2009/06/18 - 2009/06/18
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すぱーくりんぐさん
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6月22日〜30日にセビーリャで、第33回世界遺産委員会が開かれ、今年の登録物件が決定します。
2009年は30件のノミネート。そのうちの1つ、「ル・コルビュジエの建築と都市計画」に含まれる「国立西洋美術館」に行ってきました。
もし決まれば、東京初の世界遺産が誕生します!(^_^)
美術館は、「絵」を見に行くところ!?
でも、今回は「箱」に注目してみました。
絵の鑑賞はほどほどに、ちょうど小企画展『ル・コルビュジエと国立西洋美術館』を開催しているのでじっくり見てきました。
【予習・復習に役立った1冊】
新潮社 『芸術新潮 2009年2月号』
特集 開館50周年 なるか、世界遺産 国立西洋美術館のすべて
※旅行記に出てくるエピソード等は、この本と企画展のパネルにあった説明等を元に書いています。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
-
上野駅に到着。
本当なら、先に美術館を見てからランチといきたいところですが、ランチタイムにぶつかるのは避けたい……。
なので、先に食べてしまいます。 -
ランチはここに決定。
Vinuls(バニュルス)上野駅店
アトレの1階、上野公園の向かい側にあります。
以前、夫っちと1度入ったことのあるお店。
飛び抜けて美味しいということはないのですが、雰囲気が良いのです。(^_^)
店内には昔のフェリアのポスターがかかっていたりして、スペインからそのまま持ってきたようなお店です。 -
レディースランチ(900円)にしました。
ポテトサラダと、グリーンサラダ、サーモン、イイダコのマリネ、ミートボール、そしてカボチャの冷製スープがワンプレートに。
たっぷりのサラダが嬉しいです。(^_^)v -
そして、デザートが3種類!
ただし、1つ1つはとっても小さい。
私はそれほど甘い物が好きではないので、ちょうど良かったです。 -
道路を渡れば、すぐ上野公園。
このまま階段を上がってもいいのですが、「近道」の看板に従って左に折れます。
西洋美術館は遠回りになるような気もするけれど、この近道、結構お気に入りなんです。 -
壁に挟まれたところに、すーっと伸びる階段。
左にはちょっとオシャレっぽい飲食店が入っています。 -
階段を上りきると、人がたくさん。
何かの作品? -
上野の森美術館でやっている、現代アートの展覧会。その1作品がガラス張りの向こうに見えていたようです。
-
平日だから、人が少なーい。
-
あったあった。お目当てが近付いてきた証拠。
台東区では世界遺産登録を真剣に応援しているようです。随分前から、上野界隈でこののぼりを見かけました。 -
国立西洋美術館の開館は1959年6月10日。
松方コレクションを収蔵するためにできた美術館です。
芸術新潮を読んで知ったところによると……。
何でも松方さんというおじさん(第4・6代内閣総理大臣松方正義のご子息)が、1900年代初めにヨーロッパで絵を買い集めました。
ところが、コレクションはずっとパリで保管していたため、戦後にフランス政府によって没収されてしまいます。(T_T)
日本が返還を求めたところ、「それなら、美術館を用意して」と要求され、そこでコルビュジエに設計依頼をして建てられたのが国立西洋美術館、というわけです。
私たちがルーヴルに行かなくても、『睡蓮』を見たりできるのは松方さんのおかげなんですね。(^_^)国立西洋美術館 美術館・博物館
-
コルビュジエが日本に訪れたのは、視察時の1度きり。つまり、設計者本人も見ることのなかった、美術館の外観です。
本当はあの階段のところは、出口として設計されていたようです。
ただ、雨でも降ってしまうと、ちょっと危ないですよね。
そのせいか、立ち入り禁止です。 -
松方さんが自分のコレクションを預けていたのが、パリのロダン美術館。
ロダン美術館の開館費用が足りなくて、松方さんが助けたこともあったようです。
そんな縁のある両者のおかげで、こうして上野でロダンの作品が見れるわけですね〜。
西洋美術館の前庭やカフェ、ミュージアムショップは誰でも自由に入れます。つまり、このすごく大きなロダンの作品を見るのもタダ。
『地獄の門』という作品です。
とにかく、大きい。重さは6トンあるそうです。(@_@) -
「上のところに、考える人がいるよー!」
近くで見ていた子供が嬉しそうに、言っていました。
ホントだ〜。
どうも、『考える人』というのは、もともとはこの大きな作品の一部でしかなかったようです。 -
この作品、とにかく出っぱり方が半端ではありません。
-
台座の下に隙間があって、地面とは直接接していません。
1999年に免震工事をしたそうです。
6トンが倒れたら、大変ですもんね。(^_^;) -
「門」ていうくらいだしねぇ、後ろはどうなってるの?
と見てみたら、別のドアがありました。メンテナンス用かな?(笑) -
こちらは『カレーの市民』
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有名な『考える人』
もともとは『地獄の門』の一部だったようですが、こちらのほうが断然有名ですね。 -
『考える人』も、この通り免震台座の上に鎮座しています。
-
再び建物に注目します。
この石が入った外壁、ちょっと和風っぽいと思うのは私だけでしょうか? -
石はサンプルをコルビュジエに送って決められたそうです。
桂浜の石なのだとか。 -
柱をよくみると、板目が付いているのが分かります。
風呂桶を作るように、きっちり型枠を作り、そこにコンクリートを流し込んだそうです。
コンクリートは現場で調合して、猫車で運んで流し込んだのだとか。
今でこそ、どこにでもある鉄筋コンクリート造ですが、50年前はまだまだ造るのも大変だったのですね。 -
以前はガラスの部分がもっと後退していて、その分ピロティが広かったようです。
入場券を買って、中に入ります。
小企画展は、常設展の一部のような扱いになっているので、420円で入場できます。 -
『ル・コルビュジエと国立西洋美術館』は、2カ所に別れて展示されていました。
19世紀ホールにあったのは、工事に関する説明や写真パネル。模型もありました。
残念ながら企画展部分は撮影禁止。
ホール上部の明り取りの部分だけ撮ってきました。国立西洋美術館 美術館・博物館
-
ゆったりとしたスロープで、2階へと行きます。
常設展に関しては、フラッシュを使わなければ写真撮影が許可されています。
私がカメラを手にしていたら、周りにいた人が驚いて、係員のお姉さんに「写真を撮っていいんですか?」と聞きに行っていました。
いいんです、ここは。(^_^) -
本館2階展示室の様子です。
天井から、どど〜んと大きな箱が出ています。
コルビュジエは、この箱を通してゆるやかに太陽光を入れ、光をコントロールをしたかったようです。
ただ……、光は美術作品に与える影響が良くないということで、今は蛍光灯になっているそうです。
この箱、少し圧迫感があるのですが、これがとってもいい効果を生んでいます。
作品は明るく照らし出されているけれど、自分自身が立つ位置は箱の影になって、やや暗いところになるのです。
舞台を見ている観客のような感じ?
おかげで、ゆっくり作品と向き合える空間になっているように感じました。 -
突然こんな階段がぬ〜っと現れます。
コルビュジエの設計では、両側とも手すりがなかったそうですが、さすがに危ないということで片側には付けられたそうです。
上では、打ち合わせをしてもいいし、展示スペースとして使ってもいい……ということだったのですが、階段が危ないので使われることはなく、現在はちょっとした物置スペースになっているようです。(^_^;) -
人の背の高さと比べてみても、天井から下がった箱の圧迫感が分かりますよね。
真っ正面が例の階段。
人が入っていかないように塞いでしまっているので、だまし絵みたいなことになっています。(笑) -
ちょっとは絵も見ないと。
カルロ・ドルチ『悲しみの聖母』
濃いブルーが、本当に綺麗なんです。吸い込まれそうでした。
ミュージアムショップの絵はがき売り上げランキングで、ルノワールを超えて3位に輝いている作品。 -
こちらは、ミュージアムショップの絵はがき売り上げランキング8位。
マリー=ガブリエル・カペの『自画像』
はつらつとした雰囲気が人気の秘密でしょうか。 -
でも、この絵は、作品もさることながら額が可愛いです。
頭に付いているリボンが、額にも付いてるー! -
この通路を通って、新館へと入ります。
-
ありゃー。明るい。
新館は本当に明るいです。
絵は見やすいけれど……。絵を見ている自分も人から見られていそうで、ちょっと落ち着きません。
私はやっぱり本館の暗い感じが好き。
ちなみにこの新館は、コルビュジエの弟子だった前川國男が設計してます。 -
新館2階、最後の部屋で『ル・コルビュジエと国立西洋美術館』の後半展示を見ます。
何で2カ所に別れてしまったんでしょうねぇ。スペースの都合上仕方がないのかもしれないけれど、ちょっと残念。
ここには、設計図や契書がありました。
な〜んて言うと、どどーんと分厚い書類を連想しますが。
コルビュジエが送ってきた設計図はたったの9枚!
設計図と言えば、寸法が入っているのが当たり前ですが、入っているのは1枚だけ。縮尺はちゃんとしているようなので、スケールで計って後は勝手にしろってこと!?
設計図には、トイレもなかったそうです。(笑)
さすが巨匠。「こういうイメージ」ってことさえ伝えられれば、仕事をしたことになるんですね。(^_^;)
結局弟子だった前川國男、坂倉準三、吉坂隆正の3人がタダ同然で詳細設計を引き受けたそうです。
ちなみに、契約書は10枚くらいの厚さしかありませんでした。設計料は1000万だそうです。(高っ!)
なんか、ちょっとコルビュジエを見損なったかも……。(-_-;)国立西洋美術館 美術館・博物館
-
気を取り直して、私の好きなミロの作品。(^_^)
美術館で一番明るい展示室にありました。 -
展示室を出て、再びロビーに戻ってきました。
ピロティがあると、内vs外という感じにならずに、その中間の曖昧な空間が生まれるんですね。
ぐーっとせり出した天井のおかげで、外の景色がより印象的に切り取られる気がしました。
こんなに曇っている日なのに、外の緑がひときわ鮮やかに見えませんか? -
国立西洋美術館と向かい合わせに建つ、東京文化会館も前川國男の設計。
ピロティがある点は、コルビュジエに似ているのかも。国立西洋美術館 美術館・博物館
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でも、こっちは柱や庇の先が丸みを帯びていて、有機的な感じがしました。
私はスパッと切り落としたようなシャープな外観の西洋美術館のほうが好きかなぁ。 -
19世紀ホールに置いてあった、Mini Museumという四つ折り小冊子をもらってきました。
説明通りにちょっとハサミを入れて、山折、谷折。
美術館では建築ばかり見ていて絵はさっと見ただけ。これで自宅でゆっくり鑑賞することにします。(^_^;)
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この旅行記へのコメント (1)
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- escomさん 2009/11/26 04:30:23
- 建築会の皇帝
- すぱーくりんぐさん こんちは! escom と言います。
コルビジェは「建築会の皇帝」だったんです ネ!
身近にあって、見逃していました。・・・ありがとうデス!
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