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旨いもの紀行  ほねく

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1980/04/20 - 1980/04/21

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miyabi-do

miyabi-doさん

【ほねく】 和歌山県有田市・編

 初めて紀伊半島を旅したのは、高校2年の夏だった。
 真珠筏の並ぶ賢島を皮切りに、那智大社に詣で、瀞峡をプロペラ船で溯り、潮岬で橋杭岩を眺め、南紀白浜で温泉に浸かる極楽とんぼな旅をした。

 高校生のくせに贅沢な・・、と言うなかれ。
 これがれっきとした、地学の実習旅行。
 しかも小人数で和気あいあい。多少の脱線もあり、引率の先生との賭けに勝ち、海女が水槽に潜るショーをおごってもらったりで、そのハチャメチャぶりは青春そのものだった。

 そんな懐かしい旅を思い出しつつ、今回注目したのは、紀州みかんで知られる有田市。
 この地でカルシウム不足に役立つ、にっぽんの旨いものを見つけた。

 カルシウムが足りないなとは、日ごろから漠然と思っていた。 だからと言って、栄養剤で補給するのは味気ない。
 牛乳は、腹がゴロゴロ鳴って落ち着かない。
 チーズならOKだが、癖の強い個性豊かな輸入物が好きで、となるとワインも欲しくなり、日常食として紹介するのはそぐわない。

 そんな矢先、偶然遭遇したのが“ほねく”である。
 耳慣れないほねくとは、「骨くり天ぷら」の略で、紀州有田地方では古くから親しまれている食材のひとつ。
 一般的には、「骨天」と呼んだ方が、イメージしやすかも・。

 あらかじめ断わっておくと、ここで言う天ぷらは、西日本で言う天ぷらのことで、東日本の人には薩摩揚げとか、揚げ蒲鉾と言わないと誤解が生じることになる。

 宇和島特産のちりめんじゃこの天ぷら(蒲鉾)を、通称“じゃこ天”と呼ぶのが好例と言えよう。
 ほねくの製造元は、有田かまぼこ協業組合。
市内のかまぼこ業者7社が集まって、昭和44年に結成されたもので、通常あまり使わない太刀魚を使うのが特徴。
それも魚肉はもちろん、骨から皮までミンチにしてしまう、魚丸ごと食品。

 組合を代表して、理事の尾藤好彦さんに話を伺った。
「ほねくは、うちの組合の看板商品で、商標登録もしてあります。ほねくには、天然のカルシウムがたっぷり含まれているので、伸び盛りの子供や、中高年の骨粗しょう症の予防に喜ばれています」

 肝心のカルシウムは、1枚50gに334mgも含まれていて、これは普通の薩摩揚げの約10倍にあたる。
牛乳も軽くしのぐ頼もしさと、5枚入り230円(注:取材当時)という価格の安さも気に入った。

 調理法は、フライパンにゴマ油を垂らして軽くあぶりると、香ばしさが増して酒の肴にぴったり。
 それを、大根おろしかショウガ醤油で食べるのが基本だが、細かく刻んでチャーハンの具にしてもイケる。

 地元では、つくだ煮風に煮込んだりもするそうだ。
 いかにも骨ごと砕いたという食感が、適度な歯ごたえとなり、小腹が空いたときの、手軽にできるツマミにもってこい。

 ほねく以外にも、ハモの皮でゴボウを巻いた『皮巻』と、鱈のすり身を原料にした『しおじ焼』も取り寄せて、プリプリした歯ごたえを堪能した。

 みかんの里で見つけた海の幸。カルシウム以外にも、カリウムやリンもたっぷり含んだ、無添加の健康食品としてもお奨めです。


DATA:有田かまぼこ協業組合

同行者
一人旅
交通手段
新幹線

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