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「マドラス」というとイタリアの著名な靴メーカーが思い出される。これは原材料となる原皮がインドのマドラス地方で入手できるものであり、この高品質の革を生産する地「マドラス」に敬意と感謝を持って社名にした、と言うことである。 <br /><br />チェンナイは、1996年に正式にマドラスから改名された。南インドの東海岸沿いのベンガル湾に面するタミル・ナードゥ州の州都。人口約6百万人強で、インド第5の都市である。インド南部はドラヴィダ人によるドラヴィダ文化、イスラム教の影響を受けていない地域であり、チェンナイはインドのオリジナル文化の中心地である。またインド全土のヒンディー語公用語化に反対する拠点ともなった。 <br />ドラヴィダ人とは、古代からインドに定住していたと考えられる民族群であり、インダス文明はドラヴィダ人によるものだとされている。インダス文明の担い手であり出アフリカ直後の時代からインドに居住し、早い時期に農耕・牧畜を始めていたと考えられている。アーリア人の移動が始まった後は、時代と共に同化していった。ドラヴィダ人はアーリア人とは外見が異なり、アーリア人よりも一般的に肌の色が黒く背が低いが手足が長い、ウェーブがかった髪などの特徴があり、DNAの観点からは古アジア人に分類される。 <br /><br />市の南部にはドラヴィダ様式のヒンドゥー寺院が2つある。カーパーレーシュワラ寺院とパルタサラティ寺院である。前者は、パッラヴァ朝の王により7世紀に建立された。ドラヴィダ様式の寺院にはゴープラムと呼ばれる塔門に特徴がある。台形をした塔門の表面にはびっしりとリアルな人や動物で装飾されている。 <br /><br />1522年ポルトガルがこの地にサン・トメ要塞を建設した。近くのサン・トメ教会からとられた名であるが、これはこの地に到って活動し死去したと伝説されるキリスト教のイエスの使徒の一人聖トマスの墓の上に立てられている、という大変由緒ある教会である。現在の立派なゴシック建築は19世紀に再建されたものである。 <br />ポルトガルはこのサン・トメ要塞を拠点とし、この地域をマドラスと称して支配した。1612年にはオランダ東インド会社がその北のプリカットに商館を構えた。1639年イギリス東インド会社が地元の領主であった知事からその中間の土地を取得し、1640年セント・ジョージ要塞を建設した。この要塞を中心に、徐々に市街地が広がっていくことになった。18世紀末までにイギリスは南部4州に勢力を拡大し、マドラス管区を設置してマドラスをその首府とした。 <br /><br />イギリス支配の下でマドラスは、マドラス管区の中枢として、また海軍基地として発展した。19世紀後半の鉄道敷設に伴い、ボンベイ(ムンバイ)やカルカッタ(コルカタ)などのインドの他の重要都市や内陸の諸地域と連結された。チェンナイ中央駅、市庁舎、博物館はこの時代を代表する建築である。 <br />1947年の独立後、マドラスはマドラス州の州都となり、1968年にマドラス州はタミル・ナードゥ州となり、マドラスはその州都となった。「南インドの玄関口」「インドの健康首都」「インド銀行業の首都」の異名を持つ。日産、ヒュンダイ、フォードといった自動車メーカーとその関連企業が進出、最近はノキアが新工場を建設、自動車産業、情報技術産業が盛んであり、「南アジアのデトロイト」と呼ばれるほどである。 <br /><br />チェンナイの南約60キロメートルに位置するマハーバリプラムは、ベンガル湾に臨むかつての港湾都市。6世紀以降パッラヴァ朝における東西貿易の一大拠点として栄え、町には数多くのヒンドゥー教寺院が建立された。パッラヴァ朝のマーマッラ王やその後裔は、貿易港であったマハーバリプラムの海岸と岩山に数多くの寺院や彫刻を残した。花崗岩の岩山を掘削した石窟寺院、岩壁彫刻「アルジュナの苦行」、また、最初期の石造寺院である石積みの「海岸寺院」など、インド中世建築発祥の地のひとつとしてきわめて重要であり、1985年には世界遺産の文化遺産に登録された。ことに、当時の木造寺院を模して壁面にライオンや象などが刻まれた「5つのラタ」と呼ばれる一連の石彫寺院は特異な遺跡として名高い。 <br /><br />アルジュナの苦行のレリーフの横には世にも不思議な光景が広がる。「クリシュナ(ヒンドゥー教の神)のバターボール」と呼ばれる巨大な花崗岩の塊が、岩山の上に今にも転がりそうに留まっている。

インドの世界遺産No.8:南インドのドラヴィダ文化の拠点の町チェンナイのマハーバリプラム(改訂版)

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2010/06/05 - 2010/06/06

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ハンク

ハンクさん

「マドラス」というとイタリアの著名な靴メーカーが思い出される。これは原材料となる原皮がインドのマドラス地方で入手できるものであり、この高品質の革を生産する地「マドラス」に敬意と感謝を持って社名にした、と言うことである。

チェンナイは、1996年に正式にマドラスから改名された。南インドの東海岸沿いのベンガル湾に面するタミル・ナードゥ州の州都。人口約6百万人強で、インド第5の都市である。インド南部はドラヴィダ人によるドラヴィダ文化、イスラム教の影響を受けていない地域であり、チェンナイはインドのオリジナル文化の中心地である。またインド全土のヒンディー語公用語化に反対する拠点ともなった。
ドラヴィダ人とは、古代からインドに定住していたと考えられる民族群であり、インダス文明はドラヴィダ人によるものだとされている。インダス文明の担い手であり出アフリカ直後の時代からインドに居住し、早い時期に農耕・牧畜を始めていたと考えられている。アーリア人の移動が始まった後は、時代と共に同化していった。ドラヴィダ人はアーリア人とは外見が異なり、アーリア人よりも一般的に肌の色が黒く背が低いが手足が長い、ウェーブがかった髪などの特徴があり、DNAの観点からは古アジア人に分類される。

市の南部にはドラヴィダ様式のヒンドゥー寺院が2つある。カーパーレーシュワラ寺院とパルタサラティ寺院である。前者は、パッラヴァ朝の王により7世紀に建立された。ドラヴィダ様式の寺院にはゴープラムと呼ばれる塔門に特徴がある。台形をした塔門の表面にはびっしりとリアルな人や動物で装飾されている。

1522年ポルトガルがこの地にサン・トメ要塞を建設した。近くのサン・トメ教会からとられた名であるが、これはこの地に到って活動し死去したと伝説されるキリスト教のイエスの使徒の一人聖トマスの墓の上に立てられている、という大変由緒ある教会である。現在の立派なゴシック建築は19世紀に再建されたものである。
ポルトガルはこのサン・トメ要塞を拠点とし、この地域をマドラスと称して支配した。1612年にはオランダ東インド会社がその北のプリカットに商館を構えた。1639年イギリス東インド会社が地元の領主であった知事からその中間の土地を取得し、1640年セント・ジョージ要塞を建設した。この要塞を中心に、徐々に市街地が広がっていくことになった。18世紀末までにイギリスは南部4州に勢力を拡大し、マドラス管区を設置してマドラスをその首府とした。

イギリス支配の下でマドラスは、マドラス管区の中枢として、また海軍基地として発展した。19世紀後半の鉄道敷設に伴い、ボンベイ(ムンバイ)やカルカッタ(コルカタ)などのインドの他の重要都市や内陸の諸地域と連結された。チェンナイ中央駅、市庁舎、博物館はこの時代を代表する建築である。
1947年の独立後、マドラスはマドラス州の州都となり、1968年にマドラス州はタミル・ナードゥ州となり、マドラスはその州都となった。「南インドの玄関口」「インドの健康首都」「インド銀行業の首都」の異名を持つ。日産、ヒュンダイ、フォードといった自動車メーカーとその関連企業が進出、最近はノキアが新工場を建設、自動車産業、情報技術産業が盛んであり、「南アジアのデトロイト」と呼ばれるほどである。

チェンナイの南約60キロメートルに位置するマハーバリプラムは、ベンガル湾に臨むかつての港湾都市。6世紀以降パッラヴァ朝における東西貿易の一大拠点として栄え、町には数多くのヒンドゥー教寺院が建立された。パッラヴァ朝のマーマッラ王やその後裔は、貿易港であったマハーバリプラムの海岸と岩山に数多くの寺院や彫刻を残した。花崗岩の岩山を掘削した石窟寺院、岩壁彫刻「アルジュナの苦行」、また、最初期の石造寺院である石積みの「海岸寺院」など、インド中世建築発祥の地のひとつとしてきわめて重要であり、1985年には世界遺産の文化遺産に登録された。ことに、当時の木造寺院を模して壁面にライオンや象などが刻まれた「5つのラタ」と呼ばれる一連の石彫寺院は特異な遺跡として名高い。

アルジュナの苦行のレリーフの横には世にも不思議な光景が広がる。「クリシュナ(ヒンドゥー教の神)のバターボール」と呼ばれる巨大な花崗岩の塊が、岩山の上に今にも転がりそうに留まっている。

旅行の満足度
3.5
観光
4.0
ホテル
3.5
グルメ
3.5
交通
3.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
高速・路線バス タクシー 飛行機
旅行の手配内容
個別手配
  • カーパーレーシュワラ寺院

    カーパーレーシュワラ寺院

  • カーパーレーシュワラ寺院のゴープラムの装飾

    カーパーレーシュワラ寺院のゴープラムの装飾

  • パルタサラティ寺院のゴープラム

    パルタサラティ寺院のゴープラム

  • サン・トメ教会

    サン・トメ教会

  • サン・トメ教会

    サン・トメ教会

  • サン・トメ教会の内部

    サン・トメ教会の内部

  • チェンナイ中央駅

    チェンナイ中央駅

  • チェンナイ市庁舎

    チェンナイ市庁舎

  • チェンナイ博物館

    チェンナイ博物館

  • サザーンレールウェイ会社の本社ビル

    サザーンレールウェイ会社の本社ビル

  • マハーバリプラムの象のレリーフ

    マハーバリプラムの象のレリーフ

  • ここにも1つ石窟がある

    ここにも1つ石窟がある

  • 石窟の内部のヒンドゥー神の彫像

    石窟の内部のヒンドゥー神の彫像

  • ファイブ・ラタの象

    ファイブ・ラタの象

  • ファイブ・ラタのライオン像

    ファイブ・ラタのライオン像

  • ファイブ・ラタのヒンドゥー寺院

    ファイブ・ラタのヒンドゥー寺院

  • クリシュナのバターボール

    クリシュナのバターボール

  • マハーバリプラムでみやげ物を売る子供達

    マハーバリプラムでみやげ物を売る子供達

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