山口市旅行記(ブログ) 一覧に戻る
その「線」を引いてグーグルマップで確認した時の興奮はちょっとしたものだった。まるで、見えなかった星座が突然それと認識できたような、ひそやかな感興があった。<br />いや、実際それは地上の星座そのものだった。私はその直線を“みす中火(ちゅうか)”ラインと勝手に呼ぶことにした。<br /><br />察しのいい人は「みす中火」の4文字にさっそく共通点を見出だしたことだろう。「みす/中/火」と区切れば判っただろうか?<br />そう、「みすず/中也/山頭火」を勝手に縮めたのである。<br /><br />優れた芸術家は例外なく独自の宇宙を持っているし、またその世界観の唯一無二の魅力によって、人々の心に灯をともしていく。<br /><br />だが、いくら技巧が優れていようと、それだけでは私は大して驚かないし、心を動かされることもない。自らが傾いていることを自覚できない個性の発露なぞ、闇をタレ流しているに過ぎず、極論すれば、壊れた人間がただ壊れている寒々しい景色しか見えないからだ。<br /><br />私はみすず・中也・山頭火の三人が大好きである。まだそれぞれの詩や句を味わい尽くすまでには至っていないが、間違いなく彼らは、自らの業や痛みを背負った天才であり、そんな彼らが東京から遠く離れた山口で、巨大な三連星のように生を享けた事実に、この上ないロマンを感じてしまうのだ。<br /><br /><br />今回の旅は、まず彼らの生家を結んだ“みす中火”ラインを辿る、という強い内的欲求によって始まった。山口→九州→四国と、行きたい場所から浮かんだ大まかなルートはあったものの、途中で知り合った人に教えてもらっての寄り道はしょっちゅうだったので、2008(平成20)年9月20日に岡山からスタートした旅は、当初予定してたよりも大幅に延び、ちょうど一ヶ月を費やし10月19日にようやく岡山に帰り着いた。<br />一ヶ月も旅をしたというと親戚のおばちゃんに「優雅ね〜」とイヤミの一つくらい言われそうだが(笑)、ホテルや旅館は一度も使わなかったし、野宿もしたので、いわゆる「旅行」というものとは毛色が異なる。「旅」と「旅行」の違いといったところだろうか。<br /><br />とと。。いきなり観念論に走り過ぎたので、旅日記に戻ろう。といっても他人の垂れ流し日記にただ付き合わされるのも苦痛だろうから、今回の旅日記の属性を列挙しておきます。同じような感性だったら面白いかもしれません。保証はしませんが。<br /><br />旅テーマ:絶景、夕陽、地元民に愛される郷土食、文学(みすず・中也・山頭火・漱石)、松田優作・東山魁夷・高杉晋作・車<br /><br />あと旅のついでに、ポニョの街の舞台になった鞆(とも)の浦の埋め立て反対署名を集めました。知り合いになった人に一人ひとりお願いしながらだったし、最初は私自身に心理的抵抗感もあり、大量には集めれませんでしたが、68名分集まりました。<br />ですが、それぞれ思い出深いものがあります。不思議なことに福岡県知事の署名も集まり、出会いの味わい深さに今更ながら驚きます。得るものが多い旅でした。<br /><br />

山口九州四国旅日記

1いいね!

2008/09/20 - 2008/10/19

443位(同エリア481件中)

0

0

honneamis

honneamisさん

その「線」を引いてグーグルマップで確認した時の興奮はちょっとしたものだった。まるで、見えなかった星座が突然それと認識できたような、ひそやかな感興があった。
いや、実際それは地上の星座そのものだった。私はその直線を“みす中火(ちゅうか)”ラインと勝手に呼ぶことにした。

察しのいい人は「みす中火」の4文字にさっそく共通点を見出だしたことだろう。「みす/中/火」と区切れば判っただろうか?
そう、「みすず/中也/山頭火」を勝手に縮めたのである。

優れた芸術家は例外なく独自の宇宙を持っているし、またその世界観の唯一無二の魅力によって、人々の心に灯をともしていく。

だが、いくら技巧が優れていようと、それだけでは私は大して驚かないし、心を動かされることもない。自らが傾いていることを自覚できない個性の発露なぞ、闇をタレ流しているに過ぎず、極論すれば、壊れた人間がただ壊れている寒々しい景色しか見えないからだ。

私はみすず・中也・山頭火の三人が大好きである。まだそれぞれの詩や句を味わい尽くすまでには至っていないが、間違いなく彼らは、自らの業や痛みを背負った天才であり、そんな彼らが東京から遠く離れた山口で、巨大な三連星のように生を享けた事実に、この上ないロマンを感じてしまうのだ。


今回の旅は、まず彼らの生家を結んだ“みす中火”ラインを辿る、という強い内的欲求によって始まった。山口→九州→四国と、行きたい場所から浮かんだ大まかなルートはあったものの、途中で知り合った人に教えてもらっての寄り道はしょっちゅうだったので、2008(平成20)年9月20日に岡山からスタートした旅は、当初予定してたよりも大幅に延び、ちょうど一ヶ月を費やし10月19日にようやく岡山に帰り着いた。
一ヶ月も旅をしたというと親戚のおばちゃんに「優雅ね〜」とイヤミの一つくらい言われそうだが(笑)、ホテルや旅館は一度も使わなかったし、野宿もしたので、いわゆる「旅行」というものとは毛色が異なる。「旅」と「旅行」の違いといったところだろうか。

とと。。いきなり観念論に走り過ぎたので、旅日記に戻ろう。といっても他人の垂れ流し日記にただ付き合わされるのも苦痛だろうから、今回の旅日記の属性を列挙しておきます。同じような感性だったら面白いかもしれません。保証はしませんが。

旅テーマ:絶景、夕陽、地元民に愛される郷土食、文学(みすず・中也・山頭火・漱石)、松田優作・東山魁夷・高杉晋作・車

あと旅のついでに、ポニョの街の舞台になった鞆(とも)の浦の埋め立て反対署名を集めました。知り合いになった人に一人ひとりお願いしながらだったし、最初は私自身に心理的抵抗感もあり、大量には集めれませんでしたが、68名分集まりました。
ですが、それぞれ思い出深いものがあります。不思議なことに福岡県知事の署名も集まり、出会いの味わい深さに今更ながら驚きます。得るものが多い旅でした。

PR

この旅行記のタグ

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP