1997/05/24 - 1997/05/25
63位(同エリア161件中)
北風さん
「Real De Catorce(レアル・デ・カトルセ)」
旅の相棒ニックが、1日かけてそのおもしろさを説明した土地だった。(その説明の中に「絶対面白い所だぜ!」と言う台詞が7回登場したぐらいに)
さすがバックパッカーの似た者同士だけあって、ニックの説得は俺の好奇心をピン・ポイントで刺激した。
いつしか、南下を一時取りやめ東に向かっていた。
ガイドブックにも無い、ホテルも無い、メキシコのディープな土地まで入り込んだ現在、ミニバンのドライバーは、荒野に開いたトンネルの闇を指差して「レアル・デ・カトルセ」とつぶやいた。
(後日談として、ブラッド・ピッド主演の「ザ・メキシカン」のロケ地になっていた。)
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅日記
『レアル・デ・カトルセまでの道程』
しかし、遠い!
まるで中東の砂漠のような荒野の真っ只中、いきなりバスから降ろされ「ここでミニバンが来るのを待て!」と言われた時は「日射病で死ね!」と言われているのと同じだった。
遠くに見える山間から土煙が上がっている。
だんだん近づいて来るという事は、あれがミニバンだろうか?
あんな山間から降りてくるという事は、これから向かう街もあの山の中にあるという事か!
「レアル・デ・カトルセ」それはまだまだ遠いらしい。 -
旅日記
『レアル・デ・カトルセへ』
それは意外と奥深いトンネルだった。
小型のミニバン1台がどうにか通れるその空間の、ギザギザに削られた岩肌をヘッドライトが不気味に照らし出す。
車はその目的地がまるで地の底にでもあるかのように、右に左にハンドルを切りながら、真っ暗闇の銀採掘坑跡を突き進んでいる。
10分ほど走っただろうか?
行く手にまばゆい光とともに、目的地リアル・デ・カトルセが浮かび上がってきた。 -
19世紀初頭、5万人もの人口を誇る一大銀鉱山だったこの街は、メキシコ革命以後の銀相場の暴落をもろにかぶり、現在、人口わづか1000人のゴーストタウンになっているらしい。
でこぼこに荒れ果てた石畳を街へと向かう途中、振り返ると先程潜り抜けてきたトンネルが、赤茶けた山の斜面にポツンと黒い染みを作っていた。
このトンネルが街と外界を繋ぐ主なルートとの事。
まるで、隠れ里だ。
静寂が街を支配している。 -
街は、2800kmの高地の山肌にへばりつくようにその姿を保っていた。
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街の片方が急斜面に掘られたトンネルなら、もう片方は谷底だ。
そして、周りは野生の不気味なサボテンの森で覆いつくされている。 -
この街はトンネル1本の崩壊で陸の孤島になりそうだった。
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山中にひっそりたたずむこの村は、周囲を不気味な原生林と巨大なサボテンに囲まれていた。
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いや、サボテンの海に浮かんでいると言ったほうが正確かもしれない。
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かろうじてその姿を保っている家々の塀にもフェンスの代わりにサボテンが植えられていた。
確かに世界最強のフェンスかもしれない。 -
村の中心の教会周辺、正確には周囲30mだけは人の住む気配があった。
平らな道など何処にも見当たらない石畳の上を、数少ない村人がリヤカーを引きながら食料を運んでいる。 -
ここが、村のメインストリートらしい。
いろいろな出店が軒を連ねる中、不思議と食べ物屋は見当たらない。
ほとんどの屋台が怪しげな宗教グッズを並べている。
ここは、宗教的にも意義ある土地なのか? -
他のメキシコの街同様、ここでも村の中心は教会だった。
ほとんど歳月がセピア色に染める街並みの中、教会だけは妙に新しく見える。 -
教会の壁を飾るデフォルメされた聖人達の像も古さは感じられない。
どうやら修復を重ねているらしい。
教会内部は全て木造であり、年月が磨いた床の上で村人達が頭をたれていた。 -
村の中でアスファルトの舗装を見る事はなかった。
不揃いな石が敷き詰められた石畳が、谷底から村の中心の教会へ向かって続いている。 -
しかも、ここには平坦な道など何処にもない。
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全ての道がまるで山間を進む大蛇のように、のたうちながら登りそして下っていた。
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静寂が支配する時間の中、ほんの少し文明の匂いがする雑貨屋が・・・
ロバの背中を見る限り、意外と繁盛しているのだろうか? -
街外れはすぐに始まった。
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教会から10分も歩いただろうか?
もはや、ほとんど人影はなくなった。 -
遠くから忍び寄る足音に振り返ると、子供が一人廃墟と化した街中を何処へいくとも知れず向かっていた。
「ここから先は、サボテン以外何もないよ!」
この子が教えてくれた事は、この静寂が保証してくれている。 -
教会から歩いて30分、朽ち果てていく車の残骸と昔は民家だった家々から這い出るサボテン以外は、全てがセピア色に変わっていく。
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何10年も前に放棄された家々、もはや屋根などその痕跡も見えやしない。
崩れかけた壁の隙間、朽ち果てた窓からは、馬鹿でかいアロエのようなサボテンが、現在の居住権を主張していた。
文明って、これ程脆いもんだろうか? -
猫の子1匹見かける事もない延々と続く廃墟とサボテン。
今まで見てきた大自然とは何か違う。
一度築かれた物が土にかえる瞬間に立ち会うと、何故これ程までに寂しく感じるんだろう? -
村はずれは、もはやサボテンに支配されていた。
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しかも、この巨大さは何だろう?
日本では手のひらサイズのアロエみたいな植物が、ここでは俺の背丈を越えている。 -
このアロエの化け物は?
・・・もしかしてテキーラの原料? -
こんなゴーストタウンにも安ホテルはあった。
いや、こんなゴーストタウンだからこそ、旅慣れた人間が集まるのかもしれない。
夜になると必ず停電する事など、ここではそれ程特別な事件にも思えない。 -
ホテルの子供は意外なほどに観光客慣れしていた。
カメラを向けるとポーズまでとっている。
きっと俺みたいな貧乏ツーリストが、この1泊500円のホテルに集まり遊んでやっているのだろうなぁ。 -
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