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その人の目からは涙が流れ落ちていた。<br />頬には涙の跡がついていた。<br /><br />寂しい気持ち、嬉しい気持ちからだろう。<br />じんとした。<br />改めて、思う。<br /><br />かけがえのない存在ということを。<br /><br />運転をしながら、後部座席にあるティッシュを渡す自分。<br /><br />車の中で、空港で、別れを惜しんでくれる彼女。<br /><br />今これを書いているこの瞬間、彼女は日本へのフライトの最中なのだろう。<br />一人、さびしくしているのかな。<br />お腹はだいじょうぶかな。<br />あの多い荷物、ちゃんと持てるかな。<br /><br />考え出すときりがないけれど、それだけの存在なんだと思う。<br />涙が意味する関係。<br /><br /><br />あっという間の旅行を振り返ってみて、久しぶりの再会を振り返ってみて、<br />自分たちにとっての今回の旅行は、すごく意味のあるものになった。<br /><br />普段スカイプで連絡をとっている自分たちにとって、<br />今回の再会、旅行は神様が送ってくれた贈り物のようなもの。<br /><br />ずっと前から、待ち遠しくしていて、いろいろ話し合って、そして当日を迎えたもの。<br />そしてあっという間に過ぎ去っていったもの。<br /><br />クリスマスを含めた年末年始、日本で暮らす彼女とベルギーで働く自分の時間が交わった。<br />久しぶりの再会といえば、久しぶりの再会だったけれど、ずっと一緒にいるようでもあった。<br /><br />ここに書くには及ばないくらい、二人で多くの思い出を共有した。<br /><br />真冬のベルギーでの再会、グランプラスとサンカトリーヌ教会付近のクリスマスマーケット。<br />リエージュでの市場、ミートボール、デルヴイ、ドライブは一面銀世界だった。<br />スーパーでの買い出し、ドライブ、美味しいミシェラン1つ星レストランでのごはん。<br />朝の料理、アントワープでの散策、お買いもの。<br />スペイン、マドリードのプラド美術館、トレドのパラドールでの絶景の夜景。<br />トレド、バルセロナへの高速鉄道の旅、バルセロナでの散策、ミシェラン2つ星でのご飯。<br />バルセロナ満喫、カタルーニャ音楽堂での大みそかコンサート、ミシェランシェフの美味しいレストランでのごはん。<br />元旦のサクラダファミリアにバルセロナでの美味しいご飯。<br />ブリュッセルでまったり一日。<br /><br />街を歩くときは、ほぼずっと手をつないでいた。<br /><br /><br /><br />ライトアップされたグランプラスを見ながら彼女がつぶやく。<br /><br /><br /><br />「10年後にまた一緒に来たいな」<br /><br /><br /><br /><br />「うん、10年後、一緒に来よう」<br /><br /><br /><br /><br />数か月前からの準備を経た12月のヨーロッパには2度の寒波がやってきていた。<br />彼女が来る少し前から一足早くクリスマス休暇に入っていた自分。<br />準備をしながら、無事に飛行機が飛ぶように願う。<br /><br />彼女がくる当日の朝。<br />ブリュッセルは久しぶりの快晴に包まれる。<br /><br />朝、家の掃除を少ししてから会社で所用をこなし、ブリュッセル国際空港へ。<br /><br />高鳴る鼓動。<br />到着ゲートに1時間前に到着、新聞を読みながら到着を待つ。<br />新聞の内容がうまく入ってこない。<br />彼女のことが頭にあるためだろうか。<br /><br />彼女が乗ったフライトが到着したアナウンスがある。<br />到着ゲートにはまだ彼女は来ない。<br /><br />数十分後、ベルトコンベアに荷物が流れ始める。<br /><br />再び高まる鼓動。<br /><br />第一声は何て言おう。<br />到着シーンを写真に撮った方がいいかな。<br />なめていた飴が溶けると、新しい飴をすぐになめはじめ、彼女を待つ。<br /><br /><br /><br />彼女のシルエットが到着ゲートに現れた。<br />一歩、2歩と二人の距離が縮まっていく。<br />再会までを待っていた時間への神様から二人へのご褒美のように、その瞬間はまさしくスローモーションだった。おそらく一生忘れないのではないだろうか。<br /><br />手を振ってくれる彼女に、振り返す自分。<br /><br />第一声は、<br /><br />「お疲れ様~!」<br /><br />照れ隠しもあるし、率直に長旅お疲れ様という意味を込めてそう言う。<br />長旅で疲れ果てているはずの彼女が笑顔を返してくれる。<br /><br />「迎えに来てくれてありがとう」<br /><br />少しの緊張を持ちつつ、駐車場へ向かう道でお互いを確かめ合う。<br /><br />スカイプよりも近い距離間からくる嬉しさとほんのちょっとの照れが滲みでる距離、時間。<br />スーパーマーケット、デレーズで紅茶を購入するときも、まだ少し緊張している自分。<br /><br />車は発進する。<br /><br />夕暮れ時のブリュッセル、運転し慣れた道を行く。<br />道路の両サイドには雪が残っている。<br />車内はクリスマスソング。<br /><br />今までどうもありがとう。<br />遠いところきてくれてありがとう。<br /><br />お互いの距離感を、呼吸を確かめ合いながら車は夜の街を進み、<br />雪で埋まった坂道を登り、アパートに到着した。<br /><br />彼女から多くのお土産とクリスマスのプレゼントをもらった。<br />お土産は、食料品、頼んでいた本等でスーツケース丸々1個はあったんじゃないかと思う。<br />彼女の優しさ、思いやりにはいつも尊敬の念を抱く。<br /><br />なんでこんなに優しいのだろう。<br /><br />プレゼントは自分が最近購入して愛用しているシグマのDP2カメラの革のカメラケースと手袋。<br />ブラウンの色とステッチが効いたカメラケースは発売後即完売する品薄の少生産のケース。<br />手袋とともに、持つ喜びを感じる、ほんとうに嬉しいプレゼントだった。<br />何よりもうれしいプレゼントはあなたが来てくれたことだけれども。<br /><br />自分からのプレゼントは寝る前にあげようと思っていたので、グランプラスへ行こうと彼女を促す。<br /><br />30分後、グランプラス、サンカトリーヌ教会を歩く僕ら。<br />途中雪が舞い落ちてきた文字通りのホワイトクリスマス。<br />イルミネーションと音楽、雰囲気は申し分ない。<br /><br />彼女と手が繋がる。<br /><br />”手が繋げる”っていうことの貴重さを二人は知っている。<br />それに、手を繋いで歩くことに、ただ、ただ嬉しくなる。<br /><br />彼女と散策をして、途中シーフードソースのフリッツ、ドイツ系フランクフルトを食べて家に戻る。<br /><br />家に戻り、シャワーを浴びていると、彼女がご飯を作ってくれている。<br />その後、買っておいたケーキを2人で食べながら、ヨーロッパでの旅行で買ってきたお土産(合計袋3つ分)を彼女へ渡す。<br /><br />一つ一つゆっくりとみてくれる彼女、簡潔に一言ずつコメントする自分。<br /><br />プレゼントを見終わった後は、疲れもたまっていることだしと、<br />そして一緒に寝たいと二人は休みにはいった。<br /><br />かけがえのない旅行の、始まり始まり。<br /><br />そして、その旅行はあっという間に帰りを迎えた。<br /><br />ほんとうにどうもありがとう。<br /><br />先に帰って待っていてね。<br />おれももうすぐかえります!<br /><br />3.1.2011 Brusselsにて,  ダイサク<br />

Highlight Vol.25 ~10年後にまた~

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2010/12/25 - 2011/01/03

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ダイサク

ダイサクさん

その人の目からは涙が流れ落ちていた。
頬には涙の跡がついていた。

寂しい気持ち、嬉しい気持ちからだろう。
じんとした。
改めて、思う。

かけがえのない存在ということを。

運転をしながら、後部座席にあるティッシュを渡す自分。

車の中で、空港で、別れを惜しんでくれる彼女。

今これを書いているこの瞬間、彼女は日本へのフライトの最中なのだろう。
一人、さびしくしているのかな。
お腹はだいじょうぶかな。
あの多い荷物、ちゃんと持てるかな。

考え出すときりがないけれど、それだけの存在なんだと思う。
涙が意味する関係。


あっという間の旅行を振り返ってみて、久しぶりの再会を振り返ってみて、
自分たちにとっての今回の旅行は、すごく意味のあるものになった。

普段スカイプで連絡をとっている自分たちにとって、
今回の再会、旅行は神様が送ってくれた贈り物のようなもの。

ずっと前から、待ち遠しくしていて、いろいろ話し合って、そして当日を迎えたもの。
そしてあっという間に過ぎ去っていったもの。

クリスマスを含めた年末年始、日本で暮らす彼女とベルギーで働く自分の時間が交わった。
久しぶりの再会といえば、久しぶりの再会だったけれど、ずっと一緒にいるようでもあった。

ここに書くには及ばないくらい、二人で多くの思い出を共有した。

真冬のベルギーでの再会、グランプラスとサンカトリーヌ教会付近のクリスマスマーケット。
リエージュでの市場、ミートボール、デルヴイ、ドライブは一面銀世界だった。
スーパーでの買い出し、ドライブ、美味しいミシェラン1つ星レストランでのごはん。
朝の料理、アントワープでの散策、お買いもの。
スペイン、マドリードのプラド美術館、トレドのパラドールでの絶景の夜景。
トレド、バルセロナへの高速鉄道の旅、バルセロナでの散策、ミシェラン2つ星でのご飯。
バルセロナ満喫、カタルーニャ音楽堂での大みそかコンサート、ミシェランシェフの美味しいレストランでのごはん。
元旦のサクラダファミリアにバルセロナでの美味しいご飯。
ブリュッセルでまったり一日。

街を歩くときは、ほぼずっと手をつないでいた。



ライトアップされたグランプラスを見ながら彼女がつぶやく。



「10年後にまた一緒に来たいな」




「うん、10年後、一緒に来よう」




数か月前からの準備を経た12月のヨーロッパには2度の寒波がやってきていた。
彼女が来る少し前から一足早くクリスマス休暇に入っていた自分。
準備をしながら、無事に飛行機が飛ぶように願う。

彼女がくる当日の朝。
ブリュッセルは久しぶりの快晴に包まれる。

朝、家の掃除を少ししてから会社で所用をこなし、ブリュッセル国際空港へ。

高鳴る鼓動。
到着ゲートに1時間前に到着、新聞を読みながら到着を待つ。
新聞の内容がうまく入ってこない。
彼女のことが頭にあるためだろうか。

彼女が乗ったフライトが到着したアナウンスがある。
到着ゲートにはまだ彼女は来ない。

数十分後、ベルトコンベアに荷物が流れ始める。

再び高まる鼓動。

第一声は何て言おう。
到着シーンを写真に撮った方がいいかな。
なめていた飴が溶けると、新しい飴をすぐになめはじめ、彼女を待つ。



彼女のシルエットが到着ゲートに現れた。
一歩、2歩と二人の距離が縮まっていく。
再会までを待っていた時間への神様から二人へのご褒美のように、その瞬間はまさしくスローモーションだった。おそらく一生忘れないのではないだろうか。

手を振ってくれる彼女に、振り返す自分。

第一声は、

「お疲れ様~!」

照れ隠しもあるし、率直に長旅お疲れ様という意味を込めてそう言う。
長旅で疲れ果てているはずの彼女が笑顔を返してくれる。

「迎えに来てくれてありがとう」

少しの緊張を持ちつつ、駐車場へ向かう道でお互いを確かめ合う。

スカイプよりも近い距離間からくる嬉しさとほんのちょっとの照れが滲みでる距離、時間。
スーパーマーケット、デレーズで紅茶を購入するときも、まだ少し緊張している自分。

車は発進する。

夕暮れ時のブリュッセル、運転し慣れた道を行く。
道路の両サイドには雪が残っている。
車内はクリスマスソング。

今までどうもありがとう。
遠いところきてくれてありがとう。

お互いの距離感を、呼吸を確かめ合いながら車は夜の街を進み、
雪で埋まった坂道を登り、アパートに到着した。

彼女から多くのお土産とクリスマスのプレゼントをもらった。
お土産は、食料品、頼んでいた本等でスーツケース丸々1個はあったんじゃないかと思う。
彼女の優しさ、思いやりにはいつも尊敬の念を抱く。

なんでこんなに優しいのだろう。

プレゼントは自分が最近購入して愛用しているシグマのDP2カメラの革のカメラケースと手袋。
ブラウンの色とステッチが効いたカメラケースは発売後即完売する品薄の少生産のケース。
手袋とともに、持つ喜びを感じる、ほんとうに嬉しいプレゼントだった。
何よりもうれしいプレゼントはあなたが来てくれたことだけれども。

自分からのプレゼントは寝る前にあげようと思っていたので、グランプラスへ行こうと彼女を促す。

30分後、グランプラス、サンカトリーヌ教会を歩く僕ら。
途中雪が舞い落ちてきた文字通りのホワイトクリスマス。
イルミネーションと音楽、雰囲気は申し分ない。

彼女と手が繋がる。

”手が繋げる”っていうことの貴重さを二人は知っている。
それに、手を繋いで歩くことに、ただ、ただ嬉しくなる。

彼女と散策をして、途中シーフードソースのフリッツ、ドイツ系フランクフルトを食べて家に戻る。

家に戻り、シャワーを浴びていると、彼女がご飯を作ってくれている。
その後、買っておいたケーキを2人で食べながら、ヨーロッパでの旅行で買ってきたお土産(合計袋3つ分)を彼女へ渡す。

一つ一つゆっくりとみてくれる彼女、簡潔に一言ずつコメントする自分。

プレゼントを見終わった後は、疲れもたまっていることだしと、
そして一緒に寝たいと二人は休みにはいった。

かけがえのない旅行の、始まり始まり。

そして、その旅行はあっという間に帰りを迎えた。

ほんとうにどうもありがとう。

先に帰って待っていてね。
おれももうすぐかえります!

3.1.2011 Brusselsにて, ダイサク

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