2008/10/28 - 2008/11/05
780位(同エリア1057件中)
macoさん
旅行当日。前日に飲んでいたためにろくな準備もせずに成田にむかう。
まあ、何とかなんだろうと。
それなりに下調べも済ませたつもりだ。
リュックサック一つに数日分の着替えと、洗面用具など適当に詰め込んで出発。
現地の天気が不安定なのに傘が荷物になるという理由で省かれた。
代わりにスケートボードをリュックサックに括り付ける。
一人だからこそ適当に自由に。
成田から、飛行機に揺られること十時間程。ニュージーランドに到着。
日本からオークランドへは直行便がないために、クライストチャーチを経ての到着である。
到着の日は小雨がパラついていた。
空港の税関でチェックを受ける。
当然のように英語で尋ねられる。
ニュージーランドの税関は厳しと聞いていたが、他と比較するほど渡航歴もないので実際は不明である。
しかし、俺の荷物がリュックサック一つであることに彼らは一様に怪訝な表情を向ける。確かに二、三日の国内旅行なら問題ない程度の容量のものだからそれも無理のないことかもしれない。
そんな彼らの様子を可笑しく眺めた。
空港から外へ出て、煙草を吸いながらぼーっとする。
ターミナル付近をうろついていると、男に声を掛けられる。
よくよく考えれば、宿までどう行けば、分からずにいた。
ドライバーに宿の住所を見せると一瞬考え込んだが、すぐに理解したらしく乗れと促される。
白のバンに乗り込みシートに座り、そうか、これが乗り合いのタクシーだったのだと気がつく。
満員まで客を詰め込みバンが走り出す。
高速道路を使いオークランド市内まで一時間程で、着いた。
俺が予約した宿は、市の中心部から離れたところにあるために最後に降ろされる羽目になってしまった。
静かな住宅街の一角に淡い青色の外壁がきれいな宿だった。
オーナーも陽気な人で、かなり快適であった。部屋に入るなり荷物を放り投げて、宿を飛び出す。冷たい雨が降っていたが、かまわずに歩き出す。
幾つかの角を曲がりバス停から市の中心部まで向かうことにした。
こちらのバスは料金が前払いなのは変わらないが、停車のアナウンスなどはなくて、乗客が各自でストップボタンを押す仕組みになっていた。
そして、バス停には名前がなくただ、バス停があるだけだったのには、驚きつつ、外国に来たなとも、思った。
終点が市の中心部だったために、問題なくたどり着いたが、帰りのバスが発車する場所を尋ねようとしたら、運転手が早口でまくし立てられ手で降りろという仕草をしたきた。
面倒だと思われたのだろう。
途中で珈琲を買いながら、市内をあてもなく歩き回る。雨は上がっていたが空は厚い雲に覆われたままだった。スカイタワーを見上げながら「どうせ、曇っているしな」と、初めから登る気など全くなかったが。
スカイタワーとは、南半球で一番高い建造物らしい。
市の中心から程近くに港があり、その近くのスーパーで買い物と遅い昼食を済ました後で、港のベンチで腰をおろし海を眺める。
オークランドは別名「帆の街」といわれるほど風が強く、座っていると寒い程だ。
港からフェリーが出航するのを眺めながら、「たしか、対岸からは市内が一望できるはずだったな」と思い出し、明日も晴れる保証はないので思いつくままにチケットを購入することにした。
チケット売り場で、対岸のデボンポート行きのチケットを買いフェリーに乗り込む。デボンポートに到着し、海沿いを歩きベンチに腰掛けてオークランドを見渡す。
高層ビル群に囲まれて、そびえ立つスカイタワー。海には無数のヨットが浮かんでいた。
しばらくして海を眺め、港に引き返し帰りのフェリーに乗り込む。
オークランド側からはあらゆる人が降りてきた。このフェリーのこの区間は人々の生活に関わっているのだなと感じた。
宿に帰るために、バス乗り場を探して、歩き回った。途中、途中ですれ違う人を眺めながら思う、オークランドはアジア人がとにかく多い街だと。
どうにかバス停を見つけて、運転手に行き先を告げてバスに乗り込む。ところが、降りる場所がわからなかった。
困ってしまった。とにかくそれらしい場所で降りて勘を頼りに歩き出す。しかし、一向にそれらしい場所にたどり着けずにいた。
通り沿いの商店に入り、道を尋ねるが、どうにも要領を得ない。俺はしきりに、宿の名前とこのあたりにあるはずだというようなニュアンスで伝える。
俺は「マウント・イーデンに行きたいんだ」というが、これは後でわかったことだが、宿の周辺一帯をマウント・イーデンというらしい。
店主はようやくわかったらしく来た道を引き返せという。十分ぐらいで着くはずだと。
いわれた通りに引き返すもやはりそれらしい場所がわからない。おまけにあたりは日が暮れていて、通り以外は街灯も少なく不安になってくる。
周囲を見渡すと一軒の不動産屋を見つける。「ここなら知っているかも」と思い中を覗くと、中国系の女性がいた。彼女に尋ねると、少し考えた挙句に中に入れという。
中で一通りの事情を話すと彼女は家に電話を掛けてくれた。聞くところによると娘がいるらしく更にその子は日本語が話せるということだった。
その子と電話越しに事情を話すとわかってくれたらしく、母親にかわれという。
中国語で何事かを話し、これで何とかなるだろうと思っていると、母親の方が着いて来いという。いわれたまま着いていくと、車があった。
どうやらそれは彼女のもであるらしく、乗れという。
つまり、送ってくれたのだ。
異国の地で、見ず知らずの外国人から人の温かさに触れる経験ができた。
ようやくたどり着くと、彼女にお礼を言って、宿に入りシャワーを浴びた。
この日のオークランドの空は先行きの不安定さを表していたのかも知れない。
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