里海画報～ひろしまのモニュメント探訪記　１０／０１／１0

2010/01/10 - 2010/01/10

広島市の中心部には、被爆当時の記憶を広島を訪れる人にも伝え、被爆体験を同じ人間である自分たちの問題として共有してもらう為に、街角のあちらこちらにモニュメントとして残しとるんでがんす。
原爆資料館では新規の展示資料展と「原爆マンガの一番星　谷川一彦展」もあったでがんす。
広島赤十字原爆病院の入り口付近には爆風で曲がった窓枠をそのままモニュメントとして保存しており、台風で倒れた被爆樹木も枝を切り取って一緒に展示されており、とても参考になったでがんす。

エリア 広島市(広島)

平和祈念資料館の地下一階で「原爆マンガの一番星　谷川一彦資料展」があり、まず午前中にそれを見にいてきたでがんす。

谷川一彦は、「漫画少年」などへの投稿からはじまり、「なかよし」などの少女マンガ誌に作品を発表していたが、虫プロに入るために上京してからは手塚治虫のアシスタントの他に「ワンダー３」などのアニメ作画にも関わってきたそうで、手塚研究家にとっても重要な研究対象でもある漫画家だそうでがんす。

谷川一彦は少女漫画誌が主なフィールドだったらしく、連載の他に付録漫画も多く描いとるみたいでがんした。

「星は見ている」は、おそらく原爆をテーマにした漫画の中では最初の作品ではないかと言われているが、復刊もされずに埋もれていた作品でがんす。

絵のタッチは「かわいい系古典まんが」とでも言ったらいいか、とにかく柔らかタッチで懐かしさを感じさせる絵でがんした。
実際には虫プロにも所属するけど、私淑していたのか、手塚治虫系の「流派」とも言っていい絵でがんす。

原画なども展示しており、やはり手塚治虫の影響は間違いなく受けている作家でがんす。

１９５７年、創刊間も無い「なかよし」に掲載され単行本化もされた「星は見ている」は、古本市場にもまず出る事も無く埋もれたままだったけど、この展示でやっと日の目を見たんでがんす。

「なかよし」の執筆陣と、谷川一彦でがんす。

「小学N年生」の付録漫画も描いとったでがんす。

資料室では「新着資料展」もやっとったでがんす。

新着資料として被爆死した人たちの遺品などもあったでがんす。

熱線で溶けた徳利でがんす。

熱線が当たった部分だけ溶けて泡立った瓦でがんす。

溶けてくっついた硬貨でがんす。

千人針や戦時国債もあったでがんす。

中国新聞屋上から撮った被爆直後のパノラマもあったでがんす。
レンズの具合から、つないだら扇形になったみたいでがんす。

爆風で飛んできた角材が刺さって死んだ人の絵など、写真では伝わらない部分の展示もあったでがんす。

被爆直後聞こえた人々の声を文字で表現したものもあったでがんす。
音は絵や写真では表現でけんから、この表現手法はとても参考になったでがんす。

ローマ法王の広島訪問記念碑でがんす。

記念碑に刻まれたメッセージでがんす。

地球平和監視時計でがんす。
核実験があったら、針が零に戻るんでがんす。
もう戻って欲しくないでがんす。

時計の説明板でがんす。
午前中のモニュメント探訪はここまで。
１３３０時より三学会合同シンポでがんす。

三学会合同シンポが終わって、もう夜になったけど、帰る前に広島赤十字原爆病院のモニュメントを見にいったでがんす。
赤十字の標識は建て替え前の病院の一番尖端部にあったもんでがんす。

ニワウルシの大木は被爆樹木でもあったが、台風で倒れたので、その枝を切って仁王(?)の顔を彫刻しとるんでがんす。

作者は判らんけど、被爆者の苦しみ・怒りが彫り込まれたもんでがんす。

広島に住んだ７０〜８０年代、毎日この建物を見とったでがんす。

病院の尖端部ん窓が爆風で曲がったんを、移築してモニュメントとしたもんでがんす。

建て替え前は高い位置にあって、あんましじっくり見る機会もなかったけど、病院の入口に移設してくれたおかげで、ちゃんと近くで見ることもできるんでがんす。
爆風の強烈さを物語っとるんでがんす。

すぐ横に設置された説明版でがんす。
陶板に写真を焼き付けたもんで、鳴門の大塚美術館の展示と同じ系統の作り方みたいでがんす。

被爆死した動員学徒の遺体を病院の花壇に材木みたいに積んだ惨状を描いた絵もあったでがんす。

原爆病院のモニュメント群は、かつては戦後の広島の人たちにとっては日常見慣れたもんであったけど、改築してこわされる前に被爆の記憶を人々の心に刻んでもらう為に移築保存されたもんでがんす。
原爆病院の他に広島の街の至る所に被爆モニュメンがあって、それらは基本的には被爆直後のその地点の惨状を記録した写真を銅板にエッチングで焼き付けたんを設置しとるけど、今回は時間切れで取材でけんかったでがんす。

被爆モニュメントは原爆病院だけでもいろんな表現の可能性を教えてくれるとてもよい例でがんした。
二度と繰り返してはいけない負の遺産を残すことは人間の果たす大切な役目でもあるんでがんす。