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センテンドレ探訪<br />三日目。今朝は快晴で穏やかな天候。今日はブダペストから二〇キロ離れた郊外のリゾ−ト地センテンドレを探訪してみよう。九時にホテルを出発し、地下鉄でバツィアニ駅まで出ると、そこから郊外電車に乗る。センテンドレまで料金一二八フォリント(九十六円)。ガランとした車内の一角に腰を下ろし、車窓を流れる郊外の景色を眺めているうちに四〇分で到着。<br /> <br /><br />この小さな町は、十四世紀にトルコの襲撃から川沿いに逃げてきたセルビア人によって築かれた古い町である。旧市街には七つの教会と十四の美術館がひしめき、週末ともなればブダペスト市民も繰り出して賑わうという。駅から町の中心まで歩いて十分。途中に観光案内所があり、そこで観光ポイントやブダペスト行きの出航時刻を尋ね、マップを入手する。<br /><br /><br />町の中心、中央広場に出ると、小さな三角形の広場の真ん中には十字架をかざした塔が立っている。そして、広場を取り囲むように、中世時代を思わせる古い建物が立ち並び、みんな画廊やカフェ、みやげ品などの店を開いている。ちょうど、広場の石畳の張り替え作業中で周辺はガタついている。そんな中を大勢の観光客が右往左往している。<br /><br /><br />日本人の団体さんも結構来ている。観光客に混じって小・中学生の修学旅行組も多い。そこで、地図を見せてどこから来たのか尋ねてみると、結構遠い地域から泊まりがけで来ている。どうもこの町は、観光コ−スとしてブダペスト観光とセットになっている模様だ。 <br /><br /><br />案内所の話では、丘の上の教会がここの名所だというので、その方向へ坂道を上って行く。小高い丘の上に出ると、そこにはセンテンドレで最初の石造りの教会がある。すぐ崖下には取り囲むように建物が立っていて、屋根々々がここからの素敵な眺望を遮っているのが惜しまれる。教会の周りの敷地にはテント張りのみやげ品店が並んでいるが、今はひっそりとして人影もない。観光客はみんな下の広場周辺にかたまっているようだ。<br /> <br /><br />教会を覗いた後は、再び中央広場をめざして坂道を下り始める。この町はドナウ川のほとりの小高い丘陵地帯に開けた所で、入り組んだ小路や坂道が多い。そして、到る所にみやげ品店が軒を連ねているところをみると、訪れる観光客の数も結構多いのだろう。中央広場に戻ると軽い昼食をと思い、カフェに入ってド−ナツとコ−ヒ−を注文する。そしてテラスのテ−ブルに陣取り、目の前の広場の風景に自分を溶け込ませながら、ゆっくりとコ−ヒ−に手を伸ばす。<br /> <br /><br />ドナウ川の船旅<br />憩いのひとときを終え、十二時四十分発の船で帰ろうと船着き場のほうへ歩き始める。帰路はコ−スを変え、ドナウ川を下りながらブダペストへ戻ろうという魂胆である。朝来た駅とは反対の方向だが、少し距離がありそうだ。その通り道にもみやげ品店が列をなし、日本人客をもまじえて多くの観光客で賑わっている。二度、三度と船着き場のありかを尋ねながら歩き続ける。そして、道路工事の作業員にもう一度確認しようと尋ねていると、船から上がってきたところらしいアメリカ人の婦人が「キャナイ ヘルプ ユ−」と声を掛けてくる。そこで乗船場を尋ねると、「すぐそこで五分とかかりませんよ。」と教えてくれる。十五分かかってやっと辿り着く。<br /> <br /><br />木々がこんもり茂って薄暗い木陰の中に、乗船客の待合所がある。そこに入ると、ひっそりとしてだれ一人いない。切符の窓口にも人の気配がないので近寄ってみると、奥のほうからラジオの音がもれてくる。そこで、「ハロ−!」と声を掛けると、男性の係が出てくる。乗船券を求めて小鳥のさえずりに耳を傾けながら桟橋の辺りをうろついていると、やっと若いカップルが一組現れる。そして出発間際に、アメリカから来たという親子三人連れがやってきて、今日の乗客が全員集まる。 <br /><br /><br />出航時間の十分前に姿を見せた船は、二階建ての白く長い船体をもつ汽船である。数人の乗客が降りるのと入れ替わりに乗り込むと、間もなく汽船は泥水に赤茶けた川面を滑るように走り出す。ワルツの題名にある“美しく青きドナウ”なんて、ほど遠い感じである。これはライン川も同じだが、ヨ−ロッパの川はみんな赤茶けた泥水で、かなりの土を削り込んで流れているらしいのだ。<br /> <br /><br />わずか六人の乗客を乗せた汽船は、下流のブダペストへ向けて航行する。この上流はオ−ストリアのウィ−ンへ通じており、ブダペストからジェットフォイルの高速船で六時間で行ける距離にある。ちょうど二年前の今頃、そのウィ−ンで過ごしていたことを思い出し、このままさかのぼってオ−ストリアへ旅してみたい衝動にかられる。<br /> <br /><br />二階の見晴らしの良いシ−トに腰掛けながら豊かな水量をたたえて流れるドナウの風景を眺めていると、途切れた森の間にレンガ色の家並みが見えてくる。さきほど立ち寄ったばかりのセンテンドレの町だ。<br /><br /><br />川の両岸は深い緑の森に覆われ、その先端は水没するほど川面にせり出している。水の濁りはともかく、自然の美しさに包まれたドナウ川の鏡のような水面に、大きなひび目を入れながら汽船は進んで行く。旅情をなぐさめるのどかな風景である。<br /><br /><br />帰りは船のコ−スにして大正解だったなと独りで悦に入る。ライン河の風景は両岸が小高い山に囲まれている上に、そこに点在する古城が眺められて変化に富んでいるが、ここは平坦な両岸でさほど景色の変化が見られないのは惜しい。<br /> <br /><br />間もなく高いエンジン音が聞こえ始めたかと思うと、ウィ−ンからの高速船が白波をけ立ててブダペストへ向かって走り抜けて行く。<br /><br /><br />船が進むにつれて森は途切れ、川の両岸は次第に開けて市街地が見えてくる。そして、遠くに橋も見え始める。ブダペストの街に入ったのだ。<br /> <br /><br />最初の新ペスト鉄道橋をくぐり抜けると、オ−ブダ島の横を通り過ぎ、ア−ルパ−ド橋をくぐり抜ける。続いてマルギット島にさしかかり、そこを過ぎると次はマルギット橋だ。ここまで来たところで、あの華麗で優雅な国会議事堂が左手前方に見えてくる。それは陸上から見るよりもはるかに美しく、いくつもの尖塔を持つお城のような建物が中世の雰囲気をいっぱいに漂わせている。<br /> <br /><br />それに見とれていると、すぐに有名な“くさり橋”にさしかかる。ここを通り抜けると、間もなく終着点である。右手の王宮の丘には、荘重な王宮の建物が見えている。これらの有名建築物は、水上からの眺望がきいて最高である。この印象深い素敵な船旅は、センテンドレから一時間十分かかってヴィガド−広場前で終わりとなる。<br /><br />(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )<br /><br /><br />

ハンガリー:センテンドレの旅

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1996/05/30 - 1996/05/30

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yasyas

yasyasさん

センテンドレ探訪
三日目。今朝は快晴で穏やかな天候。今日はブダペストから二〇キロ離れた郊外のリゾ−ト地センテンドレを探訪してみよう。九時にホテルを出発し、地下鉄でバツィアニ駅まで出ると、そこから郊外電車に乗る。センテンドレまで料金一二八フォリント(九十六円)。ガランとした車内の一角に腰を下ろし、車窓を流れる郊外の景色を眺めているうちに四〇分で到着。
 

この小さな町は、十四世紀にトルコの襲撃から川沿いに逃げてきたセルビア人によって築かれた古い町である。旧市街には七つの教会と十四の美術館がひしめき、週末ともなればブダペスト市民も繰り出して賑わうという。駅から町の中心まで歩いて十分。途中に観光案内所があり、そこで観光ポイントやブダペスト行きの出航時刻を尋ね、マップを入手する。


町の中心、中央広場に出ると、小さな三角形の広場の真ん中には十字架をかざした塔が立っている。そして、広場を取り囲むように、中世時代を思わせる古い建物が立ち並び、みんな画廊やカフェ、みやげ品などの店を開いている。ちょうど、広場の石畳の張り替え作業中で周辺はガタついている。そんな中を大勢の観光客が右往左往している。


日本人の団体さんも結構来ている。観光客に混じって小・中学生の修学旅行組も多い。そこで、地図を見せてどこから来たのか尋ねてみると、結構遠い地域から泊まりがけで来ている。どうもこの町は、観光コ−スとしてブダペスト観光とセットになっている模様だ。 


案内所の話では、丘の上の教会がここの名所だというので、その方向へ坂道を上って行く。小高い丘の上に出ると、そこにはセンテンドレで最初の石造りの教会がある。すぐ崖下には取り囲むように建物が立っていて、屋根々々がここからの素敵な眺望を遮っているのが惜しまれる。教会の周りの敷地にはテント張りのみやげ品店が並んでいるが、今はひっそりとして人影もない。観光客はみんな下の広場周辺にかたまっているようだ。
 

教会を覗いた後は、再び中央広場をめざして坂道を下り始める。この町はドナウ川のほとりの小高い丘陵地帯に開けた所で、入り組んだ小路や坂道が多い。そして、到る所にみやげ品店が軒を連ねているところをみると、訪れる観光客の数も結構多いのだろう。中央広場に戻ると軽い昼食をと思い、カフェに入ってド−ナツとコ−ヒ−を注文する。そしてテラスのテ−ブルに陣取り、目の前の広場の風景に自分を溶け込ませながら、ゆっくりとコ−ヒ−に手を伸ばす。
 

ドナウ川の船旅
憩いのひとときを終え、十二時四十分発の船で帰ろうと船着き場のほうへ歩き始める。帰路はコ−スを変え、ドナウ川を下りながらブダペストへ戻ろうという魂胆である。朝来た駅とは反対の方向だが、少し距離がありそうだ。その通り道にもみやげ品店が列をなし、日本人客をもまじえて多くの観光客で賑わっている。二度、三度と船着き場のありかを尋ねながら歩き続ける。そして、道路工事の作業員にもう一度確認しようと尋ねていると、船から上がってきたところらしいアメリカ人の婦人が「キャナイ ヘルプ ユ−」と声を掛けてくる。そこで乗船場を尋ねると、「すぐそこで五分とかかりませんよ。」と教えてくれる。十五分かかってやっと辿り着く。
 

木々がこんもり茂って薄暗い木陰の中に、乗船客の待合所がある。そこに入ると、ひっそりとしてだれ一人いない。切符の窓口にも人の気配がないので近寄ってみると、奥のほうからラジオの音がもれてくる。そこで、「ハロ−!」と声を掛けると、男性の係が出てくる。乗船券を求めて小鳥のさえずりに耳を傾けながら桟橋の辺りをうろついていると、やっと若いカップルが一組現れる。そして出発間際に、アメリカから来たという親子三人連れがやってきて、今日の乗客が全員集まる。 


出航時間の十分前に姿を見せた船は、二階建ての白く長い船体をもつ汽船である。数人の乗客が降りるのと入れ替わりに乗り込むと、間もなく汽船は泥水に赤茶けた川面を滑るように走り出す。ワルツの題名にある“美しく青きドナウ”なんて、ほど遠い感じである。これはライン川も同じだが、ヨ−ロッパの川はみんな赤茶けた泥水で、かなりの土を削り込んで流れているらしいのだ。
 

わずか六人の乗客を乗せた汽船は、下流のブダペストへ向けて航行する。この上流はオ−ストリアのウィ−ンへ通じており、ブダペストからジェットフォイルの高速船で六時間で行ける距離にある。ちょうど二年前の今頃、そのウィ−ンで過ごしていたことを思い出し、このままさかのぼってオ−ストリアへ旅してみたい衝動にかられる。
 

二階の見晴らしの良いシ−トに腰掛けながら豊かな水量をたたえて流れるドナウの風景を眺めていると、途切れた森の間にレンガ色の家並みが見えてくる。さきほど立ち寄ったばかりのセンテンドレの町だ。


川の両岸は深い緑の森に覆われ、その先端は水没するほど川面にせり出している。水の濁りはともかく、自然の美しさに包まれたドナウ川の鏡のような水面に、大きなひび目を入れながら汽船は進んで行く。旅情をなぐさめるのどかな風景である。


帰りは船のコ−スにして大正解だったなと独りで悦に入る。ライン河の風景は両岸が小高い山に囲まれている上に、そこに点在する古城が眺められて変化に富んでいるが、ここは平坦な両岸でさほど景色の変化が見られないのは惜しい。
 

間もなく高いエンジン音が聞こえ始めたかと思うと、ウィ−ンからの高速船が白波をけ立ててブダペストへ向かって走り抜けて行く。


船が進むにつれて森は途切れ、川の両岸は次第に開けて市街地が見えてくる。そして、遠くに橋も見え始める。ブダペストの街に入ったのだ。
 

最初の新ペスト鉄道橋をくぐり抜けると、オ−ブダ島の横を通り過ぎ、ア−ルパ−ド橋をくぐり抜ける。続いてマルギット島にさしかかり、そこを過ぎると次はマルギット橋だ。ここまで来たところで、あの華麗で優雅な国会議事堂が左手前方に見えてくる。それは陸上から見るよりもはるかに美しく、いくつもの尖塔を持つお城のような建物が中世の雰囲気をいっぱいに漂わせている。
 

それに見とれていると、すぐに有名な“くさり橋”にさしかかる。ここを通り抜けると、間もなく終着点である。右手の王宮の丘には、荘重な王宮の建物が見えている。これらの有名建築物は、水上からの眺望がきいて最高である。この印象深い素敵な船旅は、センテンドレから一時間十分かかってヴィガド−広場前で終わりとなる。

(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )


旅行の満足度
4.5
観光
4.5
同行者
一人旅
交通手段
鉄道
旅行の手配内容
個別手配
  • センテンドレの中央広場<br /><br />

    センテンドレの中央広場

  • <br />丘の上の教会<br />


    丘の上の教会

  • ドナウ川よりセンテンドレの町を望む<br /><br />

    ドナウ川よりセンテンドレの町を望む

  • ドナウ川の風景<br />

    ドナウ川の風景

  • 静かに流れるドナウ川<br />

    静かに流れるドナウ川

  • ウィーンへ通う高速船<br />

    ウィーンへ通う高速船

  • ドナウ川より王宮を望む<br /><br />

    ドナウ川より王宮を望む

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