フンザ心の旅④ グルミット - 美人村の学園祭

2009/10/17 - 2009/10/17

　パキスタン・ゴジャール地方の小村グルミット。近くの氷河へ向かう途中、偶然、村の学校の文化祭に遭遇した。のどかな山村の催しをレポートします。


**情報は2009年10月のもの。1ルピー=1.1円で計算。

==シリーズ一覧==
フンザ心の旅① ハイダー爺と魔法の青い樽 (フンザの水)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10442688/
フンザ心の旅② 長谷川メモリアル学校 - 魂の文化祭 その１
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10443973/
フンザ心の旅③ 長谷川メモリアル学校 - 魂の文化祭 その２
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444125/
フンザ心の旅④ グルミット - 美人村の学園祭 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10441914/
フンザ心の旅⑤ フサニ村 - 吊橋と温泉のある風景
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10443768/
フンザ心の旅⑥ パスー - 村の伝統結婚式
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444518/
フンザ心の旅⑦ カラコルムハイウェイ - デコトラ街道の男たち
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444759/
フンザ心の旅⑧ チャプルソン谷 - その伝説の何もなさ (ズードホン)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10575819/
フンザ心の旅⑨ ババグンディ - アフガンへと続く道 (パミール)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10575824/

エリア フンザ(パキスタン)

[目次]

　グルミット
　両親の日、再び
　出し物
　教室見学
　食事会
　まとめ

[グルミット]

　グルミット村(2700m)は、カリマバードから一時間半ほどカラコルムハイウェイを北上した場所にあります。この村へは、近くのグルキン氷河を横断するためにやってきました。村から裏山へ続く道を登ると、学校(写真)のまわりに人が集まっています。何か行われているようです。

[両親の日、再び]

　中を覗いてみると、校庭に観客席が設けられ、正面ステージで生徒達が何か出し物を披露しています。これはひょっとして「両親の日」では。

　やはりそうでした。パキスタンの学校では、年に一度、保護者を招待して、文化祭のようなことが行われます。両親の日(Parents' Day)といえば、つい先日、カリマバードの長谷川メモリアル学校で見たばかりです。今度は田舎の学校版ですが、違った趣があるかもしれません。せっかくなので、トレッキングを中断して見学することにしました。

　ハセガワの場合、平日の月曜日に行われましたが、ここAL -AMYN Model Schoolでは土曜日の開催です。

　校庭の端のほうから眺めていると、関係者の方がステージすぐ横の来賓席に案内してくれました。目の前には校長や地元有力者(写真)が座っています。校舎の裏に見えるのがグルミット氷河です。

[出し物]

　各学年の名前が呼ばれ、歌やダンス、小劇などの出し物が披露されます。

観客席は、ステージ正面に生徒(写真)が座り、それを囲むように保護者が座ります。

狭い校庭は父兄と生徒で一杯です。いす席の母親達がステージに熱い視線を送ります。

プログラムはシンプルなものが多く、ハセガワほど凝っていません。学校の規模や予算が違うのでこれは仕方がありません。

イスラムの賛歌を歌います。女性の白いスカーフも制服の一部です。

　これは英語のスキット。生徒が看護婦と患者を演じます。シンプルなやりとりで、こういうところに英語教育のハセガワ学校との学力差を感じてしまいます。

　そんなことより、もっと大きな発見がありました。この学校の美人率の高さです。出てくる学年すべてで、レベルが高いのです。グルミットは隠れた美人の産地なのかもしれません。

　出し物がひと段落したところで、校長のスピーチが始まりました。ここ一年の実績や教育の重要性を長々とアピールします。さらにこの後、来賓あいさつが続き、あまりにも話が長いので、席を立って校舎を見学することにしました。

[教室見学]

　まずはクラスルームを覗いてみます。教室の壁には、英語で書かれた社会科のレポートや英単語のリストなどが貼ってあります。一部の教科は英語の教材が使われているようです。単語表を見ると、意味が英英辞書のように英語で説明されています。まだシンプルな単語を習得している段階から、英語で考える習慣をつけさせているのです。これは実践的です。

　次に職員室をチェックします。日本と違い各先生の机はなく、部屋には大きなテーブルと棚があるだです。部屋の壁には、先生の時間割、役割分担、メンターのプログラムなどが掲示されています。メンターとは、ベテランの先生が若い先生を、クラス内外でサポート、コーチするもの。こんな月謝数百円の田舎の学校でも、欧米スタイルの学校運営が行われいるのです。

　部屋の端には、各先生用の棚と授業に使う資料が置いてありました。この手作り感に予算の少なさが垣間見えます。パキスタンでは、公立と私立の教育格差が問題になっています。しかし、こういうのを見ると、「公立の先生も頑張ってるなー」と感心してしまうのです。教育熱心といわれるイスマイリーの村は、それに呼応して先生のレベルも高いのかもしれません。

　棚の横の黄色い紙は何でしょうか。見慣れないアルファベットですが、これはワヒ語の表記に使われる文字です。この学校は進歩的で、ゴジャール地方の日常語である、ワヒ語のクラスまであるのです。

[食事会]

　職員室にいると、進行係をしていた女性が話しかけてきました。「終わったらリフレッシュメントに参加しますよね」。ここでもハセガワ同様、参加者に食べ物が振舞われるようです。全てのプログラムが終わり、人の流れを追って別の校舎に入っていきます。会場は普通の教室で、机の上にリンゴやミルクティーなどが用意されていました。ミルクティーはチャイというよりは、午後の紅茶のようなクリーミーな味です。

　会場に男女分けはなく、低学年の生徒もいて和気藹々としています。グルミットの女性は、カリマバード以上にオープンで、カメラに対しても大らかです。

[まとめ]

　山村の学校で行われた「両親の日」。何一つ特別なものはありませんが、ゆったりと流れる時間に豊かさのようなものが感じられました。ここでも印象に残っているのは、生徒を見つめる母親達のやさしいまなざし。子供のよりよい将来を願う気持ちは、どの国のどの学校でも同じかもしれません。


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[リンク集]

==パキスタン旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?view_mode=&dmos=os&level1=1&level2=798&level3=&sort=when

==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list

==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list


ワヒ語クラスの導入を伝える記事 (英語)
http://pamirtimes.net/2008/04/10/al-amyn-model-school-introduces-wakhi-as-subject/

ワヒ語入門
http://www.coelang.tufs.ac.jp/multilingual_corpus/wakhi/index.html