1994/11/03 - 1994/11/03
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北風さん
1994年11月3日、チベットよりネパール入国!
ただひたすら、「西へ!」を合言葉に大陸横断していた俺は、ただひたすら行き当たりばったりで観光していた。
ただし、この「世界の屋根」と呼ばれる山を持つ国は例外だった。
「エベレスト・トレッキング」
ニュージーランドで山歩きに目覚めた俺は、「どうせ歩くなら、世界一の山だろ!」と、ベースキャンプまでのトレッキングに目標を定め、急ぎ足?でユーラシア大陸陸路縦断を始めて90日目、6カ国を渡りやっとたどり着いた!
しかし、季節はもう初冬。
分厚いコートの襟を立てさせる寒風が、否が応でも気持ちを焦らせる。
早くトレッキングを開始しなければ!
世界一高い山で冬山登山初体験デビューという、とんでもない状況になりそうだった。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- タクシー
-
旅日記
『チベット国境にて』
バスが街中を走る山道を大きく曲がった時、いきなり道路が封鎖されていた。
田舎の踏み切りの様な、竹竿にペイントした遮断機といい、どう見ても国を代表するゲートには見えないが、どうやらここが中国国境らしい。
1994年11月3日、とうとう中国を出国する。
毎日が漢民族との戦いだったが、今思うと、肉まんや煙草をおごってもらった事も何度もあった。
そう言えば、中国では気にいられると必ず煙草を勧められた。
・・・いろんな思い出が頭をよぎっている内、あっという間にパスポートには出国スタンプが押されていた。
さて、次はネパール入国だ。
場所を尋ねた女性の指差す先は、川沿いにある白い建物だった。
・・・嘘だろ?はるか彼方の谷底だぞ。 -
世界の屋根に敷かれていた国境線は、とんでもなく険しいものだった。
エベレストを形成する山脈の中腹にへばりついている中国国境(写真中央)から、はるか下方の谷底にかかる橋のたもとにネパール国境が見える。
中国国境管理官が優しくアドバイスしてくれた。
「大丈夫だ。ここからは下りだから、40分ぐらいで降りられる。」
・・・つまり、歩けと言う事か!
「余分な食料は持っているか?」
・・・つまり遭難の危険性もあるわけだ。
「あぁ、それと、蛇と山賊に気をつけろ」
・・・国境の非武装地帯に山賊が出るのか?
氷点下のチベット旅行に必要な分厚い服が目一杯詰め込まれたバックパックが肩に食い込む。
俺はただ、合法的に国境を越えたいだけなのだが、これから冬山登山をしなければならないらしい。 -
旅日記
『カトマンズは遠い』
おんぼろタクシーの薄汚れたフロントガラス越しに見える風景は、既に闇に包まれていた。
頼りないヘッドライトが、モグラが掘り返した様な、でこぼこの砂利道を照らしている。
既にこのスーパータクシーは2度パンクしていた。
俺より長生きしていそうな車体に、ラリー選手権で走りそうな砂利道、ツーリスト4人を詰め込んだ重さ、しかも、その一人は体重100kgオーバーのトーマスなのだから、タイヤが悲鳴を上げているのは仕方ないかもしれないが・・・
今朝9時、チベットでチャーターした車は、山の中腹にある中国国境にたどり着いた。
安心したのもつかの間、ネパール国境は遥か下の谷底にあると言われる。
国境越えは、何度となくやってきた事だが、垂直方向に移動する国境越えは初めてだった。
30分以上のトレッキングガ続く。
ようやくたどり着いた橋のたもとには、どう見てもただの小屋にしか見えない建物に、ネパール国境管理事務所の看板がぶら下がっていた。
この日を信じて、あらかじめビザを入手していた俺は、いち早くパスポートを返してもらう。
問題は、チベットから一緒のトーマスだった。
ドイツ人に対するVISA代が高いと文句を言って、なんと値切り交渉を始めてしまっている。
トーマスが満足げに事務所から出てきた時は、地元のバスは既に出発していた。
今日のバスはもう無いらしい。
つまり俺たちは、エベレストのふもとの山中に、置き去りにされた事になった。
あの時は、何処からともなく現れたこのタクシーが、神様の使いに見えたのだが・・
あれから、なんと俺たちは20時間もこのタクシーの中にいる。
まだ、カトマンズは遠いらしい。
「パン!ゴト、ゴト、ゴト」ともはや聞き慣れた音が響き渡る。
ドライバーは、3度目のパンク修理の為外に出て行った。 -
結局、カトマンズに着いたのは深夜だった。
汗と砂埃をシャワーで落として、人心地ついた頃、ホテルの窓には朝日が昇っていた。
巨漢トーマスが、どこかで朝飯を食おうと誘ってくる。
身長190cm、体重100kgの巨体を維持する為には、睡眠より食欲を優先しなければならないらしい。
身長170cm、体重60kgの東洋人は、ただひたすら眠いのだが・・・ -
カトマンズは、かなりこじんまりとまとまった街だった。
繁華街から20分も歩けば、エベレストの天然水が流れる川がある。
そして、川岸にはぎっしりとゴミと、牛と、豚がひしめいていた。
なんと、橋のたもとにはボロボロの服を身にまとった人々が暮らしていた。
(ぱっと見、牛の毛並みの方がきれいに見える)
今、俺は一国の首都にいるんだろうか? -
<ネパールについて>
中国とインドの間に挟まれたこの国は、人種ももインド系と中華系が混在し、宗教もヒンズー教と仏教が混在している不思議な世界らしい。
(なにしろ、仏教の教祖「仏陀」が悟りを開いた国でもある)
かっては、ヒッピーの世界で世界3大聖地の一つにあげられた事もあり、古くから白人バックパッカーの溜まり場的な国にもなっているこの街は、現在でもエベレスト登山による白人観光客で賑わい、世界中の料理と安ホテルがしのぎを削っていた。
そして、ネパールは日本の援助対象国の上位ランクにあり、国民は、世界で最も貧しい国民と言われている。
しかし、驚くべき事に、ネパール国王は、世界で最も裕福な国王だと言われているらしい。
(産出量世界第一位を誇るマグネシウムが、王の富を生み出しているという噂があった)
「いいとこ独り占め」は発展途上国のお約束だが、それでも国民は王制を支持しているとの事。
ちなみに、世界最強の傭兵軍団「グルカ兵」も、この国のグルカ村出身だと言う。
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