キプロスの国境　＜北キプロス・トルコ側からの入国＞　　１９７８年の思い出

1978/10/03 - 1978/10/07

ギリシャのサーモス島からクスダシへ、面白そうなトルコ入国する。

天気が悪い中、満員のドルムシに乗って、エフェソスを観光、坊主頭の若い兵士が沢山いて、飯を食って行けと、親切に勧められる。

この頃は、カンフー映画ブームで、カラテ！カラテ！　で直ぐに友達になり、親切にされる事が多かった。

イズミールから夜行バスに乗って、一気に、イスタンブールに入る。
ヒッピーの溜まり場の、プディング･ショップで旅情報を得に行く。

特に、イランまでのバス代と、イラン国境近辺の東トルコの情報。
当時、東トルコは、多分クルド人問題かな？
旅行者の乗ったバスが丸ごと襲われるだとか、怖そうな話ばかりが先行していて、トルコ人に聞いても、旅行するのは、危ないと言われていた。

列車の方が安心だとか、色んな情報が交差し、バスで行くか、列車にするかさえも、決めかねていた。

インド方面から来た人に、大丈夫と言われ、バスで行く事に決める。

イスタンブールのモスク、トプカピを観光、それに映画「００７危機一発」の貯水池も観光し、ロンドンの語学学校の友人の実家に行ったりする。

本場のトルコ風呂に３７TL（１TLー約８円）に入り、丘の上に６〜７軒ある、女性のいる広場へ行く。

信じられない位のトルコ人の男達が店の入り口から、１０ｍ位のステージの様な空間を作って、その周りを取り囲んで、見物しているのである。屋台の食い物屋も出て、丁度、盆踊り会場に雰囲気が似ている。

１人でも店に入ろうなら、ピューピューと冷やかしの口笛は鳴らされるは、もう、恥ずかしいよ！！
これは入れない、と言うより、女性も見れないし、近づけない！！　　参った！！

きっと夜だから、こんなにも人が多いんだと思って、昼間に行っ来たが、同じ様に沢山の見物客がいた。　　　残念！？


次の目的地は、国境らしい場所シリーズ。　　国連が管轄しているキプロス島である。

バスを乗り付いで、フェリーで行く交通費と日数を計算したら、飛行機を使った方が安上がり！！

ギリシャで作った学生証での学割と、支払いをTAXの掛からない外貨払いにして、９２５TL（１TL 約８円）でイスタンブール発、ニコシア行きの航空券が買えた。

国際線のターミナルから朝６時丁度発。

前夜に荷物を持って空港で寝て、いよいよ紛争のあって、間もないキプロスへ！！

１９７８年の夏も終わった１０月３日であった。

エリア ニコシア(キプロス)

北ニコシア


猫のいる国際線ターミナルで、前夜から泊まり込んでカウンターが開くのを待っている旅行者は、私一人だけ。

昨夜遅くパキスタン航空のトランジットで、夢と希望に溢れたイギリス・ロンドン行きの日本人若者２人と会って、少し話をする。

何だか、昔の自分を思い出し、あの頃の純粋なの気持ちが甦ってきた。

出発は、朝６時なのに、５分前に搭乗券を、やっと受け取り、搭乗アナウンスもなしに、７時に飛行機に乗り込んだら、即出発。

外人旅行者は私だけで、あっという間に、キプロス島ERCAN空港に着く。

ニコシアに行き、６０TLの安ホテルに、荷物を置いて、いざ、観光に行く。

北ニコシア


１０月なのにもの凄く暑い中を　これぞ！　国境！！と言えるニコシア市内の国境地帯を歩く。
今にも、戦闘が、始まりそうな異様な静けさである。

道と言う道は、ほとんど塞がれていて、１００ｍ位の無人地帯になっている。
その場所に赤のトルコ国旗と、真ん中辺りにブルーの国連旗が立ててある。

トルコ壁側には少しは、人が住んでいる程度で、至る所に砂袋を積み上げてあり、建物は銃痕の跡だらけである。

トルコ人に聞くと、今は、至って平和だと言うが、私には、やはり、異様な雰囲気以外の何者でもない。

北ニコシア


人が誰も居ないのが、返って怖い！

もちろん、この頃は、こんな所に観光やら、見に来る旅行者は、一人もいなかった。

北ニコシア


ちょっと道を間違えて、立入禁止地区を歩いてしまうと、それもシーンと死んだような静けさで、そんな事は無いんだけど、
何処から狙撃されるんじゃないかと、心配するくらい心細くなる。

北ニコシア


ニコシアで１ヶ所だけ、ギリシャ側に繋がっている国境通路がある。
トルコ警察でインフォメーションを貰い、ギリシャ側に行こうと思い、国連軍の建物の横を通り、ギリシャ側の入管に行くが、入れてくれないのである。

キプロスのトルコ側に、入国すると、ギリシャ側のニコシアには、もう、入れないとの事。
その逆は問題なく行き来が出来るんだが・・・・。

トルコ側の出入りには、何ら規制はないのに！！

パスポートをここに預けて、２０〜３０分だけで直ぐ帰って来ると粘ってもダメで、渋々、引き返した。


戻って、トルコ警察の人に、また会ったら、「なぁ〜！　そうだろ〜！　ギリシャ側は何にも受け入れないんだ！」と言っていた。

北ニコシアのモスク



教会を利用して、メッカの方に絨毯を敷いている。

ここは、現在も、変わっていない様子。

北ニコシア　　サラホテルの屋上


このキプロスのドナケバブ（吊るして、固めて、あぶっているケバブ）は、ここの名物なのかな？　本当に美味い！！

アイランも、レモネードも良いね〜！！


１０月なのに今までの、旅行中で一番暑く、風も熱風である。

午後と言うか、暑いので昼寝をして、夕方から、国境地帯を広範囲に歩いてみる。

色んな人に話しかけられ、４年前の戦闘の話を聞く。

1974年7月の１ヶ月と、その後の第2次の1週間の戦闘で、1万人のトルコ軍、5千人のギリシャ軍兵士が亡くなったらしい。

北ニコシア

サラホテルから、ギリシャ側の眺め。


このサラホテルは、スピルバーグの映画「ミュンヘン」で爆弾暗殺された部屋のあったホテルなの？

北ニコシア

ブルーの国連旗が見える。


もう、観光する所もないので、キレニア（GIRNE)に泊まって、泳ぐ事にする。

夜はニコシアで仲良くなった、美味いピザレストランのトルコ人に、連れて行かれたホテルのカジノに、またも行くが、負けちゃう。

トルコ本土MERSIN行きフェリー（学割で３３１TL−１TL　約８円)は、７日の夜８時の便しかない。
仕方なく、もう１日、海水浴でもして、のんびり過ごす。

翌日、昼にキレニアから、フェリーの出る、ファマグスタ（MAGUSA）に行く。
もう、暑くて、暑くて、涼しくなる５時頃まで、ケーキを食べたり手紙を書いたりして、時間を潰す。

夕方に街を歩いてみる。
ここファマグスタの町は、きれいに旧市街と新市街とに分かれていて、旧市街は城壁で囲まれている。
新市街は鉄条門で被われ、無人の区域を作り出している。

新市街は元ギリシャサイドだった区域で、こんなに広い地区が４年間も人が住んでいないなんて、なんて勿体無いと言うか、紛争とは本当に、無駄を作り出すと感じた。

翌朝、外人旅行者は私一人だけのフェリ−でMERSINに着く。同じトルコ側なのに（？）入国審査があり、バックも調べられ、意外と厳しかった。

バスにて、どうにかTARSUSの町に着く。
この町から、カッパドキア観光の拠点となるネブサヒール行きのバスが出る。
夕方５時の出発まで、暇なので町をぶらつき、６時間も時間を潰す。

このTARSUSの町は本当に田舎で、男の服装は、上着をまるで逆さにして穿いた様な、シャワと言う名のズボンを穿いている人がかなりの％を占める。

日本人を初めての見る人も多いのか、お茶を何杯もおごって貰ったり、町を歩くと、子供がズート、後を付けて来る。

暇なので映画を見る。
日本兵がやっつけられる、香港カンフー映画で、休憩時に、席でタバコを吸っていたら、ロビーで吸う様に注意をされる。

ロビーでタバコを吸っていると、学校が休み？なのか、映画を見に来ていた沢山の子供たち　１００人位に周りを、取り囲まれ、興味深そうな、大きく開けた目で全員に見つめられる。

この時、注目されるスターの快感が、初めて理解出来た。

夜１０時にNEVSEHIRに着く。
客引きに交渉して、安ホテルに、キプロスからのフエリーで買った免税（？）のタバコ１箱で泊まる。
４ベット部屋だが、皆、服のまま、帽子を被って寝ていて、危なっかしいったりゃありゃしない！！

おまけに空いていた私のベットが寝小便で湿っていた。シュラフに貴重品を入れて、バッグをベッドに厳重に縛りつけ、人が出て行く時には必ず起きようとしたが、結局、良く寝ちゃった！！

なかなか綺麗な、６０TL（１TL　約８円）のホテルに換え、丸３日間カッパドキアを観光で歩きまくる。

その後、バスを乗り継いでアンカラ、イランの国境まで体調を崩しながらも、一気に行く。


イランでは夜間戒厳令が、敷かれていたのも知らずに出歩いた。
国境の町から、毎日デモとストライキのテヘランへ。


　中近東の旅はまだまだ続く・・・・。

この旅行記へのコメント （1）

• 一歩人さん 2009/04/29 15:57:46

  カラテ、カラテ！わかるなああ。

  アンタライさんへ
  柔道もそうですが、空手も日本が発祥では。
  （相撲もヨーロッパでは人気とか）
  和道流８段を父に持つ一歩人です。
  ヨーロッパは特に、カラテに敏感ですよね。
  学生時代の南欧旅行でもこういう話耳にしました。
  ありがとうございました。
  失礼しま〜す。