2011/07/30 - 2011/07/30
238位(同エリア984件中)
がおちんさん
旅の8日目。ようやく体調も戻り、トレッキングの3日目は金沙江の峡谷をゆっくり眺めながら歩きました。
雨季だったこともあり、終盤には突然の大雨に降られてずぶ濡れに。
寒くて疲れてヘトヘトになりましたが、ゴール目前に迫った石頭城に陽が射して虹が現れるという美しい光景に出会い、気力も回復して無事にトレッキングを終えることができました。
旅のルート(2011/7/30)
柳青→太子関→石頭城
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
PR
-
2011年7月30日(土)
柳青の朝6時。
峡谷から雲がわきあがり、あたりを覆い始める。 -
外は真っ白になってしまった。
念のため、ガスが晴れてから出発することにした。 -
フリーズドライのスープとリッツで朝食にする。
アルコールストーブは軽くていいが、永寧で買ったアルコールの純度が低く、火が安定しなくて難儀した。
少々重くなるけど、中国ではガソリンストーブのほうが便利かな。 -
8時、柳青を出発する。
昨夜はゆっくり寝れたので、元気も回復した。 -
対岸の景色を眺めながら歩く。
幽玄な雰囲気がただよう。 -
近くに見えるが、あの村に行こうと思ったら2日以上はかかるだろう。
-
仙人でも住んでいそうな村。
-
岩肌をかすめる雲。
刻一刻と天候が変化する。 -
太子関にむかって続く細道。
-
山羊の群れと、しばらく同行する。
-
芸術的な雲の流れ。
-
次つぎと形を変えていく雲。
いい機材を持ち込んだら、素晴らしい写真が撮れるだろうな。 -
眼下には金沙江が見える。
-
犬の襲撃から守ってくれた、10年もの登山靴。
ソールを張り替えたら、信頼性がぐっと高くなった。
重いけど。 -
太子関の手前で、山道は右に方向を変える。
ぐいぐいと標高を稼ぐ。 -
けっこうスリルを感じる場所もある。
-
崖にはさまれて見え隠れする金沙江。
-
雲が厚くて正面にある太子関が見えない。
-
右へ巻きながら正面を見る。
谷が深い。
やっぱり迂回しなくてはならないのかな。 -
雲が切れはじめた。
-
太子関が姿を現した。
山の中腹には1960年代に掘られたトンネルがある。
ここを過ぎれば、石頭城が遠望できるはずだ。 -
上楊柳の集落を通過する。
-
ここで思わぬタイムロスをしてしまう。
畑仕事をしていた男性に、太子関に行く道を聞いたら、トンネル方面ではなく、谷沿いを登ったところにある林道への道を教えられたのだ。
運よく、途中で別の人から正しい道を教えてもらって引きかえす。太子関と言わずに石頭城と聞くべきだった。
1時間近く無駄にした。 -
12時15分、ようやく太子関に着いた。標高は2500m。
写真の右下から続く細道を上り、中央あたりにトンネルがある。 -
トンネルの入り口。
長さは90メートルあるという。
ヘッドライト装着。 -
中に入ると、動物の糞だらけ。
臭くてたまらん。 -
こんなトンネル、一気に抜けちまうに限る。
天井が低いところもあるため、注意しながら進む。
60年代につくられたとはいえ、大変な工事だったろう。 -
トンネルを出ると、金沙江が再び姿を現した。
虎跳峡が剛なら、こちらは柔。のどかな眺め。
しかし暑いなー。 -
石頭城の集落も見えた。
案外と近くに見えたが、ここから6時間もかかることになる。 -
トレイルに咲いていた、可憐な花。
-
今日は山羊をよく見かける。
-
その名の通り、石頭城は石の上に建てられた集落であることがわかる。
-
13時20分。2つ目のトンネルが見えた。
-
こちらは60メートルほどの長さ。
-
気をつけないと頭をぶつけそう。
-
14時10分、崖崩れの場所を通過する。
本来はここから道が上に向かっているのだが、土砂で埋まって気がつかずに直進してしまう。
やがて急勾配の崖に出てしまい、戻ろうにも地盤がもろくて滑落しそうになる。あわてて這い上がったため、はいていたCW-Xに2箇所も穴が開いてしまった。危ない危ない。
このルートは比較的安全だが、コースを一歩間違えると話は別だ。集落以外は人も歩いていないので、遭難したら助かる確率は低いだろう。気を引き締めて先へ進む。 -
午後になり暑さが厳しくなった。水の消費量も増えるが、なるべく少しずつ飲むようにする。
ここからまた右に巻いて谷を迂回しなければならない。
石頭城は見た目よりかなり遠い。 -
節約しながら飲んでいた水もつきてしまい、のどの渇きに苦しむ。
考えるのは水のことばかり。
暑くてバテバテになる。 -
谷底に村が見えた。
あそこまで水をもらいに行こうとも考えたが、偶然きれいな滝に遭遇した。まさに天の恵みだ。たっぷり水を飲むと、元気が回復。危ないところだった。
顔を洗い、バンダナを濡らして首に巻くと、暑さもやわらぐ。
気分もスッキリして出発する。 -
かわいい牛と遭遇。
-
谷を迂回中、とつぜん雨が降ってきた。
雷も発生、やがて本降りになる。 -
もう、嘘みたいな展開。
さっきまでの暑さはなんだったんだ! -
幸い、岩の下で雨宿りができた。写真左下に見える岩がその場所。
雨はなかなか止まず、30分以上停滞する。 -
雨が止んだので出発したが、10分ほどで再び降り始める。
豪雨になってしまった。 -
石頭城も雨に煙る。
さっきまで晴れていたのに。 -
山の天気はわからない。歩いてきた太子関方面もザーザー降りだ。
これがあるから雨季は怖い。このルートは割合安全で歩きやすいが、雨が降ると危険度が増す。崖から落ちたらまず助からない。
そのため、毎年7月〜8月はトレッキングツアーも中止されているようだ。
滑らないようにゆっくり歩く。 -
石頭城の手前にある村が見えてきた。
雨に濡れながら1時間以上歩いているので、寒くなってきた。
なんてこった。 -
道が川になってしまった。
ここまで降られると、ゴアテックスもへちまもない。
もう登山靴の中までグッチョグチョ。 -
あまりの豪雨にカエルも避難。
-
16時50分。ラバも雨宿りしていた。
濡れながら歩いているのは私だけだ。 -
ついに、畑の向こうに石頭城を捉えた。
とにかく下り続ける。
寒いよー。 -
17時30分。畑を下ると、清朝時代の墓石があった。
太陽が出てきたが、雨は降り続けている。 -
なんと、ここでも谷を迂回しなければならなかった。
すぐ目の前まで来ているのに、再び遠ざかる羽目になる。
もうがっくり。 -
雨で増量した川を恐る恐る渡った。
今日は暑くてバテたり、寒くてふるえたり、もう疲れてヘトヘトだ。 -
17時56分。突然、目の前の石頭城に陽光が射した。
立体的に浮かび上がり、素晴らしい眺めだ。 -
と、そのとき石頭城の上に虹が現れた。なんと美しい光景だろう。
石頭城に歓迎されたようで嬉しい。
あと少し、頑張ろう。 -
18時20分、石頭城の集落に着いた。
遠くに、はるばる歩いてきた太子関が見える。
今ごろ雨が止みやがって、まったく! -
石の上にある宿に行くために、坂道を下り続ける。
雨に濡れた石の階段が滑って困った。こういうときにビブラムソールは弱い。
よちよち歩きで進む。 -
なんとも眺めのいい村だ。
とりあえずは、あの岩の上まで行かなくちゃ。 -
豚さんの歓迎を受ける。
目が小さくてカワイイ! -
村の中は迷路のようで、どっちへ行けばいいかわかりにくい。
人に聞きながら進む。 -
ついに見えた。
あの門をくぐればゴールだ。 -
18時45分、石頭城に到着。
3日間に渡る、山歩きの旅が終わった。(途中、チョンボしたけど)
今日は道を間違えたり、雨で停滞したりしてタイムロスがかさみ、終盤は道がぬかるんで歩くのに難儀した。
柳青から10時間45分もかかった。疲れるわけだ。 -
門をくぐった先にある、木家客桟へ。
石頭城の有名宿だ。 -
趣のある二階建ての木楼。オーナーは納西族の木さん一家。
もてなしの心を感じる、居心地のいい宿。
ホットシャワーを浴び、服を着替えてサッパリした。 -
二階のテラスから金沙江沿いに広がる棚田が見える。
-
右手には山に立ち並ぶ家。
ちょっと貴州の西江みたいだ。 -
「雨に降られて大変だったでしょう」と宿のおばあさん。
開業は1994年だそうだ。
その頃に来てみたかった気もするなあ。 -
部屋は清潔で快適。
さあ、今夜は思いっきり寝るぞ。 -
部屋の壁に貼ってあった宝山−瀘沽湖のルート図。石頭城から対岸に渡り、拉伯に至るコースも載っていた。
今回歩いたルートを知ったのは1990年だった。永寧出身の納西族から、金沙江沿いを歩いて中甸(香格里拉)に行く道があると聞き、いつか行きたいと思っていたが、そのまま時が流れてしまった。
その時は気楽に歩ける環境ではなかったろうし、石頭城の存在も知られていなかった。当時、何も知らずにここに着いたら、さぞかし驚いたことだろう。
---------------------------------------------
このルート、石頭城から瀘沽湖まで3日間とあるが、ザックを背負ってだと4日はかかる距離だ。ガイドと荷物用の馬を雇えば3日で可能かもしれないが、110kmの山道はそんなに簡単には歩けない。
天候にも大きく左右されるので、このコースを歩こうと思う人は、雨季は避けたほうがいい。(私のようになるかも)
俗化されておらず、難易度は低く(三点確保が必要な場所が1ヶ所あった)、変化に富んだ秀逸なコースだった。山歩きが好きな方にお薦めします。 -
納西族が最初に石頭城に住み着いたのは宋の時代だという。独特な地形は天然の要塞となり、千年以上も敵の襲来を拒み続けてきたそうだ。
これからは、麗江や大理のような観光化を拒み続けてほしい。 -
この3日間、いろいろあった。
高山病や下痢、犬に噛まれ、道を間違え、滑落しかかり、のどの渇きに苦しみ、大雨に降られ、寒さに震え・・・。
それでも、楽しさは全ての苦労を帳消しにした。美しい風景はもちろんのこと、道中で出会った人々の優しさに触れたことが、一番の思い出になった。
おやすみなさい、金沙江。
2011年雲南・四川の旅【その8】に続く
http://4travel.jp/travelogue/10595230
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
72