HONDURASU（ホンジュラス）で見つけた中米大陸縦断長距離バス「TICA　BUS」

1997/08/29 - 1997/09/01

内戦だらけの中米で、唯一アメリカの中米拠点と言うバックを持ち平和を保ってきたホンジュラス。
確かに街中には、デパート、CD屋、マクドナルド、シティバンクまでそろっているほど文化水準が高かった。

そして、この街ではあの噂の「TICA　BUS」を見つけた。

エリア テグシガルパ(ホンジュラス)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス

旅日記
『１９９７年８月２９日、ホンジュラス入国』

エルサルバドル〜ホンジュラス間の国境は、人と車で大変な混雑ぶりだった。

あれほど揉めたエルサルバドルの入国だったが、出国時はにこやかに「ポン！」とスタンプを押される。
国境に架かる橋を渡っていると、川の中では子供が水遊びに熱中していた。
あの子達は、俺同様現在世界中のどの国にも存在していない事になる。

橋の袂では、ホンジュラス国境管理事務所を前に、両手に札束を握り締めたマネーチェンジャーのおっちゃん達に迎えられた。
両脇には乞食の子供達が控えている。
これからあの中に行かねばならない事を考えると気が滅入ってきた。

内戦だらけの中米で、唯一アメリカの中米拠点と言うバックを持ち、平和を保ってきたホンジュラス。
国民性は、日和見主義なのかと思いきや、誰も彼もぶすっとして愛想のカケラもない。

インド人並みのしつこさで食い下がってきた乞食の子供に、「お前ら、柄が悪いな」と日本語でつぶやいてみると、にっこり笑って頷いた。

・・わかっているのか？

旅日記
『テグシガルパにて』

ホンジュラスの首都「テグシガルパ」は、なかなか過ごしやすい所だった。
中国人経営の安宿（そう言えば中華系が多い）も、一泊３００円にしてはなかなかのもんだし、物価も今までの中米じゃ一番安い。郵便など、日本まで2kgで5ドルらしい。
人も思ったほど悪くなかった。
確かに無愛想だが、ちゃんと道を教えてくれるし、根は正直で親切な国民性かもしれない。

街中には、デパート、CD屋、マクドナルド、シティバンクまでそろっていた。
中米は南に南下するほど、文化水準が高くなるらしい。

アーケード街で、Tシャツの叩き売りをしていた。
さすが中米一物価の安い国の叩き売りだけあって、品物にはでかい穴が開いていたり、染みだらけだったり、まともなもんは一つもない。
日本じゃこれを売る事自体、常識を逸している事だろう。
ましてや、買うとなったら恥以外の何者でもないかもしれない。

・・・１０分後、胸に小さな穴の開いた長袖Tシャツを手ににこにこ家路を急ぐ俺がいた。５０円だった。

旅日記
『TICA　BUS』

以前からこのバスの噂は聞いていた。
中米大陸縦断長距離バス、その名は「TICA　BUS」
耐熱、耐寒我慢大会の様なローカルバスにそろそろ疲れを感じてきた俺の前に、ホンジュラス発、TICA BUS　チケットオフィスが現れた！

聞けば、何回でもストップオーバー可能らしい。
US$60は大金だが、確実な移動手段があるという事はこの中米では非常に助かる。
俺は買った！

TICA BUS快適！
ガンガンにきいたエアコンの乾いた空気の中、３台も設置してあるテレビからは、流行のビデオが絶えず放映されている。
アメリカのグレイハウンドなど足元にも及ばないほどのデラックスさだ。

周りの乗客は、皆、スーツを着込んだビジネスマンか、おしゃれな貴婦人。
薄いスモーク越しの窓から流れる熱帯雨林のジャングルが、まるでスクリーンの向こうの出来事のように思える。

ふと考える。
このバスで、一番俺は浮いていないか？