2008/05/20 - 2008/05/20
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レモンパパさん
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そのニュースは、車のラジオから聞こえてきた。
まだ2月の雪がちらつく、寒い季節だった。
「世界最大のエアバスA380の離着陸を可能にするため、成田空港は改装工事に入ります」
そうだ、日本にA380がやって来る!
心が躍った。
シンガポール航空 エアバスA380の特徴は、総二階建てで『ファーストを上回るスイート』クラスがある。
世界初就航は、2007年10月25日 シンガポール⇒シドニー間。
はたして日本の空を飛ぶのは、いつなのか?
色々と問い合わせるが、どうもハッキリしない。
2月・3月と、時が過ぎてゆく。
やがて、A380がロンドンに就航するニュースが載る。
さらに3月某日『日本初就航は、成田空港開港30周年の5月20日に決定!』と知らせが入る。
こうして2008年5月20日 成田発シンガポール行 SQ637便(A380)の旅が始まった。
◇A380データ
全 長 : 72.92m 全 幅 : 79.76m 全 高 : 24.26m
最大離陸重量 : 560トン
エ ン ジ ン :ロールスロイス(トレント900)、エンジン・アライアンス(GP7200)
推 力×基 数 :311kN×4基 燃料容量 : 31万リットル
最大運用速度 : マッハ0.89
離陸滑走距離 : 2,990m(トレント900)、3,030m(GP7200)
航続距離 : 15,200km(8,200海里)
※参考資料 : エアバスA380まるごと解説
- 航空会社
- シンガポール航空
-
5月20日の早朝。
これから国内線で羽田まで行き、さらに成田から13時00分発のSQ637便(A380初便)に乗り継ぐ。
前日までの大雨はあがっているが、空には黒い雲が流れ風も強い。
私が搭乗するANA便の出発時刻は、7時30分。
(予定通り、本当に飛ぶのか?)
という疑問を抱えつつ、空港へ向かった。
空港で係員に聞くと、先発のJAL機は『名古屋または、出発地へ引き返す』条件付きで、遅れて飛び立ったようだ。
待合室のテレビは、関東地方の天気図を映している。
台風が接近している。
状況はあまりよくない。
私は頭の中で(新幹線ならまだ間に合うか?)思考回路を最大限に巡らす。 -
時計の針は8時30分を指した。
やっと、我々の搭乗アナウンスがある。
ANA「機は悪天候の場合、羽田・成田、もしくは出発地へ戻る条件付きで離陸します」
(えっ?、行き先を変更する? 引き返す?)
これじゃあ、乗継のSQ便には間に合わないぞ!
ANAに相談すると「今の状況では分かりません。羽田、成田で係員にご相談下さい」
確かにそうだ。
とりあえず乗り込むことに決める。
その後は、神に祈ろう。
ほぼ満員の乗客を乗せたボーイング767は、定刻より1時間以上遅れて、厚い雲の中へ機首を向けた。 -
雨の成田に着いた。
11時をまわっている。
時間は十分ある。
しかし、シンガポールから折り返しのA380は予定時間になっても、まだ成田に到着していない。
とりあえずチェックインカウンターに向かおう。
成田空港 第1ターミナル南ウイングは、A380初就航の幕が垂れ下がり、我々を歓迎してくれる。 -
SQのカウンターには、スーツ姿の職員がいる。
ここでお客をスイート、ビジネス、エコノミーと分けてチェックインするようだ。
チケットを取り出そうとしたとき「SQ637便のお客様ですか?」と、係員が近づいてきた。
私「そうです。チェックイン出来ますか?」
あたりは、まばらな人影だ。
SQ職員「はい、どうぞ!」
と、横断幕がかかる下に導く。 -
外は風が窓を叩き、大粒の雨が降り続いている。
状況を聞いてみよう。
SQ「今、機は名古屋です」
私「えっ、名古屋?」
SQ「はい、名古屋です。遅れていますが、大丈夫です!」
係りの女性は自信ありげに『大丈夫』と言い切った。
私「・・・」
(本当に大丈夫であって欲しい)
彼女はニコニコしながら、私の荷物にクレイムタグを付けている。
私はこの時には、ちょっとしたカン違いに まだ気がつかなかった。 -
SQ「搭乗ゲートでは、セレモニーをやっています。お時間までおくつろぎ下さい」
(どうしよう?)と考えている時、優しい声が囁いた。
SQ「セレモニーと一緒に軽食サービスもやっていますよー♪」
お腹の虫が泣き出した私は、その甘い声につられた。
まだ早いが、出国手続きを済ませてゲートに進もう。 -
掲示板で時間を確認しよう。
台風の影響で、出発が大幅に遅れるようだ... -
ボーディングパスのチェックを受け、セレモニー会場へ入る。
-
シャンパンとビールを飲みながら寛ごう。
-
そこには、A380の横幕が張られ、弦楽器の心地よい調べが流れる。
-
セレモニー会場
-
会場ではセレモニーが始まる。
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テープカット
-
窓側でカメラを構えていた人々が「おおっ!」と、どよめいた。
振り向くと今日の主役『A380』の登場だ!
時刻は12時39分。
予定より4時間以上遅れている。 -
マスコミも我先に、カメラをまわしながらベストボジションを取る。
「ちょっと、そこのおにいさん!」
そんな所に立ったら、こっちが見えなくなったぞ! -
間近で見ると、大きい!
そして迫力がある! -
成田空港でA380が対応しているゲートは、第4サテライトの奥まった46番のみである。
それはオール二階建ての乗客の乗り降りをスムーズにする為、3つの専用ブリッジを使う。 -
いよいよ我々の搭乗時間だ。
3本のボーディング・ブリッジのうち、左の1本はメインデッキのスイート続く。
また中央部の1本は、メインデッキのエコノミー席へ。
最後の右の1本はアッパーデッキ専用だ。 -
二階へ向かうブリッジを、ゆっくりと歩む。
機内に入り、最初に目に飛び込んだのは広いビジネスクラス。 -
レザーのシートはスタイリッシュで機能的だ。
シートピッチはクラス最大の55インチ、夜はフルフラットのベッドに早変わりする。 -
正面には15.4インチの液晶モニターがあり、コントローラーのキーボードでパソコンとしても使用える。
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エコノミー席のシートピッチは81.5cmで広い。
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頭上の収納ラックには鏡が付いている。
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ギャレーとメインデッキに下りる階段
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アッパーデッキへ向かう最後部の螺旋階段。
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個人モニターは可変・照明付きの10.6インチ、それは映画・TV・CD・ゲームなど数百種類のエンターテインメントが、オンデマンドで楽しめる。
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モニターの左側には、ドリンクホルダーや眼鏡収納ボックス、コートフックがある。
さらに驚くのは、USB・ビデオポート・電源などもあり、至れり尽くせりだ。 -
窓側にはサイド・ビン(収納スペース)がある。
なんと折りたたみ式のテーブルにはミラーまで付いている。 -
二重になっているポケットと3段階のフットレスト。
-
コンパクトにまとまった化粧室
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14時30分、機内に離陸のアナウンスが流れる。
-
トーイングカーによるプッシュバックが始まった。
滑走路に入る。
そして、ゆっくり前進する。
これからシンガポールまで7時間、3,300マイルの旅が始まる。
エンジンは、大きな唸り声を上げることなく、徐々にスピードが増す。
しばらく滑走すると、フワリと機体が宙に浮いた。 -
その瞬間「パチ、パチ、パチ」と控えめな音が聞こえる。
すると、あちこちで拍手の輪が広がった。
それがキャビン全体に鳴り響き、大音響になるまで時間は掛からなかった。 -
水平飛行に入り、機内サービスが始まった。
SQ機内版『シンガポール・スリング』 -
初飛行の『特別』メニューはゴードンと、京都『菊乃井』の村田氏の限定ランチだ。
-
和食をチョイス。
☆胡麻豆腐・旨出汁と山葵添え
☆冷たい季節の麺
☆牛肉の味噌照り焼き・季節の野菜・御飯
☆煎餅
☆アイスクリーム
味は、最高!
とっても美味♪
これぞ最高のサービスであった。 -
キャビンの空調は、クラスやキャビンごとに設定できる。
実際に、搭乗時〜離陸時〜飛行時〜着陸時には、音楽とともに照明が変わった。
これにより、時差ボケや旅の疲れを軽減する効果もあるらしい。 -
機内では、各国のTVクルーが取材をしている。
左端は、キャプテンピーコック。 -
メインデッキでは、今日が誕生日のお客にケーキのサービス。
-
そして別の席では、ハネムーンカップルにシャンパンを抜いている。
-
時計は21時30分をまわった。
窓の外には、たくさんの明かりが見える。
機首を大きく旋回させたA380は7時間の旅を終え、チャンギ国際空港にゆっくりと下降した。
(チャンギ国際空港の歓迎セレモニー) -
※SQの記念品、A380の1/400スケールの模型
その独特の民族衣装による、SQの機内サービスには定評がある。
ピエール・バルマンのデザイン『サロンケバヤ』に包まれた彼女達は、ユニフォームの完成まで3回のフィッテイング工程を経る。 -
※A380初便の記念品、SQのネームタグとダイヤルキー
各CAの顔立ちや輪郭にあわせてメイクをアドバイスする専属のインストラクターもいるという。 -
※SQ初便の記念品
ポストカード(上)、トランプ(左下)、アメニティ(右下)
SQのA380は、スイート12・ビジネス60・エコノミー399の計471席。
ゆとりある設計になっている。
(通常525席、オールエコノミーだと800席) -
※当日、チェックインカウンターで配布された新聞
機の正式名称は『A380−800』。
800は、800海里(14,816m)の航行距離を表わす。
1号機のエンジンはロールスロイス社製。
推力は、31lkN(乗客一人を100km運ぶ燃料が3リッター以下)。
その特徴は、経済的で静かだ。
機材の値段は、おおよそ350億円(B747−400より100億以上高い)!
また、日本の企業21社が製造に協力している。
(参考資料、エアバスA380まるごと解説)
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この旅行記へのコメント (4)
-
- ほしよしさん 2010/09/13 21:07:20
- A380!
- こんばんは。ほしよしです。
「ポルト・ホテルパリス」の旅行記に書き込みを
頂きましてありがとうございました。
実は、私、、SQ大好きです。
なので、A380搭乗記、メチャクチャ楽しく
読ませていただきました!
詳細なレポを拝見して、今更ながらこの飛行機に
のってみたくなりました。
ポルトガル再訪を考えてるのでSQのフライトが
出てればいいのになっと思います。
A380だと長時間フライトも楽そうですね。
- レモンパパさん からの返信 2010/09/15 22:25:53
- RE: A380!
- ほしよしさん。
ご訪問いただき、また投票ありがとうございました。m(__)m
旅行記にも書きましたが、当日は台風の影響でフライとスケジュールが大幅に狂って、地方から乗り継ぐ私は大変でした^^;
A380の乗り心地も良いですし、SQのクルーも親切です。
機会があれば、ほしよしさんも是非どーぞ!
そうそう、この秋からエールフランスとルフトハンザもA380を成田へ就航させたそうですよ。
- ほしよしさん からの返信 2010/09/19 08:30:13
- RE: RE: A380!
- レモンパパ様
おはようございます!
返信ありがとうございました。
>
> そうそう、この秋からエールフランスとルフトハンザもA380を成田へ就航させたそうですよ。
貴重な情報ありがとうございます。
長時間フライトはちょっとでも座席が
広いとありがたいものです。
マイレージとか料金とか色々考えて
次の旅行に臨みます!
- レモンパパさん からの返信 2010/09/23 20:32:20
- ほしよしさん
- こんばんは。
ポルトガル再訪の計画ですか。
楽しみですね(^^)
少しA380について、付け加えます。
SQのA380は、成田とシンガポールの往復、シドニーからシンガポールへと都合3回搭乗しました。
チケットは、旅行社で購入しましたが、事前にSQのHPで座席指定しました。
というのも「2階の窓側に座りたかった」から。
実は、シートマップを見ると窓側の席にもかかわらず、「窓が無い席」があります(構造上?)。
1階のエコノミー席は、あまりにも翼が大きすぎて窓から見える景色は「翼のみ」らしいです。
さらに、大型機の割にはトイレが少ない!
食事後は、かなり混雑します。
ルフトハンザやエールフランスの機体はどうなっているのか知りませんが、事前にチェックしたほうがよいでしょう。
以上、ちょっとだけA380情報でした。(^_^)v
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