初夏 釧網本線の旅　◆原生花園　白つつじ大群落　釧路湿原夕景

2008/06/28 - 2008/06/28

釧路湿原の丹頂鶴
摩周湖畔の霧氷
オホーツクの流氷、
釧網本線沿線の冬は三白観光と称されるが
初夏の釧網本線沿線も負けてはいない。

太平洋側の釧路を出発しハンノキの新緑が眩しい湿原に見え隠れする釧路川を眺める。
オホーツクの青い海が目に入ると鉄路の脇には真っ赤なハマナスが揺れている。
神の子池には残念ながら行くことは叶わなかったが
川湯温泉では、いまだ噴煙たなびく硫黄山の麓に３６０度見渡す限りの白つつじ大群落の海原が息を呑む絶景だった。

そして最後は新緑のハンノキに見守られゆったり流れる釧路川の水が緑に安らぐ姿を夕日と共に心に刻む。
１７時間半の滞在ではあるが濃い印象が残る道東の初夏だった。

写真は釧路湿原の夕景

エリア 川湯温泉(北海道)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス JR特急 JRローカル 徒歩

釧路５５９　釧網本線　８５６（臨）原生花園
釧網本線の主力ディーゼルカー　キハ５４の写真を撮って中に乗り込むと７割かた埋まっている。
早朝とは思えない混みように驚く。
さて、これから３時間の旅である。

塘路駅とキハ４０
神の子池に行きたかったのだが、やっとみつけたツアーは最少催行人員が二名。ギリギリまで待ったものの申込者がなく願い叶わず、ということで（臨）原生花園駅へ行くことにする。
（臨）＝臨時駅

標茶駅にて
北海道を実感する跨線橋とキハ５４

南弟子屈駅は、かつては木材と木炭の積み出しが盛んだった駅だ。
この駅は貨車駅、だるま駅と呼ばれる不要になった貨車を利用している。
留萌本線の留萌―増毛でも見かける寂しいだるま駅とは違い釧網本線のだるま駅は手入れが行き届いている印象だ。

森と牧草地に囲まれた美留和（びるわ）駅は、ほのぼのタイプのだるま駅

知床斜里を過ぎると、いよいよオホーツクが見えてくる。
鉄路の脇にハマナスが揺れ心弾む車窓である。

季節臨時駅探訪も今回の旅の目的のひとつなのだ。
臨）原生花園駅は春から秋にかけて開業する。

メルヘンチックなログハウスのかわいい駅舎
利用客減少で一度廃止になった駅だが見事臨時駅として甦った駅でもある。

下車するとハマナスの甘い香りに包まれた。
なんて素敵でファンタジーな駅なのだろう。

駅の目の前が小清水原生花園

エゾスカシユリ　エゾキスゲ　ハマナス
楽しい散策♪

花弁の根元に隙間があり透かして見ることができるのがエゾスカシユリ

「ユリ姉さん」と呼びたくなるような姿である。
〈スーパーとかち〉で活躍しているキハ２６１系１０００番台の車体デザインに使用されているオレンジ色はエゾスカシユリをイメージしたものだ。

時期的に無理かと思っていたクロユリが残っていてくれた。
満足度高し！の原生花園なのだ。
濃い紅紫色の釣鐘状の花は、一番人気だった。

小清水原生花園といえばコレ。
オホーツクブルーの海とハマナスの赤のコントラスト！

原生花園１０２０　快速しれとこ　１１４０川湯温泉
今朝乗ったばかりのキハ５４と再会。川湯温泉へ向かう。

快速しれとこ　ヘッドマーク
快速なのにヘッドマークありとは嬉しい。

国鉄時代を彷彿とさせるホーロー駅名標
清里町駅は小清水町と斜里町から１字づつとった駅名だ。

癒しの駅前風景

停車中に運転台をパチリ

キハ５４　５１４の歴史を見てみる
昭和６１年新潟鐵工製
昨夜の１４系寝台車より１４歳若い

川湯温泉駅に到着
駅はあとで観察することにして釧網本線と上手いこと連絡している阿寒バスで川湯温泉バスターミナルへ向かう。

運転手さんに聞いたところバスターミナルで下車すれば白つつじと呼ばれるエゾイソツツジの散策路入口がすぐあるということなのだ。
バスターミナル待合室にあるコインロッカーに荷物を預け、つつじヶ原へ。

ここは旅フェアの北海道ブースでもらったパンフレットを見てギョッとしたところ。
ゆるキャラを追いかけていたばかりではなく情報収集もしていたのだ（笑）
「初恋」は白つつじの花言葉、さあ初恋さがしへ出かけよう。
※写真　弟子屈町経済観光課パンフレットより

片道２．５キロ　約５０分の散策路ということだ。
しばらくミズナラ林がつづく。

シラカンバ　アカエゾマツ　ミズナラの競演
新緑が眩しい

硫黄山が近づいてくると手鞠のようなエゾイソツツジが広がる。

エゾイソツツジ

火山灰の酸性土壌で硫気に耐えられる植物しか生きられない環境ながら、ここのエゾイソツツジは競争相手がおらず大群落となっているそうだ。

「つつじヶ原」は国立公園の中で、特にすぐれた自然景観であり原始状態を保持している地区なのだそうだ。

エゾハルゼミ（蝦夷春蝉）の合唱がにぎやかだった。

散策路を歩いて気になった場所
黒コゲの様子に痛々しさが残る。

２００６．７．１１付け釧路新聞によると、野火があり散策路付近の燃え方が激しいことから、たばこのポイ捨ての可能性も含め調べを進めている、とある。
もしポイ捨てが原因なら許しがたい行為だ。
なぜにこんなところで一服する必要があるのだろう。

逞しく再生中のエゾイソツツジ
がんばれ〜

バスターミナルに戻り、温泉街を散策しているとルピナスの群落に出会った。野性のルピナスだと思うが道内あちこちで見たルピナスのなかでは一番の群落だった。

今夜も夜行列車に揺られるので風呂に入らなければ。
川湯温泉唯一の外湯　川湯公衆浴場　２５０円。
ここは元湯で源泉を温泉街のホテルが引いているそうだ。
ということは、この公衆浴場の湯が一番フレッシュ！

正真正銘かけ流し
泉質は含食塩　明ばん―緑ばん泉　ＰＨ２
北海道隋一の強酸性温泉
温泉を飲んでみたら、レモンの絞り汁に塩を溶かしたような強烈かつ個性的な味だった。

入浴している人がいるので浴室の撮影は出来ず。
写真はこちらで。
※北海道新聞　平成１６年１２月２日版より

体にヨクキクヨ！！

地下１０ｍから自噴する源泉温は５５度で貯湯槽に地下３０ｍから汲み上げた地下水を何本ものパイプに通して適温にしているそうだ。
温泉で温められた地下水は直湯浴槽に注がれている。

北見から週二回来ている常連さんも温泉を絶賛していた。
素晴らしい湯だった。

アカン　もう時間や。
阿寒バスで川湯温泉駅へ行かねば。

川湯温泉駅　昭和１１年完成
土台は火山石、オンコ（イチイ）と白樺が駅舎を飾る趣のある木造建築の駅だ。
入口にある水飲み場は摩周湖を水源とする夏でも冷たい伏流水でとても美味しい水だった。

名駅舎１００選　北海道８駅の一つだけのことはある。
風格といい素晴らしい。

元トイレだった場所は足湯に改装されている。

釧網本線は、別名オホーツクグルメラインともいわれ六つの駅舎喫茶がある。
☆は有名なメニュー
藻琴駅　※「軽食＆喫茶トロッコ」　☆田舎パフェ
北浜駅　「停車場」　☆オムライスデミグラスソース
浜小清水駅　「汽車ポッポ」　☆手打ちうどん＆カレー
止別（やむべつ）駅　「えきばしゃ」　☆ツーラーメン
ちなみに止別駅は映画「銀のエンゼル」のロケ地
川湯温泉駅　国鉄の官舎を改装した「スィート・ドゥ・バラック・カフェ」そして写真の「オーチャードグラス」

※網走観光協会HPによると「軽食＆喫茶トロッコ」は2023/10/31閉業

「オーチャードグラス」でビーフシチューをいただく。
酸味が効いたシチューは、夜行列車で疲れた胃を見事に復活してくれた。
このあとハードなスケジュールをこなせたのもビーフシチューのお蔭だと思う。

川湯温泉１６２５　釧網本線　１８０９釧路湿原
空は厚い雲が覆っていたので、釧路湿原行きはどうしようか思案する。
たまたま隣りに座った方が「憩いの家かやぬま」で働いている女性で、最近女性一人旅がすごく増えた、とか摩周湖に映る月がそれは美しいとか、話しこんでいると湿原の水平線が明るくなってくるではないか。

そして展望広場で夕日を鑑賞することにした。

釧路湿原　ここは六千から一万年前まで海が広がっていたという。
悠久のロマンを感じながら美しすぎる夕映えにうっとりする。

カラマツ材のログハウス　釧路湿原駅の夜
釧路湿原１９４８　釧網本線　２００６釧路

釧路の夜は寒い。
体が冷えたのでラーメンを食べよう。
なんでも釧路ラーメンは函館、札幌、旭川ときて第四の北海道ラーメンらしいのだ。
ラーメン河むら　しょうゆラーメン　６５０円
屋台のラーメンの味　飲んだ後に食べたくなるラーメンだ。

ＪＲのグリーンネオン輝く釧路駅
なんとライラックが咲いている。

道東の釧路は６月末に咲くのか?
思いがけず出会えてよかった。

再び〈まりも〉に乗り札幌へ向かう。
ちなみに札幌着の時点でＪＲの交通費は約４万円、北海道フリーパス　グリーン車用の元を取るどころか５千円も得をしてしまっていた。

?道北　サロベツ編につづく?　

この旅行記へのコメント （4）

• Noririnさん 2009/06/06 08:31:48

  再訪したいです

  kodeyanさん　こんにちは
  
  エゾイソツツジ･･･見事ですね♪
  １ヶ月違うとこんなに素晴らしい景色が見れるんですか。。。
  川湯温泉は凄く気に入ったので、この時期に再訪したいです。
  
  今回はバスツアーだったので駅は全く見る事が出来ませんでしたが
  藻琴駅を通り過ぎた時、一瞬しか目に入らなかったのに「これイイ！」って思ったんです。
  オホーツクグルメラインに乗ってのんびり過ごすのも良いかも知れませんね。
  Noririn

  kodeyanさん からの返信 2009/06/07 07:50:21

  RE: 再訪したいです

  Noririnさん　こんにちは
  
  旅行記に訪問いただき恐縮です。
  あのエゾイソツツジの群落を見るために川湯温泉まで出かけても
  いいくらいの素晴らしい光景でしたよ。
  北海道は何度出かけてもいいですね。
  
  後半編、特に美瑛、富良野が楽しみ〜
  またお邪魔いたします♪
  
  ではでは☆彡

• ツーリスト今中さん 2009/02/07 20:20:49

  さすがkodeyanさん！

  ご無沙汰しております。
  
  何故か今頃、昨夏の道東ご訪問を拝見しました。
  丁度、旅猫さんもいらしていた頃。
  kodeyanさんが往復「まりも」と言う強烈！Q!Q!Qな
  旅をこなしていらっしゃるとは聞き及んでおりましたが。
  
  さすが〜ですね。
  17時間丸々動ける時季とは言っても凄いなぁ。
  （語彙不足ですみません。もっと適切な表現が出来なくて）
  
  釧網線、そして川湯温泉の良さがコンパクトに
  そして的確に。
  
  遅ればせながらの一票です。
  
  今冬、道東は冷え込み不足。
  何やら冴えません。
  凛とした空気と青空、寒さゆえの美しさが
  なくて、、、、。
  流氷も今1つの勢いですし。
  
  また、お邪魔しますね。
  
  

  kodeyanさん からの返信 2009/02/08 08:46:57

  いえいえ恐縮です

  こちらこそご無沙汰しております。
  
  > 丁度、旅猫さんもいらしていた頃。
  そうですね、6月のちょうどいい時期でした。
  夏になると霧がでてきますが、この時期の道東もいいですね。
  「まりも」懐かしいです（涙）
  
  > 17時間丸々動ける時季とは言っても凄いなぁ。
  ツーリスト今中さんにそういって頂けるとヒデキ感激です。
  川湯温泉の白つつじは、実に美しかった。
  元々白い花が好きなので大感激でした。
  流石は北の大地、北海道まで行って見る価値ありの風景でした。
  
  > 今冬、道東は冷え込み不足。
  > 何やら冴えません。
  地球温暖化の影響でしょうか。
  流氷も厳寒ゆえの光景ですもんね。
  
  書きこみ&投票ありがとうございました。
  ではでは☆彡