2009/12/01 - 2009/12/01
292位(同エリア441件中)
たかぎさん
(塩水は鹽水、関子嶺は關子嶺、新営は新營が台湾で使用されている漢字です)
台北の龍山寺で知り合って食事をおごってくれた柳川さんこと楊さん
「12/1か12/2なら僕も関子嶺に行けるかもしれないから、前日の夜に電話をしなさい」
その通りに昨日の夜に電話を掛けると
「ちょっと用事が出来たから、悪かったネ」
まぁそりゃそうですよね、知り合って30分で色々おごってくれて、その上で温泉旅行を一緒に行くなんて、いくらなんでも
ところが嘉義で関子嶺行きバスを待っていると・・・
その3、その4の盛り上がりのなさは序章だった!
-
金城ホテルで荷物を受け取り、彰化駅から嘉義まで国鉄の普通列車で移動します
料金119元は約320円
時間は約1時間20分ほどかかるようです
日付の98は西暦ではなく民国98年で西暦2009年
あと逆行というのはどうも下りのことのようです -
駅のセブンイレブンで買った国民弁当とおにぎり、そしてローズティー
コンビニなので温めてくれます
なので駅弁がおいしい -
車内はこんな感じ
混んでないからいいけど、駅弁を食べるにはちょっと不自由で味気ないロングシート -
嘉義駅に到着しました
すぐに出口に向かわず第一月台、日本式に言えば1番線を彰化方面へ戻ります
すると有名な登山鉄道『阿里山森林鉄道』の線路と駅舎があります
よく見ると、右の阿里山森林鉄道と左の台湾国鉄の線路の幅が違うことが分かります
とても乗りたい鉄道なのですが、8月の台風で復旧の目途はたっていません -
嘉義駅の駅舎
嘉義では日本の神社がそのままの形で保存されている
そう何かで読んでたので、その神社が残る嘉義公園に行きたい
公園は駅からけっこう離れていて、バスでも10分程度かかるらしい
一方、駅のバス停にはタクシーの客引きがとても多い
「運ちゃん、運ちゃん」、と彼ら彼女らは自分を指差して勧誘してくる
始めはこちらが日本人で、日本語で喋ってきてるのかと思った
『運ちゃん』は日本統治時代の言葉がそのまま台湾に根付いた言葉なんだそうです
タクシーで行こうか、45分待ってバスにしようか、そう考えていたら周りにレンタバイク・レンタスクーターの店が
試しに日本人でも大丈夫かとちょっと聞いてみたら、もう全然かまわない、それどころか隣の店と競争するように客引きし始めたので不安が少しあったけどレンタスクーターを借りることに決定
荷物はレンタスクーター屋さんに預けます -
レンタルスクーターで約10分
駅から真っ直ぐ進んで突き当たりに嘉義公園はありました
途中には一箇所、日本には少ないロータリーがあります
孫文さんが入り口に鎮座
追記 案内地図です
http://chizuz.com/map/map79551.html -
孫文さんの近くには阿里山のシェイ型蒸気機関車も
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公園は想像してたよりずっと広く、進んでいくと台湾プロ野球嘉義チームのフランチャイズ球場があります
そういや嘉義農林は戦前の甲子園常連校でした
http://www2.asahi.com/koshien/hs/50/54002/
野球が今もさかんなんでしょう -
なおも進むと突然懐かしいような景色に
両側に日本の狛犬、常夜灯が整然と並んでいます -
日本の明治・大正・昭和という年号の入った建造物は余程でないと取り壊されるか、そうでなくとも年号だけ削られている
そう聞いていましたが、ここの常夜灯は全部そのままです
あと氏子中なんかの言葉も -
手水場です
残念ながら水はありませんでした -
神社入り口です
現在は嘉義市史跡資料館となってます -
この写真だけだと完全に日本のどこかの神社です
よくもこんなに完全な形で残しておいてくれました
ありがとう、台湾 -
昭和初期の嘉義駅前
整然とした街並みです -
昭和4年の嘉義市街図
左に嘉義駅があり、加藤病院・巴里美容所・ビリヤードサカヱ倶楽部・廷木運送店・大山洋服店・光正堂菓子店・日向屋食堂(カフェー噴水)・野球用品吉川山陽堂
当時の生活の一端が伝わってくるようです
確かにそこには日本がありました
ここではかなりの写真を撮りました
また詳しい資料も館の方から頂戴しました
もし当時のご関係者やご興味のある方は連絡下さい
資料を送付します -
レンタルバイク屋に戻りました
国際免許と日本の運転免許を持ってきましたが、ここではパスポートだけでした
これは都市やバイク屋さんによってまちまちのようです
あと借りる時はほとんどのバイク・スクーターはガソリンがほぼ残り1リッターくらいです(いきなりエンプティが表示されます) -
駅から少し歩いた所に嘉義客運のバスターミナルがあります
少し早いですが関子嶺に早く行って温泉に浸かることにします -
関子嶺までは78元、約210円
次のバスは午後2時
バスターミナルは駅前の賑やかな通りなので、数件隣りにあった自家製のパン屋さんでパンを買って待合室で食べます -
この自販機ひねりが効いていて面白い
そんなことを思ってパンも食べ終え、バスの時間まであと10分位になった時、携帯が鳴り出しました
掛けてきたのはなんと楊さんの柳川さん
「今、どこにいますか?」
「今は嘉義のバスターミナルで、もうすぐ来るバスに乗るところです」
「こちらは用事を済ませて嘉義まで来ました。あと10分ほどでバスターミナルに着くから待ってなさい」
ここから急転直下、柳川さんとの温泉旅がスタートします
ほんと柳川さん、ええ人だぁ〜
バスの切符は未使用だったので払い戻してくれました -
柳川さんは台北から高速を飛ばして奥さんの日産ティーダで来ました
「僕の出身地が近くだから、台湾の田舎の風景を見せましょう」
もうお任せです
そしてこれが柳川さんの生まれ故郷、後壁の田園風景
二週間ほど前に稲刈りがあったみたいです
台湾では二期作で米が一年で二回収穫されます -
柳川さんは携帯で電話を掛けます
「僕の姉さんや叔父さんが近くにいるので行ってみましょう」
はい、どこなりと行きます
着いたのが後壁の菁寮庄という所です
ここは米の産地で日本時代からの精米所があるそうです -
これが精米所で小さな観光スポットになっているようです
中国語のパンフレットも置いていました
そして背中が写る女性が柳川さんのお姉さん、顔が写る男性が叔父さんで共に近くに住んでいるそうです
精米所のソファーで話を聞きます
お姉さんが林秀鵬さんで日本名は林優子さん、昭和6年生まれ
叔父さんが梁乃文さんで日本名は梁原文一さん、昭和2年生まれ
二人とも日本の教育がとてもよかったと褒めて、そして懐かしんでくれます
お姉さんはここの精米所の館長さんのような存在で、二人とも悠々自適の毎日だそうです
柳川さんの提案でこれからとてもおいしい魚の麺を食べに行くことになります -
鹽水(塩水)の有名な屋台なんだそうです
車で10分ほどで到着
この屋台は夕方から始まって、あまりにおいしいので屋台のピークの7時前後には売り切れ店仕舞いに毎日なるそうな
期待 -
牡蠣と虱目魚の麺
すごーーくおいしい!
菁寮で梁さんを降ろして次に向かいます
「もう一軒、白河のおいしい店に行こう」 -
白河の町です、時間は午後4時15分
おいしい店はまだオープンしていませんでした -
代わりに白河で果物をどっさり買います
「果物代は僕が支払います」
そう言うと
「そんなことを言ってはいけません、こちらが誘ったのだから全部こちらが支払います」
だって
恐縮です -
「それでは関子嶺に向かいましょう」
そう柳川さんは言ってティーダを走らせます
ところが途中で何か思いついて
「関子嶺に入るとおいしいものが少ないし、高くなるから地鶏を食べよう」
そう言って甕仔雉という店が道の両側に並んでいる一角で車を停めます -
これがこの近辺の名物料理の甕仔雉
地鶏を甕(かめ)で丸一匹焼く料理
丸一匹焼いたものを包丁で食べやすく切って、スープと出す
丸一匹がミソで写真に写っていますが、一番手前は鶏の頭です(一番向こうの黒いのは足)
知らずにお箸でつまんで気付きました・・・
そーーっと、お皿に戻しました
その他の部分はおいしく頂きました -
甕仔雉の店を出ると道はほどなく山道になり、昇りが続きトンネルもあります
そんな山の中腹に関子嶺温泉はありました
表紙の画像が柳川さんの後輩が経営している旅館です
今は病気がちで経営はもっぱら息子さんに任せている由
館内には日本庭園や鯉の泳ぐ池が -
柳川さんが
「特別室を取ったから」
そう言って先に進みます
「この字、分かりますか?」
「うーーーん、分かりません」
「これが畳です」
なるほど他他米でタタミなんだ -
これが特別室、他他米の間
戦前に造られた部屋で床柱もあります
そして画像のように欄間まで
8畳一間にもとは一間の押入れと床の間
押入れが取り外されて布団と枕を積み上げています
床の間が写っている部分でテレビと座布団が置いてあります
なんと柳川さんは持参した浴衣をバックから取り出し着替えます
その姿は正に日本人 -
なにはともあれ温泉に浸かりに行きます
ここは小さな風呂が全部で5つ
一人か二人で入るようです
もちろん柳川さんとは別々で
今こうやって見ると温泉の表示、ペーパーが8.2になってます
北投温泉は酸性の強い温泉でしたが、ここは弱アルカリ性なんですね -
これが関子嶺の世界に数箇所しかない泥温泉
透明度は数センチです
掛け流しでよく温まります -
温泉のあとはそぞろ歩き
浴衣姿の柳川さん、ズボンにフリースの自分
なんか妙な感じです
関子嶺温泉は今は二つに分かれていて、こちらが昔からあったほう
もう一箇所が山道を更に500mほど登った所で、そちらは新しい設備の充実したホテルが多いらしい
共に前には川が流れていて、その渓流沿いに発展した温泉街だそうです
写真はその渓流にかかる屋根付きの橋
台湾に来て夜でも寒いと感じたことはありませんでしたが、ここは山の中、しんしん冷えてきます -
散歩してたら
「ちょっと食べよう」
そう柳川さんは言って、この店に入ります -
川海老の唐揚げ、ゴーヤーチャンプルー?、炒飯
温泉地はおいしいものがない、そう柳川さんは言いましたが、この川海老の唐揚げ
すっごくおいしい -
旅館に帰りまた風呂
柳川さんと共に日本のバラエティ番組を見ます(106チャンネルの内5〜6チャンネルが日本の番組で中国語字幕)
聞いてた通り、台湾ではサスケの人気が凄い
くのいちを含めて毎週再放送をやってるそうです
柳川さんは持参した本も五木寛之、もちろん日本語です
うーーん、柳川さんのアイデンティティはどこなんだろうか・・・
台湾には「私は昭和20年8月15日までは日本人でした」とか「国籍は台湾でも心は日本人です」
そんなお年寄りが多いと聞いたし、台湾の総統だった李登輝さんも家では奥さんと日本語で会話してると聞くし・・・
考えると複雑な事情もありますが、単純に嬉しいです、そう言って頂くと
画像は関子嶺から嘉義又は新営までのバスの時刻表です
日本と違いバスや鉄道の時刻は何年も変わらずそのままです -
翌朝です
今日もいい天気
さっそくまた起きぬけの温泉
温泉から出て旅館をチェックアウト
申し訳ないことにここも全て柳川さんが出してくれました -
関子嶺近くにある水火同源
-
山の中腹のせせらぎの水の近くから可燃性ガスが出ていて自然発火
不思議な光景です
動画 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=ebYe-dPknkc -
水火同源には臘腸樹というこんな植物が生えています
-
碧雲寺にやって来ました
ここで柳川さんの携帯に電話が
柳川さんはロータリークラブの会員で、その打ち合わせが急遽入ったそうです
「申し訳ないネ」
と柳川さんは僕に謝りますが、そんな謝られても
充分以上に至れり尽くせりの歓待を受けさせて頂きました -
「新営の鉄道の駅まで送ってあげよう」
柳川さんはそう言ったのですが、新営の街に入ると
「おいしい店で食事をしてからにしよう」
そう言って下さいます
この店に連れてきてくれました -
右の豆菜麺はもやしが載ってピリカラの出汁がかかった麺
左の苦瓜魚頭湯はするどい歯がむき出しの魚の頭とジャガイモのスープ
どちらもおいしい
更に柳川さんは「もう一軒行こう」 -
ここの店は店頭に皮の剥かれた羊の頭がどんと置いてあります
それも写真に撮っているのですが、気持悪くなる方もいるかも知れないのでアップしないことにします -
細いそうめんのような麺を左の熱い羊の肉と生姜が入った漬け汁で食べます
食べながら車の中で僕が話してた、今年日本で流行った言葉をもう一度今度は手帳に書いてくれないか
柳川さんはそう言ってきます
柳川さんの高級そうな手帳に
「草食系男子・肉食系女子」
こう書きました -
黄色いブルゾンが柳川さん
台湾国鉄新営で別れです
昔、NHKで「はるばると世界旅」という神がかり的に素晴らしい番組がありました
NHKの局アナが世界のなんでもないような所に行ってその地の人たちと自然と触れ合い、期せずして束の間の友となりそして別れには双方うるうると泣いてしまう
余談ですがそれをパクったと言われているのが「世界ウルルン滞在記」
そのNHKの三宅アナの南米編ではこちらも貰い泣きをしたのを覚えてます
そんな経験が自分の旅で叶うことなんてないし、あれはウルルン後期のようにある程度筋書きがあって
そんなふうに漠然と思ってたのが・・・
本当に柳川さんありがとう
一生忘れられない旅となりました
かむしゃ〜 とうしゃ〜
これで感謝台湾その5 嘉義・関子嶺編を終わります
最後までご覧頂いてありがとうございました
感謝台湾その6 墾丁編に続きます
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この旅行記へのコメント (5)
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- hiroshi_kakogawaさん 2010/01/27 15:35:58
- 泥湯の効能は素晴らしいですよ
- 關子嶺大旅社に泊られましたか?私はここに32年前に来ました。
その後も何回も来ていますが・・・
嘉義には、家内の大親友が住んでいます。そして台南には実家が
有ります。
さらに奇遇ですが、親戚(帰化しました)に柳川と言う方が居ますよ。
まさか親戚では?これにも1票投票しました。
-
- タビガラスさん 2009/12/22 20:42:33
- 関子嶺温泉
- 関子嶺温泉には3回行き、3泊していますが、水火同源には行ったことがありません、こんな、珍しい場所があるとは知らなかったです、今度行ったときは、よりたいです、映像良かったです。
- たかぎさん からの返信 2009/12/22 23:58:09
- RE: 関子嶺温泉
水火同源、不思議な現象でした
動画を褒めていただいてありがとうございます
嘉義からレンタルスクーターで行けそうですね
話は変わりますがタビガラスさんはフィリピンも詳しいようですね
私の祖父が先の戦争でルソン島北部で戦死しています
マニラには行ったのですが、いつか終焉の地の近くまで行ってみたいと思ってます
-
- タビガラスさん 2009/12/22 20:35:51
- 今度行ってみたいです。
- 嘉義には3〜4回行っていますが、神社にはまだ行ったことがありません。
このような日本的な神社がいまだに残っているのですね、ぜひ行ってみたいです。今、わたしの大好きな台湾を楽しませていただいています。
- たかぎさん からの返信 2009/12/22 23:53:00
- RE: 今度行ってみたいです。
嘉義3回ですか〜、すごいですね
ぜひ残された日本を訪ねてまた行ってみて下さい
今回参考にした本があります
それは『台湾に生きている「日本」』というタイトルでたぶん図書館に置いてあると思います
写真を多く使用して嘉義神社を始め台湾各地に残る日本時代の建造物を取り上げています
今後ともよろしくです
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