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ワガノワ・バレエ・アカデミー来日REPORT(4)

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2008/07 - 2008/08

997位(同エリア1083件中)

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

■ロシア革命と第2次世界大戦

 ロシア革命が1917年に起こって以降、多くのバレエ・ダンサーや教師が国外への移住を迫られましたが、幸いロシア・バレエを根底から揺るがすことにはなりませんでした。バレエ学校(ソ連時代は「レニングラード舞踊学校」と名を変えていました)の発展に大きく貢献したのがアグリッピナ・ワガノワです。

彼女は過去のバレエ教師達の経験の蓄積に、独自の探求の成果を加え、クラシック・バレエのシステマティックな教授法を完成させました。この理論を更に補強し、1934年に出版されたのが『クラシック・バレエの基礎』で、これが最初のバレエ教本となるのです。

 1920年代から1951年まで、マリーナ・セミョーノワ、ガリーナ・ウラノワ、タチヤナ・ヴェチェスロワ、ナタリア・ドゥジンスカヤ、アラ・シェレストなど、彼女は数世代に渡るバレエ・ダンサーを育て上げました。1957年、バレエ学校は、彼女の名前を冠し、ワガノワ・メソッドをアーティスト育成の全てのプログラムの基礎に据えることとしたのも、必然と言えるでしょう。

 ワガノワと肩を並べて男子舞踊手の育成に尽力したのがウラジーミル・ポノマリョフで、アレクセイ・エルモラエフ、コンスタンチン・セルゲイエフ、ワフタング・チャブキアーニ、ニコライ・ズブコフスキーを育てました。また、ワガノワと共に上級学年の女の子を長年指導したのが、マリア・ロマノワです。

 バレエ学校史における、大きな試練は大祖国戦争(独ソ戦。1941年〜1945年) であったと言えるでしょう。上級生や卒業したての若者は前線に送られ、その中には、後にソリストとなるコンスタンチン・シャチロフもいました。また、若きバレリーナ、ノンナ・ヤストレボワのように前線の旅団に送られた者もいます。

バレエ学校自体はウラルに疎開したキーロフ・バレエ(マリインスキー・バレエのソ連時代の名称)とともに、ペルミで活動を続けました。この疎開した3年間の芸術監督を務めたニコライ・イワノフスキーは、教授陣と共に、学校の存続のために最善をつくしました。レニングラード包囲戦(1941年9月〜1944年1月)においても授業は続けられ、生徒の採用試験までも行われていたのです。学校がロッシ通りに戻ってきたのは1944年6月のことで、そして9月1日に206回目の新学年度を迎えたのです。

■ソビエト・バレエの栄光

 戦後数年間、多くの才能あるダンサーが誕生しました。ワガノワの教え子であるオリガ・モイセーエワ、ニネリ・クルガプキナ、アラ・オシペンコ、イリーナ・コルパコワ、そしてポノマリョフの教え子であるボリス・ブレクバーゼなどです。また、ワガノワとポノマリョフにより、バレエの教授法に惹きつけられた者もいました。

そして1950年代から1970年代にかけて、レニングラード舞踊学校は巨匠とも言うべきスターを輩出したのです。ルドルフ・ヌレエフ、ユーリ・ソロヴィヨフ、ナタリア・マカロワ、ミハイル・バリシニコフ、ガリーナ・メゼンツェワ、アルティナイ・アスィルムラートワ、ファルフ・ルジマトフなど…。かつての帝室バレエ学校は、優れたダンサーを輩出しただけではありません。

レオニード・ヤコブソン、レオニード・ラブロフスキー、ワフタング・チャブキアーニ、コンスタンチン・セルゲイエフ、ワシリー・ワイノーネン、ユーリ・グリゴローヴィッチ、ニコライ・ボヤルチコフ、オレグ・ヴィノグラードフなど20世紀を代表する、ソビエト・バレエの振付家の多くも、このバレエ学校から誕生したのです。

 プロのダンサーの育成は、プロのバレエ団を根拠地にした舞台経験があって初めて可能になりますが、歴史的にも、ワガノワ・バレエ学校にとってマリインスキー劇場がパートナーであることは、既に伝統になっています。毎年の発表会や卒業公演、私たちの伝統的なレパートリーのワイノーネン版『くるみ割り人形』がマリインスキー劇場で上演されていますし、また劇場公演に生徒が参加することは、教育プログラムの一部となっています。

世界に名高いマリインスキー・バレエの群舞の美しさは、マリインスキー・バレエの団員の95%以上がワガノワ・バレエ・アカデミーの出身という事実があればこそでしょう。

■現在のワガノワ・バレエ・アカデミー

 今日のワガノワ・バレエ・アカデミーが変わらず掲げている使命は、ロシア及び世界の劇場の手本となるべきダンサーを鍛え上げることです。近年の卒業者としては、ウリヤナ・ロパートキナ、ディアナ・ヴィシニョーワ、エフゲーニヤ・オブラスツォーワ、ヴィクトリア・テリョーシキナ、アリーナ・ソモワ、アンドリアン・ファジェーエフ、ウラジーミル・シクリャーロフなどですが、彼らは21世紀のスターといってもいいでしょう。

 1991年、アカデミーは高等教育として認められ、また大統領令によってロシアの文化遺産となっています。現在アカデミーでは、高度な資格を持つ教授・教師が働いていますが、2004年には校長としてヴェラ・ドロフェーエワ教授を迎えました。また、2000年からは、ロシア人民芸術家のアルティナイ・アスィルムラートワが芸術監督を務めています。

 かけがえのない歴史を持ち、ここでしか守り継ぐことのできないクラシック・バレエの傑作に格別の注意を払っていることは、アカデミーの特性となっています。アカデミーの課題は、これらの宝が失われないよう、未来のダンサーに伝えていくことですが、同時に、生徒が卒業にあたり職業が得られるようにしなければいけません。そのためにはあらゆるダンスを習得していなければいけませんから、今日のダンス事情に応じ、プログラムを見直していくことも求められているのです。

<終>

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