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「ダ・ヴィンチ コード」は世界的なベストセラーとなったのは2004年、私は04〜06年のアメリカ赴任中に読んで大きな衝撃を受けた。その後親しいアメリカ人にキリスト教義のタブーの部分についての感想を聞いた。大半の白人アメリカ人は「アメリカンジョークだ」と笑い飛ばしていたが、敬虔なカトリック教徒は、語るのも汚らわしい、と話題にしてくれなかったのが印象的である。なお、バチカンは当然のようにこの本を発禁にしている。 <br /><br />その後、数多く発刊されている「ダ・ヴィンチコードの真実」などのいわゆる解説本も何冊か読んだ。冒頭に登場するオプス・デイは実在する組織であるが、「秘密結社」のシオン修道会やその「秘密儀式」は想像上のものである。とりわけキリスト教、とくにカトリックの教義に深く関わる部分は大きな反響を巻き起こし、2006年には米国カトリック司教会議が教義について反論するウェブサイトを開設したそうだ。<br /><br />2006年には映画化され、真っ先に見た。しかしその出来には少々失望した。娯楽的な推理小説であることに焦点がおかれ、小説の衝撃的な内容を2時間そこそこの映画で描くこと自体が無理だったのだろうが、登場人物もトム・ハンクスのラングトンはともかくソフィーなどかなりイメージが違う。 <br /><br />この小説の内容をご存知ない方のために、何が衝撃的だったのか少しご紹介しておく。 <br /><br />イエス・キリストは実は結婚して、女子をもうけた。結婚相手は聖書にも登場するマグダラのマリアである。ところが、聖書を編纂したイエスの弟子達は、イエスの神性を強調するために、マグダラのマリアとの結婚を抹殺し、彼女は娼婦として登場することになった。この秘密は秘密結社シオン修道会の中で大切に守られてきた。その秘密結社の歴代総長は、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ニュートン、ユーゴー、ドビュッシー、コクトーなどがつとめた、という(これはいかにも荒唐無稽な発想で、全世界で議論が沸騰した)。総長の一人レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「最後の晩餐」の、イエスの左に描かれているのはヨハネ、というのが定説であるが、明らかにこれは女性に見える。彼女がキリストの妻となったマグダラのマリアであって、ダ・ヴィンチはその秘密をこの謎のフレスコ画に描いた、というのだ。それ以外にもこの世紀の名画には謎がたくさん隠されている事は有名だ。 <br /><br />その総長を引き継いだルーブル美術館館長のジャック・ソニエールは、ついにその秘密結社を敵視する狂信者に殺害された。彼の息子は数年前に謎の事故死を遂げており、彼は死に瀕して、秘密を自分の孫娘のソフィー・ヌヴ−に伝えようとした。この秘密は絶対に世間に明かされてはならないため、この日に備えて孫娘には幼少から暗号解読方法について伝授してきた。館長はダ・ヴィンチにからめた暗号を残し息絶える。ソフィーはたまたま講演のためパリに来ていた、ハーバード大学の宗教象徴学教授であるロバート・ラングドンと謎解きの旅に出ることになる。 <br /><br />私の「ダ・ヴィンチ コード」詣でを紹介しよう。まずはミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(写真1)で改修まもない「最後の晩餐」を見た。長年の夢を果たし、感慨も一入であった。もちろん写真撮影は不可で掲載することは出来ない。<br /><br />ついでパリのカトリックの教会、サン・シュルピス教会(写真4−6)、作品中でこの教会の中にある日時計(ローズライン)に秘密を解く鍵が隠されていると記されているが、実際にはそういう事実はない。教会側は数ヶ国語で書かれた張り紙を張ったという。そしてルーブル博物館(写真7、8)、殺人事件現場になったという想定であり、監視カメラの多くがダミーであるなどと記載があり、新たな視点で興味深かった。なお、ルーブルに程近いところに観覧車(写真9)が作られていた。この上からはサクレ・クール寺院(写真10)、エッフェル塔(写真11)、シャンゼリゼ通りと凱旋門(写真12)が鮮やかに見渡せる。 <br /><br />サンクトペテルブルクの誇るエルミタージュ美術館で、ティツィアーノの「悔悛するマグダラのマリア」(写真13)を見つけてその偶然に驚かされた。主題は娼婦であったマグダラのマリアがキリストの前でその罪を悔い、涙を流す姿を描いた≪マグダラのマリア≫。マグダラのマリアは罪を悔い、キリストの足元で涙を流し、その涙で濡れた足を自分の髪で拭いた後、香油を塗ったとされている。マグダラのマリアの手の下で金髪に輝く髪がマリアの裸体を包み込むその姿は、宗教画でありながら高い官能性を備えた傑作である。なお蛇足であるが、この美術館には、ダ・ヴィンチの傑作2点を所有している。<br /><br />ダ・ヴィンチ コードについてお詳しい方と是非お話しをしたいものである。英語の原本と日本語訳はいつも座右にあり、ドイツ語訳もドイツで見つけて購入して拾い読みをしている。なお、ドイツ語訳のタイトルはSAKRILEG(冒とく)となっている。

「ダ・ヴィンチ コード」詣で:ミラノ、パリ、サンクトペテルブルク

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2007/12/08 - 2007/12/10

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ハンク

ハンクさん

「ダ・ヴィンチ コード」は世界的なベストセラーとなったのは2004年、私は04〜06年のアメリカ赴任中に読んで大きな衝撃を受けた。その後親しいアメリカ人にキリスト教義のタブーの部分についての感想を聞いた。大半の白人アメリカ人は「アメリカンジョークだ」と笑い飛ばしていたが、敬虔なカトリック教徒は、語るのも汚らわしい、と話題にしてくれなかったのが印象的である。なお、バチカンは当然のようにこの本を発禁にしている。

その後、数多く発刊されている「ダ・ヴィンチコードの真実」などのいわゆる解説本も何冊か読んだ。冒頭に登場するオプス・デイは実在する組織であるが、「秘密結社」のシオン修道会やその「秘密儀式」は想像上のものである。とりわけキリスト教、とくにカトリックの教義に深く関わる部分は大きな反響を巻き起こし、2006年には米国カトリック司教会議が教義について反論するウェブサイトを開設したそうだ。

2006年には映画化され、真っ先に見た。しかしその出来には少々失望した。娯楽的な推理小説であることに焦点がおかれ、小説の衝撃的な内容を2時間そこそこの映画で描くこと自体が無理だったのだろうが、登場人物もトム・ハンクスのラングトンはともかくソフィーなどかなりイメージが違う。

この小説の内容をご存知ない方のために、何が衝撃的だったのか少しご紹介しておく。

イエス・キリストは実は結婚して、女子をもうけた。結婚相手は聖書にも登場するマグダラのマリアである。ところが、聖書を編纂したイエスの弟子達は、イエスの神性を強調するために、マグダラのマリアとの結婚を抹殺し、彼女は娼婦として登場することになった。この秘密は秘密結社シオン修道会の中で大切に守られてきた。その秘密結社の歴代総長は、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ニュートン、ユーゴー、ドビュッシー、コクトーなどがつとめた、という(これはいかにも荒唐無稽な発想で、全世界で議論が沸騰した)。総長の一人レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「最後の晩餐」の、イエスの左に描かれているのはヨハネ、というのが定説であるが、明らかにこれは女性に見える。彼女がキリストの妻となったマグダラのマリアであって、ダ・ヴィンチはその秘密をこの謎のフレスコ画に描いた、というのだ。それ以外にもこの世紀の名画には謎がたくさん隠されている事は有名だ。

その総長を引き継いだルーブル美術館館長のジャック・ソニエールは、ついにその秘密結社を敵視する狂信者に殺害された。彼の息子は数年前に謎の事故死を遂げており、彼は死に瀕して、秘密を自分の孫娘のソフィー・ヌヴ−に伝えようとした。この秘密は絶対に世間に明かされてはならないため、この日に備えて孫娘には幼少から暗号解読方法について伝授してきた。館長はダ・ヴィンチにからめた暗号を残し息絶える。ソフィーはたまたま講演のためパリに来ていた、ハーバード大学の宗教象徴学教授であるロバート・ラングドンと謎解きの旅に出ることになる。

私の「ダ・ヴィンチ コード」詣でを紹介しよう。まずはミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(写真1)で改修まもない「最後の晩餐」を見た。長年の夢を果たし、感慨も一入であった。もちろん写真撮影は不可で掲載することは出来ない。

ついでパリのカトリックの教会、サン・シュルピス教会(写真4−6)、作品中でこの教会の中にある日時計(ローズライン)に秘密を解く鍵が隠されていると記されているが、実際にはそういう事実はない。教会側は数ヶ国語で書かれた張り紙を張ったという。そしてルーブル博物館(写真7、8)、殺人事件現場になったという想定であり、監視カメラの多くがダミーであるなどと記載があり、新たな視点で興味深かった。なお、ルーブルに程近いところに観覧車(写真9)が作られていた。この上からはサクレ・クール寺院(写真10)、エッフェル塔(写真11)、シャンゼリゼ通りと凱旋門(写真12)が鮮やかに見渡せる。

サンクトペテルブルクの誇るエルミタージュ美術館で、ティツィアーノの「悔悛するマグダラのマリア」(写真13)を見つけてその偶然に驚かされた。主題は娼婦であったマグダラのマリアがキリストの前でその罪を悔い、涙を流す姿を描いた≪マグダラのマリア≫。マグダラのマリアは罪を悔い、キリストの足元で涙を流し、その涙で濡れた足を自分の髪で拭いた後、香油を塗ったとされている。マグダラのマリアの手の下で金髪に輝く髪がマリアの裸体を包み込むその姿は、宗教画でありながら高い官能性を備えた傑作である。なお蛇足であるが、この美術館には、ダ・ヴィンチの傑作2点を所有している。

ダ・ヴィンチ コードについてお詳しい方と是非お話しをしたいものである。英語の原本と日本語訳はいつも座右にあり、ドイツ語訳もドイツで見つけて購入して拾い読みをしている。なお、ドイツ語訳のタイトルはSAKRILEG(冒とく)となっている。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.0
グルメ
4.0
ショッピング
4.0
交通
4.5
同行者
家族旅行
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
鉄道 タクシー 飛行機
航空会社
旅行の手配内容
個別手配
  • 「最後の晩餐」のあるミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院

    「最後の晩餐」のあるミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院

  • ミラノのスフォルツァ城

    ミラノのスフォルツァ城

  • ミラノの大聖堂

    イチオシ

    ミラノの大聖堂

  • パリのサン・シュルピス教会

    パリのサン・シュルピス教会

  • パリのサン・シュルピス教会

    パリのサン・シュルピス教会

  • サン・シュルピス教会の内部「キリストの誕生」

    サン・シュルピス教会の内部「キリストの誕生」

  • ルーブル美術館のガラスのピラミッド

    ルーブル美術館のガラスのピラミッド

  • ルーブル宮殿のファサード

    ルーブル宮殿のファサード

  • パリの観覧車

    パリの観覧車

  • サクレ・クール寺院の遠景

    サクレ・クール寺院の遠景

  • エッフェル塔の遠景

    エッフェル塔の遠景

  • シャンゼリゼ通りと凱旋門の遠景

    シャンゼリゼ通りと凱旋門の遠景

  • エルミタージュ美術館のティツィアーノ作「悔悛するマグダラのマリア」

    エルミタージュ美術館のティツィアーノ作「悔悛するマグダラのマリア」

  • ダ・ヴィンチ作「リッタの聖母」

    ダ・ヴィンチ作「リッタの聖母」

  • ダ・ヴィンチ作「べヌアの聖母」

    ダ・ヴィンチ作「べヌアの聖母」

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