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  <br />< 石砂の 蛭も忌まわし ふくら脛 ><br /><br />静寂の山。「天涯孤独」と言ったら大袈裟な表現になるが、今日の石抄山登山は丁度そんな感じだった。<br /><br />奥多摩辺りの山では、今日は自分一人だ、と思って登山していても、必ず誰かに遭遇し、結局一人ではなかったんだと、がっかりもし安心もするが、今日こそは登りも下りも誰一人とも遭遇しなかった。敢えて遭ったと言えるのは蛭(ヒル)の数匹。<br /><br /> <br />今日、7月1日(火)は富士山山開きの日。それにあやかった訳ではないが、全国的に晴れの予報で、朝8時自宅を出る。梅雨の合間の晴れ間。第3回目の東海自然歩道、山歩きをする。<br /><br />高尾で一旦電車を乗り換え、中央線藤野駅に着いたのは9時15分。自宅を出てからおよそ1時間で着くのだから、イメージと違って、案外近い距離にある。<br /><br />処が、バスの時刻を見ると途中乗り換えのやまなみ温泉行きは、朝の8時25分が出た後は、9時台は1本もなく、次のバスは10時40分。これではやまなみ発11時のバスに間に合いそうにない。仕方なく、約4キロの道をやまなみ温泉まで歩く。<br /><br />前回、石老山を下りた、篠原からやまなみ温泉まで歩き、温泉から藤野駅までバスで帰ったが、今日はそのバスの道を歩くのだから、二つ合わせて、丁度全部を歩いたことになる。これこそ本当の東海自然歩き。<br /><br /> <br />道々藤野の町並みを見ながら歩くこと約1時間、温泉場のバスセンターに到着。11時発、篠原行きのバスにはまだ1時間近くある。センターには留守番の小母さんがいて、この周辺の山の事情、山を越えた反対側のバス事情、等を聞くが、余り山に登ることもなく、殆ど知らない状況だった。<br /><br />然し話して気がついたのは、これから向う篠原バス停について「シノバル、シノバラ」というような発音で、当初何を言っているのか理解できなかったが、そうか、この部落の方言で「原」を「バル、バラ」と呼ぶんだな、丁度沖縄とか鹿児島で「マエバル(前原)」「ヨナバル(与那原)」等呼んでいるが、それと同じかも知れないと思う。<br /><br />「原=バル」は日本の古語かも知れない。江戸時代までは各地方で、そのように呼ばれていたが、標準語の普及と共に「原=ハラ」と呼ばれるようになり、いまだ「バル・バラ」と呼んでいるのは、極く限られた地方の県、このような田舎位にしか残されていないかも知れない、と思った。<br /><br />又、これから登る「石砂山」にしても、地元の人は「イシザレサン」と呼んでいて、「イシスナ」とは言わない。<br /><br />これは「ザル=抄」から転訛して「ザレ=砂」になったのかも知れない。そんなこんなで1時間も退屈せずにす過ごすことができた。<br /><br />このセンターからは丁度11時に3方向にバスが同時に出て、1台は藤野駅へ、他の1台は山中湖方面の東野へ、それとこの篠原行きのバスであるが、当方以外の客は全くいない。多分毎日、このように無人の空気を運んでいるのだろう。今日は何日ぶりの乗客かも知れない。<br /><br />バス代100円を支払って、イザ、石砂山へ。天然記念物「ぎふちょう」の生息地とのことで、あちこちに立て札が立っている。集落の外れから登山道が始まるが、頂上までは僅か2.2キロ。登山口からは1.9キロに過ぎない。1時間も歩いたら到着できそうな距離だ。<br /><br />しかし、交通の便が悪いのか山を歩いている人には行き当たらない。人口減の為、山を守る人もいなくなっているのか。小鳥の鳴き声、時々聞こえる仏法僧の低い鳴き声、空を横切り飛行機のエンジン音のみ林間にこだまする。静か過ぎる位の山歩き。初夏の緑が目に鮮やかだ。<br /><br />頂上直下の約300m、高度差にして約150mが急坂だったが、それ以外には困難な箇所もなく、本当に1時間も掛からずに頂上に到着する。山頂588mからは天気予報に反し快晴ではなく、曇った空に周辺の山並、集落はよく見えない。<br /><br /><br />お昼を食べようと、登山靴を脱ごうとしたら、足元に枯れ葉のようなゴミ見たいなものがついている。取り払ったら何かヌルっとした感じで、足から離れない。<br /><br />ヒヤー〜、叫び声こそ出さなかったものの、ヒルが足にくっついて放れない。急いで靴を脱ぎ、靴下を抜いて、靴下で取り払う。何かぞくっとした。もう既に大分血を吸ったのか、2−3cm位の大きさになっている。食いつかれたところから、ドロっとした感じの血が流れ出ている。それで安心してみていると、まだ小さなゴミのようなものが付いている。チクショウ!ヒルの子供だ!小さくて気が付かなかった、2−3匹張り付いている。慌てて叩き落とし、一安心。安心しついでに記念に写真を撮っておく。もう何年も山に登り、この近くの丹沢山系には「蛭ヶ岳」という蛭のいっぱいる山も登ったことはあるが、蛭に食いつかれたのは今日が始めて。全く気持ち悪い生き物だ。<br /><br />蛭は体温に反応して人体に飛びつく、と、どこかで読んだ記憶があり、そうか熱に反応する前に急いで歩けば良いのだな、と昼メシを食べた後、歩幅を早めて下山する。これは正解で、下山路では蛭に襲撃されることも無かった。<br /><br /><br />途中、山の中腹に道祖神が倒れていたが、石が重く一人では元に戻せない。風とかで倒れるようなものではないので、誰かが人為的に倒したに違いないが、そう言えば、山頂に2−3日前のオレンジの皮が散乱していたが、同じ人物かも知れない。彼ももうちょっと山を歩くようになれば、山を愛するようになるかも知れない。<br /><br />この道祖神から下山口までの約1キロ、綺麗な石畳が続いていて、誰が、いつ頃何の目的で造作したかは知らないが、こんな山の中の石畳、何かの目的があったのかも知れない。<br /><br />2時には下山口の伏馬田へついたが、ここからの三ヶ木行きバスは1時17分が出た後は、4時22分まで出ていない。全くこの山は行きも帰りもバス便に泣かされる。<br /><br />やむを得ず、三ヶ木へ向って6キロの田舎道、尤も国道であるから2車線の交通頻繁な道路であるが、を歩く。青野原の広々とした畑地が心を和ませる。こんな山奥にも、こんな田園風景が広がっている。交通不便ではあるが、住んでみたいような気持ちよさそうな田舎風景であった。<br /><br /> <br />< 石砂の 森の山道 ただ一人 ><br /><br />

東海自然歩道(3) 「石砂山」(イシザレサン)

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2008/07/01 - 2008/07/01

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ちゃお

ちゃおさん


< 石砂の 蛭も忌まわし ふくら脛 >

静寂の山。「天涯孤独」と言ったら大袈裟な表現になるが、今日の石抄山登山は丁度そんな感じだった。

奥多摩辺りの山では、今日は自分一人だ、と思って登山していても、必ず誰かに遭遇し、結局一人ではなかったんだと、がっかりもし安心もするが、今日こそは登りも下りも誰一人とも遭遇しなかった。敢えて遭ったと言えるのは蛭(ヒル)の数匹。


今日、7月1日(火)は富士山山開きの日。それにあやかった訳ではないが、全国的に晴れの予報で、朝8時自宅を出る。梅雨の合間の晴れ間。第3回目の東海自然歩道、山歩きをする。

高尾で一旦電車を乗り換え、中央線藤野駅に着いたのは9時15分。自宅を出てからおよそ1時間で着くのだから、イメージと違って、案外近い距離にある。

処が、バスの時刻を見ると途中乗り換えのやまなみ温泉行きは、朝の8時25分が出た後は、9時台は1本もなく、次のバスは10時40分。これではやまなみ発11時のバスに間に合いそうにない。仕方なく、約4キロの道をやまなみ温泉まで歩く。

前回、石老山を下りた、篠原からやまなみ温泉まで歩き、温泉から藤野駅までバスで帰ったが、今日はそのバスの道を歩くのだから、二つ合わせて、丁度全部を歩いたことになる。これこそ本当の東海自然歩き。


道々藤野の町並みを見ながら歩くこと約1時間、温泉場のバスセンターに到着。11時発、篠原行きのバスにはまだ1時間近くある。センターには留守番の小母さんがいて、この周辺の山の事情、山を越えた反対側のバス事情、等を聞くが、余り山に登ることもなく、殆ど知らない状況だった。

然し話して気がついたのは、これから向う篠原バス停について「シノバル、シノバラ」というような発音で、当初何を言っているのか理解できなかったが、そうか、この部落の方言で「原」を「バル、バラ」と呼ぶんだな、丁度沖縄とか鹿児島で「マエバル(前原)」「ヨナバル(与那原)」等呼んでいるが、それと同じかも知れないと思う。

「原=バル」は日本の古語かも知れない。江戸時代までは各地方で、そのように呼ばれていたが、標準語の普及と共に「原=ハラ」と呼ばれるようになり、いまだ「バル・バラ」と呼んでいるのは、極く限られた地方の県、このような田舎位にしか残されていないかも知れない、と思った。

又、これから登る「石砂山」にしても、地元の人は「イシザレサン」と呼んでいて、「イシスナ」とは言わない。

これは「ザル=抄」から転訛して「ザレ=砂」になったのかも知れない。そんなこんなで1時間も退屈せずにす過ごすことができた。

このセンターからは丁度11時に3方向にバスが同時に出て、1台は藤野駅へ、他の1台は山中湖方面の東野へ、それとこの篠原行きのバスであるが、当方以外の客は全くいない。多分毎日、このように無人の空気を運んでいるのだろう。今日は何日ぶりの乗客かも知れない。

バス代100円を支払って、イザ、石砂山へ。天然記念物「ぎふちょう」の生息地とのことで、あちこちに立て札が立っている。集落の外れから登山道が始まるが、頂上までは僅か2.2キロ。登山口からは1.9キロに過ぎない。1時間も歩いたら到着できそうな距離だ。

しかし、交通の便が悪いのか山を歩いている人には行き当たらない。人口減の為、山を守る人もいなくなっているのか。小鳥の鳴き声、時々聞こえる仏法僧の低い鳴き声、空を横切り飛行機のエンジン音のみ林間にこだまする。静か過ぎる位の山歩き。初夏の緑が目に鮮やかだ。

頂上直下の約300m、高度差にして約150mが急坂だったが、それ以外には困難な箇所もなく、本当に1時間も掛からずに頂上に到着する。山頂588mからは天気予報に反し快晴ではなく、曇った空に周辺の山並、集落はよく見えない。


お昼を食べようと、登山靴を脱ごうとしたら、足元に枯れ葉のようなゴミ見たいなものがついている。取り払ったら何かヌルっとした感じで、足から離れない。

ヒヤー〜、叫び声こそ出さなかったものの、ヒルが足にくっついて放れない。急いで靴を脱ぎ、靴下を抜いて、靴下で取り払う。何かぞくっとした。もう既に大分血を吸ったのか、2−3cm位の大きさになっている。食いつかれたところから、ドロっとした感じの血が流れ出ている。それで安心してみていると、まだ小さなゴミのようなものが付いている。チクショウ!ヒルの子供だ!小さくて気が付かなかった、2−3匹張り付いている。慌てて叩き落とし、一安心。安心しついでに記念に写真を撮っておく。もう何年も山に登り、この近くの丹沢山系には「蛭ヶ岳」という蛭のいっぱいる山も登ったことはあるが、蛭に食いつかれたのは今日が始めて。全く気持ち悪い生き物だ。

蛭は体温に反応して人体に飛びつく、と、どこかで読んだ記憶があり、そうか熱に反応する前に急いで歩けば良いのだな、と昼メシを食べた後、歩幅を早めて下山する。これは正解で、下山路では蛭に襲撃されることも無かった。


途中、山の中腹に道祖神が倒れていたが、石が重く一人では元に戻せない。風とかで倒れるようなものではないので、誰かが人為的に倒したに違いないが、そう言えば、山頂に2−3日前のオレンジの皮が散乱していたが、同じ人物かも知れない。彼ももうちょっと山を歩くようになれば、山を愛するようになるかも知れない。

この道祖神から下山口までの約1キロ、綺麗な石畳が続いていて、誰が、いつ頃何の目的で造作したかは知らないが、こんな山の中の石畳、何かの目的があったのかも知れない。

2時には下山口の伏馬田へついたが、ここからの三ヶ木行きバスは1時17分が出た後は、4時22分まで出ていない。全くこの山は行きも帰りもバス便に泣かされる。

やむを得ず、三ヶ木へ向って6キロの田舎道、尤も国道であるから2車線の交通頻繁な道路であるが、を歩く。青野原の広々とした畑地が心を和ませる。こんな山奥にも、こんな田園風景が広がっている。交通不便ではあるが、住んでみたいような気持ちよさそうな田舎風景であった。


< 石砂の 森の山道 ただ一人 >

一人あたり費用
1万円未満
交通手段
高速・路線バス

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  • 藤野町、やまなみ温泉バスセンターより眺めた「石砂山」方面の風景。

    藤野町、やまなみ温泉バスセンターより眺めた「石砂山」方面の風景。

  • やまなみ温泉バスセンター。日中の乗客は皆無。これでは本数もいよいよ減ってしまう。

    やまなみ温泉バスセンター。日中の乗客は皆無。これでは本数もいよいよ減ってしまう。

  • これから山頂までの1.5キロの山道が続く。道は綺麗に整備されていて、危険な箇所はない

    これから山頂までの1.5キロの山道が続く。道は綺麗に整備されていて、危険な箇所はない

  • 登山口付近にあった「虎の尾」に似た、白い花。今が盛り。

    登山口付近にあった「虎の尾」に似た、白い花。今が盛り。

  • 頂上直下、約300mの急坂が続く。

    頂上直下、約300mの急坂が続く。

  • 石砂山(イシザレサン)、山頂。588m。

    石砂山(イシザレサン)、山頂。588m。

  • 東海自然歩道、案内板。

    東海自然歩道、案内板。

  • 周辺の景色は雲に隠れ、良く見えない。

    周辺の景色は雲に隠れ、良く見えない。

  • ヒルに食いつかれた左足。

    ヒルに食いつかれた左足。

  • 心無い登山者のゴミ棄て。

    心無い登山者のゴミ棄て。

  • 心無い登山者の庚申塚の引き倒し。

    心無い登山者の庚申塚の引き倒し。

  • 下山道、約1キロにわたって続く石畳の山道。江戸時代のものとも思えないが・・・

    下山道、約1キロにわたって続く石畳の山道。江戸時代のものとも思えないが・・・

  • 津久井、青野原を流れる「道志川」の深い渓谷。<br />数年前の夏、この上のダムからの不意の放流で、多くのレジャー客が川の中州に取り残され、多くの人命が失われた。ヘリを飛ばす等、何とも方法が無かったのか・・。

    津久井、青野原を流れる「道志川」の深い渓谷。
    数年前の夏、この上のダムからの不意の放流で、多くのレジャー客が川の中州に取り残され、多くの人命が失われた。ヘリを飛ばす等、何とも方法が無かったのか・・。

  • 青野原の「夢街道」

    青野原の「夢街道」

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この旅行記へのコメント (2)

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  • yotchanさん 2008/07/03 16:47:06
    チアオさんの足
    チャオさんは、普段から山好きでコツコツと登山して居るから、蛭もなかなかの健脚で血の循環の良い栄養のあるチャオさんの足にここぞと喰い付いたのでしょう。

    ちゃお

    ちゃおさん からの返信 2008/07/10 11:33:55
    RE: チアオさんの足


    さあ、それはどうでしょうか?蛭は中々気持ち悪いものですよ。蚊ならパシっとし止められますが、蛭は・・。

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