1995/05/24 - 1995/05/25
23位(同エリア26件中)
北風さん
後日談になるが、俺がトルコ入国をした頃、東トルコ一帯にはクルド人のゲリラ活動による厳戒態勢が布かれていたらしい。
つまり、トルコ軍が神経をピリピリさせて反政府勢力を抑えこもうとしていた中心地で、のんびりとバックパックを背負って観光地を巡り、満面のジャパニーズ・スマイルで写真に納まっていたわけだ。
至る所に検問が敷かれ、戦車まで登場していた理由が今になって解き明かされる。
(あの時は、軍事国家イランからの入国だった為、嫌になるほどの検問も戦車も日常的で珍しくなかった)
今回の目的地は、シリア国境「ウルファ」にある「ハラン遺跡」。
後日談として、クルド人が独立国家を作ろうとしている地域だった。・・・らしい。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅日記
『厳戒態勢』
ドウバヤジットを早朝出発したバスは、順調に次の目的地「バン」を目指す。
イラン並みとはいかないが、なかなか快適なボルボバスだ。
車掌が前の席から順々に乗客に何かを配っている。
手に持っているのはボトルらしき物。
もしかして、モーニングコーヒーのサービスもありなのか?
俺の番がやって来た。
皆がしている様に両手を前に差し出す。
すると、いきなりボトルの中の液体をボトボト手にこぼされた。
あっけにとられた俺を尻目に車掌は次の乗客へと移動して行く。
周りを見渡すと、手に液体をかけられた人間はしきりにもみ手をしていた。
イスラム教の国で聖水をふりかけられるはずはないし、このプーンと香るシャルダンのような匂い。
・・・これは香水のサービスなのか?
上品と言うにはあまりにも強烈な香りに顔を背けると、窓の外の戦車にまたがるトルコ兵と目が合った。
よく見ると戦車は1台だけじゃない。
何だ一体?
バスはこの厳戒態勢のど真ん中でブレーキを踏んだ。
開いたドアから私服の人間がドカドカと乗り込んでくる。
一目散に俺をめがけている様に見えるのは気のせいか?
私服の男が、命令調でIDを見せろと怒鳴る。
俺は見ず知らずの人間に横柄な口調で命令されるのが大嫌いだ。
気がつくと「お前は誰だ?」と、怒鳴り返している自分がいた。
男が間髪いれずに「POLICE!」と叫び返す。
「お前のIDを先に見せろ!」と、言い返す。
静まり返るバスの中、男と睨みあう形になった。
と、男がぞんざいに警察手帳らしきものを懐から取り出した。
俺もパスポートを見せる。
男が早口で「クルド人ゲリラのテロ活動で、現在東部トルコに厳戒態勢が敷かれているのを知らないのか!」とまくしたてた。
・・・知らなかった。
だからあちこちに戦車や兵隊がうろついていたのか。
男はトルコ語でなにやら捨て台詞を残し、腰にぶら下がった拳銃をこれ見よがしにみせつけながら去って行った。
この状況では「ゲリラって、お前より下品なのか?」と言い返す言葉を飲み込む事にしよう。 -
<VAN(バン)>
ドウバヤジットからの道路は、戦車や重機関銃のオンパレードだった。
ところが、バンに到着してみるとトルコ最大の湖を渡る風の音しかしない。
ようやく本当の「静かな湖畔の〜」が口ずさめる地へたどり着いたらしい。 -
湖を見下ろすように、バンの城跡がひっそりとたたずんでいた。
-
<URUFA(ウルファ)>
バンからバスで10時間、東部トルコ辺境の街「ウルファ」に着いた。
あと少しでシリア国境というこの街にも、銀行の前にはキャッシュ・マシンが設置してある。
トルコは、もはや先進諸国だ!
よッこら、バックパックを背負って街を歩いていくと、トルコの小学生?の女の子が「写真を撮って」と声をかけてきた。
中東、ヨーロッパとの接点になっているこの国らしく、女の子の面立ちも、ヨーロッパ系からアラブ系、アジア系と様々だ。
共通するのは全員が美形と言う所だけ。
これが30を過ぎると、あれほど巨大化するんだろうか?
人間は不思議だ。 -
<HARRAN遺跡(日干し煉瓦の家々)>
バンからバスとタクシーで1時間、そこはもうシリア国境間際だった。
この国境の砂色の村「ウルファ」に来た理由は、この集落のこの日干しレンガの家々を観たかったからだった。 -
砂漠の風に吹かれながら、何世紀もの間その姿を残している赤レンガの家々。
遺跡というが人々は未だにここで暮らしているらしい。 -
集落にはまるで時が止まったかのような静けさが満ちていた。
-
まるで子供が砂場でこしらえた砂の家の実物版みたいな感じだ。
-
ゆっくりとゆっくりとロバが歩を進める。
-
旅日記
『ヒッチハイクの末に・・・』
さて、日干し煉瓦の家は見た。
ここは辺境の地だ。
当然交通機関は限られていた。
・・・つまり、2時間後のバスを待つ以外、ウルファに帰る方法はヒッチしかなかった。
運が良かったんだろう。
20分で一台のトラックが止まってくれた。
運ちゃんが笑顔で迎えてくれる。
(本当にトルコの一般人は親切だ)
辺境の人が英語をしゃべるはずもなく、トラックの中では、ガイドブックの端っこに記入されている「旅のトルコ語」と首っ引きでたどたどしい会話が始まった。
1時間も走っただろうか?
トラックはウルファの近郊にある小さな町へと入って行き、ごみごみとした住宅街の片隅で停車した。
「ここで降りろ」と言われる。
「入れ」と薄暗い一軒の家を指差された。
なにげに「日本人ツーリスト、クルド人ゲリラに誘拐される」というナレーションが頭に浮かぶ。 -
しかし、家の中では、トラックの運ちゃんの家族が待っていた。
ありがたい事にお茶に招待されたらしい。
「昼飯を食べて行け」との言葉に振り返ると、インドで見慣れたチャパティの10倍ぐらいの大きさのものを奥さんが抱えてきた。
運ちゃんいわく、一日に家族でこれを5枚は食べるとの事。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
11