょっとずつ山がちな風景に。

それにしても、

青空が気持ちいい！！！

時々通り過ぎる集落は、
初秋の恵みを謳歌。

パプリカの赤が鮮やか！
ナスが大きくてみずみずしい〜

シルクロード諸国定番の、すいか。

日本のより、甘くて美味しい気がする。

沿道で売店を切り盛りする、

肉付きのいい親子（笑）

ソ連的なモニュメント。

俺「あれ、なに？」
運転手おじちゃん「もにゅめんと。」

･･･それは分かるって。

ま、それ以上深くは聞かず。

ぐんぐん山道を行く。

このキレイな湖は、ダムによる人造湖だって。

その湖のほとりに建つ、美しいアナヌリ教会。

アナヌリ教会。

最初変換したら「穴塗り協会」になって、吹いた。
どんな協会よ？（笑）

芳しいお香。
天井から差す光が
お香の煙にひと筋の線を描く。
イコン画が厳かに、美しく
教会内部を彩る。

誰もいないと思いシャッターを切ったところで、
教会内を清めるひとりの女性に気づく。
目が合うと会釈をされた。
神に仕える女性の、優雅な仕草。
教会への敬意を込め、胸に十字を切ってみせた。


写真撮っちゃダメだね。

穴塗り協会員。

こんなにも青い空を眺めたのは
何年ぶりだろう。


名残惜しんで

もう一枚。

ひょー冷たい水！

常時爆走するおじちゃんを制して、
川のほとりでひと休み。

氷河を源にする川だけに、冷たくて清らか。

薄紫のちいさな花がたくさん咲いている。

流れる雲〜の切れ間から、吸い込まれそ〜な青空♪

なぜか頭の中で美里がヘビロテ。

青空見てると、無条件にわくわくしちゃう。

コーカサスの山の恵みを受けて、
人々の暮らしも営まれている。

もこもこと
牧草の積み方が、かわいい〜

こんな風景も
コーカサスの暮らしの、一部。

美しい谷合の集落。
どんな暮らしを営んでいるんだろう。

てか、
ラピュタ的風景、認定。

空の青と、山の緑と。

谷を抜ける風が穏やかに、
山の冷気を運んでくる。

いつまでも、この風景を眺めていたい･･･

やがて森林帯を越え・・・

沿道で見かけたチュルチュヘラ売りのおばちゃん。

「チュルチュヘラ」･･･グルジア伝統菓子。
ナッツに糸を通し煮詰めたぶどう果汁に漬け乾燥させてを繰り返して太い棒状にしたお菓子。激甘かと思いきや、ほどよい甘さと果汁の酸味で、うまかった。グミっぽい食感も俺好み。シート状のものも。

土地の羊を用いて作ったふわふわの帽子を売る風景。
とてもシルクロード的。

ふと、運転手のおじちゃんがコップを差し出した。
「飲んでみろ」
見ると、泉が。

まあ、フツーの湧き水だろう。
「冷たくて甘くておいしい〜」なんて
お決まりのセリフを準備していたら、

びっくり！！

だって、
しゅわしゅわ〜
しゅわしゅわしゅわ〜

天然の炭酸水が
もくもく湧き出してるんだもん。
すごいね。

しばし、
美しいコーカサスの山岳風景を
お楽しみください〜♪

ラピュタ、認定。

ハウルの動く城、認定。

ラピュ･･･

ハゥ〜

鋭角美しい山々。
いにしえの氷河の像が浮かんでくるような、地形。


９月終わりには雪をまとい、
長い冬に入るという。

やがて車は
ロシア国境手前の街
ステパンツミンダ（カズベキ）へ。

ここより北、２０キロほどいくと
ロシア連邦の北オセチア共和国との国境。

国境まで行ってみたいよ〜！と
おじちゃんにせがんでみたが、
警察うようよでイヤと固辞され、
すごすごと諦める。

そう、ここは紛争地帯の一角。
不安定なのは人の世のみ。
こんなに広い青空と、
不動の山々が広がっているのに･･･

雲間から
ちら見できる

カズベキ峰
5000m超〜

万年雪を頂く。

カズベキで、一服。

おもむろにおじちゃんがパンを取り出し、
きゅうりやらチーズを切り出した。

「食え」

ピクニック気分＾＾


てかチーズ旨すぎ〜

グルジアの車、
ナンバープレートが
かわいい。

グルジア国旗は
なかなかポップなデザインだと思う。

酸っぱそうｗ

帰りはのんびり、
牛さんのように。

おじちゃん、
危うく居眠り運転で
崖から転落しそうに！！！

辛めのフリスクを
がっつり口にぶち突っ込んでやる。

この日一緒に過ごしたタクシー運転手のグルジア人おじちゃん。基本的に寡黙なおじちゃん。ずっと一緒に車に乗っていると、徐々に口を開きだし。

聞けば、ソ連時代は工場の責任ある立場だったとか。それがペレストロイカ以降、グルジアではそれまであった仕事が尽くなくなったとのこと。

西側の人々は、半ば祝いの意味も込め「ソ連崩壊」の一言で片づける。一方で、ヨーロッパからアジア極東までも牛耳った一大国家の枠の中で安定を得ていた人々から、一切を奪ったソ連崩壊。

ソ連崩壊後20年間の暮らしを聞くに、それはもう今の日本人が想像しうるであろうものを遥かに上回る、波乱に満ちたものだった。

せめて二人の子供はいい職についてくれて良かったとこぼすおじちゃんの目は、穏やかだった。

長い人生のとある一日を、こんな形で一緒に過ごしたおじちゃん。ほんの一部だけれども、半生を語ってくれたことがとても貴重に、同時にうれしく思えた。

旅は、一期一会の積み重ね（^-^）

明るいうちに、トビリシ帰着。
その後、温泉でまったり〜


往復300kmちょい。
いい車をチャーターできれば、
余裕をもって日帰り可。

政情が安定していればこそたどれる、
グルジア軍道。

訪問希望の方は、
グルジアの最新情報を入手されたし。

この旅行記へのコメント （3）

• わんぱく大将さん 2011/11/21 02:36:34

  雲が

  pirokumaさん
  
  雲が、生きて、自由に飛んでますよ。　　　大将

  pirokumaさん からの返信 2011/11/21 20:45:54

  RE: 雲が

  > 雲が、生きて、自由に飛んでますよ。　　　大将
  
  大空と大地の狭間のようなコーカサスの谷間。
  まさに天空の城ラピュタを彷彿させる世界でしたよ。

• kskspiyoさん 2011/10/28 08:34:02

  素晴らしい！

  pirokumaさん、投票の御礼に訪れてみたら素晴らしい旅行記が！
  
  ここはわたしが訪れてみたい場所のベスト３に入るところです。羨ましい。
  今、観光ができることがわかってよかった。貴重な情報をありがとうございました。
  
  景観も、建築も、人々も、天国のように美しいですね。
  
  車のチャーター料がいくらぐらいだったか、記載していただけると、旅行者の参考になると思います。
  
  kskspiyo